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**空が見える一日(昼飯時)
昼前
あの後、落着きを取り戻して皆が政庁に集まり、守上摂政と乃亜から話を聞き直したところによると概要はこうだった。
突然10mぐらいの大きな蛇(の神様)が天井をぶち抜いて落ちてきて、みんなで強制盆踊り大会を開催したらしい。
(天井は3階層までぶち抜かれたらしいが、不思議な事に天井に穴が開いた以外の被害は一切なかったらしい。)
最後はヘイリーさんと暮里さんが大蛇と踊りながら戦って、大蛇は上に戻っていって星になったらしい。
#ちなみに蛇神様は無事だそうだ。
そして疲労困憊しているが妙に体調が絶好調になった国民達が日向ぼっこをしている現在に至るらしい。
後、大蛇はタイガースファンだったそうで、その話を一緒に聞いていた王猫のトラさんは何とも嬉しそうに尻尾を振らしていた。
大体事態を飲み込んで蘭堂が最初に思った事は
「なるほど。では皆でおにぎりを作ろう。」であった。
くたくたになるまで体を動かす→腹が減る→兎に角、食べ物が腹一杯欲しくなる
という普段の自分の思考パターンがショートカットで浮かんだ結論であった。
提案したところ、直ぐに快諾された。
こんな事もあろうかと守上摂政が用意していた炊き出しセットを使って、
おにぎりと豚汁ならぬ怪獣肉汁・・は語呂が悪いので怪獣肉スープを調理する事になった。
良く洗った手に塩をふりかけ、丁寧に握られていくおにぎり。
ザクザクと手早く一口サイズに切られていくジャガイモや人参等のお野菜。
料理が苦手な面子はおにぎりを、得意な連中は怪獣肉スープをと役割分担しながら順調に調理が進んでいく。
鰹節と昆布で取った出汁を張っている寸胴にお味噌を溶き、怪獣肉、一口サイズの野菜が順番に投入される。
じっくり良く煮込む事で辺りにお味噌と怪獣肉の香りが漂いだす。香りに刺激されて周囲の国民の人達が集まってくる。
出来あがった料理はアルミの食器に取り分けられるとトラさんの指示のもと、
次々と猫士達が陽だまりで休んでいる人や香りに釣られて集まってきた人達に配膳していく。
昼過ぎ
空腹は最高の調味料だったらしく、料理は作った端から瞬く間に国民の皆のお腹に収まっていった。
調理と配膳が一段落した頃にはすっかり昼過ぎになっていた。う、腕がダルイ。
そして藩国部隊と猫士達の面々も漸く日向ぼっこできる3階層の陽だまりで昼食中である。
早速取り出したおにぎりにかぶり付く蘭堂。
ほんのりと口に広がる塩味と海苔の風味、中に入った梅干しの酸味が食欲を掻き立てる。
ご飯を頬張りながら怪獣肉スープを口に含む。野菜の甘さが良く出ていて実に上手い。
瞬く間に平らげられるおにぎりと怪獣肉スープ。
うーん、幸せ。たっぷり働いた後の飯はやっぱり格別だ。
周りでは乃亜がヘイリーさんに自らが腕を振るったベーコンと茸の炒めた物やタオシム乳のチーズ、甘くて栄養満点な干したなつめやしの実を差し入れしていたり、
イズナとホードーが幾つおにぎりを食べれるか競争していたりするのが見える。
怪獣肉スープで煮込んだ雑炊にたっぷりの鰹節を塗した特製ねこまんまが余程お気に召したのか猫士達がうにゃうにゃと鳴きながら食べているのが聞こえる。
ま、賑やかな中で食うっていうのも、ワンポイントだよな。とずずっとスープを飲み干す。