残酷表現有。ぷっちんトキコちゃん。
『お前は、私の世界で何を望む?』
『…わたし、は…』
「……ん…」
目を覚ませば、そこはうちに似た、どこかの廃墟の一室だった。
___昔の夢か、あれは。
「…んーっ!くう~…」
軽く背伸びをして目を擦りながら、今見た夢を思い出してみた。
あれは昔、
ホウオウ様が私を拾ってくださって間もないころの時だった。
ホウオウ様が望む、『合理化された世界』…そこで私は何を望む、と問いかけられたんだっけ。
なんて答えたかは、あまりにも昔の出来事だったので忘れてしまったのだが。
そういえば、死期の近い人間って昔の夢をよく見るとか。
なんだか不吉だ。もうすぐ私は死んでしまうのだろうか。
「……あぁ、そっか。」
それを不吉だと考えてしまうのも、どうしてここにいるのかも、ある共通の理由があることを私は思い出した。…
ジングウだ。
先の『生物兵器騒動』の犯人にして、
都シスイ、闇野光一、
ハヤトといったアースセイバーの精鋭、
無所属でありながら学園の為に戦う火波スザク、ホウオウグループのエースであるリオト、以上五名と交戦し消滅したはずの人物、
そして絶対者であるホウオウ様を裏切った許されざる罪人。
何故あの男が悠々と施設の中を歩いていたのか、どうせ卑劣な奴のことだから何かしらの手はあったのだろう。
その素材は十分にあったんだし。施設で奴と目が合った時、すぐにでもその顔を握り潰してしまいたかったのだが、
あんな奴の血が自分の手につくと考えれば、それだけでゾッとした。ウイルスとかそういう理由じゃない、
吐きたくなるほど奴が嫌なだけ。その日以降はとても気分が悪く、何をしたかは覚えていない。
ただ、周りの死体を見ればだいたい何をしたかは把握がついた。
「…ご愁傷様。」
八つ当たりの対象となったモノに、せめてもの弔いの言葉を送った。
…私は今後、ジングウと関わりあうことはないだろう。ホウオウ様を裏切った、
それが一番の理由だが何より彼が『うそつき』であるからだ。リィに話を聞けば、
彼は自分の行いを反省し、再びホウオウグループに貢献することを誓ったという。
だが、私にはそれが嘘であることはすぐ分かった。決定的な理由はないけれど、
いつもと同じ、『嘘』が見えるだけ。
・・・私はあの一件以来、嘘に関しては非常に敏感になり、
酷い嘘でも優しい嘘でも嘘とつくものには許せない性分になってしまったのだ。
その対象は母から始まり、近所の人たち、ホウオウグループ、そしてクラスメイトにも
向けられるようにもなった。正直、クラスメイトの半分以上はこの街特有の『典型的な嘘』を
持っているから、好きにはなれない。しかし嫌悪する姿勢を見せていたら誰とも接触出来ない、
ホウオウ様から受けた仕事もこなせない。だから私も嘘をつく。正直、吐きたくなる。
ああ、ほら、またあの衝動が
「………」
ゴキャッ
死体、原型を保つ頭部、踏み潰す。
ゴキャッ、ガリッ
踏み潰す、踏み潰す、フミツブス。
ボ キ ン、プチッ
___あ、換えの着替えもってきてないや。
そんなことを潰した後に考えてしまったのだから、もう後の祭りだ。
・・・あーあ、今日は学校行けないや。せっかく今の今まで皆勤賞だったのに、こいつらや、
あいつのせいでパァになってしまった。とりあえず何か使えるものはないかと私はその死体を
漁り始めたのであった。
___その時、偶然にも死体の中に「Earthsaver」という文字を発見出来なかったのは幸か不幸か。
___私は、知る由もなかった。
朱鷺の衝動
最終更新:2011年02月23日 22:35