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白い闇と”いかせのごれの守人”

「あの女め…」

霜だらけの腕を押さえ、スト跡地を歩くヴァイス
と。

「おやおや、随分と手痛い反撃を受けたようだね」
「!」

さっと振り向くヴァイス。
見透かした様な表情で佇んでいたのは、彼と同じ白い髪と、笑っているような青い目をした少年だった。

「貴方は確か…ヤマネとかいう守人でしたっけ?」
「あれ、知ってる?」
「第一世代にして不老不死の守人を、こちら側で知らない人間なんてそうそういませんよ」
「なるほどー」

表情が変わることの無いヤマネ。

「で、その守人が何の用ですか?」
「いやあ、その腕治してあげようかなって」
「…は?」

突然の言葉に、ヴァイスは思わず素っ頓狂な声を上げた。
対してヤマネは笑みを崩さない。

「僕という人物までは知らないようだね」
「…貴方こそ、ワタシという人物を知らないので?」
「いやいや、逆に知ってるよ。bad・endの脚本を常に望む白い闇ってね」
「…ならば、一体何の目的で?」
「君はいかせのごれの為にまだいてほしいんだ」
「いかせのごれの為…?」
「そう」

益々分からなくなるヴァイス。

「…人は弱い。だからこそ強くならねばならない。しかし何もしないで強くなる訳がない。そこで人には試練が必要なんだよ。つまり君という存在は試練そのものなのさ」
「ワタシが役者や邪魔者達を成長させていると? 全く、はた迷惑な理論ですねえ」
「はは、君にとっても悪くない話だと思うよ? 腕、そのままじゃあ不便だろう?」
「…まあ」
「じゃあ交渉成立。…って言っても無償だから安心していいよ、腕出して」

ヴァイスは素直に腕を出した。
その腕をヤマネが掴んだ途端、霜が溶け出す。
1分も経たない内に腕の霜は完全に無くなった。

「ふむ…完全に治りましたね」
「今日の能力は”元の状態に戻す能力”『タイムリセット(巻き戻し時計)』だったから、ちょうど良かったよ」
「今日の?」
「うん、僕の能力は”その日によって変わる”から」
「ほう、それはまた前代未聞の能力ですねえ」
「あはは、僕はどーでもいいけどね。こんな『神様が暇潰しに遊んでいる様な』力……」

不意に自嘲しているかの様な笑みに変わる。
が、それも一瞬だった。

「ところでこれがバレたら、仲間からお咎めをもらいませんか?」
「大丈夫さ、彼らは『ヤマネ』を嫌ほど知っている。それに何を言われようと、僕はいかせのごれの為に動いていく」
「いかせのごれの為…それが貴方の根本ですか」
「うん」
「…もし、ワタシが”ソレ”を壊そうとしたら?」

二人の間に緊張が走る。
ヴァイスは相変わらず不敵な笑みを浮かべ、ヤマネはというと目元に影が差していた。

「そうなれば敵さ。…まあ、そんなつもり無いだろう?」
「バレていましたか」
「舞台まで壊すバカな脚本家がどこにいるって言うんだい?」
「確かにそうですね」
「まーそういう事だから、僕は”壊れない”かなー。大切な物はいかせのごれだけだから」
「…仲間は?」
「『タダ』の仲間だよ。別に殺されてもああはいそうですか、で終わりさ」
「意外と冷たいですね」
「僕はいかせのごれの守人だよ。いかせのごれを守る事が僕だよ」
「…なるほど」
「じゃあ、僕はこの辺で退散するよ。でも僕の見えない所で死にかけてる時は、助けないからね。それだけは覚えといで」
「…分かりました」


白い闇と”いかせのごれの守人”


「しかし、ワタシとて貴方を壊すつもりは全く無い訳ではありませんからね…それだけは覚えていて下さい」

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最終更新:2012年07月08日 01:43