(あぁ、腹が立つ!腹が立つ!!腹が立つ!!!)
オレ、高嶺利央兎は目を最大までに吊り上げながらずかずかと放課後の学校の廊下を歩いていた。
放課後というのもあるが、明らかに怒っているというのがわかるんだろう、誰も近寄っては来ない。
都アッシュが転校初日早々
都シスイを病院送り、いやウスワイヤ送りにするという問題を起こした、というのをトキコから聞いた。
そしてそれに重なるようにジングウの「千年王国」復活。
あああ!あいつの名前思い出しただけでも腹立つ!
何故
ホウオウ様はあんな奴のチームを許可したんだ。
納得いかない、納得いかない!
監視命令なんて出されたが、それも怒りで中々集中出来ない!
「リーオ君」
「あ…!?」
「こんにちはー」
後ろから突然名前を呼ばれ、思いっきり不機嫌な表情で振り返った。
そこに立っていたのは、
今一番会いたくない相手とも言える「都アッシュ」
「…なんか用かよ?」
「んー?なんだかピリピリしてるみたいだから僕が癒してあげようかなって」
「余計なお世話だよ、失せろ」
「僕さ、色々リオ君のこと調べてみたんだよ」
無視か、オレの話は。
「………」
「能力のこととか、兄さんとの関係とか、ユウイちゃん?が好きだとか」
っていうか、構ってられるか、こんな偽物に。
帰るぞ、帰る。
オレはくるりと奴に背を向ける。
「………」
「それに中々、強いみたいだけど…」
オレは無視を決め込んだ。
話の途中、一旦間をおくアッシュ。
「きっと、「あの子」が関われば何も出来なくなっちゃうんだよねぇ?」
「っ!!!」
口を開くよりも先に、体が動いていた。
オレは身体を反転させ、両手で奴の胸倉を掴み壁へとその身体を叩きつける。
お互い身長が同じくらいで、奴を見下すことが出来ないのが癪だが。
奴は叩きつけられても尚、へらへらと笑みを浮かべている。
「やだなぁもう、ムキになっちゃって」
「………」
「ちょっと、黙ってたらつまんないじゃんか」
その言葉と同時に、数日前に付けた首の傷へと神経を集中させた。
直後、包帯を突き抜けてオレの首から伸びた赤いトゲ。
ドッ、と鈍い音が鳴る。
それはアッシュの目スレスレに、壁に突き刺さった。壁に、小さなヒビ。
「…怖いなぁ。つか自分で傷口開くとか頭おかしいんじゃないの」
「うるさいな、偽物が。オレの能力調べたんじゃなかったのか」
オレは怒りに任せアッシュの首へと手を移動させる。
腹立たしい、腹立たしい。
シスイの偽物であるこいつ自身もだが、こいつの後ろにいる「奴」が一番苛立たしい。
首の凹みに手を添え、オレはそのまま力を入れ
「おーい、お前ら早く帰れよー」
「はーい!わかりましたー!」
教師の声が聞こえた。
その声でオレははっと我に戻る。
同時にけろりとアッシュの態度が変わり、オレを押し退けて床に落ちている鞄を拾い上げた。
「じゃ、また明日ね?リオ君っ」
「オレはお前と仲良くする気なんてない」
「ふーん、冷たいなぁ」
それ以上、オレは言葉は返さなかった。
(オレは絶対に認めない)
(お前も、お前の後ろにいる「奴」も)
偽の麒麟と、血
「っていうか…」
なんであいつ、オレがユウイのこと好きだって知ってんだよ。
やっぱ、わかるのか?わかりやすいのか?オレ。
やめろよ、くそっ。
恥ずかしいな。
最終更新:2011年11月13日 19:30