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鴉と鳳凰、それぞれの見るもの

「最弱破綻者」が去って行ったあと、苦々しくため息をついてゼアが言う。

「内にも外にも……問題が多いですね」
「ある種仕方がないな。俺達は元々そういう集まりだ。『ホウオウ』という一人の男に賛同して集まった連中の集まりなわけだが……」

そう、とゼアが応じる。

「裏を返せば一致しているのはそこだけ。あの弱者やチネンのように、明らかに行動律が違う者や……ええと、何と言いましたかね? あの連絡員……まあいいでしょう、その者のように、なし崩しに属している者」
「俺のように仕事としている者、ジングウのような叛意が明らかな者、あるいはスパイとして送り込まれた者」
「……待って下さい。そんな者がいるのですか?」

ゼアが不審な目を向けて来たが、クロウは動じない。確証があるわけではないのだ。

「いても不思議はない、というだけの話だ。まあ他にも、トキコのようなグループが居場所というもの、リオトのように個人的目的が先行している者、色々いる。一枚岩では、決してない」
「それがために、あの救世主気取りに幾度も幾度もしてやられているわけですがねぇ……」

ゼアが頭を抱えるが、こればかりはどうしようもない。ホウオウグループ自体がそういう側面を持っている以上、この弱点は避けて通れない。

「ホウオウ様さえご無事ならば、幾度でも立て直しは効きますが……」
「お前やバツなどと違い、現状のメンバーの大半は『姿を成す』ことが出来ん。死ねばそこで終わりだ」

問題が多いのはアースセイバーも同じだろうが、向こうはこちらに比べて規律がしっかりしているため、自壊の危機はこちらより大きい。まあ、さておき。

「それよりも、ジングウがこの先、大っぴらに動きだすのは間違いないだろうな」
「ホウオウ様は利用できるところまで利用されるつもりのようですが……彼女を放っておいてはその内殺されますよ、ジングウは。抑えが効きそうなタイプには見えませんし」
「そうなったら、そうなっただ」

「俺達は組織の一部だ。ただ、上の命令を忠実にまっとうするのみ」

「……まあ、それもそうですが」

斯く言うクロウは現在いかせのごれ高校に非常勤の教師として潜入しているのだが、その仕事の機会が少ないため、結局状況があまり変わっていない。

「何かあれば総帥が動くはずだ。獅子身中の虫をあえて抱え込んだということは、何かしらの狙いがあるとみていいだろう」
「……大丈夫でしょうかね」
「考えなしに動く程愚かな人でないのは、お前も知っているはずだ。でなければただのバカだ」
「……酷い言い様ですね。まあ、言い得て妙ですが……」




同刻、ロゼのバー。いつもの如く休息に来ていたホウオウに、ロゼが尋ねる。

「……ホウオウ様」
「なんだ」
「ジングウの研究チームに、再結成の許可を出したとのことですが」
「そうだ。それがどうかしたのか」

淡々とした物言いに、ロゼは思わず噛みついていた。

「あの男がかつて何をしたのか、あなたもご存じのはずです!! グループに戻すだけでも危険だと言うのに、さらなる力を与えるなど……一体何を」

言っている途中で自分の行動に気が付き、慌てて調子を戻す。

「も、申し訳ありません」
「……そうだな」

だが、ホウオウは全く意に介さず、ただ言う。

「……?」
「奴を利用するため、というのも確かにある。その力が有用だという理由でもある。だが、理由はもう一つある」

「結局の所、奴は私の目的に手出しは出来ん。そのようになっている」

ホウオウの言う意味がわからず、ロゼは怪訝な表情をする。

「それは……」
「いや、奴だけではない。クロウ、ゼア、チネン、ファスネイ、ウツロ、そしてお前。私に力を貸すことはあっても、私の目的の進行には、大局的な影響を齎さない」

それは「役に立たない」と言われているのか?

「だが、お前達が私の下にいることには、意味がある。……ジングウの話だったな」
「!」
「奴は先日、独断でウスワイヤに仕掛けたらしいな。だが、この先奴がウスワイヤを倒しても、ウスワイヤが奴を倒しても、結果は変わらない」


「この世界は、我々の手によって合理化されるのだ。その時、我々は真の意味で……」


言いかけたホウオウだが、そこで不意に口をつぐんだ。

「? ホウオウ様……?」
「……この話は忘れろ。どの道、最終的にお前達には関係がなくなる」

それだけ言うと、絶対者を名乗る男は席を立ち、店を出て行ってしまった。



鴉と鳳凰、それぞれの見るもの

(その意味は……)

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最終更新:2011年11月05日 19:44