「私、スノボやってくる。」
「おー」
「さすが凪っち。行ってらっしゃい」
中3の冬休みという、常識的に考えたら大事な時期だというのに、私は友人に強制的にスキー場に連れてこられた。まぁ、楽しいから別にいいんだが。
「この辺からならできるかなぁ。」
「おや、凪さんじゃないですか。」
「あ、●●先生。」
こいつは私の中学で数学を担当している●●。他の先生の前では猫をかぶっているが、生徒を平気でクズ呼ばわりしたりするため生徒からの評判は恐ろしく悪い。数学で赤点をとり続けた生徒が拷問を受けたとか学校に来なくなったとかの噂が絶えない。マジでやってそうだから困る。
「今日はスキー旅行か何かですか?」
「あ、はい…中学最後の冬休みだからみんなで」
「あなたはいつもそうですね」
「え」
「毎日何の苦労もないようにヘラヘラとして、今だって本来は大事な受験シーズンなのに遊び惚けて…」
「はぁ…」
うわぁ…担任でもないくせに説教たれ出したよこいつ。なんか、私のこと嫌いみたいなんだよなぁ…
「それに以前、私のことをマジキチ教師だとか言ったそうですね?」
「言ってませんけど。」
「…なんですかその反抗的目は。どこまで私をイラつかせる気ですか。」
「…」
「まったく、生徒なんざ教師の奴隷です。」
「はあ?・・・!!」
スキーウェアが破かれる。寒いです、先生。
「な、何を…」
「あなたは前から気に入らなかったんですよ。この際、ここにいる社会のクズ共と一緒に消えなさい。」
クソ教師が変なリモコンみたいなのを操作したと同時に、上の方で爆発音がする。
「うわああぁぁ!」
「な、雪崩だ!」
真っ白な波が襲いかかる。避けようと体が動く前に、私は他の客もろとも飲み込まれた。
「う…」
あれから何分たっただろうか。クソ教師がスキーウェアを引き裂いたせいで、私が身につけているのはスウェットだけ。これで寒くないわけがない。手足の感覚がなくなり、目も開かない。
私、死ぬ…のか?
高校生にもなってないんだぞ。
まだやってないことだっていっぱい…あると思う。
こんなところで死にたくない
嫌だ
痛い冷たい苦しい
死n
そこで、私の意識は途切れた
「…?」
次に目を開けた時、凪は吹雪の中に立っていた。
「下にいる社会のゴミまで雪崩が届かなかったのは残念ですが、30分も埋まっていたんだしもう全員死んでるでしょう。スキー場で雪崩に巻き込まれて死亡というのはよくある話ですからね
「おい」
「おや?生きてたんですか。クズのくせにしぶといですね。」
「クズはお前だよ」
「何?」
「自分以外は全部クズみたいに言ってるけどさ、そんなこと言う権利がお前にあるのか?自分がクズだから他を見下して、優越感に浸りたいだけなんだろ?可哀想になあ。」
「あなたこそ、私にそんな口を聞いてよいとでも思ってるのですか?今度こそ殺してあげましょう。」
●●がナイフを投げつける。それを紙一重で避けた凪の右手に冷気が集中し、氷の剣が形成される。
「お前じゃ僕は殺せない」
「こいつ、まさか…ぐっ!」
凪の回転斬りが決まる。
「痛いだろ?クズ野郎。お前に苦しめられた人達はな、これよりもっと冷たくて痛かったんだ。まぁ、お前には一生わかんないだろうけどな。」
「-!」
氷の剣を突き刺され、声にならない悲鳴を上げて●●が絶命する。
「随分あっけない最後だったな。クズはクズってことか。」
冷たく言い放つと、凪は氷の剣を●●から引き抜いた
「あれ…私、確かあそこでクソ教師と会って、それで…どうしたっけ?」
気がつくと、私はスウェット上下という雪山に入るには自殺行為といえる格好で立っていた。右手に何か…氷の剣?!これ私が?夢…ではないような気がする。
「とりあえず…戻るか。リフト壊滅してないといいけど。」
「凪っち、お帰りー。ってなんでスウェット!?」
「風邪ひいちゃうよ!早く帰ろう!」
「あぁ…さ、寒いー氏ぬー(><)」
本当はちっとも寒くなかったけど、みんなをこれ以上心配させないためにこう言った。
さて、私が作ったあの剣・・・ちょっと安直かつ厨二くさいが、「Ice Blade」とでも名付けておこうか。
あの日から数ヶ月後、私は高校生になり新しい友達もできた。あの能力のことは頭から消えかけていた。
だがそのまた数ヶ月後にIce Bladeを再び振るうことになるのは、また別のお話。
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最終更新:2013年06月21日 21:16