名探偵の呪縛
1996
講談社
東野 圭吾
★×3
昔なつかしテイスト~な本。
探偵の格好とかヒロインの女の子とか、作品全体が古き良き探偵小説の空気を持ってます。過去の栄光(っぽい扱いをされている)本格推理がメインだからでしょうか。
「この村には欠けている物がある」っていうフレーズで思い出したのは、「
オーデュボンの祈り」でした。「何が」欠けているのか見つかるのがエピローグなオーデュボンと違って、「何故」欠けているのか分かるのがこのお話なわけですが…
スッキリ感で言ったらオーデュボンが上かなぁ。
不思議ワールドのお約束として、何故とかどこからとかどうしてとかは気にしちゃイケナイのかなぁと思います。
作者さんが描きたかったのはトリックでも殺人事件でも「不思議の国のアリス」系トリップ話でもなく、私小説と言うか自分史的なニュアンスなのかなぁ・・というのが感想です。安易に語り手=作者を重ねて見てると言えばそうなのかもですけど、「昔、本格推理を書いてたなぁ。懐かしい」がこの本のメインディッシュで、物語は添え物かなぁと思いました。
読む人それぞれに違う感想がありそうですね。
最終更新:2011年02月16日 13:39