ある日、色と光に魅了されたマネは木の下に人物たちのいるタブローを外光で描こうとした。描いている途中にルノワールが着いた。その時刻の魅力がルノワールの心も捕らえた。彼は私にパレットと筆と画布を貸してくれるように頼むとマネと並んで描き出したというわけだ。目の隅でこのルノワールをじっと観察していたマネは時々その絵のそばにやって来た。そしてちょっとしかめっつらをすると、そっと私の側を通ってルノワールを指しながら「あの若者はまったく才能がないね。君は彼の友達だろう。彼に絵はあきらめるように言ってやり給え」と耳元で囁くんだ。マネがこんなことを言うなんておかしいだろう。
１９２４ エルダー
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