「本当にここでいいのか?」
「ああ、闊歩は私が送るから。
幹久朗さんは他の用があるんだろ?なら先にいきなよ。」
「すまねぇ。じゃあ先に行くよ。姉さんたちによろしくな。」
幹久朗はそういい、二人を送り届けた
レストランを後にした。
「ただいまー。」
「お、御帰り。遅かったな。」
ドアを開けるとノアと店長が同時に顔をのぞかせる。
「…お邪魔します。」
「ん?お前確か…
数寄屋 闊歩、だっけか。」
「ああ。店長、話があるんだ。」
「そうね…部屋は開いてるから私はいいんだけど…。」
由衣は帰ってくるまでの一部始終を店長に話し、闊歩を暫くここに泊められないかと相談を持ちかけた。
「闊歩、私たちみたいに一人でこっちに来たらしいから泊めてもらったり野宿だったりなんだよ。」
「事が事だけど…、闊歩君はいいの?」
「僕はかまいませんよ。どの道何処かに定住しないと補導だし。慣れてるけど。」
淡々と答える闊歩に(慣れちゃダメだろ…。)と心で突っ込むノア。
「了解!じゃあ、ちょっと上片づけてくるから、店番頼んだよ。」
店長はそういい、上の階へと上って行った。
「これで当面は安心かな…。」
「…で、
ヴァイス=シュヴァルツって結局誰なの?」
「ヴァイスが関わってきてるかもしれない、ね…。」
部屋の掃除をしながら亜音は呟いていた。
「うちの「家族」に手なんて出させるもんか。」
そう決意を固めながら。
その日、いつものように駅のロッカーに座って人々を観察していた
黒井さんは、妙な男を見た。
人があふれ出る改札口から出るなり、彼は思い切り背伸びをした。
「やぁーっとついたー!あー、疲れた。」
何処にでも居るスーツの男。標準体型よりやや細い体が、きつめに締めたスーツで露になる。
乱れたやや長めの髪は鮮やかな金色だが、濃い茶色の瞳は日本人的だ。
彼はコインロッカーの前を通って広い場所に出、煙草に火をつける。
細く白い煙が空中に消えていった。
「さーてと、来たはいいけど…。」
彼は携帯を開く。
姿は見えない筈なのにロッカーの陰に隠れて黒井さんは彼を眺める。
「…宿、どうすっかな☆」
そして思わず滑る。
『な、何あの人…。ここら辺では見ない顔だけど…。』
「まぁ、野宿でも別にいいんだけどな。」
彼は携帯の画面に長いメールを表示させる。
「んで、何だっけ、今回のターゲットは…。」
『ターゲット?一体どんな仕事を…。』
「ヴァイス=シュヴァルツ、
シン・シー、
ピエロ…何だこりゃ。外国人か何かか?」
『!?』
彼女は驚いて身を乗り出した。
「…ま、適当に訊いていけば何とかなるかな。」
彼は備え付けの吸い殻入れに煙草を押し込み、姿を消した。
『…今の、何者なんだ…?』
一人呟く黒井さんは、暫くそこから動けなかった。
新たな問題、新たな火種
「はいはい、こちらコードネーム『
エス・ユー・エヌ』…え、分かってるってか?はは、ごめんごめん。」
道を歩きながら彼は携帯を耳に当てる。
「分かってるって。だから俺が選ばれたんでしょ?…あ、勿論向こうの方々にも顔は出すから。」
「任せて頂戴よ、『ターゲットの逮捕』…☆」
最終更新:2011年09月27日 10:38