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再会・再開・際会

「……?」

その日、グループ一の暇人・クロウは、珍しく急いでいた。近隣でヴァイス目撃の報が―――珍しい事にタカコから―――入り、その場所に向けて走っていたのだ。が、

「さすがにもういないか……やはり、逃げ足だけは天下一品だな」

目的の男は捕捉できず、引き返すことになった。この間は民家で誰かと一緒になって暴れたという話も聞いた。
最近見境がなくなっているような気がする。
高校は高校で、潜入メンバーからおかしな報告が続々と届いている。おかげで最近はメッセンジャーの仕事がかなり多い。

「まあ、暇を持て余すよりはいいのかも知れんが」

そんなことを呟きながら、ふと通りかかったのはとある森の入口付近。
彼は知らないことだが、この辺りは旧天河探偵事務所があった場所の近くだ。

「森か……いや、この密度なら林か? しかし、こんな場所もあったとはな」

内外で「暇人」認定されているクロウは、いつもはいかせのごれ中をぶらぶらと歩いている。そのおかげなのかなんなのか、彼はいかせのごれの地理には人一倍詳しかったりする。

「……どうせ奴は取り逃がした所だ、暇つぶしでもするか」

独り言を言いつつ、森の奥へ入ろうと覗き込む。と、

「! うおっ!?」

その瞬間、バヂィッ、という轟音と共に正面から衝撃を受けた。いきなりのことに対処が出来ず、もんどりうって倒れてしまう。

「な、んだ今のは……」

爆発ではない。あえて言うなれば、空間が弾けた、とでも言うのか。そんな、音と衝撃だけの、光のない炸裂……とでも言うべきものだった。

「……全く、何だったんだ今のは。ここもある種のアンバランスゾーンか?」

ストラウル跡地はまさにその代表格だが、あの一か所だけとも限らない。世界的に見ればバミューダ海域や青木ヶ原樹海など、その疑いがある場所はいくらでもある。ましてやここはいかせのごれ。
二か所あっても何ら不思議はない。

「一応報告しておくべき……なのか? いや、先に調査だな」

何はなくとも情報が必要と考え、とりあえず中を調べて見ることにした。が、十歩も行かない内にあるものを発見した。

「……人? なぜこんなところに」

全く人気のないその場所に、女性が一人倒れていた。Tシャツとジーンズという活動的な服装に、黒い髪。完全に気を失っているらしく、目を閉じたままぴくりとも動かない。
どこかで見たような気もするが……。

「とりあえず、回収しておくか? ……俺だけでは無理だな」

力の抜けた人一人を運ぶのはかなり大変だ。寝ている誰かを動かすのが大変なのと同じだ。
ましてやクロウは力がある方ではない。

「とはいえ、放っておくわけにもいかんが……」

パキッ、

「む?」

不意に後ろで枝を折る音が聞こえた。振り向いて見ると、そこにいたのは懐かしい……しかし、因縁の姿。

クランケ・ヘルパー!?」
「!! クロウ……」

以前秋山 春美を連れて脱走し、まんまと逃げおおせた裏切り者。その時追撃に当たったクロウとしては、因縁の相手だ。

「なぜ、お前がここに……」
「……ただの暇つぶしだ」

本音である。この場でクランケを殺す事も考えたが、やめた。この男の担当は別にいる。
自分には別の担当があるし、わざわざいらぬ手を増やす事も無い。

「それよりも、医術に通じているならあの女を診て見ろ」
「あの人は……?」
「知らん。気付いたら倒れていた」

そっけない返答である。

「……妖怪、とかじゃないだろうな?」
「俺が知るか。気になるなら確かめたらどうだ」

言い捨てると、クロウはそのまま「興が失せた」とどこかに行ってしまった。
残されたクランケはしばし立ちつくしていたが、ややあって我を取り戻すと倒れている女性を素早く観察した。

ミサキなどのように、どこか人間離れしたような雰囲気はない。血色はいい。つまり、どこか怪我をしているというわけではない。ぱっと見た限りでは病の兆候らしき外部症状もない。本当に気を失っているだけのようだ。
気になるのは脈拍がないことだが、その割に心音と呼吸はある。

ただ、

「気のせいか……どこかで……」

この女性に、ではなく、似たような顔を見た覚えがある。ホウオウグループにいた頃、整理していた資料か何かで……。

「!」

それに思い当たりかけた、その時だ。


「見えました、あそこです」
「待て、カイム……誰かおるぞ?」


再会・再開・際会

(放り出された女性)
(居合わせた男)
(降りて来た二人)

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最終更新:2011年08月26日 14:01