ゴクオーが庭に通じる障子をあける。
最近連続する事件とは不釣りあいな青々と茂る草木の庭が眼に飛び込む。
カイムは眼を閉じ、呼吸を止める。
暫くそのままでいたが、やがて眼を開け、外を見た。
「間違いありません。あちらの方角からのようです。」
「音の余韻で場所が特定できるんか?」
「はい。あの時の影響で、耳もよくなっているようです。」
「音と言葉の全てを掌握する」。成程、伊達ではないらしい。
「しかし、あの方角は確か
エトレクが…?」
「彼は今アースセイバーです。僕から連絡を取っておきます。僕たちは先に向かうべきではないでしょうか。」
「それはええが、カイム、お前体力は?」
「…。」
カイムは俯いた。
「…仕方ないの。ほら、来い!」
「えっ、あ!」
ゴクオーはカイムを引っぱり起こすと、そのまま背負いあげて外に飛び出した。
「カイム、余韻を追うんじゃ!わしがそこまで連れていく!」
片手で
ブレラを開くと、上昇気流にのる。
「この時世じゃ。なにが起こるか分からん。じゃが、わしにそんな力はない。」
カイムは暫く黙っていたが、そのうちゆっくりと頷いた。
「主とエトレクさんには連絡を入れておきました。エトレクさんは直ぐにこちらに向かうそうです。僕たちは先に向かいましょう!」
「勿論じゃ!」
ゴクオーは笑うと、空中を蹴りだした。
「カイム、これ持っておけ。」
ゴクオーが彼に放ったのは小さな箱。
ココアシガレットのダースだ。未開封ということは、12本入っているのだろう。
「今の騒ぎで体力がギリギリじゃろ。甘いもんは直ぐにエネルギーに変わる。食っておけ。」
そういい、彼も新たにココアシガレットを咥えた。
「なにが起こるか分からんからの。覚悟決めておけ。」
「…分かりました。」
カイムは、封を切った。
最終更新:2011年08月26日 14:00