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汰狩省吾の擦違い

 <汰狩省吾の擦違い>

省吾はいつものように柔道部の部活動を終えると、筋トレと格闘の練習をした後、
モデルガンを使い訓練を行った。
しかしこの日はいつもと違い、終わり頃になってケイイチが姿を現した。
「ん?ああ、お前か。どうしたんだ?」
「どうしたもこうしたもありませんよ、まだウスワイヤに行ってないんですか?」
「うーん・・・まぁ、行ったら学校生活も無くなっちまうしな。
 別段今の状態で問題もあるまいよ。 ああそうだ、それよりも」
「それよりもって・・・何か?」
「俺の能力、攻撃にはいいけど防御はあんまりしづらいんだよなー…。
 接近されたら危ないし、何かを守ったりするためにはどうしたらいいと思う?」
「それは・・・臨機応変に、自由自在に発想を変えないと。常識が違いますから・・・」
「そうかー。うん、またその辺は考えよう。」
そう言うとケイイチに背を向け更衣室に入る省吾。
「最近、こっちの周りでもいろいろと不思議な事件、起きてるんですよ。
 気を付けてくださいよ?もしできるなら早めにウスワイヤに出頭してください。」
「んー・・・まぁ、せいぜい気をつけるさ。んじゃな。」
バッグに柔道衣を詰め込み、制服で隠れるようにモデルガンをベルトに挟むと、
二人は道場を出て鍵を閉めた。

省吾はチャリの前カゴにバッグを載せると、跨って呟いた。
「なーんであいつは俺を見逃しといてくれるんだろなー…。」
一気に漕ぎ始めると、スピードを上げて走りだす。
車を追い抜き、バイクに追いつき、そのバイクが張り合うように追い抜いて行き――
(バイクに乗ってた女の人はまるでレーサーのような服で、
 ゴーグル付きメットを被っていた。場合によっては歩道をも爆走する省吾と違い、
 車と車の間、そして路肩だけを縫うように走り抜いていったのだから、
 省吾の完敗である。相当の技術と判断能力、知識だと省吾は読み取った)

暫くすると例の『跡地』付近に辿りついた。いや、辿りついたという表現は定かではない。
なにせその更に先に自宅があるのだ。いわば『跡地』付近を通過する事が日常なのである。

砂利道に入り、省吾は自転車のスピードを落とした。以前そこで滑って転んだからである。
しかし、この日はそれとは別にその道を女の子が歩いていたから、でもあった。
黒い服を着た女の子とすれ違う。省吾はその瞬間に何か違和感を感じた。
(・・・何だ?血と臓物のニオイ…?いや、気のせいか・・・。)
自転車に取り付けられたミラーで女の子の後ろ姿を見たが、
角を曲がって行った一瞬しか見る事が出来なかった。

省吾が家に辿り着くと、TVでは「ストラウル跡地で火事」の速報が流れていた。



作者 登場人物
サイコロ 汰狩省吾ケイイチトキコシノ

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最終更新:2013年06月12日 22:12