運命の夜 ◆7RGbmc1fRg
『おめでとう、君たちは選ばれた。この栄えある“聖杯戦争”に。』
――広い、荘厳な礼拝堂に声が響く。
肩に掛かる、空気が重くなるような威圧感を放つその声を多くの者は知らない。
だが彼の声を知る、知らぬに関わらず、その場にいた全員が抱く疑問は同じ。
肩に掛かる、空気が重くなるような威圧感を放つその声を多くの者は知らない。
だが彼の声を知る、知らぬに関わらず、その場にいた全員が抱く疑問は同じ。
――いつ、どうやって、なぜここに連れてこられた?
――そして選ばれたとは、聖杯戦争とは如何なる意味なのだと。
疑問を投げ返そうにも声の主は見えない。
姿はなく、声だけが礼拝堂に響いていた。
姿はなく、声だけが礼拝堂に響いていた。
『知っている者もいるだろうが、知らぬ者が大多数だろう。端的に説明する。
手にした者の願いを叶えるという聖杯。25人のマスターが、25人の下僕を用いて繰り広げる争奪戦。
その参加者たる資格が、君たちにはある。その証拠が君たちの首の部分に宿った聖痕だ。
マスターは赤、下僕には青の聖痕がそれぞれ宿っているはずだ。』
手にした者の願いを叶えるという聖杯。25人のマスターが、25人の下僕を用いて繰り広げる争奪戦。
その参加者たる資格が、君たちにはある。その証拠が君たちの首の部分に宿った聖痕だ。
マスターは赤、下僕には青の聖痕がそれぞれ宿っているはずだ。』
多くの者が首元に触れ、隣に立つ主へ、従者へと視線を飛ばす。
確かにそれぞれの首のあたりに赤と青の、色違いの痣のようなものがある。
だがそれは聖痕と言うよりも、呪印や呪縛の類いに見えた。
確かにそれぞれの首のあたりに赤と青の、色違いの痣のようなものがある。
だがそれは聖痕と言うよりも、呪印や呪縛の類いに見えた。
『そして君達は下僕と共に、自らが聖杯に相応しい事を証明しなければならない。
つまり、マスターとなった者は他の組を全て消去し、自身こそ最強だと示さなければならないのだ。
この地に起きる儀式は、その名に恥じない“殺し合い”といえるだろう。』
つまり、マスターとなった者は他の組を全て消去し、自身こそ最強だと示さなければならないのだ。
この地に起きる儀式は、その名に恥じない“殺し合い”といえるだろう。』
“殺し合い”その言葉に礼拝堂の一部ではざわめきが起きる。
だがそれはほんの一部にしか過ぎない。
だがそれはほんの一部にしか過ぎない。
興味深そうに声の主に耳を傾ける者。
すがりつく主を守るように抱きしめる者。
殺気を隠そうともせず、今にも怒りを爆発させそうな者。
すぐさま戦闘態勢を取り、周囲を警戒する者。
すがりつく主を守るように抱きしめる者。
殺気を隠そうともせず、今にも怒りを爆発させそうな者。
すぐさま戦闘態勢を取り、周囲を警戒する者。
女、子供、老人。統一感のない参加者たちに共通することはひとつ。
“自らの側にある、この御方を守らなくては”という明確なる意思。
『辞退は許されない。マスターとはある種与えられた試練だ。
都合が悪いからといって放棄することはできん。
もしマスターを辞めたいと言うのであれば、聖杯を手に入れ己が望みを叶えるより他はない。
聖杯は万能の願望機だ。その裡(うち)に溜まった泥を掻き出すことも、全てをやり直す事とて可能だろう。
故に望むがいい。もしその時が来るのなら、君たちは聖杯に選ばれた幸運に感謝するのだからな。』
都合が悪いからといって放棄することはできん。
もしマスターを辞めたいと言うのであれば、聖杯を手に入れ己が望みを叶えるより他はない。
聖杯は万能の願望機だ。その裡(うち)に溜まった泥を掻き出すことも、全てをやり直す事とて可能だろう。
故に望むがいい。もしその時が来るのなら、君たちは聖杯に選ばれた幸運に感謝するのだからな。』
伝えられる言葉はまるで要領を得ない。
それは聞けば聞くほどに彼らを混乱させるのもの。
それは聞けば聞くほどに彼らを混乱させるのもの。
……にも関わらず、その声は厭に胸に浸透し、どろりと、血のように粘りつく。
『仮にマスター、もしくは下僕を失ったとしても、聖杯を手にする資格を失ったことにはならない。
その場合は新たなマスター、下僕と契約すれば再び戦いに復帰することも可能となっている。
だが先程話した通り、聖杯戦争とはマスターが下僕を率いて行うものだ。
マスター、下僕を失ったままでいる者はある程度のペナルティを受けることを覚悟してほしい。
命が惜しくないというのであれば別だが、そうでないのならば速やかに再契約を済ませることだ。
契約については口頭で、互いの同意さえあれば良い簡単なものになっている。なにも難しいことはない。』
その場合は新たなマスター、下僕と契約すれば再び戦いに復帰することも可能となっている。
だが先程話した通り、聖杯戦争とはマスターが下僕を率いて行うものだ。
マスター、下僕を失ったままでいる者はある程度のペナルティを受けることを覚悟してほしい。
命が惜しくないというのであれば別だが、そうでないのならば速やかに再契約を済ませることだ。
契約については口頭で、互いの同意さえあれば良い簡単なものになっている。なにも難しいことはない。』
『また6時間毎に、こちらから脱落者と進入禁止エリアの情報を伝える。
残った人数が少なくなれば、他のマスターと出くわしにくくなるための配慮だ。
禁止エリアに進入した際にももちろんペナルティがある。
それがどんなものかは私も知る由はないが、禁止エリアには近づかないことが賢明だろうな。
加えて君たちに必要なものはこちらから別途支給させてもらう。
内容はランダムだが、それも聖杯の導きだ。』
残った人数が少なくなれば、他のマスターと出くわしにくくなるための配慮だ。
禁止エリアに進入した際にももちろんペナルティがある。
それがどんなものかは私も知る由はないが、禁止エリアには近づかないことが賢明だろうな。
加えて君たちに必要なものはこちらから別途支給させてもらう。
内容はランダムだが、それも聖杯の導きだ。』
『聖杯戦争はこれより始まる。各々が自身の誇りに従い、存分に殺し合え』
重苦しく、彼の者の声が礼拝堂に響いた。
その宣言に意味などない。
その声はただ、始まりの鐘を鳴らしたにすぎない。
その宣言に意味などない。
その声はただ、始まりの鐘を鳴らしたにすぎない。
明確に実現する願いは世界にただ一つ。
各々(ひとびと)の願いは、たとえ同じ思想で出来たものでも食い違う。
故に、彼らは競い合い、奪い合い、殺し合う。
万能の願望機は、ただ一人の勝者にのみ与えられる。
各々(ひとびと)の願いは、たとえ同じ思想で出来たものでも食い違う。
故に、彼らは競い合い、奪い合い、殺し合う。
万能の願望機は、ただ一人の勝者にのみ与えられる。
―――今、運命が回り始めた。
【全25組 残り40人】
【監督役 言峰綺礼】
【監督役 言峰綺礼】
※言峰が主催者であるかどうかは不明です。また声は言峰ですが、それが言峰本人のものなのかは不明です。