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夢と彼女と決意 - (2006/03/21 (火) 02:52:24) の最新版との変更点

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&lt;B&gt;&lt;Fontsize=3pt&gt;夢と彼女と決意&lt;/font&gt;&lt;/B&gt;&lt;BR&gt;<br> NightmareCityの続編妄想です。まあ、独自の設定なので参考程度に&lt;BR&gt;<br> &lt;BR&gt;<br> 作:&lt;B&gt;&lt;fontcolor=#008000&gt;th&lt;/font&gt;&lt;/B&gt;&lt;BR&gt;<br> &lt;hr&gt;<br> &lt;font color=#333333&gt;2005/01/23(日) 02:18:08&lt;/font&gt;&lt;BR&gt;<br> 「おい、目覚めた人がいたぞ!」&lt;BR&gt;<br> 「一体中で何があったんだ、教えてくれ!」&lt;BR&gt;<br> 「と、とにかく早くその装置から離れるんだ!」&lt;BR&gt;<br>  目を開けて最初に見たのは、ガラス越しに殺到する数人の白衣だった。オレはまだぼんやりしている意識の中、確かこいつらの指示でこの装置に入ったんだよな、と思い出す。&lt;BR&gt;<br> &lt;BR&gt;<br>  ――あれ、オレ、さっきまで、『あの街』にいたはずなのに。&lt;BR&gt;<br> &lt;BR&gt;<br>  ふと思った疑問を始点として、そこから先ほどまでの「夢のような」出来事の記憶が戻ってくる。街、トンネル、つり橋、紅い剣、傷、得た力、壁、彼女の涙。現実以上に鮮明で鮮やかな記憶が、それが幻でないことを物語る。そう、幻ではなかった。確かに自分と――彼女は、そこにいた。そのはずなのに。&lt;BR&gt;<br> 「所長! 彼です、この少年です!」&lt;BR&gt;<br>  いつの間にか数人の手によってカプセル型の装置から取り出されていたオレは、声に反応して首の向きを変えた。新しくなった視界の先にいたのは、やはり白衣をまとった中年――自分の両親と同じくらい――の男性だった。なにがあったらそうなるのか、顔には凄まじい疲労とこの世の終わりを見たような絶望の色が混ざり合って浮かんでいる。そのせいで、一瞬誰だか分からなかったほどだ。しかし、すぐに思い出す。忘れるはずがない。彼は、所長と呼ばれたこの男は、世界一大切な友人の、父なのだから。&lt;BR&gt;<br> &lt;BR&gt;<br> &lt;BR&gt;<br> 「2年ぶり、かな。君と直接会って話すのは」&lt;BR&gt;<br> 「そんなことはどうだっていい!教えてくれ、オレは、さっきまで何を…」&lt;BR&gt;<br>  数人の白衣と共に、オレ達は薄暗い廊下を歩いていた。今まで何が起こっていたのか、これから何が起こるのか、それらの不安は感情の波となってオレの心を刺激し、意識せぬまま隣を歩く男に叫んでいた。それを受けた彼は小声で一言「すまない」と言い、ややうなだれながらも続けて言葉を紡いでいった。&lt;BR&gt;<br> 「…簡単に話そう。さっきまで君が入っていたものは、いわば「夢の共有装置」だ。最初に一つの夢をコンピューターに取り込んで仮想空間内に固定し、そこへ他者の意識を接続、不特定多数の人間が同じ夢の中で行動することができるというものなんだ。最初の接続段階で君達被験者に詳細を説明しなかったのは、『夢を夢だと気づく』前と後で現実と仮想空間の違和感がどれ程変わるかを調査するためだったんだが…それが裏目に出てしまった。本当に、すまない」&lt;BR&gt;<br>  意外な事実を告げられて、オレはとっさに言葉を返すことができなかった。疲れきった顔で話す彼は、そんなオレの状態には気づかずにさらに話を続ける。&lt;BR&gt;<br> 「その夢の中には、複数のAIが常駐しているんだ。彼らは可能な限り人間に近づけられた思考と感情で被験者をサポートする案内人であると同時に、不法侵入者を仮想空間内で定義できる最大の能力を持って排除するガーディアンでもある。そして今、そのAIが反乱を起こし、仮想空間内を占拠している。こちらの世界から物質的に破壊しようとしても、仮想空間の根幹はコンピューターではなく人間の見ている夢の方にあるからそれは不可能。仮にできたとしても、それではまだ接続中の被験者達の意識が永久に戻ってこない可能性が高い。そんなわけで途方に暮れているというのが、私達の現状だ」&lt;BR&gt;<br>  一通りの話が終わり、沈黙が流れる。唯一聞こえる皆の足音が、破滅へのカウントダウンのようだ。&lt;BR&gt;<br> 「…ちょっと、聞きたいことがある」&lt;BR&gt;<br>  必死に事態を把握しようとしていたオレは、唐突に「そのこと」に気づいた。&lt;BR&gt;<br> 「オレは目覚めたけど、残された人がいるってことはその夢はまだ続いてるんだよな。じゃあ、その『夢を見ている人』は誰なんだ?」&lt;BR&gt;<br>  大元の夢を見ている人物がいるならば、その人にも夢の世界の制御権がいくつかあっていいはずだ。希望の光が見出せるかもしれないオレの問いに対して隣を歩く白衣が用意した回答は、予想外のものだった。&lt;BR&gt;<br> &lt;hr&gt;<br> &lt;font color=#333333&gt;2005/01/23(日) 02:19:04&lt;/font&gt;&lt;BR&gt;<br> &lt;BR&gt;<br> 「その人物なら、この中にいる…」&lt;BR&gt;<br>  彼が示したのは、通路の突き当たりにあるドアだった。取り付けられているプレートには「最重要機密云々」の文字がある。&lt;BR&gt;<br>  何の理由も無く、嫌な予感がした。ノブにかけた手にうまく力が入らない。それでも、待ち構える絶望の恐怖を無理矢理に押さえ込み、一握りの希望を求めてドアを開けた。そして、見た。&lt;BR&gt;<br>  無数の計器に囲まれたカプセルを。&lt;BR&gt;<br>  その中に眠る人間の姿を。&lt;BR&gt;<br>  手足に繋がれたケーブルがまるで斬新なデザインのドレスのようで。&lt;BR&gt;<br>  叩いたら折れるんじゃないかと思う華奢な体つきは相変わらずで。&lt;BR&gt;<br>  端麗な顔立ちに、桃色の髪がよく合っていて。&lt;BR&gt;<br> 「まさか、シィラ…なの……か…?」&lt;BR&gt;<br> 「そうだ。シィラが、私の娘が、大元の夢を見ている」&lt;BR&gt;<br>  幼馴染の変わり果てた姿に、オレは動揺を隠せなかった。全てが、分からなかった。理解できなかった。受け入れたくなかった。必死で平静を取り繕い、可能な限り冷めた声で問う。&lt;BR&gt;<br> 「これは、どういうことなんだ。あんた達が急に引っ越して連絡が取れなくなった2年前に、何があったんだ…!」&lt;BR&gt;<br>  部屋の中に入らず扉の近くにいた男は、オレにもここまで一緒に来た数人の白衣にも目を合わせず、ただうなだれて「すまない」と一言喋り、それからその姿勢のままゆっくりと語り始めた。&lt;BR&gt;<br> 「2年前、私の仕事の都合で遠出した時、シィラは交通事故に巻き込まれたんだ。意識ははっきりしていたが、場所が悪かったらしい、手足がほとんど麻痺してしまった。医師からこの世の終わりに等しい言葉を受けてうろたえる私に、シィラは弱弱しい声で君にこのことを教えないでくれと頼んだんだ。元々体が弱くて友達がいなかったこの子をずっと守るようにして側にいてくれた君のことだから、このことを知ったら自分の進みたい道すら捨てて駆けつけてしまうだろう、と」&lt;BR&gt;<br> 「それで、あんたは自分の立場と権限を使って全ての事実をオレから隠したってことか」&lt;BR&gt;<br> 「本当に、すまない。だが許してほしい。これはシィラの意思でもあったんだ」&lt;BR&gt;<br> 「……そういうことなら、いいんだ。続けてくれ」&lt;BR&gt;<br> 「それから私は、ずいぶんと悩んだ。どうにかしてシィラにもう一度自由に歩き回ってほしかった。もちろん、君と一緒に。そこで私は、かねてより研究中だった夢の共有計画に目をつけた。それからは、もう無我夢中で開発に没頭した。シィラを中枢としてシステムを構成し、AIとプレイヤーの容姿には君とシィラが昔描いていた落書きのキャラを使ったよ。モニターの選考で必ず君が選ばれるように細工もして、全てはうまくいくはずだった。シィラが再び君と一緒に歩き回り、笑ってくれればそれで終わりだったんだ。なのに……」&lt;BR&gt;<br>  そこで言葉が途切れ、彼は顔を両手で覆いそのままうずくまってしまった。他の白衣達が慌てて駆け寄り、声をかける。その光景とガラスの向こうで眠る少女を交互に見やり、オレは一人考えていた。&lt;BR&gt;<br> (あの世界で一緒にいたのは、シィラ、やっぱりキミだったんだな)&lt;BR&gt;<br>  薄々、思ってはいた。ただ夢の中だったというだけで気づくに至らなかった自分が恨めしい。&lt;BR&gt;<br> 「よし、今度こそ、キミを救い出してみせる」&lt;BR&gt;<br> 「待て!もう一度夢の中に入ったら、今度こそガーディアンに殺されてしまうぞ!」&lt;BR&gt;<br>  そんなの、知ったことか。&lt;BR&gt;<br> 「大丈夫、オレ、何か知らないけど自分で剣を出せて、紅い剣を持ったやつと対等に戦えたんだ。それに、向こうにはシィラもいるし」&lt;BR&gt;<br>  オレがそう言った瞬間、男の顔色が変わった。絶望という暗闇の中で、希望という輝く光を見つけた顔だった。一瞬考えるような仕草の後「いけるかもしれん」と小さく呟き、今度はしっかりとオレに目を合わせて言った。&lt;BR&gt;<br> 「夢というのは、結局はイメージの塊なんだ。夢を夢だと理解してしまえば、考えた通りに全てを動かせる。君が『紅剣』と渡り合えたのは、おそらくそういうことだろう。それで、その口ぶりからするとシィラに会ったのか?」&lt;BR&gt;<br> 「ああ、街で会って、それから外に出るまでずっと一緒に。でも、最後になって「ここから先は行けない」って言い出したから問い詰めようとしたら壁が出てきて…」&lt;BR&gt;<br>  まだ引っかかっている彼女の行動を思い出す。あの時、彼女は何故あんなことをしたのか。考えようとした瞬間、白衣の方から答えが返ってきた。&lt;BR&gt;<br> 「シィラが目覚めるということは、取り残された人々もろとも夢が消滅してしまうことを意味する。それを知っていて残ったのだろう。壁を出したということも、AIとシステムの制御権を奪い合っている状態だと考えれば説明できる」&lt;BR&gt;<br>  もう一度、隣で眠る少女の顔を見る。彼女はまだ戦っているのだ。&lt;BR&gt;<br>  オレは、叫んだ。&lt;BR&gt;<br> 「シィラを救い出す!だから、もう一度オレを夢の世界へ繋いでくれ!」&lt;BR&gt;<br> &lt;hr&gt;<br> &lt;font color=#333333&gt;2005/01/23(日) 02:23:52&lt;/font&gt;&lt;BR&gt;<br> &lt;BR&gt;<br> ~あとがき~&lt;BR&gt;<br> 出来心で書いた。反省はしているかどうか微妙。&lt;BR&gt;<br> ふと思いついたものを勢いに任せて一気に書いてます。おかげで推敲とかしてません。申し訳ない。&lt;BR&gt;<br> ちなみにこの後の展開も考えてるんですが、これ以上やると自分の力量ではまとめきれません・・・orz&lt;BR&gt;
NightmareCityの続編妄想です。まあ、独自の設定なので参考程度に<br> <br> 作:<b><font color="#008000">th</font></b><br> <hr> <font color="#333333">2005/01/23(日) 02:18:08</font><br> 「おい、目覚めた人がいたぞ!」<br> 「一体中で何があったんだ、教えてくれ!」<br> 「と、とにかく早くその装置から離れるんだ!」<br>  目を開けて最初に見たのは、ガラス越しに殺到する数人の白衣だった。オレはまだぼんやりしている意識の中、確かこいつらの指示でこの装置に入ったんだよな、と思い出す。<br> <br>  ――あれ、オレ、さっきまで、『あの街』にいたはずなのに。<br> <br>  ふと思った疑問を始点として、そこから先ほどまでの「夢のような」出来事の記憶が戻ってくる。街、トンネル、つり橋、紅い剣、傷、得た力、壁、彼女の涙。現実以上に鮮明で鮮やかな記憶が、それが幻でないことを物語る。そう、幻ではなかった。確かに自分と――彼女は、そこにいた。そのはずなのに。<br> 「所長! 彼です、この少年です!」<br>  いつの間にか数人の手によってカプセル型の装置から取り出されていたオレは、声に反応して首の向きを変えた。新しくなった視界の先にいたのは、やはり白衣をまとった中年――自分の両親と同じくらい――の男性だった。なにがあったらそうなるのか、顔には凄まじい疲労とこの世の終わりを見たような絶望の色が混ざり合って浮かんでいる。そのせいで、一瞬誰だか分からなかったほどだ。しかし、すぐに思い出す。忘れるはずがない。彼は、所長と呼ばれたこの男は、世界一大切な友人の、父なのだから。<br> <br> <br> 「2年ぶり、かな。君と直接会って話すのは」<br> 「そんなことはどうだっていい!教えてくれ、オレは、さっきまで何を…」<br>  数人の白衣と共に、オレ達は薄暗い廊下を歩いていた。今まで何が起こっていたのか、これから何が起こるのか、それらの不安は感情の波となってオレの心を刺激し、意識せぬまま隣を歩く男に叫んでいた。それを受けた彼は小声で一言「すまない」と言い、ややうなだれながらも続けて言葉を紡いでいった。<br> 「…簡単に話そう。さっきまで君が入っていたものは、いわば「夢の共有装置」だ。最初に一つの夢をコンピューターに取り込んで仮想空間内に固定し、そこへ他者の意識を接続、不特定多数の人間が同じ夢の中で行動することができるというものなんだ。最初の接続段階で君達被験者に詳細を説明しなかったのは、『夢を夢だと気づく』前と後で現実と仮想空間の違和感がどれ程変わるかを調査するためだったんだが…それが裏目に出てしまった。本当に、すまない」<br>  意外な事実を告げられて、オレはとっさに言葉を返すことができなかった。疲れきった顔で話す彼は、そんなオレの状態には気づかずにさらに話を続ける。<br> 「その夢の中には、複数のAIが常駐しているんだ。彼らは可能な限り人間に近づけられた思考と感情で被験者をサポートする案内人であると同時に、不法侵入者を仮想空間内で定義できる最大の能力を持って排除するガーディアンでもある。そして今、そのAIが反乱を起こし、仮想空間内を占拠している。こちらの世界から物質的に破壊しようとしても、仮想空間の根幹はコンピューターではなく人間の見ている夢の方にあるからそれは不可能。仮にできたとしても、それではまだ接続中の被験者達の意識が永久に戻ってこない可能性が高い。そんなわけで途方に暮れているというのが、私達の現状だ」<br>  一通りの話が終わり、沈黙が流れる。唯一聞こえる皆の足音が、破滅へのカウントダウンのようだ。<br> 「…ちょっと、聞きたいことがある」<br>  必死に事態を把握しようとしていたオレは、唐突に「そのこと」に気づいた。<br> 「オレは目覚めたけど、残された人がいるってことはその夢はまだ続いてるんだよな。じゃあ、その『夢を見ている人』は誰なんだ?」<br>  大元の夢を見ている人物がいるならば、その人にも夢の世界の制御権がいくつかあっていいはずだ。希望の光が見出せるかもしれないオレの問いに対して隣を歩く白衣が用意した回答は、予想外のものだった。<br> <hr> <font color="#333333">2005/01/23(日) 02:19:04</font><br> <br> 「その人物なら、この中にいる…」<br>  彼が示したのは、通路の突き当たりにあるドアだった。取り付けられているプレートには「最重要機密云々」の文字がある。<br>  何の理由も無く、嫌な予感がした。ノブにかけた手にうまく力が入らない。それでも、待ち構える絶望の恐怖を無理矢理に押さえ込み、一握りの希望を求めてドアを開けた。そして、見た。<br>  無数の計器に囲まれたカプセルを。<br>  その中に眠る人間の姿を。<br>  手足に繋がれたケーブルがまるで斬新なデザインのドレスのようで。<br>  叩いたら折れるんじゃないかと思う華奢な体つきは相変わらずで。<br>  端麗な顔立ちに、桃色の髪がよく合っていて。<br> 「まさか、シィラ…なの……か…?」<br> 「そうだ。シィラが、私の娘が、大元の夢を見ている」<br>  幼馴染の変わり果てた姿に、オレは動揺を隠せなかった。全てが、分からなかった。理解できなかった。受け入れたくなかった。必死で平静を取り繕い、可能な限り冷めた声で問う。<br> 「これは、どういうことなんだ。あんた達が急に引っ越して連絡が取れなくなった2年前に、何があったんだ…!」<br>  部屋の中に入らず扉の近くにいた男は、オレにもここまで一緒に来た数人の白衣にも目を合わせず、ただうなだれて「すまない」と一言喋り、それからその姿勢のままゆっくりと語り始めた。<br> 「2年前、私の仕事の都合で遠出した時、シィラは交通事故に巻き込まれたんだ。意識ははっきりしていたが、場所が悪かったらしい、手足がほとんど麻痺してしまった。医師からこの世の終わりに等しい言葉を受けてうろたえる私に、シィラは弱弱しい声で君にこのことを教えないでくれと頼んだんだ。元々体が弱くて友達がいなかったこの子をずっと守るようにして側にいてくれた君のことだから、このことを知ったら自分の進みたい道すら捨てて駆けつけてしまうだろう、と」<br> 「それで、あんたは自分の立場と権限を使って全ての事実をオレから隠したってことか」<br> 「本当に、すまない。だが許してほしい。これはシィラの意思でもあったんだ」<br> 「……そういうことなら、いいんだ。続けてくれ」<br> 「それから私は、ずいぶんと悩んだ。どうにかしてシィラにもう一度自由に歩き回ってほしかった。もちろん、君と一緒に。そこで私は、かねてより研究中だった夢の共有計画に目をつけた。それからは、もう無我夢中で開発に没頭した。シィラを中枢としてシステムを構成し、AIとプレイヤーの容姿には君とシィラが昔描いていた落書きのキャラを使ったよ。モニターの選考で必ず君が選ばれるように細工もして、全てはうまくいくはずだった。シィラが再び君と一緒に歩き回り、笑ってくれればそれで終わりだったんだ。なのに……」<br>  そこで言葉が途切れ、彼は顔を両手で覆いそのままうずくまってしまった。他の白衣達が慌てて駆け寄り、声をかける。その光景とガラスの向こうで眠る少女を交互に見やり、オレは一人考えていた。<br> (あの世界で一緒にいたのは、シィラ、やっぱりキミだったんだな)<br>  薄々、思ってはいた。ただ夢の中だったというだけで気づくに至らなかった自分が恨めしい。<br> 「よし、今度こそ、キミを救い出してみせる」<br> 「待て!もう一度夢の中に入ったら、今度こそガーディアンに殺されてしまうぞ!」<br>  そんなの、知ったことか。<br> 「大丈夫、オレ、何か知らないけど自分で剣を出せて、紅い剣を持ったやつと対等に戦えたんだ。それに、向こうにはシィラもいるし」<br>  オレがそう言った瞬間、男の顔色が変わった。絶望という暗闇の中で、希望という輝く光を見つけた顔だった。一瞬考えるような仕草の後「いけるかもしれん」と小さく呟き、今度はしっかりとオレに目を合わせて言った。<br> 「夢というのは、結局はイメージの塊なんだ。夢を夢だと理解してしまえば、考えた通りに全てを動かせる。君が『紅剣』と渡り合えたのは、おそらくそういうことだろう。それで、その口ぶりからするとシィラに会ったのか?」<br> 「ああ、街で会って、それから外に出るまでずっと一緒に。でも、最後になって「ここから先は行けない」って言い出したから問い詰めようとしたら壁が出てきて…」<br>  まだ引っかかっている彼女の行動を思い出す。あの時、彼女は何故あんなことをしたのか。考えようとした瞬間、白衣の方から答えが返ってきた。<br> 「シィラが目覚めるということは、取り残された人々もろとも夢が消滅してしまうことを意味する。それを知っていて残ったのだろう。壁を出したということも、AIとシステムの制御権を奪い合っている状態だと考えれば説明できる」<br>  もう一度、隣で眠る少女の顔を見る。彼女はまだ戦っているのだ。<br>  オレは、叫んだ。<br> 「シィラを救い出す!だから、もう一度オレを夢の世界へ繋いでくれ!」<br> <hr> <font color="#333333">2005/01/23(日) 02:23:52</font><br> <br> ~あとがき~<br> 出来心で書いた。反省はしているかどうか微妙。<br> ふと思いついたものを勢いに任せて一気に書いてます。おかげで推敲とかしてません。申し訳ない。<br> ちなみにこの後の展開も考えてるんですが、これ以上やると自分の力量ではまとめきれません・・・orz<br>

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