「まーたなんだか騒がしいなぁ…。」
ショウゴは家路についていた。そして、いつものごとくストラウル跡地付近を通ろうとして、異変に気付いた。
いや、ここのところ夜騒がしいのは知っていたが、今日はなんだか妙な胸騒ぎがする。
「・・・覗いてみっか。」
ふと野次馬根性が頭をよぎる。
ストラウル跡地に向け、自転車を走らせる。
そして、戦闘が行われていることを遠目に確認すると
あるビルの横に自転車を停め、階段を上り戦闘を眺めた。
「すげぇな・・・こんな能力者達がいたのか・・・しかし敵も強いな!」
ショウゴのビルからは戦闘が全て見えた。
「知ってる顔も多いんだがなぁ…。」
知り合いの顔がある事に若干驚きながらも、戦闘を見ていた。
巨大なロボット兵器を相手に戦ってる方がアースセイバーなのだろう。
「ちょっと助太刀したいところだけど、そうしたらバレっからなぁ・・・」
アースセイバーに自分が能力者である事を知られる事もマズイ。
そしてこの場で無関係の俺が居ること自体もアースセイバーの足を引っ張る。
悔しいが手助けは難しい、そうショウゴは判断した。
しかし、巨大なロボット兵器から二人ほど降りてきた所でショウゴの考えが揺らぐ。
(アースセイバーの連中、あからさまに動揺している…?奴等、そこまで強いのか?)
ショウゴが腰のSAAに手を伸ばした時、ショウゴのいるビルとは違うビルが倒れた。
「!?」
三分割。戦場を分ける事は、この人数差なら普通だろうが、人間二人とロボット兵器一体の分け方という点ではいいかもしれない。
「まぁ、仲間外れにされたのはどうやら二人しかいないみたいだから、どちらかの戦線に別れれば・・・ん?」
敵方の銀髪の男が、もう一人の6腕の男を投げた。
(マズイぞ!あのままだと、2人しかいないあの区画に敵が!)
瞬間ショウゴはSAAを抜くと、圧縮空気を撃とうとした。少なくとも、
元の戦場に叩き落とすか、最悪あのロボット兵器に向けて吹き飛ばした方が人数の利があると思ったからだ。
しかし。
「ショウゴ君!あなたここで何を!?」
「げぇっ!」
慌ててSAAを隠し、振りかえるショウゴ。
「タカコさん、どうしてここに!?」
「たまたまこの近くを歩いてたらあなたが走ってくのが見えたわ!見つけるのに苦労したわよ・・・!」
走りまくって探しに来たのだろう、息が切れていた。
「早くこの場を去りましょう、ここは危険だわ!いつ巻き込まれても、倒壊したとしても、おかしくは無いもの!」
「でもこのままじゃアースセイバーが!」
「彼らは専門家でしょう!あなたは違うわ、一般人なのよ!?」
「うっ・・・」
引き摺られ、連れ戻そうとするタカコさん。
ショウゴは一瞬、迷った。ここでタカコさんに能力の事を打ち明けて、闘いに参加するか。自分の身を考え、おとなしく引くか。
(迷った自分が恥ずかしいじゃねぇか!)
即座にタカコさんを振りほどくと、ショウゴは窓に駆け寄りSAAを再び抜く。戦場をサイト越しに見た。
後でタカコさんには説明しよう。そう思って戦況を確認したが・・・
「駄目よっ!」
まさか、ここ(コンクリの床)で裏投げをしようとするなどとは思わなかった。
コンクリの床に叩き付けられ、ショウゴは悶絶する。
「死ににでも行くつもりなの?」
「痛ー!マジでそれは辛いタカコさん!」
さらに関節技を掛けながら絞め技をし、なおかつ抑え込むという鬼畜な寝技を掛けてきた。が、ここは畳の上ではない。
「あなたがそういうつもりならこっちも考えがありますよ!」
体中の筋力を使って、技が完全に決まる前にすり抜け、立ち上がった。
ちらりと戦場の戦況を確認するショウゴ。
どうやら先程の二人に助っ人が現れたらしいが、劣勢だ。圧されているのが分かった。
「どうしてそこまでするんです!?」
「・・・それは」
次の言葉をショウゴは聞き逃してしまった。なぜなら、そこに更なる闖入者が現れたからである。
「やっほー、部長さん!」
「・・・君は、トキコちゃんじゃないか。どうしてここに?」
「タカコ…さんとおんなじ理由だよー?早く帰らないと大変なんだから。」
「大変?」
不穏な空気をショウゴは感じた。この感覚…血と臓物の腐ったような感覚か?
トキコからではない…更に後ろに、誰かが居るような気がした。
「うん。私がごはん食べられないんだよー。」
部屋の入口にはスーパーの袋が。買い物の帰りだったのだろうか…。
「料理教えてくれるんだー。だから早く帰りたいんだー。」
「それじゃ、一緒に帰れば・・・」
「ショウゴ君!」
その瞬間、轟音と光が戦場の方から発せられた。
どうやら、下では結着がついたらしい。皆無事のようだ。
ショウゴはまったく手助けできなかった不甲斐無さに、隣の壁を叩いた。
「終わったのかしら?・・・早く帰った方がいいわね。」
「畜生…人的被害が無かったのはよかったが・・・。」
仕方なくビルから降りると、自転車に乗って急いで帰った。
走り去るショウゴを見ながら、タカコは溜息をついた。
(危なかった…もしあの子がZEAなどに見つかったら・・・)
タカコは今回の作戦について知っていた。だからこそショウゴを遠ざけようとしたのである。
(私も見つかる前に帰らなきゃ。もうそろそろZEAも地上に出てくるころだわ。)
そう、ショウゴがいたビルはZEAのいた地下の真上だった。
「おなかすいたー、早く帰って料理作ろうよタカコー。」
トキコに引っ張られ、その場を後にした。
「アースセイバー・・・そしてホウオウグループ、なるほど強い連中だな。」
ショウゴは考えながら自転車を走らせる。
(今のままじゃやっぱり力不足か俺は?・・・いや、要は戦い方だ。頭を使えばカバーできない訳じゃない。)
そして、1つの結論と1つの考えに至った。
(もっともっと訓練だ。さらに訓練を重ねて、能力を使いこなす。それだけじゃ駄目だ、自分の基礎身体能力も上げなきゃいけない。
・・・あと、今日見かけたうちの学校の連中、柔道部に誘ってみよう。)
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最終更新:2013年06月21日 21:18