とある日の放課後。
「「「・・・・・・・・・」」」
ショウゴは柔道着を着た三人を見ながら苦笑いをしていた。
「・・・あー、えーっと、なんだ・・・ついに
ケイイチが一大決心をして我が柔道部に
入ってくれるのかと思っていたんだが・・・」
ケイイチと
ユウキは知っている。
「おす!」
「もす!」
「・・・こっちも、いつの間にか後ろから付いて来てたみたいで・・・気付かなかったんです。」
それはともかく、この女の子は何なのだろうか。それに、柔道着の着方も間違っている。
「・・・とりあえず、そっちの子は?」
「めす!」
「何の相槌だよ。」
「・・・めすって言うのか?見た目は確かに女の子だが。」
「先輩なんで真に受けてるんですか!?」
「むす!せ、せっしょーは、トキコと言いますっす!ぶちょーさんのお噂はかねがね聞いておりまして、
今回、じゅーどーぶとやらを見学してやろうと、あ、まちげりーた!じゅーどーぶに体験入部してみようと
思って至ってみましたっす!」
所々に人を見下したような単語が見え隠れしているのは気のせいなんだろうなきっと、とか思いながら答えるショウゴ。
「・・・そ、そうか。いや、やる気があるならそれは認めるぞ。」
「まっくす!」
「トキコ、さっきから何それ。最後にすが付けば何でもいいと思ってんの。」
「かす!」
「黙れユウキ!!」
放っておくといつまでも漫才を続けていそうな二人を尻目に、ショウゴはトキコに質問した。
「で、トキコ・・・ちゃんでいいのかな?トキコちゃんは柔道の経験はあるのかい?」
「ないですけど!人をぶったおした事はあるっす!!」
「ぶったおした?」
「はい!ちょっと軽く手を押したら数十キロメートルくらい吹っ飛びましたっす!」
聞いた途端、少し唖然としてしまった。
「「・・・・・・・・・」」
「・・・ケイイチ、あの子も能力者なんじゃ。」
「いや、こっちもなんとなくそうは思ってるんですが・・・ぶっちゃけ関わりたくないです。」
「ぶちょー!とりあえず、ぶちょーをぶっ飛ばせば入部できますっすか!?」
「うわーやる気満々だこの子。」
物騒なもんだ、とショウゴは思ったが、素人相手にいきなり試合は流石にマズイ。
というわけで・・・
「うん、まず受け身の練習してからね。受け身が出来ないと怪我しちゃうから。」
と提案した。
トキコが少し不満げにボケたが、ケイイチがフォローを入れて練習を始めた。
思った通り、受け身だけで大体の性格が分かった。
ケイイチは受け身の仕方が少々荒かったが、大体出来ていた。
実践で培ったのだろうか、なかなか理にかなった動きをしていた。問題無し。
一方トキコは全く駄目。柔道着の着方から直させたが、受け身を撮ること自体に
不満があるようだ。
「うっす!受け身とる事なんて無いですもん!」
「盛大にコケた時とか車に轢かれたときとか色々役に立つから憶えといた方がいいぞ。」
「これが終わったらぶちょーをぶっ飛ばせるっすか!?」
「ウェ!?あ、あぁまぁ試合はするよアハハハ…(汗」
ユウキは…割愛しとくに越した事は無いだろう。
他の部員と練習をある程度済ませ、その間に受け身の練習をさせ、部活が終わった後にトキコ念願の試合が始まった。
「俺は一応柔道のルールで戦うよ。」
「トキコ、行きまーす!」
始まって数秒。殴るように手を伸ばしてきたトキコに対し、ショウゴは・・・
(『軽く押しただけで数十キロメートル』・・・十分に気をつけないとな)
突きだされた手の袖を掴んで、きれいな一本背負いを決めてしまった。
「「「「・・・あれ?」」」」
審判をしていたタカコさんも唖然としていた。
ショウゴは一言。
「一本・・・ですよね?」
タカコさんが我に帰ると、一本のコールをした。
受け身をきちんと取れずに目を回しているトキコを尻目にショウゴは言った。
「柔道は柔良く剛を制す。力ではなく技で戦う事が重要なんだ。だから受け身も大切だって言っただろー、なぁトキコちゃん。」
言った瞬間に足を掴まれ、振り回され、ビタァンと畳に叩きつけられた。
しかし最近の道場は下にスプリングが仕込まれてあり、加えて受け身を取ってたので威力は相殺・・・
「鼻打った・・・」
鼻血が出ていた。
タカコ「駄々っ子の暴れ方そっくり・・・。」
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最終更新:2013年06月13日 20:58