恋する乙女は負けないの
「十代様……明日香先輩……」
少女――早乙女レイは民家の一つで蹲り震えていた。
訳が分からない、
自分は今までモンスターが住む世界に飛ばされたアカデミアで、みんなと共に脱出する術を探していたはずだ。
その中には当然明日香も、そして十代も含まれていた。
だというのに――
「いったいどうしちゃったの、十代様ぁ……!」
あんなにも冷たい眼をする彼をレイは知らない、
どんなつらい状況下でも「楽しいデュエル」を目指し、
デュエルに負けて落ち込んでいた時にも「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ!」と励ましてくれた彼に、
いったい何が起こればああなってしまうのか。
「十代様に戻ってもらう方法……」
そんなもの都合良くあるわけがないと思いながら、それでも呟いてしまい――思いつく。
「最後に生き残った一人は、何でも願いを叶えてもらえる――!」
そうだ、彼自身が言っていたではないか。
頼めばいいのだ、十代が、みんなが元に戻るようにと、
そのためには最後の一人になることだ、そう、このデイバックの中に入ってる武器で他の
参加者を――
「――っ!」
デイバックに伸びていた手を慌てて戻す。
自分は今何を考えていた?
殺すというのは命を奪うことであって、それはつまり……他の人間を同じようにするのだ、
あの、どんどんと体温を失っていった明日香の体と。
「っ――そんなの、できるわけないよ……」
まだ中学性になったばかりの幼い少女に、この状況はあまりにも過酷だった。
死というものを改めて自覚した途端、先ほどまで外への心配に向いていた心が自分への不安に変わっていく。
こんな自分ですら、一瞬とはいえ誰かを殺そうと考えたのだ、他に危険な考えの人がいたら――?
「そ、そうだ、支給品……」
人を殺すための武器、だが、それは自分を殺そうとする人間から身を守る盾にもなるはずだ。
そう思いデイバックの中身を確認する。
食糧や水、ランタンに時計、地図に名簿――これも確認しておくべきだ――など、全員に配られているであろう物を除けて、残ったものを一気に取りだす。
「……これって」
一つは残念ながら役に立ちそうになかったが、三枚のカードに目が止まる。
彼女には馴染み深いデュエルモンスターズのカード、更に言うなれば、十代がよく使っていたカードだった。
「……デュエルディスクにセットすることで、記されたモンスターが出現します。魔法カードの場合はその魔法が発動……」
説明書を読みながら、改めてそのカードを確認する。
バーストレディ、ウイングマン、融合……
何の因果なのか、この三枚のカードによるコンボは十代がよく使う、彼の最も頼りにする戦術だ。
それが自分の所にくるなんて……
肝心のデュエルディスクはなかったが、ほんのわずか、レイの心に闘志が戻る。
「……お願い、十代様を元に戻すために力を貸して」
続けて、もう一つ入っていた青い宝石を取り出す。
「えっと……マッハキャリバー、ローラーブレードに変形するインテリジェントデバイス、起動すると同時に右腕にリボルバーナックルが装着される……
デバイスって、なのはさん達が使ってたあれだよね……?」
レイはなのは達がデバイスの起動するところを直接見たことがなかったが、どういうものかは聞いていた。
「確か、自分で喋れるしバリアジャケットっていうのも着れるんだっけ?」
『前者については肯定、後者については条件付きで肯定です』
「わっ、ほんとに喋った!」
瞬きながら語りかけてきたマッハキャリバーに驚きながら、レイはマッハキャリバーと情報を交換する。
デュエリストとしての彼女の本能が告げているのだ、この最低最悪なデスゲームを生き残るには情報が何よりも重要だと。
「……つまり、私だと魔力が無いからバリアジャケットは意味がない、ってことか」
『肯定です。大気中の魔力を使用すれば衣服の構成、デバイスモードの起動程度ならばできますが、
それ以上の機能は仮マスター自身に魔力がないと扱えません』
「そっかぁ……でも、ローラブレードなら移動手段にはなるよね――それよりも」
マッハキャリバーと話していて多少緩んでいた表情が再び真剣になる。
これはあの部屋にいた時から多少感じていたことだが、マッハキャリバーと話して確信した。
「マッハキャリバーは、私が知ってるマッハキャリバーとは違う世界、次元の存在なんだね」
『可能性、というだけですが肯定です。あなたは私やマスター達を知っているようですが、私はあなたを知りませんし、あなたの言う事件においても記録されてません。
ただし、私の記憶回路がいじられている可能性もあります』
パラレルワールド――万丈目などだったら一笑するだろう話だが、レイはその話を素直に受け入れ考察する。
幼さは、時に物事を柔軟に受けとる素直さとなる、常識外のことをも自然に考えることができるのだ。
――そもそも、今の状況が常識外だし。
「フェイトさんの名前が名簿に二つあるのもそのせいなのかな……とにかく、なのはさん達は信用できるよね、先輩たちもきっと大丈夫……
うん、行くよマッハキャリバー、まずは信頼できる人と合流しよう」
『了解です、仮マスター』
「それじゃ早速……セットアップ!」
レイの声に応え、マッハキャリバーは宝石の姿から青いローラブレードと無骨なナックルへと姿を変えて装着される。
その状態でしばらく固まり――マッハキャリバーを元に戻す。
『どうしました?』
「…………お、重い……」
『……』
【早乙女 レイ@リリカル遊戯王GX】
【一日目 現時刻AM0:43】
【現在地 F-6 民家内部】
[状態]:健康・悲しみ・不安
[装備]:マッハキャリバー(スタンバイモード)@反目のスバル
[道具]:支給品一式(E・HERO バーストレディ@リリカル遊戯王GX、E・HERO ウイングマン@リリカル遊戯王GX
融合@リリカル遊戯王GX、北高女子用制服@ティアナ・ランスターの憂鬱)
[思考・状況]1 す、スバルさんて何者……?
2 信頼できる人間(機動六課、遊戯王メンバー)との合流
3 十代を正気に戻す
4 ゲームには乗らない
5 明日香先輩……
※機動六課についてその存在は知っていますが、はやてやヴォルケンリッターの顔は知りません。
※マッハキャリバーと情報を交換し、魔法についてと反目のスバルにおけるなのは達の状態を知りました。
※マッハキャリバーは反目のスバル最終話、なのは達と戦う前からの参入です。
デバイスとしての機能はなんら問題ありませんが、非力で魔力の無い人間が使うには重すぎるようです。
※E・HERO バーストレディ 攻撃力1300 守備力800 通常モンスター
E・HERO ウイングマン 攻撃力1000 守備力1000 通常モンスター
E・HERO フレイムウイングマン 攻撃力2100 守備力1300 融合モンスター(カードは無し)
「E・HERO バーストレディ」+「E・HERO ウイングマン」
特殊能力:破壊したモンスターの攻撃力分、相手プレイヤーにダメージを当たえる。
※遊戯王カードはデュエルディスクにセットすることで召喚・発動されます。
モンスターは出現後、カードを別の人間が触れるか、15分経過、召喚者の命令のいずれかでカードに戻ります。
一度使うと次の放送まで使用不能になります。また、使用せずに放送を迎えても二回使えるようになるわけではありません。
※魔法カード 融合
決められた組み合わせのモンスターを融合し、新たなモンスターを呼び出します。
ここでは融合先のモンスターのカードがなくても融合可能ですが、
融合素材となるモンスターが呼び出されているか、使用可能な状態でない限り発動できません。
※デバイスについて
本来デバイスは魔力が無い者には起動させることができませんが、
この会場には大気中に魔力残滓が大量にあるため起動だけなら可能です。
何故そんなにもの大量の魔力残滓があるのかは不明です。
※北高女子用制服について。
涼宮ハルヒの憂鬱の登場人物、ハルヒが着ていた制服。特殊な効果は何もない。
高校生の女子用のため、レイには少し大きいようです。
最終更新:2008年02月19日 21:29