閉店間近に店に入って来たのは、きれいな白髪に赤い目をもった高校生だった。
それを見た「彼女」は、すこしだけ入れるのをためらったが、黙って、誰もいない店の奥にいれた。
カウンターについた客…火波スザクは、出された水を一口含んだ。
「珍しいね、あんたが来るなんて。」
「彼女」は向かい側に立った。
夜遅いため、由衣と奏は既に2階にもどっている。
スザクは真っすぐに「彼女」を見据えた。
違う色味を帯びた赤い目と髪。スザクが「朱」なら、「彼女」は「紅」だ。
「別に。気が向いたから来ただけだ。」
吐き捨てるように、そういった。
「彼女」はふっとわらうと、自分の水をテーブルに置き、座った。
「あんたも頑固だね。まだウスワイアに入ってないらしいじゃないか。」
「個人の都合だ。水を注すことじゃない。」
「まぁね。私は勧誘する気はないよ。」
その言葉にスザクは少し顔を上げた。
「私は一介の
レストランの店長。ウスワイア公認でも、勧誘なんて関係ない話だよ。」
「よく言うな。あんたも現役時代は暴れまわってたんじゃないのか?」
「昔のこと。」
「2、3年が昔か?」
「過去過去。」
そういいながら水を含む「彼女」。しかし。
「…はじめてあんたを見たとき、驚いたんだよな…。」
「腕がなくてさ。」
その言葉に、手が止まった。
「…それも過去の話じゃないか。」
「でも、気にしてるんだろ?」
「…まぁね。」
「彼女」は混乱したようにかるく頭をかきまわす。
「私だって吃驚したさ。あんたが
ケイイチと同じ力を使うもんだから。」
「ま、知ってる人はそうだよな。」
「
チャドが「スゲーですぜ!」とかいってたっけ。」
「それも過去だろうが。」
「はいはい。」
都合がいい店長だ。全く持って。
「…じゃ、そろそろおいとまするよ。」
「ここにきて何にも頼まずか、あんた;」
「今度来た時に頼むよ。」
「何時になるか分からないじゃないか。」
「まぁな。」
「もう腕がないとか言っておどろかせないし。」
「分かってる。」
スザクは笑い飛ばすと、扉を開けた。
「…由衣達とも仲良くやってちょうだいよ。あの子、初めて学校が面白いって言ったんだから。」
「…ああ。」
二人の間は、それだけで十分だった。
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最終更新:2013年06月21日 21:26