それにしても……。
「提督、いくら連れの『あの人』がいたからって、あんな無防備なことで良いのかな」
「なのはさん?」
「いえ、ヤン提督って、結構有名な人ですから、色々狙う人たちがいて……」
「へえ、何となく察してはいましたが、……成る程」
 相づちをうつクロ。
「だから、本当は護衛の人がついてなきゃいけないんだけど……」
 訝しむなのは。

《マスター》
「何、レイジングハート」
《上空から通信です》
「えッ、上から? 誰だろう……」
《マスターもよく知っている存在です。IFFの確認も完了しています》
「……解った、読んでみて」
 RHは、その謎の通信文を読み上げた。


〈This is B‐1
 Wonder is not verified within radius 200 meters

                          Mission CMPL 
                                  RTB〉


「……成る程、ね」
「なのはさん?」
「どうやら、頼もしい護衛が、遙か上空にもいたみたいですね」
 そうして、なのはは空を見上げ、肩をすくめた。

「ちょっと気まぐれな天かける妖精の女王、『メイヴ』がね」

「へえ、妖精の女王様の加護、ですか。少々気まぐれでも、それは結構頼もしい護衛かも知れませんね……」
 そう言って、帽子の鍔をめくりつつ、クロも見上げる。

 あの一筋の飛行機雲は、その形を徐々に崩し始めていた――。

「お疲れ様です、深井大尉」



『棺担ぎのクロ。リリカル旅話』
     インターミッション1・CMPL

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最終更新:2010年01月10日 02:05