死神と神父のダンス、開幕


 真っ暗な夜、その森の中。
 金の長髪をした女性が、とある人間台風の銃を手に歩いていた。
 その赤い瞳には生気が無く、まるで死人のよう。それでも前へと歩き続ける。

「なのは……どこ……?」

 その口から出るのは親友の名。先ほどのスタート地点で姿は確認しているので、居るのはわかっている。
 ゆっくりとした足取りで、なのはを探しつつ森の中をまっすぐ前進。
 スタート地点には万丈目の姿もあった。あの様子だと、どうやら無事だったらしい。
 ならばこの会場から探し出さなければならない。そして――――

「なのはも万丈目さんも……仲間に入れてあげないとね……」

 ――――戦いの面白さを教え、自分と同じゾンビにしたい。
 彼女―フェイト=T=ハラオウン―は、そう言って口元をつり上げた。


 同時刻、同じく森の中。
 神父服を着た男が、トチ狂ったかのような笑顔を浮かべていた。

「殺し合え? 殺し合えだと?」

 彼はこれまで、イスカリオテの一員として多くの相手と殺し合ってきた。
 カトリックに牙を向いた異教徒、反キリストの化け物、そしてHELLSINGの吸血鬼。
 殺し合いを日常とし、呼吸をするように闘争を続けてきた彼にとっては、こんな状況など日常と変わらない。
 ただ違う点は、首に付けられた爆弾首輪。こんなもので操られるなど、屈辱でしかない。
 故に、前述のトチ狂った笑顔には怒りも多分に含まれていた。

「いいだろう、主催者共。貴様らの言いなりになるのは気に入らんが、この殺し合いに乗ってやる」

 今回の一件、到底気に入らない。だから蹴ろうかとも考えた。
 だが、ここには多数の異教徒もいる。それ故に異教徒をたくさん死なせる好機とも捉えることができる。
 そう考えた結果、アレクサンド=アンデルセンは決断した。

「そして、全て殺したら貴様らの番だ」

 すなわち、参加者も主催者も全員殺すという選択を。
 そしてその結論を出したアンデルセンは、手元に置いていた青い大槍を手に出発した。


 そして数分後、この二人は出会うこととなる。


 遭遇した直後、先手を取ったのはアンデルセン。
 正面に居たフェイトめがけて、槍を思い切り突き出す。
 それに対し、フェイトが素早く下がって回避。前方へと銃を構え、そして気付く。

「それは……ストラーダ?」

 そう、アンデルセンが使っていた槍の正体は、エリオの扱うインテリジェントデバイス『ストラーダ』だった。
 ストラーダは確かエリオが持っていたはずである。それなのに、何故この男が持っているのだろうか――――

「まあ……どうでもいいか……それより戦おう……」

 ――――などという事は、一切考えていなかった。
 今のフェイトは、アカデミアでゾンビと化したエリオに倒され、同じく自分もゾンビと化してしまった身。
 そして、そのゾンビと化した者達の思考は……戦闘。ただそれだけである。
 よって、アンデルセンがストラーダを持っている理由など考えず、自分がバルディッシュを持っていない理由すら考えず、ただ戦う。
 そして、相対するアンデルセンもまた、ストラーダを構えて言った。
 本来ならば愛用の銃剣(バヨネット)を十字に構えて言う、その台詞を。

「我らは神の代理人。神罰の地上代行者。
 我らが使命は我が神に逆らう愚者を、その肉の最後の一片までも絶滅する事……エィィィィィィィィィメンンンン!!」


【一日目 AM0:23】
【現在地 E-1 森林】

【フェイト=T=ハラオウン@リリカル遊戯王GX】
[参戦時期]第六話 ゾンビ化直後
[状態]健康・ゾンビ
[装備]ヴァッシュの銃@リリカルTRIGUNA's
[道具]支給品一式・ランダム支給品0~2個
[思考・状況]
基本:戦いたい
1:目の前の神父と戦う
2:なのは・万丈目と戦い、ゾンビにする

【アレクサンド=アンデルセン@NANOSING】
[参戦時期]第三話 撤退中
[状態]健康
[装備]ストラーダ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]支給品一式・ランダム支給品0~2個
[思考・状況]
基本:参加者・主催者を皆殺し
1:目の前の女(フェイト)を殺す
2:参加者を殺す
3:参加者を全員殺したら、主催者を殺す

022 本編投下順 024

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年02月19日 21:45