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赤の沈黙

「えっ、居らっしゃらない?;」
アカネが目覚めた翌日。エトレクは寺院にアカネを連れて来ていた。
目的はもちろん「山吹色の髪の女の子」だ。
女の「子」かどうかは甚だ疑問だったが、思いあたるのは一人しかおらず、彼女に会うために寄り道したのだが。

「今朝方から出かけてるみたいでね。多分入れ違いだと思うよ。」
「あ、こんな所で俺の運の無さが影響してくるんだな…;」
エトレクはがっくりと膝を落とした。
「と、とりあえず琴音さんには伝えておくよ。『アルマ』さんのこともゲンブさんに訊いてみるね。」
「すまねぇ、主。このところずっと頼りっぱなしだな…。」
「いいんだよ。頼られてこその主じゃないw」

外で待っていたアカネと合流し、エトレクは簡潔に次第を伝えた。
「…というわけで、彼女には直接ランカちゃんの家に赴いてもらうことにしました;」
「ありがとう。じゃあ、先に向かいましょうか。」
「そうですね。」

「それにしても、もうあれから7年経つのね。」
「俺からしてみれば「まだ」でしたよ。最初10年くらい経っていたかと思いましたから。」
時間の概念が無いから当然の事ではある。

「とはいえ、アカネさんもよく同じ部屋の中7年も耐えきりましたね…。」
「耐えるも何も、何もできないなら仕方ないじゃない。」
「…一度お会いした時も思いましたが、ずいぶんとさばさばした方ですよね、アカネさんって。」
「そうかしら?普通と思うわよ?」
いいや、少なくとも俺の知ってる中では一番さっぱりしているぞ、とエトレクは思う。

「…ランカを、守ってくれたそうね。」
唐突にそう言われ、エトレクは驚いて顔を上げた。
「えっ?」
「前に一度、黒い人たちに襲われたじゃない。あの時よ。」
「いや、あの時他の人のほうが頑張ってた、というか俺何にもやってませんし!」
「いいのよ。あとでその人たちにもお礼言おうかしら。」

「…ほんと、俺なにもできませんから…。」
エトレクはシルクハットのつばをつかみ、深く被りこんだ。
その姿を、アカネは黙って見ていた。
変な空気が二人の間に流れる。
その沈黙を破ったのは、暫く歩いてからだった。


赤の沈黙


「…ありました。あれが、ランカちゃんの家です。」

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最終更新:2011年09月07日 19:06