――the code geass ◆Wott.eaRjU
此処は――ブレンヒルトが先ず思った疑問はそれだった。
最後の記憶は周囲が爆煙に包まれたビジョンで終わった。
次第に意識が戻り始め、自分の居る場所の検討がついた。
ああ、そうだ。自分は戦っていたんだ。
そう思えば悠長に構えてはいられなかった。
自分と戦っていたあいつは? ナナリーは無事に逃げだせたのか?
首筋に何か、人肌の感触に近いものを感じたがそれよりもナナリーの方だ。
ざっと見てみる。居ない。視覚の範囲ではナナリーの姿はない。
だが、聞き慣れない音はしっかりと聞こえていた。
なんだろうか――思うと同時にブレンヒルトは顔を上げた。
そこには禍々しい六つの瞳を持った顔があった
今にも崩れ落ちそうな程にボロボロな躯体が嫌に眼につく。
だが、一番ブレンヒルトの目を引いたのは別の部分だ。
自分の方へ、しっかりと伸ばされた腕がどうにも気になった。
しかし、その腕はあっけなく四散する。
見覚えのある――自分と戦っていた敵が使用していた武器だ。
ならば、この異形は何なのか?
何故、自分の敵と戦っているのか? ナナリーはどうした?
そもそも自分の後ろに居る人間は――空いた口が塞がらなかった。
向こうはどうやら異形に気を取られ過ぎているようだが、しっかりと確認出来た。
園崎詩音。ナナリーと共に逃がした彼女がどうして此処に?
それにこの状況も異常だ。これでは詩音が自分を盾にしているようなものだ。
まさか裏切り――案外とそれなりの答えを考えてしまった自分に嫌気を覚える。
兎に角、判らない事が多すぎる。
自分の味方は、守るべき存在は、守ろうと誓った存在は――どこに居る。
考えるだけの時間が欲しい。
ナナリーは、ナナリーはどこに――彼女の声が聞こえれば少しは安心出来そうな気すらもする。
碌に異形に対し視線も合わさず、異形に意思があるのかどうかすらも考えずに。
ブレンヒルトは只、守るべき存在であるナナリーの存在を捜し続ける
だが、ブレンヒルトは一つの声を聞く。
『私はお前の騎士だ! お前は――私が守ってみせる、ナナリー!!』
思わず前を見る。
確かにその声は、ナナリーと叫んだ声は目の前の異形から聞こえた。
まさかそんな訳が――否定の言葉が出てこない。
何故なら目の前でその証拠ともいうべき現象が起きたのだから。
一段と此方に迫ってきたように見えた異形の脚部は最早原形を留めていない。
ブレンヒルトの方へ崩れ落ちるよう倒れ、更に異形の中から何かが飛び出す。
見間違える筈もない。それは小柄な少女、守ると誓った存在。
ナナリーの姿が確かにそこにあり、後方には――バズーカの砲弾があった。
そしてナナリーの身体に吸い込まれるように、それがぶつかる。
「ナナリイイイイイイイイイイイイッ!!」
絶叫。
無我夢中に詩音を振り払い、ブレンヒルトが飛びつく。
避けられる筈もなかった。
何も言葉を発さないナナリーの身体をしっかりと抱く。
熱い――受け入れたくはなかった事態が本当に現実だと判って悲しかった。
更にブレンヒルトは咄嗟に周囲の存在へ一瞥をやった。
漸く呑み込めたこの状況。
今までナナリーを殺そうとしていた奴ら――
ミュウツー、ラッド、そして詩音の存在をしっかりと頭に叩き込む。
反撃のためにもARMSを展開しようとするが思いとどまる。
そんな事をしている場合じゃない。
今は一刻も早くこの子をどうにかしないといけない。
「ブ……ブレ……ン…………ヒルト…………さ……ん……」
漸く口に出すことが出来た言葉。
あまりにもか細いナナリーの声が、結果としてブレンヒルトを加速させる。
そう。ブレンヒルトは只、この場からの離脱を選択した。
◇ ◇ ◇
「あーあ……逃げられちまったなぁ」
バズーカを戻し、ラッドが残念そうに呟く。
ラッドを含め、三人が何故ブレンヒルト達を追っていないのかには理由がある。
それは情報の欠如、彼ら三人は当然マークネモに掛けられた制限は知らない。
先程の崩壊が制限時間によるものだとは露知らず、今後暫くはマークネモが使えない事も知るわけがない。
よって彼らはマークネモの異常な力も見越し、無理な追撃は不要と考えていた。
偶然にも三人が同じ思考に至ったのはやはりマークネモの力のせいだろう。
しかし、得物をみすみすと逃がしたというのにラッドの表情にそれ程の落胆はなかった。
「まあ――確かに当てたからどうせおっ死んでるだろ。
あのヘンテコロボットが使い物になったのかはわかんねぇけどな」
何も仕留められなかったわけではない。
恐らくあの少女の命はもう永くはない。
見たところあのロボットに関連があるようではあったが、それくらいだろう。
特に身体を弄っていなければ十分に致命傷だ。
それこそたとえば不死者という存在なら――生きのびているかもしれないが。
まあ、そんな事はもうどうでもいい。
ブレンヒルトと呼ばれていたプラチナブロンドも次の機会にでも殺ってやる。
但し、絶対に殺す――という条件つきだが。
それよりもだ。とっておきの御馳走にでも手をつけておこうか――、とラッドは後ろを振り向いた。
「あん? なんだ、もう居なくなっちまったか……せっかちでやんの。
じゃあ嬢ちゃん、ちょっくら俺と殺し合いでもやるか?」
しかし、既にミュウツーの姿は居ない。
今になってブレンヒルトを追っていたのだろうか。
それもあるかもしれないが、ブレンヒルトが向かった先には施設が集中している。
人が集まりそうな地帯、ブレンヒルトを仕留められずとも他の参加者をやるには困らない場所だろう。
何やら入り組んだ理由があるようだがラッドは特に興味を示そうとはしない。
只、ミュウツーが最後まで残ってくれていればそれで良い。
最後の最後であいつを殺すのは自分なのだから。
気持ちを切り替えて、ラッドはこの場に残ったもう一人の人間に声を掛ける。
言うまでもない。
いきなり意識を取り戻し、ブレンヒルトから強力な肘鉄を貰い、今までむせ返っていた詩音だ。
「わ、私は……」
意識していないのかもしれない。
自然と詩音は後ずさりしながら、ラッドに返事をする。
あくまでも冷静さを保ち、ラッド独特のペースに飲み込まれない様に、と。
対するラッドもそんな詩音の様子を見逃す筈もない。
心なしかニヤけ顔さえ浮かべている節もある。
「おいおいおい、冗談だっつーの。実のところ俺は嬢ちゃんのコト嫌いじゃないぜ」
詩音は思わず耳を疑った。
意図が全くと言っていい程に理解出来ない。
この男は一体何を考えているのか。
理解する事にさえ一種の嫌悪感のようなものが詩音を襲う。
自分とは違う、あまりにも異質な存在に対して。
“狂人”の思考は詩音の常識からはあまりにもかけ離れた代物なのだから。
「嬢ちゃんは人質を使っただろ? 汚ねぇよなぁ……どっかのチンケな悪党がやるようなもんだろ?
あんまり尊敬されるようなやり方じゃねーよなー?
少なくともハイスクールのセンセやポリ公の方々にはお叱りを喰らうやり口だ。
だが、俺はそんな嬢ちゃんの行動にピンときた。
ああ、こいつは良いなぁ。実に人間やってんなぁ……ってよ!」
一息。
まだまだ続きそうな気配。
喰い射るように見つめるラッドの両眼の奥には、愉快さが確かにあった。
ラッドと二人きりの状況が詩音の神経を必要以上に尖らせる。
今すぐにでも逃げだしたい気持ちに駆られるが、どうにも出来ない。
何故なら、きっとラッドは許してくれない――漠然ではあったが詩音はそんな事を思っていた。
「人質を使っちまうぐらいに、嬢ちゃんはこの状況から生き延びたい。
相手の事を考えろ? 人殺しは良くない? 復讐は良くない? きっとどんなヤツとも分かり合える――綺麗事だろ、んなコトは。
そんなモンは豚の餌にでもぶっ掛けて、ブヒブヒ言ってやがるバカどもに食わせちまえ。
だが、嬢ちゃんはそんなクソのような綺麗事に囚われてねぇ。
只、自分は死にたくない。その一心だけで嬢ちゃんは簡単に他人を切り捨てられる。
誰だって死にたくはねぇよな。悪くねぇ、悪くねぇ……好きだぜ俺はさぁ、そんな自分勝手な野郎どもがよぉ!
なんせ俺も好き放題やってるからなぁ。やっぱ似てるヤツは似てるヤツ同士引かれ合うんじゃね?
んん? これって運命っヤツか。違いねぇ……ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
ラッドのテンションが次第に上がっていく。
詩音は露骨に不快そうな顔しているが気づいていないのかもしれない。
只、ラッドは自分の世界に己を沈めているだけだ。
幼い頃に、ふとした切っ掛けで歪んだ人間性が顔を見せる。
「嬢ちゃんは自分が絶対に死なない……とは思ってねぇからこそ、そこまで正直に生きている。
だったら俺は自分から嬢ちゃんを殺したりはしねぇ。こんな俺でも生きる事に必死なヤツは尊敬に値すると思っている。
大体、そんなヤツ殺しても面白くもなんともねぇ……温いヤツら、自分は死なねぇと思ってるヤツが一番だ」
詩音は未だに安心出来ない。
もしかしたら今、ラッドが言っていることは全てが嘘っぱちなのかもしれない。
油断したところを一瞬で――有り得そうな話だ。
まるで掴みどころないラッドの性格から次に出てくる行動が予想し辛い。
しかし、詩音の予想を逸し、ラッドは歩き始める。
「だからさぁ、まあ、頑張ってくれよ嬢ちゃんもよぉ。運が良かったらまた会おうや。
そん時はなんかプレゼントでも交換して、可笑しく楽しく……このおもしれぇ世界についてでも語り明かすか。
なぁ、良い考えだと思わねぇか、嬢ちゃん。いや――」
一歩一歩、詩音の前を横切るようにラッドが進む。
目の前の端を渡るつもりなのだろう。
ブレンヒルトやミュウツーの後を追うのかどうかは定かではないが。
必死に視線を逸らそうとする詩音に対しラッドは逆の事をしている。
敢えて一直線に合うように、わざわざ俯いていた詩音の顔を覗き込んで――
笑ってやった。
「この“卑怯者”が。また会えるのを楽しみにしておくぜ」
最大限の侮蔑と、そして感嘆の意を乱暴に込めて、ラッドがそう言い放つ。
無意識的に顔を逸らし、詩音は直ぐには顔を上げられない。
今、顔を上げてしまってはラッドを直視する事になる。
それだけは嫌だった。ラッドの顔を見るだけで、言いようのない恐れを感じていた。
このままでは自分自身が何処かへいってしまいそうでどうしようもなく怖かった。
やがて数分が経っただろうか。
詩音は恐る恐る顔を上げて、周囲を確認する。
誰も居ない。ラッドは、もう――居ない。
そう思うだけで詩音は心底、心が和らいだような心地がした。
休もう。兎に角、今はどこかで休もう。
只、一時にしかならないかもしれない安息を求めて、詩音も歩き出した。
◇ ◇ ◇
逃がしたか。
ブレンヒルトを追い、疾走を続けていた途中ミュウツーはその考えに至った。
ナナリーの絶命の瞬間は確認していない。
あのマークネモと呼ばれたロボットがまた出てこないとは限らない。
故に追撃は一種の賭けだ。
だが、ブレンヒルトは負傷していたにも関わらず彼女は自分を振り切った。
ARMSコアによる、自己治癒力の異常な活性化だとはミュウツーに知る由もない。
重要なのは事実のみ。只、自分は獲物を逃がしたのだとミュウツーは悟り、やがて立ち止まった。
これからどうするか。少し考えてみる必要がありそうだから。
「……ヤツは追ってこないか。好都合だな」
チラリと後方を見やる。
ラッドは追ってこない。あの園崎詩音という少女もだ。
二人とも基本的にはこの殺し合いには乗っているようだった。
参加者の減少という目的のためにはどちらも早々に脱落しては惜しい。
共に残った二人で殺し合っていなければいいが。
そう思いながら、片手に握っていたスプーンを消失。
無駄な力の消費を抑え、代わりにデイバックからV-Swを取り出す。
備えあれば憂いはない。
力をじこさいせいの方に回しながら周囲を警戒する。
『デバンナカッタ』
その時、V-Swのコンソールが文字を映し出す。
やはり意思があるのは確からしい。
文面からして少し機嫌が悪くなったのだろうか。
内容が当たっているだけに碌は反論は出来ない。
マニュアルが正しいのであれば このV-Swは様々な形態を持ち、かなり強力な武器だと言える。
しかし、ミュウツーにとってはV-Swはおろか概念兵器すらにも縁がない。
しくじれば命を落とす戦いで、言い方は悪いが得体の知れない武器を使うのには少し抵抗があった。
だが、ミュウツーはその旨をV-Swに伝えない。
只、じっとミュウツーは暫しコンソールを眺め続ける。
(……それで良かったんじゃないか)
『ソウ?』
(ああ。きっとな)
以前やったように、テレパシーによるV-Swとの会話。
何故だろうか。ミュウツー自身にも良くわからなかった。
何故か、V-Swを戦いから遠ざけるような意思を飛ばした自分が理解出来ない。
余裕があるわけではない。
ラッドを助けたのも、他の参加者を襲って貰いたかったためだ。
恐らく自分は――同情しているのかもしれない。
只、この場では支給品という名目で参加者に使われるだけのV-Sw。
それもハッキリとした意思を持ったままだ。
V-Swの意思とは関係なく、武器として奮われ、参加者の鮮血を浴びることとなる。
いつ起こっても可笑しくはない。
それ以前にミュウツー自身が最もそうさせる可能性がある。
ポケモンの生体兵器への転用。
ロケット団が進めたプロジェクトにより生み出されたミュウツーだからこそV-Swに複雑な感情を抱く
自分だけの目的にV-Swを付き合わせているこの現状が。
ミュウツーにとってはどうにも気がかりではあった。
だが、そんな時、ミュウツーの脳裏で声が響く。
『だが……今、わかった……某の聖上を守ろうとする、この意志こそが……我が刃なのだと』
いつか聞いた女の声。
ハッキリと思い返せる。
エヴェングルガの剣士、
トウカの声。
自分が確かに殺した、女の声がミュウツーを思い出す。
『だから……某は、振るおう……我が刃を。
聖上の命を奪おうとする、貴様に……!』
そうだ。
自分はトウカから自分と同じ匂いを感じた。
守るべき主のためにはこの身はどこまでも戦える。
トウカの場合は
ハクオロという男、自分の場合は造物主であるマスター。
たったそれだけの違いだった。
大した違いはない――只、負けたくはないと願った末の結果だった。
只、マスターを死なせたくはない一心で。
ならば自分は迷っていられるのだろうか。
既にトウカの忠義を力づくで潰した自分が、たった一本の剣を好き勝手に使う無神経さに。
較べる事はしたくはない。
だが、それでもだ。
今、目の前にあるV-Swよりも――大きかった。
エヴェンクルガのトウカという名の剣は、どうしようもなく大きく、そして重たかった。
背負った信念、自分に劣る筈もない忠義は――決して生半可な覚悟で侵してはならなかった。
しかし、自分はやった。やってしまった。
後悔は――なかった。
マスターを救うには必要だと思ったのだから。
そしてその想いは今も変わらない。
ブレンヒルトを戦い、ラッドの提案にも乗り、今もブレンヒルトとナナリーの追撃に出ている今も――変わらない。
だからやらなければならない。
どんなに心を痛めようとも、身体を失おうとも。
絶対に。決して迷うことなく、絶対に。
『ジャア、ガンバロウ』
コンソールが新しい文字を浮かばせた。
頷いて見せた。それだけでは意思は伝わらない事はわかっている。
だから送って見せた。
V-Swに、もう、使う事を躊躇ないと決めた仮初の相棒に対して。
(……ああ、頑張ろう)
マスターを救い出す。
たった一つの望みを誰に言う事もなく、只、ミュウツーは歩き続ける。
◇ ◇ ◇
何も見えない。
変わらない。
元々、私は盲目だったのだから。
その事については特に何も言う事はなかった。
だけど、伝わってきた。
必死な想い、私はを運んでいる人から――きっとブレンヒルトさん。
良かった。間に合ったんだ、と少し嬉しくなってくる。
あの時、マークネモが崩壊を終える瞬間、自分は真っ直ぐに手を伸ばした。
マークネモの腕じゃない。
私の腕。か細くて、スザクさんから見ればまるで小枝のような腕で。
ブレンヒルトさんの方へ手を伸ばした。
届かないと思った。
だって、直ぐ後ろから何かが迫っていたから。
どうせ、自分には無理なんだ。
そんな風に諦めてしまえば、少しだけ気が軽くなった感じがした。
でも、それは一瞬だけ。
私は伸ばし続けた、諦めたくはなかったから。
優しいルルーシュお兄様。
ギアスにより、無残に死んでいく光景を観てしまった。
そんなことはない。そう思っていたし、ずっと信じていた。
だけど、もう、私には時間がない。
確かめられる程の、あの時観た未来を変える時間も――きっと私にはない。
悲しいなぁ。
頬に涙が零れたのを感じた。
どんな顔をしているのだろう、と思っても私の眼が光を映す事はない。
こんな時ぐらい、少しだけでもいいのに。
思わず愚痴を漏らしたかった。
でも、悲しい事だけじゃなかった。
私が今置かれている状況。
ブレンヒルトさんに抱かれて、何処かへ向かっている。
風が私の身体を切りつける感触で判った。
そう。その風がとても気持ち良かった。
力一杯、同年代のみんながやるように走ればきっと味わえる感覚。
車椅子を使う私には、酷く懐かしい心地の良さがあった。
もっと、もっと、もっと速く走って――喜びすらもあった。
実際に走っているのは私じゃない。ブレンヒルトさんだ。
だけど、自分が走っているんだ、と思えばなんだか嬉しかった。
またあの日のように、お兄様とスザクさんと私で遊んだあの日のように。
これが、本当の私の身体なんだ――そう信じれば、少し気が楽になった。
さっきの諦めとは違う。
本当に、本当にそう思えるだけで救われる気がした。
でも、やっぱり一番嬉しかったコトはそれじゃなかった。
何より嬉しかったのはブレンヒルトさんが、今、こうして元気な姿で居てくれている事。
どんな顔をしているのかは見えないけども、ブレンヒルトさんが生きていてくれて本当に良かった。
最初に出会った時は変わった人だと思った。
守らせなさい――唐突だった。
同時に嬉しかった。
目も見えず、車いすを引いている自分なんか足手まといにしかならない。
それに此処は殺し合いの会場。
見て見ぬ振りさえすれば、ブレンヒルトさんが危険に晒される事もなかったかもしれない。
メリットなんかない。
マークネモの力を知らなかったブレンヒルトさんが私を守ってくれる理由なんかなかった。
だけど、ブレンヒルトさんは見捨てなかった。
学園のあの子達とは違った。
単に世話好きなのだろうか――それでも嬉しい事には変わりはない。
まるで年が離れた友達のように。
生徒会の皆さんや、同じクラスの、そして一番の友達であるアリスちゃんと同じように。
ブレンヒルトさんは私の事を気に留めてくれた。
だから、私は出来た。
ギアスで呼んだ未来を覆す為にも
私はネモを振り切って――手を伸ばせた。
ブレンヒルトさんを死なせたくはない。
そう思えるだけで全身から力が湧き、そして今となっては何処かへ消えていった。
でも、もう十分だ。
十分やれた。
頑張れた。
私でも頑張れたから――少し眠ろうと思う。
『ナナリー!? 返事を……返事をしなさい、ナナリー!?』
ブレンヒルトさんが耳元で何か言っている。
ごめんなさい。
今はもう、言葉を返す元気がないの。
絶対に、また目が覚めたら聴きますから。
だから、今だけは寝かせてください。
また起きた時に、また会う時に、また言葉を交わせる時に。
今度こそ、私の眼がブレンヒルトさんを映せた時に。
一杯、笑い合いましょう。
そうだ。
今度、今度出会ったら、一緒に鶴を折りたいな。
知ってますか。
千羽折るとこの世界が平和になるんですよ。
素敵な話ですよね。
うん、本当かどうかは私にもわからないですけどね。
でも、でも……信じたいじゃないですか。
これぐらいはきっと良いと思うんです。
これぐらいの夢は見ても、神様はきっと笑って許してくれるって……そう思いませんか。
私は信じたい。
きっとこんな世界でも、優しい場所はあると思うから。
お兄様のように、優しい世界を望んでいる人たちはきっと居ると思うから。
だから、私は折ってみたいです。
千羽よりももっと、それこそ気が遠くなる程一杯の鶴を。
この世界から憎しみが消えるまで、私やお兄様のような人たちがこれ以上出ない様に。
ずっと、その時までずっと折り続けたいなぁ……。
ブレンヒルトさん、約束ですよ。
いつか、私と鶴を折りましょう。
出来れば……ずっと後で、ブレンヒルトさんがおばあさんになった後で。
待っていますから、私。
きっと、折りましょう。
だから、取り敢えずはこの言葉で締めくくります。
さようなら……ブレンヒルトさん。
――また、いつかどこで会いましょう
◇ ◇ ◇
「ナナリー……?」
ブレンヒルトが声を漏らす。
その声に返ってくるものは何一つない。
認めたくはない。自分が今、抱き抱えているナナリーからは何も返事がない事に。
心なしか冷たくなってきたとすらも感じる。
ナナリーの身体をそっと降ろして、彼女の手首に己の腕を当て、続けて胸の方にも伸ばす。
聞こえて欲しいものは――聞こえてこない。
最早、認めるしかなかった。
ナナリー・ランぺルージは今この瞬間、何処にも居なくなった事を。
「そんな……確かにさっきまで、生きていたのに…………そんな………………」
確かにナナリーはラッドのバズーカの直撃を受けたもの未だ命はあった。
しかし、それはナナリーに支給された品、アヴァロンによるお陰だ。
受けたダメージのワンランクの軽減、ある程度の防御力の上昇。
生身での身体能力が極端に低いナナリーにうってつけの宝具と言えるだろう。
だが、魔力を持たないナナリーではアヴァロンの本来の力を引き出すことは出来ない。
辛うじて死にづらくはなったものの、命を落とすことまでは止められはしなかった。
そしてブレンヒルトが悲しみに明け暮れる中、新たに顔を出したものが居た。
不格好な人形だ。
ドーム状の頭部の前面には、真紅の奇妙な紋章がある。
真っ白な、だがそれでいて全身ボロボロな人形がブレンヒルトに言葉を飛ばす。
「お前は……?」
「心外だな、ずっと一緒に居たというのに。まあ、お前が知るわけもないか」
ブレンヒルトは気を引き締める。
参加者ではなさそうだが油断は出来ない。
いつでも戦えるように臨戦態勢へ。
しかし、未だブレンヒルトはショックから抜けきっていないようだ。
どこかせわしない様子で、目の前の異形と対峙する。
「私は魔導器ネモ。そして――お前に殺された、ナナリーとずっと共に居た者だ」
そうしている間にそいつは――ネモの原型といえる存在は言い放つ。
強い意志が籠った言葉からは、底深い怒りを感じる。
一方、ブレンヒルトは唖然とした表情でネモの言葉を聞いている。
「私がナナリーを殺した……ですって……?」
「ああ、そうだ。お前だ……お前さえ居なければ!」
状況が飲み込めない。
このネモという存在は何を言っているのだろう。
ブレンヒルトは先ずそう思った。
何故なら、自分はナナリーを守る側の人間であった筈だ。
「お前の存在があったせいでマークネモは全力が出せなかった。
お前がみすみすと園崎詩音に捕まらなければ……あんな戦いはなかった筈だ!」
「それは……」
只、感情のままにネモが責め立てる。
ブレンヒルトは碌な反論が出来ない。
確かに自分の力が及ばなかった。
最初の戦いでラッドからの奇襲を避けて、あの二人を退けていれば。
詩音の危険性には気付けなかったものの、今よりは良い状況だったかもしれない。
自分のせいで――ネモの言葉が重くのしかかる。
「反論出来ないだろう!? そもそもお前は初めから必要なかった!
ナナリーを守る者は、ナナリーの騎士は……私だけで良かったんだ……!」
何もネモはブレンヒルトを憎んでいるわけではない。
ネモが、今現在抱く感情の大部分はナナリーの死に関してだ。
ネモの使命はナナリーの守護。
自分だけの使命に、修復不可能な程の亀裂が入ってしまった事に。
そうさせたラッド達、そしてブレンヒルトへの言いようのない怒りが上乗せされている。
恐らく意味がないとネモ自身悟っているに違いない。
呆然としているブレンヒルトに対し、どれだけ暴言を吐き連ねても意味がないという事を。
判っているからこそやりきれない感情に駆られるのだろう。
自分に実体をくれたナナリーの死に対し、悲しみと怒り、憎しみと言った負の感情がドロドロに攪拌する。
ブレンヒルトはそんなネモを見て、何も言葉を発する事が出来なかった。
「わ、わたしは……」
「くっ……もう、限界か…………」
「ネ、ネモ……?」
やがてネモの身体に異変が生じる。
ボロボロと、まるで先程のマークネモのように崩壊が始まっていく。
その様は泥の山に水を掛けた、成れの果てのように、酷く悲しげなものであった。
ブレンヒルトにはどうする事も出来ない。
だが、咄嗟に思った。
また、私は守れないのか――自然と身体が動き、ネモを抱きかかえる。
あまり勢いが強すぎたせいか、ネモの身体から一際大きな泥が零れ落ちた。
「は、ははは……所詮、私は泥人形か……」
「……しっかりしなさい。貴方まで失えば、私は……」
「触れるな……だが、状況が状況だ。もう、お前しか居ない……。ブレンヒルト・シルト、お前に頼みがある……」
ネモが必死に手を伸ばす。
ブレンヒルトの脳裏にビジョンが浮かぶ。
先程、自分の方へ伸ばされたマークネモの腕を。
そして――ナナリーのか細い腕を。
しっかりと、決して手放さぬようにブレンヒルトはその手を掴む。
あまりにも冷たい、泥を掴んでいるような感触が襲うが気にはしない。
今の自分に出来ることがあるなら、こんな自分で出来る事があれは知っておきたかったから。
他の何事にも気を逸らさず、只、ブレンヒルトは意識をネモに傾ける。
「ナナリーを……生き返らせてくれ…………」
出来るものならばやっている。
当然だ。だけども当てがない。
死者は――蘇る事はないのだから。
「ギラーミンという奴が言っていた……褒美で、ナナリーを…………」
褒美――確かに記憶にある。
この殺し合いが始まった瞬間、主催者を名乗るギラーミンが言っていた。
生き残った者には、どんな願いもかなえる権利がある、と。
だが、所詮眉唾ものだ。
本当にそんな事は可能なのだろうか。
確かにこの殺し合いには不可解な事が多いが、死者の蘇生などは流石にないのではと思う。
「それと、ギラーミンとやらの技術はかなりのものだ……現に私自身実感した……。
マークネモに……エデンバイダルに介入できる……とは…………奴らならやりかねん……。
ほんとうに、死者の復活を……ナナリーを生き返らせる事は…………不可能とはいえない…………」
だが、ブレンヒルトは耳を疑った。
マークネモとは先程のロボットの事だろう。
あのロボットもギラーミンの手を加えられていた?
そういえばナナリーと話が噛み合わないことも疑問だった。
始めて出会ったとき、世間話程度に話した内容はどちらにとっても判らなかった。
概念核やブリタニアなど、互いに理解出来ないワードがある。
それに先程の怪物、ミュウツーの存在もブレンヒルトの常識から一脱している。
何故、これほどまでに互いに判らないもの同士がこの場に居るのか。
もし、これが何らかの意図でこの場所に集められたせいだとしたら。
自分達を気づかぬ間に拉致し、集める事が出来た存在もしくは技術があるなら。
慣れ親しんだ概念兵器でもある、鎮魂の曲刃(レークヴィム・ゼンゼ)も死者に干渉するものだ。
自分が知らない特性や技術があっても可笑しくはない。
そうだ。死者を蘇らせる事も――可能なのかもしれない。
ブレンヒルトの心は揺れる。
次第に振子時計のように、一定のリズムを刻むように。
段々と、揺れ幅は大きくなり、そして聞いた。
ネモの悔しげな、それでいて切実な声を。
ブレンヒルト自身の望みも掛けあわせた言葉を。
「ナナリーに……この世界を見せてやってく……れ。
もう一度、もう一度だけでも良い……彼女に…………この大地を踏ませてやってくれ………」
ネモにだって当然、感情はある。
ナナリーとは一心同体だ。
彼女にはそれなりの幸せを享受してほしかったに違いない。
ブレンヒルトもまた同じだ。
碌な喜びも与えられずに死なせてしまった。
きっと、自分の事を恨みながらナナリーは逝ってしまったのだろう。
そう思うと胸が張り裂けそうな思いで、只、悲しみに打ちひしがれる。
「ブレンヒルト……お前が、私の望みを受けて入れてくれるなら……受け取れ。
そして、もう……二度と、こんな悲劇は繰り返さないと……この名前に誓ってくれ…………」
ネモの身体が光に包まれる。
崩壊が早いか、全身が光に覆われるかが早いか。
どちらとも判別がつかない、その瞬間、ブレンヒルトの目の前にあるものが出現する。
黒を基調とした衣装。
それは近い未来、ネモがナナリーの守護を共に頼んだ少女に送りし、衣装だ。
そしてネモの言葉が、最期の言葉が紡がれる。
「――――――、という名に誓って」
役目は終わった。
そう言わんばかりにネモの身体は大地へ還る。
ボロボロな土人形のであった、それらがブレンヒルトの視界に焼きついていた。
いつまでも、いつまでも――
ブレンヒルトにとって、それは永遠にも似た時間に思えた。
◇ ◇ ◇
一つの墓標があった。
簡素な、とても簡素な墓標だ。
冷たさが残る土の下には少女が一人、眠っている。
その少女、ナナリー・ランぺルージはもう二度と目を覚ますことのない。
そしてその墓標の近くに一人の少女が佇む。
彼女はプラチナブロンドの少女、ブレンヒルト・シルト。
真っ黒な衣装を、ネモから授かった衣装を着たブレンヒルトが其処に居た。
「……ごめんなさい、ナナリー。少しだけまっていて。直ぐに……終わらせるから……」
不意に思う。
ああ、こんな台詞、前にも言ったなぁ――と。
結局何も出来なかった。
終わらせると言っておきながら、何も解決は出来なかった。
やってしまったことといえば、ナナリーの人生をここで終わらせてしまったぐらいだ。
悲しかった。
ナナリーを失った事は勿論、無力な自分自身が悲しかった。
ネモの言い分も今では最もな事だと思え始めた。
何故、直ぐに意識を取り戻さなかったのか。
何故、自分はラッドからの奇襲が判らなかったのか。
何故、自分はミュウツーを直ぐに倒せなかったのか。
何故、自分は――何も出来ないのか。
答えは判っている。
足りないのだ。
力が、絶大的力が足りないのだ。
そのせいで、自分のせいでナナリーが死んだ。
だったら――ナナリーを元の世界に無事帰してやる。
それこそが自分自身のけじめなのだとブレンヒルトは確信した。
ギラーミンが約束を守るとは限らないかもしれない?
確かにそうだ。
だけども、こうしなければ――優勝者の褒美が手に入らなければ、ナナリーが戻ってくる可能性はゼロに等しい。。
殺し合わなければ、もうどうしようもないのだ。
自分にはARMSがある。
この力を使えば、勝機はあるかもしれない。
ならば、そこに賭けるしかない。
生き残って、ナナリーを――この場で命を落とした者全員の命を救えば良い。
褒美は何でも良いとギラーミンは言った。
死者の復活も一人だけとは言っていない。
しかし、当然ながら問題もある。
この殺し合いに反対の意を唱える者。
特にあの男だ。悪役の性をかばねる少年には気をつけなければならない。
全竜交渉部隊のリーダー兼交渉役は伊達ではない。
俗に言う変人ではあるが、侮れる存在ではない。
1-stGの帰順、そして今まで影からサポートしてきた身として、敵に回ればどれほどに強大か良く判る。
恐らく、この場でも着々とギラーミンへの対抗策を考えているだろう。
一人か二人、いや三人以上の参加者を既に従えているかもしれない。
佐山とはそういう男だ。油断は出来ない。
もし、彼に自分がこの殺し合いに乗ったのだと知られては、直ぐに対策を練られることになる。
どうするか――ふとブレンヒルトは思い立った。
少しだけ抵抗がある。
何故なら今まで大事にしていたものだ。
そう易々と手放せるものでもない。
しかし、自分が今から何の為に戦おうとしているのか。
そう考えれば自然と答えは出た。
迷いはない。左腕を翳し、ARMSを展開――己の首辺りに沿って、軽く腕を引いた。
刹那。懐かしい思い出が脳裏を横切った。
未だ1-stGの世界が崩壊してなかったあの時、ジークフリートに優しく撫でられたあの時の記憶がハッキリと。
だが、その思い出はパサリ、という音と共に何処かへ消えていく。
「…………割と似合うんじゃないかしら」
そう。ブレンヒルトが切ったものは自分の髪の毛だ。
腰の高さまで伸びていたブロンドヘアーをばっさりと、肩の高さよりも少し上まで。
ささやかな抵抗だとは思う。
鏡がないため、確実な事は言えないがきっと似合っていない。
あの人が、ジークフリートが褒めてくれた髪の方がきっと――思考を断ち切る。
そうだ。これだけで佐山の目を誤魔化せるとは思っていない。
だが、佐山とあとは新庄以外の人物から見ればどうか。
二人以外の参加者と接触した際、彼らから二人に果たして正確な情報が伝わるかどうか。
絶対にないと言い切れない。
しかし、これも根本的な解決にはならないだろう。
一番良さそうな手段は、生き永らえた状態で、自分の名前が放送で呼ばれる事だがこれは絶望に等しい。
されど、ブレンヒルトの眼に後悔は宿っていない。
これは一種の儀式だ。
この短く切り上げた髪は覚悟の証――本当の意味はそこにあった。
今までの自分との決別。
もう、決して揺るがせない覚悟。
全ての業を背負い、そして全ての命を元通りにする――ナナリーにこの世界にもう一度触れてもらう。
ブレンヒルトの意思は固く、そして同時に悲しみに包まれたものであった。
やがてブレンヒルトは歩き出す。
口を開きながら、まるで呪文を唱えるように、あの言葉を呟く。
ネモに託された名前を、この殺し合いに生き残る意思を誓った名前に。
「私は……騎士だ」
奇しくもブレンヒルトのARMSも“騎士”の名前を持つ。
ブレンヒルトの意思に呼応するかのように、刃先からは鋭い光が顔を見せる。
「“ナイトメア・オブ・ナナリー”――私はナナリーの騎士だ」
ネモが託した名前。
いつか、そう遠くはなかった未来に一人の少女に託した称号。
ナナリー姫の騎士をブレンヒルトがこの場でだけでも受け持つ。
「誓って見せる。私、ブレンヒルト・シルト……いや、ナインは――」
また、ブレンヒルト・シルトという名前は彼女の本名ではない。
ナイン。それが彼女の真の名前だ。
名簿では何故かブレンヒルト・シルトの方で載っていたがどうでもいい。
そう。今のブレンヒルトには――ナインにはどうでも良かった。
この誓いには偽名は必要はなかったのだから。
「“コードギアス”……ネモが遺したこの言葉を今だけは借りる。
“ナイトメア・オブ・ナナリー”として、そして“コードギアス”として……この殺し合いに勝つ。
そうだ。私は、私は――」
そしてネモが遺した言葉は一つだけではなかった。
コードギアス――その名もまた、そう遠くはなかった未来に確かに意味を為した言葉。
新たなナイトメア・オブ・ナナリーが操縦するナイトメアフレームの名前だ。
だが、敢えてナインはその名前を名乗らせて貰うことにした。
そうする事で少しはナナリーとネモの気が晴れると――そう捉えるのは考えすぎかもしれない。
兎に角、事実は定かではないがナインはそうするつもりだ。
その意思にも迷いは見られない。
殺し合いに生き残るという宣言にも一切の迷いは見られなかった。
やがてナインが言葉を続ける。
聴き手は一人も居ない。
一人ぼっちの舞台で、だがどこか振り切れた様子さえ見せながら。
ナインは言葉を紡ぎだす。
「――“ナイン・ザ・コードギアス”。それが今からの私の名前。そして終わりまでの私の名前……」
ナイン・ザ・コードギアス。
己の本名と組み合わせた仮初の名前は彼女の名前に似ていた。
最早、言うまでもないだろう。
この場には居ない、もう一人のナナリーの騎士の事だ。
ナイトメア・オブ・ナナリーの名をネモから貰い。コードギアスの名を持つナイトメアフレームを駆る少女。
そう。例の如くそう遠くはなかった未来に、ナナリーの騎士となった、ナナリーの友人。
“アリス・ザ・スピード”改め“アリス・ザ・コードギアス”。
今のナインには、どことなくアリスの面影が感じられた
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最終更新:2012年12月03日 02:28