Nosferatu


「嘘だろ……なんて奴だ……!!」

少年―――ユーノ=スクライアは、肩で息をしながら目の前の相手をにらみつけた。
彼が相対している相手は、これまでに出会ったことの無いレベルの強敵だった。
ジュエルシードから生まれた凶暴な怪物、プレシア=テスタロッサの傀儡兵、ヴォルケンリッター、ヤプールの超獣。
自分の実力を大幅に上回っているであろう相手とは、確かにこれまでも何度か戦ってきた。
だが……今自分を殺そうとしている相手には、彼等とは比べ物にならない恐怖があった。
ユーノは、今日まで生きてきて……これ程までの恐怖を、覚えた時はなかった。

「どうした……まさか、終わりとは言うまいな?」

ユーノの目の前に立つは、王立国教騎士団・ヘルシング機関最強の鬼札。
吸血鬼―――アーカード。
ユーノとは対照的に、彼は疲れている素振りを一切見せていない。
それどころか……楽しげに笑みを浮かべていた。
そう、彼はこの現状を楽しんでいるのだ。



何故二人が、この様な状況にあるのか。
話は、十分程前に遡る。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「安心してください……必ず、この殺し合いは止めて見せますから」

木々が生い茂る森の中。
ユーノは、空を見上げながら宣言した。
必ず主催者を倒し、この殺し合いを止めてみせると……犠牲となった二つの命へと、確かに誓った。
彼は無限書庫で闇の書に関する情報を集めていた最中に、突如としてあの広場へと呼び出された。
そして、殺し合いをしろと宣告され……あの無残な光景を見せ付けられたのだった。
正義感の強いユーノにとって、この事態は到底許せるものではなかった。
だから……必ず、止めてみせる。

「とりあえず、まずは状況を整理しないと……」

参加者名簿を取り出し、名簿をチェックし始める。
その中には、ユーノが知る名前が幾つかあった。

―――なのは、フェイト、クロノ、ミライ、ダン、ヴィータ、ザフィーラ。
掛替えの無い親友達と、優しく心強い光の国の戦士達―――ダンとは直接の面識は無く、ミライから名を聞いただけだが―――。
そして……闇の書の守護騎士達。
出来る事ならば、それはあって欲しくなかった名前だった。
なのは達に関しては、勿論殺し合いなんて危険な場にいて欲しくなかったから。
守護騎士達に関しては、相当の実力を持つ強敵だからである。
自然と、ユーノの表情が険しくなる。
しかし……この直後。
彼は、その名簿に奇妙な点がある事に気付いた。

(……なのはとフェイトの名前が、二つある……?
いや、それよりこれは……!!)

名簿に、なのはとフェイトの名前が二つあった。
同じ人物の名前が二つあるというのは、確かにおかしい。
これだけでも、疑問の種には十分すぎる……しかし。
ユーノにとっての問題は、そこではなかった。
彼の目を引いたのは、フェイトの名前―――フェイト=T=ハラオウンという表記だった。

(どうして……まだ、フェイトは正式に養子になったわけじゃない筈なのに……)

フェイトには確かに、ハラオウン家の養子にならないかという話が出ている。
しかし……彼女はまだ、正式に養子となったわけではない。
ハラオウンの性を名乗るには、まだ早すぎるのだ。
ならば何故、名簿にはフェイト=テスタロッサではなく、フェイト=T=ハラオウンと記されていたのか。
自分が知らないうちに、話が進んでいたのか。
いや……それならば、なのはを通じて真っ先に連絡が来る筈である。

(どういうことなんだ?
名前が二つあることといい……)

明らかに名簿の中で、フェイトは浮いた存在になっている。
名乗るには早すぎる、ハラオウンの性。
まるで別人の様に分けられている、二つの名前。
記載ミスにしては、何かが引っかかる。

(まてよ……別人?
まさか、これって……そうだ。
そう考えたら、辻褄が合わないことも……!!)

ユーノの脳裏に、ある閃きが過ぎった。
それは、俄かには信じがたいが、現時点では最も可能性が高かった。
まず、何故フェイトの名前が名簿に二つ記されていたのか。
これは文字通り、フェイトが二人いるという事を示しているのではないか。
この殺し合いに参加させられているフェイト=T=ハラオウンは、自分の知るフェイトとは別人ではないかという事だった。
そう考えれば……辻褄が合わない事も無い。

(……僕の考えている通りなら、このフェイトは未来のフェイトってことになる。
なのはも恐らくは同じと考えていい……未来からここに二人のなのはとフェイトが……ッ!?)

ユーノは、結論を導き出そうとするが……その時だった。
不意に背後から、何者かの足音が聞こえてきたのだ。
ユーノは考えるのを中断して、背後へと振り向く。
そこにいたのは、真紅のコートを身に纏う長身の男。
サングラスをかけ、まるで表情を隠しているように見えるが……

「……笑っている……?」

男は、確かに笑っていた。
それも……この上なく、嬉しそうにである。
これは、殺し合いの舞台に立たされている者がする表情ではない。
途端に、ユーノの全身を強烈な悪寒が駆け巡る。
やばい。
なんだか分からないが、この男はやばい。
この男は、この上なく危険すぎる。
ユーノの本能が、そう彼へと告げる。
一方男の方はというと、ユーノを興味深く見つめていた。
そして、しばらくした後……彼はユーノへ向けて、静かに問いかける。

「……いい夜だな。
今宵は、実にいい夜になりそうだ……そう思わないか、ヒューマン?」
「……だから、笑ってるんですか?」
「ああ、そうだ。
闘争を楽しむに相応しい……実にいい夜だからな」
「ッ!!」

男の言葉を聞き、ユーノは大きく目を見開く。
予感は確信に変わった。
この男は、間違いなく殺し合いに乗っている……あろう事か、殺し合いを楽しもうとしている。
ユーノはすぐさまバリアジャケットを身に纏い、チェーンバインドを発動させた。
魔力の鎖が一瞬にして男を拘束し、その身動きを封じる……が。

「逃げずに立ち向かうか……嬉しいぞ、ヒューマン。
貴様は、ただ逃げるだけの狗ではないようだな……だが」
「っ……!?」
「足りんな……まだまだ足りん。
この程度の鎖では、この私を……吸血鬼アーカードを繋ぎ止める事など、出来ないのだよ」

その直後だった。
魔力の鎖が、音を立てて崩壊した。
男―――アーカードは、力任せにバインドを引きちぎったのだ。
ユーノは、その光景を信じられなかった。
バインドを破られるという事自体は、過去にも何度かあった。
だが……力ずくで、こうもあっさりと破られる事など、今までになかった。
驚愕し、呆然とするユーノ。
ここで彼は、先程のアーカードの名乗りを思い出す。

「吸血鬼……!?
じゃあ、さっきのは……!!」

アーカードは自らを、吸血鬼と名乗った。
当然ながらユーノはその存在を知っている。
直接目にした事こそないが、幾つかの次元世界においてはその存在を確認されている存在である。
バインドが簡単に打ち破られたのも、それならば納得がいく。
吸血鬼の持つ最大の武器は……人間を遥かに越えた、その異常な怪力だからだ。

「名前を聞いていなかったな……教えてもらおうか、ヒューマン?」
「……ユーノ。
ユーノ=スクライアだ……」
「ユーノ=スクライアか、いい名だな……さあ、闘争の始まりだ!!
楽しもうじゃないか、ユーノ=スクライア!!」
「ッ!!」

アーカードは強く地を蹴り、ユーノとの間合いを一気に詰める。
そのスピードも、尋常なレベルではない。
恐らくは、フェイトと互角かそれ以上……ユーノがこれまで体験した相手の中でも、最速に近かった。
とっさにユーノは、前方へと障壁を展開する。
そこへと、アーカードの力強い拳が叩き込まれ……一瞬で、障壁が崩壊する。

「そんな……こんなに簡単に……!?」
「HAHAHAHAHHAHAHAHAHA!!」

障壁を突き破った拳は、そのままユーノの胴体に叩き込まれた。
バキリと、嫌な音が響く。
今の一撃で、肋骨を叩き折られたのだ。
そして僅かに遅れて、ユーノの体が後方へと吹っ飛ぶ。
強烈な勢いで、数十メートルも先へと吹っ飛ばされ……一本の大木に、背中から叩きつけられた。

「ガハッ……!!」

ユーノの全身に、強烈な痛みが駆け巡る。
バリアジャケット越し・障壁越しである事が、信じられない程の痛みであった。
そしてユーノが苦しんでいる間にも、アーカードは間合いを詰めてくる。
このまま接近を許しては、確実に殺される。

「くそっ……なら!!」

再びチェーンバインドを発動。
しかし今度の対象は、アーカードではなく己の背後にある大木であった。
魔力の鎖は、大木にしっかりと絡みつき……そのまま、大木を引っこ抜いた。
ベロクロンとの戦いで使用したのと同じ、即席のハンマー攻撃。
超獣ですらも怯んだこの一撃をまともに受ければ、かなりのダメージを与えられる。
そう思いながら、アーカード目掛けて勢いよく大木を振り下ろす。

「吸血鬼に対して木の杭を打ち込もうとは、中々分かっているじゃないか!!」

しかし対するアーカードは、迫り来る木槌を前にして、回避をしようともせず、防御をしようともしなかった。
その代わりに、右手で手刀を作り……大木目掛けて振り下ろした。
直後、大木は見事に真っ二つに分かれた。
アーカードの手刀が、大木を真っ二つに叩き割ったのだ。
二つの木片となった木槌が、地面に斜めに突き刺さる。
その間には、無傷のアーカードがたたずんでいた。

「嘘だろ……なんて奴だ……!!」
「どうした……まさか、終わりとは言うまいな?」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


(どうしたら……どうしたら、こんな化物を……!!)

ユーノは必死になって、打開策を導き出そうとする。
バインドも、防御も、攻撃も、アーカードには何一つ通用しない。
今の自分が使える魔法では、アーカードを止める事は不可能である。
ならば、どうしたらいいか。
思考を巡らせているその間にも、アーカードはこちらへと歩を進めてくる。

「まだまだ始まったばかりじゃないか。
お楽しみはこれからだぞ、ヒューマン!!
魔法を出せ、この心臓にもう一度杭を突き立てにこい!!
さあ!!HURRY!!HURRY!!HURRY!!HURRY!!HURRY!!」
(何か、何かないのか……そうだ、支給品!!)

ここでユーノは、ようやく支給品の存在に気付いた。
一体、何が支給されているのかは分からない。
この場を切り抜けられるかどうかは、全く分からないが……今はこれに賭けるしかない。
デイバッグを開き、中に手を突っ込む。
すると……彼はここで、思いもよらぬ品を引き当てた。

「え……これって……!!」

ユーノが手にしたのは、デイバッグによく収まったものだと言いたくなる程大きな代物。
アーカードを撃退出来るかもしれない、強烈な武器であった。
それを見た瞬間、思わず驚いてしまったが……迷っている暇は無かった。
既にアーカードは、目前まで迫ってきているのだ。
ユーノは勢いよくそれを取り出し、その筒先をアーカードへと向ける。
そして、取り出した支給品―――バズーカ砲の引き金を引いた。


BANG!!


砲撃は、アーカードの脳天に見事直撃。
首輪ごと、首から上の部位を吹き飛ばし、粉砕した。
距離が近すぎたが為に、流石のアーカードも回避の仕様が無かったのだ。
残された胴体が、背中から地面に倒れこむ。
ユーノはそれを見て、体を震わせながらその場に膝を着き、そして大きく溜息をついた。
何とか、アーカードを撃退出来た……絶体絶命の窮地を、しのぐ事が出来た。

「やった……でも……」

しかし、ユーノの表情は険しかった。
それも当然……正当防衛といえど、人殺しをしてしまったのだ。
いや、相手は陣地を越えた存在である吸血鬼……化物である。
人殺しと言うのは、少しおかしいが……それでも、自分がアーカードを殺害したという事は同じである。
この手で、一つの命を奪ってしまったのだ。
気に留めるなというのは、無理な事である……しかし。
こうしなければ、自分が死んでいた。
それにアーカードを野放しにすれば、更なる犠牲者が出るのは確実……それを止める為にも、これはやらねばならぬ事だったのだ。

「……悩んでいても仕方ない。
兎に角、今はなのは達と合流しないと……」

今は、迷っている暇は無い。
ユーノはなのは達との合流を果たすべく、ここから離れることにした。
すぐさま、念話を試みてみるが……全く通じない。
どうやら、主催者達に妨害されているらしい……ならば、直接探し出すしかない。
ユーノはマップで現在地を確認し、上空へと飛び上がる。
普通に歩いて探すよりも、この方が速いと思っての行動だったが……ここでユーノは、ある違和感を覚えた。

(魔力の消耗が、いつもより早い……?
それに、飛ぶスピードも少し落ちている……)

普段と比べて、妙に魔力を消耗している感じがあった。
それに加え、上昇のスピードが普段よりも若干遅かったのだ。
もしかしたら、念話の妨害同様に何かしらの力が働いているのかもしれない。
恐らくは、参加者の戦力差を平等に近づける為に。

(空からの探索は、長時間は不可能か……
とりあえず、しばらくしたら一回どこかに降りて……!?)

その時だった。
地上―――それもユーノの真下から、大きな物音が聞こえてきた。
ガサガサ……と、木々が大きく揺れる音が。
ユーノの脳裏に最悪の事態が過ぎる。

「まさか……そんな!!」
「ククク……クハハ……HAHAHAHAHAHA!!」
「アーカード……!!」

予感は的中した。
倒した筈の化物―――アーカードが、上空へと跳躍―――それも、ユーノよりも高い位置に―――してきたのだ。
彼は木々の枝を飛び伝って、ここまで飛翔してきたのである。
吹き飛ばされた筈の顔は、完全に元通りになっている。
肉体を再構築し……復活を果したのである。

「どうして……首から上が吹き飛ばされたっていうのに……!!」
「頭を吹き飛ばされたぐらいでは、私は死なない。
この私を止めたければ、ここを……心の臓を狙わなければな。
覇王に神崎とやらも、よく分かっている」

自らの胸に手を当て、アーカードはユーノへと告げた。
アーカードは、この殺し合いの会場において極めて異質な存在だった。
彼には、首輪が二つ着けられているのだ。
一つは勿論、その首に。
そしてもう一つは、彼の弱点……心臓に。
例え、四肢をもぎ取ろうと、首を吹き飛ばそうと、彼は蘇る。
アーカードを倒すには、心臓を止める以外に手段は無いのだ。

「くっ……!!」

ユーノはすぐに、アーカードから離れようとする。
彼は自分と違い、空を飛べるわけではない。
尋常じゃない跳躍力で、ここまで上ってきただけ……この後は、地上に落下するだけである。
一度離れてしまえば、そう簡単に追ってはこれない筈……そう思った、その矢先だった。
アーカードは、素早くユーノへと手を伸ばし……その右腕を掴んだ。

「掴まえた」
「しまった……!!」
「豚の様な悲鳴を上げろ」



グシャッ……



「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??」

ユーノの絶叫が、空に木霊する。
肉が裂かれ、骨が砕け散った。
ユーノの右腕は、無残にもアーカードに握り潰されてしまったのだ。
そのまま右腕は、その手で握り締めていたバズーカと共に地上へと落下。
痛々しい断面図からは鮮血が噴出し、ユーノとアーカードの顔を濡らす。
ユーノの顔には苦悶が、アーカードの顔には笑みが浮かんでいた。
そのままアーカードは、もう片方の手で手刀を作る。

「終わりだ……ユーノ=スクライア」

その狙いは、バリアジャケットによる防御の無い脳天。
この一撃を喰らえば、確実に死ぬ。
障壁でそれを防ぐ事が出来ないのは、先程既に実証済みである。
そんな、どうしようもない絶望的な状況。
誰か他の者がこの光景を見ていたならば、ユーノの死は決定的と見るだろう……が。

「まだだ……!!」
「ほう……?」
「まだ、終わっちゃ……いない……!!」

ユーノはまだ、終わってはいなかった。
彼は渾身の力を込めて、デイバッグをアーカードへと放り投げる。
そこへ、アーカードの手刀が叩き込まれ……その直後。
デイバッグが爆ぜた。
強烈な爆炎と爆風が、二人に襲い掛かる。

「ぐぅっ!?」
「ッ!!」

アーカードはその爆発により、右手を吹き飛ばされる。
そして爆風に煽られ、猛烈な勢いで地上へと落下していった。
一方ユーノはというと、爆発するのが前もって分かっていた為、障壁の展開によりダメージを最小限に抑えきっていた。
二人を襲った爆発の正体は、デイバッグ内のバズーカの予備弾薬。
ユーノの狙いは、それを爆発させる事であった。
そうすることでアーカードをふっ飛ばし、距離を取ろうと考えたのである……そしてそれは、成功してくれた。
他の支給品もこれで跡形も無く砕け散ってしまったが、仕方が無い。
ユーノはアーカードが地上へと落ちていったのを確認して、急速にその場から離脱する。
悔しいが……今の自分には、アーカードは倒せない。

(あんなのまで、この殺し合いにはいるなんて……ミライさん、クロノ、フェイト……なのはっ……!!)

この会場の何処かにいるであろう仲間達の無事を祈り、ユーノは空を飛んでゆく。
彼が向かう先に待ち受けているのは、大切な仲間達か。
それとも、アーカードと同じくこの殺し合いに乗った者達か。
果たして……


【ユーノ=スクライア@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは】
【一日目 現時刻AM0:32】
【現在地:H-5 上空】

[参戦時間軸]12話中盤、ウルトラマンダイナの正体発覚直後。
[状態]肋骨二本骨折、右腕欠損、相当の疲労。
[装備]無し。
[道具]無し。
[思考・状況]
基本:主催者を倒し、この殺し合いを止める。
1:なのは達と合流する。
2:仲間を集める。
3:アーカードは危険だと、出会った者達に伝える。

[備考]
※沖田のバズーカ砲@なの魂が、ユーノの右腕と共にI-6に落ちています。
※かなりの重傷で、特に右腕は、早急に処置をしないと危険です。
※この会場にいるなのはとフェイトは、未来から呼ばれたのではないかと考えています。
フェイトに関しては両方、なのはに関しては片方もしくは両方と判断しています。
※なのはとフェイトが二人いる事に気付きました。
※モロボシ=ダンの名前は知っていますが、どんな人物かは知りません。
※己の魔力と魔法に、制限がかけられている事に気がつきました


「ユーノ=スクライア……まだ幼い身でありながら、私を出し抜くとはな」

アーカードは、笑いながら夜空を見上げていた。
爆発により吹き飛ばされた右手は、既に再生されている。
ユーノとの戦闘によるダメージは、ほぼ回復し切っていた。
彼は幼い身でありながらも、己へと勇敢に立ち向かってきた。
逃げられこそしたが……きっと彼は、再び自分の前に現れるに違いない。

「覇王十代、神崎とやら……感謝するぞ。
私を、この様な素晴らしいパーティーに招いてくれた事をな」

アーカードは歓喜していた。
まだ見ぬ未知なる相手との闘争の機会が生まれた事を、喜んでいた。
自らを打ち倒してくれるかも知れぬほどの人間との出会いがあるやもしれぬ事を、喜んでいた。
きっとこの場には、ユーノの他にも優れた力を持つ者達がいるに違いない。
かつて己を打ち破ったあの四人、アーサー・ホルムウッド、キンシー・モリス、ジャック・セワード、エイブラハム・ヴァン・ヘルシングの様な猛者が。
アレクサンド・アンデルセンの様な宿敵が。
彼等の様な素晴らしき者達が、きっといるに違いない。
果たして、どのような出会いがあるか……アーカードは、楽しみで仕方がなかった。


【アーカード@NANOSING】
【一日目 現時刻AM0:32】
【現在地:H-5 上空】

[参戦時間軸]第八話開始直後
[状態]健康、首に首輪が着けられていない
[装備]無し。
[道具]支給品一式、不明支給品1~3個。
[思考・状況]
基本:闘争を楽しむ
1:闘争の相手となる参加者を探し出す
2:ユーノとの再戦を楽しみに待つ

[備考]
※名簿はまだ見ていません。
※心臓に首輪が装着されています。

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最終更新:2008年02月28日 23:37