「…どうしよう、俺のせいで…。」
春美を通してノラからとある「事実」を聞かされた
ソウトは、サーカスの練習にも手が付けられなくなっていた。
「ん~?どうしたんですかぁ、ソウト君?ぼーっとしてますねぇ?」
「あ、
ミュウさん!いえ、その、何でもありませんから、大丈夫です。」
ソウトは無理に笑顔を作り、微笑んでみせた。
ノラから聞いた状況を考えるあたり、恐らく昨日の出来事だろう。
サーカスに入団して早1週間。団員からは優しくしてもらえ、かつての地獄のような日々さえも忘れることができそうな気がした。
そんなささやかな幸せに浸りながら家路を歩いている時だった。
ストラウルに入って数分した時。
突然、周りの空気が動く気配がした。
反射的に臨戦態勢に入る。少し悲しくなるが、本能が悟るのだ。あきらめるしかない。
そう、そんなことよりも周りだ。
ぐるりとみまわし、彼は目を疑った。
彼を取り囲んだのは無数のロボット。
ただのロボットではない。
ホウオウグループで廃棄扱いになっている「
パニッシャー」であることは、アースセイバーに所属する彼も知っていた。
ただ、何かがおかしい。報告に寄れば、あれは一体ずつしか行動しない筈だ。
それなのになぜこんなにも居る…?
考えている暇はなかった。
彼は自分の周囲に小さな「空間」の入口を作り出す。
そしてそのうち2つから剣と槍を抜き取った。
一斉に襲い掛かるパニッシャー。
そのうち数体はソウトが動きだす前に吹き飛ばされる。
構えていた「空間」から凶器が飛び出し、パニッシャーを数体巻き込んで突き飛ばしたのだ。
それを避けてきたパニッシャーを、槍と剣で迎え撃つ。
何をやっても二流だが、槍術と剣術は誰にも負けないつもりだ。
しかし、幾ら切りつけても傷が少ししか入らない。
外装が予想以上に固いようだ。
以前
ゴクオーから聞いた、凪と冬也を襲ったパニッシャーなのだろうか。
だとしたら切りつけるだけでは終わらない。そう判断し、彼は走り出した。
放たれる銃弾をかわしながらたどりついた先は倒壊現場。
ある程度の広さがあるこの場で彼は立ち止り、踵を返した。
ギリギリまでパニッシャー達をひきつける。
一番前にいた一団が刃をこちらに向けた。
眼の前から彼の姿が消える。
何処に消えたとパニッシャーが慌てだす。
彼はビルの壁伝いに空中に飛び上がっていた。
両手を上へ向け、集中する。
広間の上にすっと、一筋の線が入った。
空を覆った、空にあるまじき色。
あふれ出す凶器は矛先を下に向けた。
そして、重力を味方に雨のごとく降り注いだのだ。
刃は数多の装甲をひとつ残らず貫いた。
そこに傍観者がいるとはつゆ知らず。
エトレクが意識不明になった。
カイムもこの所調子がおかしいという。
そんな状況下でこんな失態を犯してしまった。
「…どうしよう…。」
悩んでも、彼の頭に答えは浮かばなかった…。
最終更新:2011年08月08日 16:29