魔法少女リリカルBASARAStS ~その地に降り立つは戦国の鉄の城~
第八話「戦国最強がいなくなった世界/戦国最強が戻ってきた世界」
「・・・・」
すっかりただの瓦礫となった機動六課本部。
その部隊長室だった場所に佇む部隊長、八神はやて。その手にはかつて本多忠勝が背負っていた紋章。
しかしその紋章もボロボロになる。肝心の本多忠勝は、
死亡者扱い。はやてはやりきれない気持ちでいっぱいだった。
誰もいないその場所で、紋章を抱いて崩れ落ちるはやて。
「・・・守るって・・守るって約束したはずやのに・・・・したはずやのに・・・守れん・・かった・・・!!」
紋章に雫が一つ、それは優しき夜天の王の目から流れ落ちた、涙。
「さすがの俺様でも、こういうときは見守るに限るね・・・。」
元親に連れられ六課に来た佐助は物陰に隠れ、ポツリと呟く。
「で・・貴方達は忠勝さんの・・知り合いなんですか・・・。」
フェイトは一人の男と話をしている。が、非常に話しにくそうにしている。
理由は、その男が大きすぎるのだ。その身長は軽く行っている。
「うむ・・・。しかし本多が・・死んだだと?」
その男、豊臣秀吉はまだ疑っていた。
戦国最強であるはずの男が死んだ。にわかには信じられないことだ。
フェイトは目を逸らし、語るのも辛そうにしている。
「えぇ・・・。ガジェットドローンの大群にたった一人で挑んで・・・。」
「すまない、古傷を抉ってしまったようだな。」
「いいんです・・事実ですから・・それより、私と一緒に来てください。」
「応。」
秀吉、フェイトは長い廊下だった場所を、歩き始める。
「えっと・・じゃあ元親さんは忠勝さんの知り合い・・で、鬼ヶ島の鬼・・と?」
「見かけは人間に見えますが・・。」
「オイオイ、鬼ヶ島の鬼は通り名だ。意味を鵜呑みにするんじゃねぇよ。」
エリオ、キャロと話しているのは長曾我部元親。
彼はなのはに言われ、エリオとキャロをお見舞いに行って緊張をほぐしてきてほしいと言われここに来た。
ちなみに元親、子供は苦手だ。
(ったく・・・なんで俺がガキの相手を・・第一今落ち着くべきはアンタの方だろうが・・・)
心の中でぼやくが彼は気づいていない。
元親のおかげで少し、二人の表情は何か吹っ切れたような感じをしていた。
病院の一室に、風魔小太郎とスバルはいた。
だが、どちらも話そうとはしない。むしろ、この静寂が気持ちよかった。
スバルは風魔がお見舞いに来てくれたのでなんとか元気な姿を見せようと振舞った。
風魔のほうはスバルの言葉に耳を傾け、窓を開けて風景を眺めていた。
で、自分も何があるんだろうと思い、風景を眺めている。わずかに吹くそよ風、ゆれる木々、舞う葉。
「ねぇ、風魔さ・・・あれ?」
横を見ると、誰もいなかった。
「スバルー、入るわよー。」
同時に入ってきたティアナ。ティアナはスバルの顔を見るとちょっと意外そうだった。
「どうしたの?なんか、顔色、よくなってるわよ?」
「え・・ええ?そうかなぁ・・・?」
きっとそれは、風魔独自の励まし方・・・なのかもしれない。
結構無理やりだが。
「・・・かつ・・・ただ・・・・ただ・・・!」
どこからか自分を呼ぶ声が聞こえる。その声は懐かしく、聞きなれたもの。
声はだんだんと大きくなり、自分の視界も明るくなる。
「忠勝!!おぉ、起きたか忠勝!!はっはー!!」
大喜びで叫ぶ黄色い鎧を着けた男。それは自分もよく知ってる男であった。
主、徳川家康。主がここにいるということは、自分は戦国時代に戻ってきたのか?
そんなことはありえない。自分は今敵と戦っている。早く起きて殲滅せねば!!ヴィヴィオが連れ去られる前に!!
「おわっ!?どうした忠勝!?」
現実は無情であった。見慣れた木造の壁。・・・本当に戻ってきたみたいだ。
何故だろう、いい気分が全然しない。
よく見ると体は上半身右半分、そして頭だけだ。喜ぶ主には悪いが、今自分はとても虫の居所が悪い。
だが、主は
「落ち着け!今この町一番の技師を呼んできて新しい体と武器を作ってやる!!そしたらもう一度オメェが行ってきた世界で、守りたいものを守るのだ!!」
「ただし!!条件がある!」
条件?何のことだろうか。主は満足げに三つの宝石を取り出した。
黒、金、桃の三つの宝石。
「まだ実験段階だが・・・持っていけ。きっとあっちでオメェの役に立つはずだ!」
新しい兵器ですか。わかりました。その条件、飲みましょう。しかし、早くしてくれると・・・ありがたい。
早く・・・ヴィヴィオを助けにいかねば!!
その頃ミッドチルダでは機動してしまった聖王のゆりかごを止めるために戦艦、アースラに六課メンバーとHERO、つまり
風魔小太郎達が集められていた。途中で映し出されたニュースの映像、スカリエッティの犯行声明だった。
そこに映るは助けを呼ぶヴィヴィオ。ゆりかごの船首に仁王立ちする第六天魔王。
ガジェットドローンの大群。・・・そして、量産された戦国最強、本多忠勝。
アースラメンバーはその映像に驚愕しながらも、それぞれの戦場に赴く。
最終更新:2007年12月27日 14:07