仮面ライダーリリカル電王sts第七話
「時と過去」
その職員はその日、ミッドチルダ北部臨海第八空港火災の現場に居た。

「酷いな…」

大規模な空港火災。
原因はロストロギアの暴走。
内部には要救助者、それも幼い少女が二名。
しかし救助しようにも炎の勢いが強すぎる。その為現状の我々では不可能。
最悪の状況だが、希望はある。二人の魔導師。片や、管理局最強のエースオブエースの称号を持つ、高町なのは二等空尉。
そして、もう一人のエース、フェイト・T・ハラオウン執務官。
二つの希望に全てを賭けていた。

「隊長!要救助者二名、救助完了したそうです。」
「そうか…、良かった」

管制を担当している、部下が報告をしてきた時は、ほっとした。
これから起きる、不運を誰も知らぬまま…。

「グゥッ、アァ」
「隊長!どうされ…、あ、アアァッ…、ば、化物!?」
「ここかぁ」

隊長は突然、苦しみだした、部下が近寄るとそこには、サイのようなイマジン、ライノイマジン改の姿があった。ライノイマジンは辺りを見回すと、呟いた。

「損傷が酷いが、まぁいい。全て、壊してやるよぉ!」

ライノイマジン改は、暴れまわり、次々と周囲の物を破壊した。

「クソォ、くらえ!」
「何だこりゃ?痒くもねぇ」

駆けつけた武装局員が攻撃するが全く効いていない。

「て、撤退!撤退ぃ!」
「逃がすかよ!」

そう言うとライノイマジン改は左手のハンマーを構えた。すると、ハンマーが変形し、ミサイルランチャーへとなったのだ。

「し、質量兵器…」
「死ねぇぇ!」

ライノイマジン改は叫びと共に、ミサイルランチャーのトリガーを引き、10発ほどのミサイルを放ったのだった。

「ギャアァァァ!」

そう叫び、炎に包まれていく武装局員。
しばらく、眺めていて気付く、自分が殺すターゲットの一人、高町なのはの姿があることを。

「丁度いい、死ねぇ!」

そう言い、腰に装着されたホルスターから、『S&W M19コンバットマグナム』を抜き、放った。
しかし、放たれたマグナム弾はなのはに届くことはなかった。何故なら、突然現れた、赤き時の列車、デンライナーに弾かれたからである。
「畜生ぉ!またかよ」
「これ以上は許さない」

デンライナーから降り立った良太郎はベルトを腰に装着し、ライダーパスを構え、言い放った。

「変身!」

そう言うと、ライダーパスをベルトにセタッチさせた。すると、良太郎の身体を黒いアーマーが包んだ。『電王プラットフォーム』つまり、基本形態だ。電王は、ケータロスを取り出し、ベルトに装着した。
すると、上空から金色のレールが現れ、その上を通り、各フォームのデンカメンが装着された剣『デンカメンソード』が電王の元へと送られた。電王はそれを掴むと、ライダーパスを挿入、金色のレールの上に立った。
すると後ろから、デンライナーゴウカを模した、オーラライナーが電王へと接近、接触すると、電王の身体に『ライナーブレスト』と言う装甲とデンカメンが装着され、デンカメンの上にデンギャザーと言うパンタグラフが展開された。
『電王ライナーフォーム』良太郎のオーラを身に纏った姿である。
「死ねやぁ!」

そう言って、マグナムとミサイルを乱射するライノイマジン改。電王は防ぎきれず、物陰に飛び込んだ。

「どうしよう…、このままじゃ」
「何、やってやがんだ。あんなもん、ぶっ壊しゃいいんだよ!」
「え、す、スバルちゃん」
本来は、モモタロスの声が聞こえるはずなのだが何故かスバルの声がした。

「何、驚いてやがる。俺達が憑いたまんまなだけだろうが。」
「え、じゃあ他の皆も?」
「あぁ。オマケに竜の奴は、ティアナって奴に憑いたんだとよ」
「えぇぇ!?」

「何、よそ見してんだぁ!」
「わっ!」

イライラしていたライノイマジン改はハンマーを叩きつけ、電王はデンカメンソードで防いだ。そして、切り返すと、右手のマグナムを弾いた。

「こ、コレなら!」
電王はデンカメンソードを両手で構え直した。

「ふざけんなぁ!」

そう言って、連射されるミサイル。電王はデンカメンソードを盾代わりに接近して切りつけた。

「グォワァ」
「え、えと。」

今回ばかりは運が味方したらしく、発射直前のミサイルにソードが直撃、ミサイルが爆発ライノイマジン改は吹き飛ばされ、電王は、一瞬キョトンとした。

「良太郎ぉ!今だ、決めろぉ!」
「う、うん」

そう言うと、電王はデンカメンソードのレバーを目一杯引いた。
すると、「ウラロッド」「キンアックス」「リュウガン」「モモソード」の順に電子音声が鳴り響いたのだった。
そして、現れた金色のレールの上に乗ると、後ろから、デンライナーゴウカ、イスルギ、レッコウ、イカヅチを模した、オーラライナーが現れ、それと共にライノイマジン改へと突撃する技『フルスロットルブレイク』を放ったのである。

「で、電車斬りぃ!」
「ヌワァァァ!」

そして、ライノイマジン改を貫き、倒したのだった。


「へぇ、そんなことがあったんだ」

ここは、機動6課隊舎にある食堂。良太郎は過去に跳んだ時に起こったことをなのは、フェイト、はやて、シグナムに話していた。

「それは、今まで戦って来たイマジンと違うところがあるらしいが、どんな所だ」
「えっと、何か無理矢理、強くなったという感じかな」

シグナムが質問すると、良太郎はそう答えた。

「つまり、改造とかをされとるんやな」
「そうなるかな?僕もよくわからないんだ」
「これからはもっと気をつけないとね」

はやてとフェイトはそう言うと少し考え込んでいた。そこにシャーリーがやってきた。

「良太郎さん、ちょっとお願いしても良いですか?」
「えと、何ですか」
「ちょっと、電王の戦闘データがとりたいんですけど良いですか?」
「えっと良いですけど、どうして?」
「今後のイマジンとの戦闘に役立てたいんです。」
「わ、分かりました。けど、どうやって?」
「なのはさんと模擬戦をしてもらいます。なるべく良いデータがとりたいし、今まで接近戦しか見てませんから」
「でも、もし」
「あ、怪我とかの心配はありません。オーナーさんの許可を取って非殺傷設定にしてありますから」
「そう、ですか…。じゃあ」
「その勝負、僕にやらせて!」
「てぃ、ティアナ!」
「リュウタロス!」

そこには真っ直ぐになのはを睨むRティアナの姿があった。

「リュウタロス?」
「どうやらティアナもスバル達と同じらしいの」

フェイトが驚き呟くとハナが答えた。その間にも、Rティアナは近づいて来た。そして、良太郎へと憑くと、なのはを指差し、言い放った。

「お前、気に入らない!お前は、ティアナお姉ちゃんに酷いことをした、だから許さない!」
「え、えぇ!」

なのはは狼狽えた。よく意味が解らないからだ。

「お姉ちゃんを動けなくして、酷いことをした、お姉ちゃんを泣かせた。だから、僕は、お前が気に入らない!」
誰もが驚いた。ティアナ自身、心当たりはあるがリュウタロスが知っているはずはない。
しかし、ウラタロスは何か分かったらしくエリオに憑くと仮説を述べた。

「もしかして、リュウタロスだけ、過去に跳んだんじゃ」
「え、どういうこと?」
「僕とキンタロスは先輩が飛び出したあとすぐに追いかけたんだ。なのに、ここに着くまで、時間がずれているんだ」
「つまり、擦れ?」
「そう、跳んだ時間に擦れが生じて、リュウタロスは過去に跳んだんだ」
「そうだよ、僕が跳んだ時、ティアナお姉ちゃんは一生懸命練習してたんだ」
「じゃあ、あの時の光が…」

ティアナが思い出したのは、自らが行なった、練習の時、ターゲットに混ざり、自らにぶつかった紫の光であった。

「うん、その後、皆が来るまでティアナお姉ちゃんの奥にいたけど起こったことは全部知ってるよ」
「でも、あれは…」
「それでも許せないもん」
「えっとじゃあ、訓練用のフィールドに」
「分かった!」
「う、うん…」

二人は、訓練用のフィールドへと向かった。R良太郎はベルトを握りしめ、なのはは、少し、困惑気味に。


訓練用のフィールドに着くと、なのははレイジングハートを、R良太郎は、ベルトを巻くとスイッチを押し、ライダーパスを構えた。

「変身!」
「レイジングハートセェェットアップ!」

バリアジャケットを装着し、レイジングハートを構えるなのはと電王となり、デンガッシャーガンモードを構える、R良太郎。
なのはは電王に言った。

「確かにティアナにあんなことはしたけど私は!」
「僕はお前が気に入らない。お前、倒すけどいい?」
「少し、話しを聞いて!あれは!」
「答えは聞いてない」

そう言い放ちエネルギー弾を放つ電王。
それを受けた時、なのはの眼は変わった。

「何で、話を聞いてくれないのかな…。なのに、自分はワガママしほうだいなんておかしいよね…。私の言ってることそんなに間違ってる?」
「知らないよ、そんなの」
「少し、頭冷やそうか…」
そのなのはの様子を見てMスバルは呟いた。

「こ、怖えぇ」
「何か、言った?」

なのはは聞こえたのか笑顔(眼は笑ってない)で言った。

「い、いえ、何にも言ってせん!!」

何故か怯えながら答えるMスバルであった。


次回予告
シャーリー「ただいま、模擬戦が行われております。現場のスバルさん」
スバル「はい、こちら現場のスバルです。見て下さい、現場は一触即発の状態です。まさに危険地帯です!」
シャーリー「様子を詳しく教えて下さい!」
スバル「両者は全く退かず、見ているこちらにも恐怖が感じられていま」
なのは「スバル?何やっているのかなぁ?誰が怖いって?(満面の笑み)」
スバル「いや、何でも…」
なのは「少し、頭冷やそうか…」
スバル「イヤァァ!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさ、キャアァァ!」
シャーリー「どうしたんですかスバルさん!スバルさん!何かあったんですか?」
スバル「イヤァァ!」
シャーリー「何かあった模様です。えぇ、次回仮面ライダーリリカル電王sts第八話「白き魔王と紫の狂人」お、お楽しみに!」
なのは「シャァーリィー!」
シャーリー「ひ、ヒィ助けてぇ!」

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最終更新:2008年02月18日 18:28