n-3104の備忘録
0801_アホでマヌケな米国ハイテク企業
最終更新:
n-3104
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アホでマヌケな米国ハイテク企業
読書時期
2008年1月
2008年1月
概要
1978年以来ソフトウェア業界で働いてきた著者が、マイクロソフトが一人勝ちした原因について分析している。MSが一人勝ちしたのはMSが他の企業と比べて大きな失敗をしなかったことが原因であると述べており、企業ごとにその犯した失敗とどうすべきだったかについて述べている。
1978年以来ソフトウェア業界で働いてきた著者が、マイクロソフトが一人勝ちした原因について分析している。MSが一人勝ちしたのはMSが他の企業と比べて大きな失敗をしなかったことが原因であると述べており、企業ごとにその犯した失敗とどうすべきだったかについて述べている。
感想
- 翻訳が非常に上手いのか、シニカルだが非常に軽快になっていて楽しく読めた。
- 失敗談はどれも非常に参考になるものであった。しかし、今だから結果論として言えることなのか、当時から言及されていたことなのかは不明である。特に参考になると思ったのは以下の点。
- 自社が提供するシステムのサードパーティーやコミュニティを妨害する。結局は市場シェアが下がるだけである。
- ポジショニングの原則を無視する。どちらも中途半端になり、社内では開発チームが対立し、市場シェアも下がる一方。
- 市場(エンドユーザ)の声に耳を傾ける。どれほど優れていようが、求められていないものは売れない。また、市場が求めるタイミングでバージョンアップ製品を出さなければ、市場シェアが下がる。
- MSではビル・ゲイツだけでなく多くの社員が高給を得ており、その点も没落していった他社と異なると言う記述は興味深かった。
- 最後に掲載されているジョエル・スポルスキへのインタビューの中で興味深いのが以下の点。
- 一番やってはいけない過ちとして「製品を完全に書き直す」ことが述べられていることが非常に興味深い。既存のコードは複雑で巨大だが、逆に言えば市場にリリースされ、バクフィックスも十分に行われている。これは長い年月をかけて初めて出来ることであり、最初から書き直すとバグフィックスという資産を失うことになるという考え方である。この考えを一言で表しているのが「コードは錆びつくようなものじゃない」という言葉であると思う。単純にウインドウを表示するだけの関数の中で意味不明な処理があるのは、様々な環境で動くように施したバグフィックスであり、一見無駄なようだが、間違いなく必要なコードである。
- 80/20のルールはでたらめ。確かに利用する人毎に80/20の法則は成り立つかもしれないが、不特定多数の人が利用する場合、それぞれの人の20%の部分が異なるため、結果として20%という考え方は当てはまらない。
- 最終的に感じたのは、筆者も述べているがソフトウェア業界の経営者は技術に精通する必要があると言う点だ。管理する対象がやっていることを理解できなければ最終的にはマネジメントできない。その点について再認識できた。