その夜、少女達が出会ったのは新たな仮面ライダー。
 新たな仮面ライダーは、「ZECT」という組織の一員だと語った。
 ZECTとは即ち、化け物を排除する為に設立された特務機関。
 街の平和を脅かす化け物と、人知れず戦いを繰り広げる集団。
 それは、少女達にとって余りに突然過ぎる邂逅であった。


 ACT.3「赤と黄色、ライダー二人」


 その日の夜、なのはは突然呼び出された。
 何処に呼び出されたかと言うと、次元空間航行艦船アースラと答える事になる。
 呼び出しの主は、アースラの新任艦長であるクロノ・ハラオウンだ。

「――と言う訳で、時空管理局は今後ZECTと協力して戦う事になった」
「えっと……ちょっと待って、どうして時空管理局がこの世界の戦いに介入出来るの?」

 話を聞いて、それでも理解出来ず、首を傾げた。
 そもそも化け物が人々を襲うのは、97管理外世界という世界の中での出来事だ。
 一つの管理外世界の出来事に、時空管理局が介入して良いという法は無い。

「僕にも詳しい事は知らされていないが、本局からの指令だ。
 何でも一連の怪事件の裏には、次元犯罪が絡んでいる可能性があるらしい」
「次元犯罪……? それって、ジュエルシードの時みたいに……?」
「PT事件とはまた訳が違うが……まぁ、そんなところだろう」

 ならば、この事件は何を以て解決とするのだろう。
 ただ現れた敵を倒し続けるだけで、いつかは次元犯罪の元凶に辿り着けるのだろうか。
 そんな疑問を抱くが、疑問はそれだけに尽きない。
 解らない事が、多過ぎる。

「でも、ZECTはこの世界の組織だよね? 協力するって言ったって、管理局と何の関係が……」
「それに関しても説明するよ。まず、これを見て欲しい」

 言いながら、ブリッジのパネルを数回叩いた。
 モニターに表示されるのは、一人の日本人の顔写真。
 黒髪の短髪で、優しそうなイメージの青年だ。

「この人は……?」
「この男の名前は立川大吾。本局から増援としてアースラに派遣される事になっている」
「え……でもこの人、日本人、だよね……? それがどうして本局に……?」
「さぁ、そこまでは僕も知らないが……少なくともこの男は、ZECTの関係者だそうだ」

 ようやく話の全容が少しだけ見えて来た。
 ZECTと協力体制になると同時に、ZECTの関係者が本局から派遣される。
 つまり、この男は管理局とZECTを繋ぐパイプラインという事か。

「この人と協力して、化け物から皆を守るのが、私達の新しい仕事……って事だね」

 とりあえずは、理解した。
 なのはが頷くと同時、アースラのブリッジへと続くドアが開いた。
 中から現れたのは、茶髪の少女と、話題の渦中である人物。

「はやてちゃん!」
「あ、なのはちゃんも来てたんやね。こんばんは~」

 いつも通りのとぼけた態度で、はやてが微笑む。
 一緒に居る男も、軽く一礼。それから、クロノの前に立った。
 見た所、この男ははやてが連れて来た、という解釈で良いのだろう。

「初めまして。管理局本局から、ワーム対策班としてアースラに派遣された立川です」
「私は時空管理局特別査察官の八神はやてです」

 相変わらずのとぼけた微笑みで、はやてが立川に続いた。
 苦笑しながら、「もう知ってるよ」と軽くはやてに突っ込みを入れる。
 それはさて置いて、はやては恐らく立川と言う男の案内役としてここへ来たのだろう。
 そう判断して、話を続ける。

「えっと……立川さんは、ZECTの一員って事でいいんですか?」
「いえ……正確には私はZECTではありませんし、ZECTの内部構造についても余り把握していません」
「つまり、あくまでZECTの関係者……言わばVIPみたいなものって事やね」

 はやての言葉に、成程、と頷いた。
 立川もその説明に特に不満を出す訳でも無く、説明を続けた。

「私の仕事は、ワームとライダーシステムに関する情報の提供とサポートです
 これから宜しくお願いします、皆さん。解らない事があれば私に質問して下さい」
「ちょ、ちょっと待って! また良く解らない単語が二つくらい出て来たんだけど……」

 慌てて質問する。
 ワームという言葉も初めて聞いたし、ライダーシステムという言葉にも勿論聞き覚えは無い。
 恐らく文脈からして、仮面ライダーと化け物の名称なのだろう。
 が、何も聞かされて居ない今、詳しく聞いておく事に越した事は無い。
 立川自身も、それに関して説明しようと口を開いた――その刹那。
 鳴り響いたのは、異常事態を知らせる警報。

「ワームか……!」
「え……な、何が起こったの?」
「ワームが現れたようです。犠牲者が出る前に、現場に向かって下さい!」

 緊急事態なのだと言う事だけは、理解出来た。
 あのオルフェノクのような化け物が、また誰かを襲おうとしているのだろう。
 ならば、話は早い。なのはのするべき事は、既に決まっている。

「解りました、すぐに向かいます。説明はその後で!」
「お願いします。現地のライダーと協力して、ワームを撃退して下さい」

 現在、この世界に常駐している魔道師は三人居る。
 クロノを除いて、戦力として数えられるのが自分自身と、フェイトとはやてだ。
 今回の場合で言うなら、戦闘経験豊富ななのはが出撃するのが最も話が早かった。




 海鳴の街で、なのはは閃光となって翔ける。
 倒すべき敵は、大量に現れた緑色の異形。その数、実に九体。
 まるで硬質な殻に覆われた様な、気味の悪い生物達だ。
 個々の戦闘力は低いにしても、こう数が居ては倒すのも骨が折れる。

「まずは一体……!」

 されど、無鉄砲に敵全体に攻撃を仕掛けるなのはでは無い。
 狙いを定めた一匹を確実に攻撃し、ダメージを蓄積させて倒す。
 一瞬の内に緑の異形の背後へと飛翔。レイジングハートから放たれたのは、桜色の閃光。
 閃光が煌めいた刹那、異形の身体が爆ぜて、跡形も無く消し飛んだ。
 緑色の不気味な炎と共に、異形は消滅。これで一体撃破だ。

『なのはちゃん、その敵の名前はワーム。宇宙からやってきた侵略者や』
「侵略者ぁ……!?」

 レイジングハートを通しての通信。
 飛翔するなのはの眼前に現れた空間モニターに、はやての顔が映し出された。
 それにしても、まさか侵略者とは突拍子も無いな、となのはは思った。

『色々思う事はあるやろうけど、今はワームの殲滅に集中して。
 もうちょっとしたら、ZECTの戦闘部隊……仮面ライダーも来てくれると思うから!』
「仮面ライダー!? ZECTにも、仮面ライダーがいるの!?」

 驚愕と共に、群れるワームの上空を飛び回る。
 無数に飛び交う魔力弾でワームを牽制しながら、通信を続けた。

『うん、私も最初は驚いたけど、仮面ライダーはZECTが開発してるシステムらしいんよ』
「そっか……だから、ライダーは怪物を倒してたんだね!」
『Exactly、その通りや!』

 状況は把握できた。
 あの時現れた赤いカブトムシの仮面ライダーも、ZECTのライダーシステムという奴なのだろう。
 となれば、仮面ライダーは当面の味方と言う事で問題は無さそうだ。
 閃光となったなのはが、浮かべた光弾を纏めて一匹のワームにぶつけた。
 怯んだ隙に眼前に飛翔。先程と同じ要領で、威力を絞ったディバインバスターを発射した。
 桜色の閃光はワームの表面で爆発を起こし、緑の炎に消えた。

「これで二体目!」

 言うが早いか、休む暇なく次の狙いに定めたワームへの攻撃を開始。
 魔力スフィアを周囲に浮かべ、ワームに向かって一斉に発射。
 されど、魔力スフィアが着弾するよりも速く、なのはの耳朶を叩いたのは轟音。
 無数のマシンガンの発射により奏でられる、轟音のオーケストラだった。
 それを発射するのは、黒の仮面を付けた十数人の戦闘員。

「これは……ZECTの戦闘部隊の、皆さん……!?」
『来てくれたみたいやね。ここはお手並み拝見と行かせてもらおか』
「え……でも」
『初めての戦いはエキスパートに任せて、ここは黙って勉強するのも一つの手やで、なのはちゃん』

 成程、はやての言う事にも一理ある。
 ここはその意見に従わせて貰う事にしよう。
 戦闘の邪魔にならない様、なのはは上空で制止した。

 見れば見る程に手際の良い戦いであった。
 的確な指示の元で、二つの小隊に分かれた戦闘員達が、ワームを取り囲んだ。
 マシンガンによる銃弾の嵐に、ワームは成す術も無く爆発して行くのみ。
 指揮官がよほど有能なのだろうか、フォーメーションは見事の一言に尽きる。
 ZECTの隊員の奮闘の結果、ワームは一匹、また一匹と緑の炎に消えて行った。

「脱皮するぞ!」

 残ったワームが三体になった時、隊員の一人が叫んだ。
 何事かと見てれば、残った三匹のワームの体色が、緑から茶色へと変わって居たのだ。
 やがて、茶色く変色したワームの体表に変化が起きた。
 硬質な緑の皮が、溶ける様に剥がれ落ちて。
 体表を覆う緑が全て剥がれ落ちた時、そこに居たのは蜘蛛にも似た三体のワームだった。
 これは確かに、脱皮と言える。隊員の表現には、納得せざるを得なかった。

「後は俺がやる。全小隊、俺の援護に回れ」

 ZECTの隊員達を乗せて来たワゴン車から、一人の男が現れた。
 他の隊員と同じ戦闘服を身に纏ってはいるが、他の隊員とは決定的に違う。
 目に見えて違うのは、他の隊員と違って仮面を付けて居ない事か。
 そして何よりも、その雰囲気と、存在感が他の隊員とは違う事を物語っていた。
 男の右目に装着されるは、漆黒の眼帯。残った左目でワームを鋭く睨み、男は言った。

「変身」
 ――HENSHIN――

 夜闇に舞い降りたのは、輝きを放つ黄色の何か。
 羽音を響かせて飛翔するそれに、確かな既視感を覚えた。

「あの時の赤の仮面ライダーに、凄く似てる……!」

 あの日の夜、始まりの夜。
 なのはが目撃した、カブトムシに似た赤の機械。
 それに似た雰囲気の黄色の機械は、蜂に似た動きで飛びまわり、男の腕に収まって。
 黄色の蜂を左腕に取り付けた男の身体は、既に“変身”を遂げて居た。
 あの時の赤のライダーが変身した、最初の形態に良く似た姿。
 銀色の重厚な鎧に身を包まれたそれは、あの夜の戦いを思い出させるには十分だった。

「キャストオフ」
 ――CAST OFF――

 左腕の蜂を回転させると同時、全身の装甲がゆっくりと浮かび上がって行った。
 やがて蜂の巣状のデザインをした仮面も浮かび上がり、その行程は最終段階へと移行する。
 ワームの変貌を脱皮と言うなら、ライダーの変貌も脱皮と言うのだろう。
 なのはの予想が正しければ、あのライダーは脱皮する。

 ――CHANGE WASP――

 果たして、なのはの予想は正解であった。
 蜂の巣装甲は瞬時に吹き飛び、その全てが三匹のワームに命中する。
 現れたのは、雀蜂に良く似た仮面の戦士――黄色の仮面ライダー。

「ワーム共が……一匹残らず駆逐してやる!」

 言うが早いか、黄色のライダーが駆け出した。
 ライダーの相手をするのは、赤と、白と、黄色。三色のワーム。
 三匹が三匹共、肩から蜘蛛に似た脚を生やしており、それらが同一種である事を物語っていた。
 黄色のライダーが、眼前の赤のワームにストレートパンチを叩き込んだ。
 軽快なフットワークと、アウトボクシングスタイルが、ワームを翻弄する。
 仕返しとばかりにワームが腕を振るうも、それを軽く腰を屈めて回避。

「ハァッ!」

 吐息と共に、右脚からハイキックを繰り出した。
 黄色のライダーの右脚がワームの頭を揺らす。
 右脚が元の場所へ戻る頃には、既にライダーの身体は翻っていた。
 左脚によるハイキックが、ワームの頭を捉えた。

「フンッ!」

 再び右脚を高く振り上げ、ワームの頭を打撃。
 怯む隙すら与えずに、一度地に着けた右脚をもう一度振り上げた。
 右のハイキックは二連続でワームを怯ませ、出来た隙でライダーは再び身を翻した。
 身体の回転と同時に打ち出された左の踵が、ワームの頭に叩き付けられる。
 体勢を崩したワームの胴体に、今度は下方からのアッパーを浴びせた。
 アッパーで無理矢理起こされたワームに、二度三度と素早いパンチを撃ち込み。

「ライダースティング!」
 ――RIDER STING――

 ライダーが、左腕に取り付けられた蜂を叩いた。
 ワームに何もさせないまま、一方的な戦いに終止符が打たれる。
 緑とも黄色ともつかない閃光を走らせて、左腕の蜂が電子音声を告げた。
 蜂の毒針が、鋭く尖った。一瞬の動作で、それを前方へと突き出す。
 素早いストレートパンチによって撃ち込まれた蜂の毒針は、ワームの体内で炸裂。
 稲妻のような閃光を撒き散らしながら、ワームは跡形も無く爆発した。

 後から周囲を良く見て気付いた事だ。
 どうやら黄色のライダーが戦っている間、他のZECT隊員は、
 ライダーに攻撃を仕掛けようとするワームに一斉射撃を行っていたらしい。
 見事な援護射撃により、ライダーはワームの殲滅に集中する事が出来た。
 完璧なチームワークだ、と。なのはは素直に関心した。

 残ったワームは、黄色と白の蜘蛛だけだ。
 仮面ライダーが、今度は黄色のワームに向き直った。
 されど、黄色の仮面ライダーがワームに手出しをする事は無かった。

「何……!?」

 一陣の風が吹き抜けた。
 風と共に駆け抜けるは、赤の影。
 それが目にも留まらない程のスピードで駆け抜けていく。

 ――CLOCK OVER――

 響くは電子音。
 同時に、黄色のワームが爆発。青の炎と共に、綺麗さっぱり消えて無くなった。
 何が起こったのだろうか、と。理解出来ずに、なのはは周囲を見渡した。
 果たして、そこに居たのは。

「あの時の、赤い仮面ライダー!」

 赤の角に、青の複眼。
 金に煌めく短刀を携えて、赤のライダーがそこに顕在していた。
 赤のライダーが振り返り、その視界に黄色のライダーを捉える。

「おい、カブトが……」
「カブトだ……」
「カブトが現れたぞ……!」

 隊員達は、口々にそう告げた。
 動揺しているのか、皆がお互いの顔を見合せながら呟いていた。
 赤いカブトムシに似た外見をしているから、名前は“カブト”なのだろうか。
 仮にそれがあの赤のライダーの名前だとするのなら、至って安直だと感じた。

「カブトォ……!」

 黄色のライダーが駆け出し、毒蜂の宿った左腕を、カブトに向かって突き出した。
 先刻ワームに浴びせたストレートパンチと同じ要領だ。
 されど、それをカブトは首を僅かに傾げる事で回避。
 そのまま突き出された左腕を掴んだ。

「え……え!? 何でライダー同士が戦ってるの!?」

 混乱と共に、そんな疑問を浮かべた。
 仮面ライダーとは怪物から街と人々を守る正義の味方の筈だ。
 その正義の味方同士が、何の因縁か突然戦闘を始めたのだ。
 何も知らないなのはが驚かない訳が無かった。

「何だ、また新しいザビーに変わったのか」
「俺を今までのザビーと一緒にするなよ、カブト!」

 冷静さを損なわないカブトの声色に、ザビーと呼ばれたライダーが憤怒した。
 横から薙ぎ払う様に、右の拳をフックの要領で打ち出す。
 カブトは掴んだ左腕を突き放し、上半身を屈めた。
 それによってザビーの右フックを回避。
 されど、攻撃はそれで止みはしない。

「フンッ!」

 繰り出したフックの反動で、左側へと回転する身体を活かしての攻撃。
 流れるような動きで繰り出されるは、右脚による回し蹴り。
 まるで格闘家の様な、洗練された戦闘スタイル。
 そこから繰り出される蹴り脚は、しかしカブトには届かない。

「誰かは知らないが……全く、礼儀を知らない奴だ」

 左腕を軽く掲げ、手首を手の甲側へと折った。
 くの字になった手首は、ザビーのハイキックを受け止め、払う。
 たちまち右腕に構えた短刀が閃き、黄色のライダーの胸部装甲に火花が走った。

「ぐあッ――!?」

 胸部への衝撃に、ザビーが仰け反った。
 それにより、カブトとザビーの間に多少の距離が出来た。
 ステップを踏み、軽快なフットワークで構え直すザビー。
 しかし。

「やれやれ。お前の所為で奴に逃げられてしまった」
「何だとォッ!?」

 激高しながらも、ザビーは周囲を見回した。
 そこに居るのは、黒の戦闘服に身を包んだZECT隊員と、カブトのみ。
 先程まで確かにここに居た筈の白のワームが、姿を消していたのだ。

「頭を冷やして出直して来い」
 ――CLOCK UP――

 言うが早いか、カブトが腰を叩いた。
 電子音声と共に、カブトの姿もまた、ワームと同じく掻き消える。
 先刻風となって現れた時と同じように、再び風となって消え失せたのだ。
 あの夜、なのは達の前から姿を消した時も、きっと同じように消えたのだろう。

「カブトめ……ッ!」

 敵が居なくなれば、最早戦う理由は無い。
 ザビーの身体を覆う黄色の装甲が、一瞬の内に剥がれ落ちて行った。
 現れたのは、変身する前と同じ、隊長らしき眼帯の男。

「撤収するぞッ!」

 未だ怒りを抑えられないのか、男は憤怒を撒き散らす様に言った。
 男が怒りを感じているのは、表情を見ても一目瞭然。
 解りやすい人なんだな、となのはは思う。
 そんな事を考えている内に、なのはの眼下、ZECT隊員達は次々とワゴン車へと帰って行く。
 やがて全員がワゴンに乗り込み、最後に眼帯の男が歩き出した。
 こうしては居られない、すぐに接触しなければ。

「あ、あの……! ちょっと待って下さい!」
「何……?」

 眼帯の男は、空から掛けられた声に表情を歪めた。
 突然空飛ぶ女の子に話し掛けられたとあっては、驚かない方が不思議だ。
 だから、眼帯の男の反応自体は気にも留めない。

「私、時空管理局の高町なのはです。仮面ライダーさん、お話を聞かせて欲しいんです」
「ほう……お前が管理局の……」

 眼帯の男は、顎を撫でる様な仕草で頷いた。
 既にZECTの上層部から話を聞いて居たのだろうか。
 ともすればこの反応にも納得が行く。

「いいだろう、話は聞いている……着いて来い」
「あ……はいっ!」

 手招きするように右腕を掲げ、男は歩き出した。
 それに従う意を表明するべく、なのははアスファルトに足を着けた。


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最終更新:2010年03月15日 17:04