リリカル遊戯王GX 第八話 恐怖のバーンデッキ! 守り抜けブラストフレア!

なのはが人生初の告白に困惑している頃、天井裏では十代とヨハンの二人が保健室へ向けて進んでいた。

「っ!? 十代、あれを!」
「保健室の天井が、開いてる!?」

真下には保健室があるであろう位置、
そこの天井の一部が無理矢理破られていた。
すでにゾンビが入り込んでいたのかと焦り、二人は急いで保健室の中へと降り立つ。

「鮎川先生、レイ! 無事か!?」

荒れている室内を見渡し、ベッドに眠っているレイとその傍に座っている鮎川を発見する。
無事だったとほっとしながら声をかけるが、鮎川はこちらを向こうとしない。

「鮎川先生? 薬を持ってきたぜ、早くレイに……」
「……薬? ああ、そうだったわね……でもね、ダメなのよ」
「え……?」

それはどういう意味なのか、
もうレイは手遅れだったのか、自分たちが来るのが遅すぎたのか。
十代は愕然とするが、どうにも様子がおかしい鮎川にヨハンは警戒を強める。

「だって……レイちゃんにはこのまま仲間になってもらわないとねぇ!」
「なっ、鮎川先生も!?」
「十代、気をつけろ!」

ヨハンの言葉に回りを見ると、すでに入り込んできていたであろうゾンビ生徒達が物陰から現れる。
二人はディスクを構えるが、鮎川が他のゾンビ達を制止した。

「ダ・メ・よ……この子達は、私の獲物なんだから、ウフフ……」
「くっ、鮎川先生をなんとかしないと、レイに近づけない……!」
「鮎川先生、俺が相手だ!」

ヨハンはレイの側から鮎川を引き離そうと考えるが、
その間に十代が前に出てディスクを展開する。

「十代!? ここは俺が――」
「いや、ヨハンは砂漠でデュエルをしちまってる! ヨハンはレイを頼む!」
「くっ……わかった!」

鮎川がディスクを展開する一瞬の隙をついて、ヨハンはレイを抱きかかえてその場を離れる。
だが、扉の前に他のゾンビ生徒が立ちふさがりヨハン達の逃げ場を塞いでいた。

「ダメよ……みんなここで仲間になるんだから……」
「鮎川先生……ちくしょう、デュエル!」

―十代 LP4000― ―鮎川 LP4000―

「私のターン、堕天使ナース-レフィキュルを召喚」

鮎川の場に、全身を包帯で巻かれた悪魔の羽を持った看護師のようなモンスターが召喚される。
―堕天使ナース-レフィキュル― 攻撃力1400 守備力600 効果モンスター
その召喚された時の衝撃が狭い室内で暴れまわり、壁や天井の一部が軋みをあげる。

「うわっ! こんなところだと、モンスターを召喚するだけで一騒動だぜ……」
「二枚のカードを伏せ、ターン終了よ」

予想以上の衝撃に部屋が大丈夫か不安に思いながらも、十代はカードを引く。

「俺のターン、ドロー! 魔法カード融合を発動、手札のフェザーマンとバーストレディを融合! フレイムウイングマンを特殊召喚!」

―E・HERO フレイムウイングマン― 攻撃力2100 守備力1200 融合・効果モンスター
翔達から逃げる時に呼び出したしたモンスターを再び召喚するが、その瞬間鮎川の場のカードが発動する。

「永続トラップ発動、ダーク・キュア! 相手の場に召喚されたモンスターの攻撃力の半分の数値分、相手のライフを回復する!」
「なっ、俺のライフを回復? いったい何を……」
「更に堕天使ナース-レフィキュルの効果発動、相手のライフ回復効果が逆転する。喰らいなさい!」
「うわぁぁぁぁ!! く、くそっ……そういうことかよ……!」

―十代 LP2950―

「十代!」
「だ、大丈夫だ! 要はレフィキュルを倒せばいいんだろ、攻撃力はフレイムウイングマンのほうが高いぜ!」
「残念ね、永続トラップ、サディスティックポーション発動。相手にカードの効果でダメージを与えたターン、一体のモンスターの攻撃力を1000ポイントアップ!」
―堕天使ナース-レフィキュル― 攻撃力2400(ターン終了時まで)
「なっ! フレイムウイングマンの攻撃力を上回った!?」
「ちゃんと予防接種はしないとダメよ? うふふ……」
「くっ……俺はカードを三枚伏せ、ターンエンド……!」



ティアナの放った魔力球が斧を持った戦士のモンスターに斬り捨てられる。
―アックスレイダー― 攻撃力1700 守備力1000 通常モンスター
その隙に脇を駆け抜け前方の敵の配置を確認する。
スバルもティアナもほとんど魔力が残っていない、その上スバルはエリオとフェイトの二人を背負っているため反撃することもままならなかった。
最小限の牽制をかけてわずかな隙を100%以上活用、それでもこの包囲を突破できるかはわからない状態だ。

「ティア、また来るよ!」
「わかってる! 二人を落とさないでよ!?」

ディスクを構えるゾンビに向かってクロスミラージュを向け、
その射撃から主を守ろうと巨大な盾を持ったモンスターが射線上に割り込んでくる。
―ビッグ・シールド・ガードナー― 攻撃力100 防御力2600 効果モンスター
ティアナはその巨体と盾によって視界が塞がれたそのゾンビを無視し、そのまま走り抜ける。
最小限、最低限の動きで包囲網を突破し――背後から聞こえてきた悲鳴に足を止めてしまう。

「スバ――っ!?」
「ティア、避けて!!」

目を覚ましたエリオが暴れ、それを抑えながらスバルが叫ぶが、その瞬間にはティアナの体に飛来した鎖が巻きつき捕らえられていた。
焦りながら鎖をはずそうともがくが、鎖は更にティアナの体を締め上げる。
スバルもフォローに回りたかったが、フェイトを背負いバインドがかかっているとはいえ暴れるエリオを抑えていては身動きがとれない、
そんな二人へ「鎖付きブーメラン」を持ったアックスレイダーが迫るが、白い影が飛び込んできた。

「フリード!」
「チビ竜!?」

突然現れたフリードに驚く間もなく、アックスレイダーへ火球を放って吹き飛ばし、フリードはエリオの側へと飛んでくる。

「キュル……」
「ふ、フリード、ダメだよ……今のエリオは……!」
「フリードも、戦いたいのかい……?」

フリードはスバルに抑え込まれながらも呟くエリオの瞳をじっと見つめ――

「キュウ」

火を吐いた。

「うわぁ! エリオー!?」
「ち、力づくで黙らせるって……キャロと一緒の時は気付かなかったけど、意外と鬼なのね、あんた……」

スバルは再び気絶したエリオを抱きかかえ、なんとか鎖から脱出したティアナと共に走り出す。
フリードが前に出てゾンビやモンスターたちを牽制していく、
頭数が一人増えるだけで取れる戦略は膨大に増える。
それは逆に非効率的な行動を取りやすくもなるということだが、ティアナはそんなミスは犯さず、フリードとスバルに的確な指示を出しながら通路を駆け抜けていった。



アモンが戦っていたゾンビが倒れ伏す。
デュエルに勝利し、デスベルトによる虚脱感に顔を顰めながらもこれからの行動に関して思考を巡らせる。
このまま保健室に向かっても、十代達がすでにレイを救助している、もしくは敗北してゾンビ化しているかのどちらかだろう、
ならば先に体育館へと向かい、守りを固めていた、と言う方がメリットが大きい。

「ちっ、長々と考える時間もないか」

起き上がり始めたゾンビに舌打ちしながら、体育館へと駆け出していく。

「待ってろよ十代、すぐに行くぜ!」

ゾンビを倒し、ジムは迷わず保健室へと向かっていた。
だが、彼の前に新たなゾンビ達が立ちふさがりディスクを展開する。

「くっ! 次から次へと……このままじゃ……!」



オブライエンはゾンビ達から逃げながら思考を巡らせる。
なのはの援護で大分数は減ったが、だからといってまともに戦ったのでは別のゾンビが来る可能性が高い、
向こうも手間取っているのか、なのはが駆けつけてくれる様子もなく、オブライエンは自力でゾンビ達を撒くルートを考えそちらに進路を変えた。



なのはは早くオブライエンの援護に向かいたかった、それなりの数は引き付けたとはいえ、まだまだ彼に向かったゾンビは多いのだ。
だが――それ以上にこの目の前の状況をなんとかしなければならなかった。

「うおおおおお! 彼女には触れさせない!!」
「……ユーノくーん……」

恐らくなのはとの距離が最も近いであろう無限書庫の室長の名前を思わず呟きながら、なのはは頭を抱える。
バスターブレイダーは確かに強い、力だけでなく、その剣技も目を見張るものがあった、
自分とフェイトの二人がかりで戦ってもかなり苦戦をするであろう、そんな彼(?)が味方になってくれたのは心強いのだが――

「今度こそいくよ、レイジングハート!」
『……All right』

疲労など感じないはずのレイジングハートの声が疲れたように聞こえたのはなのはの気のせいではないだろう。
何しろ――

「アクセルしゅ――」
「うぉりゃぁ!」
『……』

なのはが狙いを付けた端からバスターブレイダーが斬り裂いていき、なのはは先ほどからさっぱり攻撃ができていない、
どうやら「なのはが迎撃態勢に入る」→「なのはが狙ってる敵はなのはを攻撃しようとしている」→「やらせるか!」という凄まじい思考が働いているようだ。
このままではバスターブレイダーに任せるしかなく、一体ずつしか倒す術のない彼のみではここにいるゾンビ達をたおすのには時間がかかってしまう。

「ば、バスターブレイダーさん……でしたっけ?」
「ええ、その通り! 何かあったか!? おおっとさっきの返答ならばこいつらを倒してからで構わないぞ!」
『マスター、後ろから撃ち抜きましょう。その方が早いと判断します』
「レイジングハート、落ち着いて……そ、その、私仲間を待たせているので、急ぎたいのですけど……」

何故か敬語になってしまうなのはに、バスターブレイダーは少しだけ思案し……大きく頷く。
そしてどうするかと思ったら――今まで迎え撃っていた戦法を突如変え、相手へ目掛けて突っ込んでいく!

「ふ、ふぇ!? そんな無茶な!」
「足りない! 足りないぞぉ!」

心配するなのはを余所に、一斉に襲いかかってくるモンスターたちを次々と斬り裂きながらバスターブレイダーは叫ぶ。

「貴様たちに足りないもの、それは!」

次々と散っていくモンスターたちにゾンビは焦り、カードをセットしていく。

「情熱思想理念優雅さ勤勉さぁ! そしてなにより――」

どこかで聞いたようなセリフを吐きながら大きく剣を振りかぶり――

「愛が足りないっ!!」

最後の一体を真っ二つに切り裂いた。
なのははあまりの光景に唖然とするばかりで、バスターブレイダーはそんな彼女に兜の下で笑いながら振り返り――砕け散る。

「え……!?」
「トラップカード、道連れ発動……自分のモンスターが破壊された時、相手のモンスターを一体破壊する……」
「そ、んな……!」

別段、なのははバスターブレイダーを仲間だとも思ってはいなかった。
戦いの中で召喚された以上、どちらが勝ったにせよそのバトルが終了すればその時点で消えてしまう運命なのだ。
いくらなのはでも、そのような存在に情を持つほど愚かではなく、むしろしつこい求愛から逃れられて助かったぐらいである。
そう、だから――

『……マスター』
「……本当に、カードゲームなんだね。こんなにも、あっさりと……」

だから、なのはは冷静だった。
冷静に――怒りを感じていた。
相手へなのか、それとも自分へなのか、何に向けての怒りなのか、それすらも分からぬまま……なのははレイジングハートを振りかざす。

「エクシードモード……ドライブ!」

エクシードモード、なのはの強化形態であり、以前無茶をして倒れたなのはの事を気遣われ負担を減らしたモードでもある。
姿の変わったなのはに怯えるように、ゾンビは慌ててカードを発動させる。

「マジックカード……融合、手札のキャノンソルジャーと融合生物を融合し、迷宮の魔戦車召喚……」

全面にドリルが三つついた、巨大な戦車が現れなのはへと突撃する。
―迷宮の魔戦車― 攻撃力2400 防御力2400 融合モンスター
まともに食らえばなのはの体などあっさりと吹き飛ばされてしまうだろう、
だからこそ――撃ち抜く。

「ディバインバスター!」
「っ!?」

先ほどと比べ遥かに高密度、高精度になった魔力砲撃が魔戦車を貫き破壊する。
このモンスターはなのはが撃ち負けたバスターブレイダーにも迫る攻撃力をもっていたはずだが、それがあっさりと倒されたことにゾンビ達はわずかに動揺を見せた。

「レイジングハート、一気に片付ける!」
『All right!』

ゾンビが次の手を打つよりも早く、なのはは高速移動魔法で天井近くまで舞い上がりゾンビ達が全員見渡せる位置で構える。
なのはが魔力を解き放つ寸前になってようやく何匹かのモンスターが召喚されるが――遅い。

「アクセルシューター……広域爆撃!」

ティアナのクロスファイアを遥かに超える、視界を埋め尽くすほどの魔力球が放たれる。
いくらなのはであっても、この量の魔力球を制御しきることは不可能だ、
ならばどうするのか――簡単である、制御しなければいい。

「シュート!」

無数の魔力球、それが全てなんの制御も受けずに落下していく!
誘導制は確かに0だ、だが、この目の前全てが桃色の光に埋め尽くされている状態で、魔力を扱えない人間にそれが何の気休めになるだろうか?
数秒後……そこには倒れ伏したゾンビ達と、ゆっくりと降りてくるなのはの姿があった。



「私のターン! 魔法カード、篝火を発動、デッキからレベル4以下の炎属性モンスター、燃える藻を一体手札に加える……さらに、魔法石の採掘を発動!」
「二枚カードを捨てて墓地の魔法カードを一枚手札に加えるカード……まさか!?」
「そう、私は二枚の燃える藻を墓地へ捨て、篝火を手札に加える。そして燃える藻の効果発動! このカードが墓地へいった時、相手のライフを1000回復する!」
「その効果は……レフィケルによって逆転する!? 十代!」
「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」
「さらに、サディスティックポーションの効果でレフィケルの攻撃力アップ!」

―十代 LP950―

大幅にライフを削られ、十代は堪らずその場に膝をつく。

「なんてデッキだ……バトルをせずに、どんどんライフを削られていく……!」
「まだよ、私はもう一度篝火を使い三体目の燃える藻を引き、攻撃表示で召喚! さあ、フレイムウイングマンに負けてらっしゃい!」

―燃える藻― 攻撃力500 守備力1500 効果モンスター
燃える藻ではフレイムウイングマンには勝てない、そしてそのまま墓地に行けばレフィケルによるコンボによって十代は敗北する……
咄嗟に十代は場のカードを発動させてその攻撃を凌ぐ。

「トラップカード、HEROバリア! E・HEROへの攻撃を一度だけ無効にする!」
「よし、なんとか凌いだ……!」
「ふふ、でもレフィケルの攻撃は防げないわよ?」

鮎川の言葉と同時に、レフィケルの髪が刃となってフレイムウイングマンを斬り裂き破壊する。

―十代 LP650―

圧倒的に有利な立場となり、鮎川は笑みを深くし――十代も笑みを浮かべる。

「っ!?」
「トラップ発動! HEROシグナル! デッキからE・HEROと名のつくレベル4以下のモンスターを特殊召喚する!」
「なっ、十代正気か!? お前のライフじゃ、何を呼び出しても致命傷だぞ!」
「俺はワイルドマンを特殊召喚!」

ヨハンの忠告を流し、一人の屈強な戦士が召喚される。
―E・HERO ワイルドマン― 攻撃力1500 防御力1600 効果モンスター

「ふふ、この瞬間、ダーク・キュアはつど――発動、しない!?」
「ワイルドマンは孤高の戦士、罠になんかかからないぜ!」
「トラップを無効化するモンスター……!」
「更に魔法カード、天使の施しを発動! カードを三枚引き、二枚を捨てる」

引いたカードを見て十代は笑みを増す。
このターン十代に効果ダメージはないため、レフィケルの攻撃力は1400のまま……

「いけ! ワイルドスラッシュ!」
「くっ!」

―鮎川 LP3900―

鮎川のコンボの基点であるカードを破壊するが、十代は攻撃の手を緩めない。

「伏せカード発動、リビングデッドの呼び声! 墓地からエッジマンを特殊召喚する!」

―E・HERO エッジマン― 攻撃力2600 守備力1800 効果モンスター
天使の施しによって墓地にいったエッジマンが場に召喚され、更にアンチ・キュアの効果で十代のライフも回復する。
―十代 LP1950―

「しまった……!」
「いいぞ、レフィケルがいない今、回復効果はそのまま適用される!」
「まだまだぁ! エッジマン、燃える藻に攻撃!」
「くぅっ!」

―鮎川 LP1800―
―十代 LP2950―

ライフポイントで逆転され、鮎川は顔を顰め――続けて出された十代のカードに動きを止める。

「速攻魔法発動! 速攻融合! 場のワイルドマンとエッジマンを融合し、ワイルドジャギーマンを召喚!」

―E・HERO ワイルドジャギーマン― 攻撃力2600 守備力1800 融合・効果モンスター
―十代 LP4250―

「これで、止めだ!」
「きゃああああ!!」

―鮎川 LP0―
ワイルドジャギーマンの攻撃を受けて鮎川が倒れ伏す。
だが、その一撃が止めとなり、デュエルの余波を受け続けていた保健室が崩壊を始めてしまう。

「や、やばっ!」
「十代、こっちだ!」

レイを抱きかかえたままヨハンが駆け出し、十代もそれに続く。
保健室の扉はゾンビ達が塞いでいたが、この崩壊によって崩れてしまった壁から外に脱出する。

「いってぇ……よ、ヨハン! レイは無事か!?」
「ああ、よく眠ってるよ」
「はは……こんな状況で寝てられるなんて、大した奴だぜ……っ!?」

呟きながら保健室を振りかえり――硬直する。
保健室「だった」場所は瓦礫の山となっており、十代は鮎川や他のゾンビ達が潰されてしまったのではないかと慌てて駆け寄ろうとするが――

「逃がさないわよ……十代君……デュエルしましょう……!」
「あ、ゆかわ先生……」

瓦礫の山から這いずり出てくる姿に、十代は恐怖する。
その姿は本当にゾンビのようで、そんな状態でもデュエルをしようと近づいてくる。

「十代君、ヨハン君!」
「なのはさん!?」

なのはは無事な三人の姿を見て胸を撫で下ろすが、鮎川達が立ち上がろうとするのを見てヨハンからレイを受け取る。

「急いで体育館へ!」
「で、でもオブライエン達は!?」
「大丈夫、みんなには誘導弾を送っておいた、安全なルートを見つけられるはず!」
「よし、十代行くぞ、ゾンビ達が集まってくる!」



「スバル……生きてる?」
「なん、とか……」
「キュル―」

体育館まであと少しの所まで来ながら、スバル達は通路の影に隠れながらへたり込んでいた。
完全に体力と魔力を使い果たしてしまっていた、フリードが心配そうに鳴くが、それに応える余裕さえない。
とにかく少しでも回復を……そう考えた直後、まるで眼球のようなモンスターが二人の目の前に現れる。
―異次元の偵察機― 攻撃力800 守備力1200 効果モンスター

「なっ――!」
「ティア、来るよ!」

影から顔を出すと、ゾンビ達がこちらに向かって真っすぐにやってきていた。
目の前のモンスターは行動をしようとせず、ただ辺りを漂うだけだ、
――このモンスター、まさかレーダーの役割を!?
ティアナはすぐさま撃ち落とそうとするが、腕は上がらず、魔力球も生成できないことに気づく。

「まずっ……チビ竜!」

ティアナの合図でフリードがモンスターを破壊する。
だが、すでにゾンビ達はすぐそばまで来て――突然現れた恐竜に吹き飛ばされた。

「え……!?」
「よかった、間に合ったザウルス!」

剣山が二人へと駆け寄り、エリオとフェイトを抱え上げる。
呆然とする二人へ少し申し訳なさそうにしながら説明する。

「キャロちゃんには二人を信じるって言ったけど、俺に混ざっている恐竜さんのDNAが何かを伝えてきたんだドン」
「きょ、恐竜のDNA……!?」
「それで二人を助けにきたザウルス、俺について来て欲しいドン!」

二人が色々と突っ込むより先に、剣山は呼び出したモンスターの後に続き走りだす。
慌てて二人も限界を告げる体を酷使しながら後に続いていった……

続く



十代「やばいぜ、みんな空腹が我慢できなくなってきちまった!」
なのは「みんな落ち着いて! ここで仲間割れをしても意味がないよ!」

次回 リリカル遊戯王GX
 第九話 学園分裂!? 腹ぺこデュエル!

十代「こうなったら、ヨハン達に全てを託すぜ!」
なのは「おかしい、このデュエル……まるで私たちの目を集めるかのような……」

なのは「今回の最強カードはこれだよ!」

―フリードリヒ―
光属性 ドラゴン族 ☆4
攻撃力1300 守備力800
このモンスターが召喚された時、相手の場の魔法・罠カードを一枚破壊することができる。

なのは「フリードの真の力はキャロがいた時に発揮されるんだ♪」
十代「次回もよろしくな!」

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最終更新:2007年12月11日 17:04