それはほんの些細なスレ違い


「絶対に許せない……!」

青年、ヒビノ=ミライはあの部屋で起きた惨劇を思い出し、あの二人の男へ怒りを抱く。
金髪の少女、それに仮面ライダーと名乗った姿を変える力を持った男が呆気なく殺された。
悲鳴や怒号に溢れる中、実際に手をかけたと思われる二人の表情は欠片も動いていなかったのだ。

「何も、できなかった……」

あの時動こうとしたのは何も仮面ライダーだけではない、ミライも十代と名乗った男を止めようとしてはいたのだ。
だが、どれだけ念じようと自分の力の象徴でもあるメビウスブレスは現れず、戸惑っているうちに仮面ライダーもやられてしまっていた。
そして今、メビウスブレスの代わりにミライの手にあるのは――

「……セブン兄さんも、連れてこられたのか」

ウルトラアイ、ミライの――メビウスの先輩であるウルトラセブンに変身するための道具である。
自分の下にこれがあるということは、メビウスブレスも誰かの手に渡っているということだろう。

「とにかく、まずはセブン兄さんと合流しないと」

今の自分ではできることは限られている。
しかしダンに会い、ウルトラセブンへと変身してもらえばこの状況から逃れる術が見つかるかもしれない。
そう考え動き出そうとした彼の耳に、複数の音が聞こえてくる。

「これは……誰かが襲われてる!?」

気づくと同時に、右腕に支給品であるガンナックルを装着し駆け出す。
……もう一つ、何故かレイトウ本マグロが入っていたことは気にしないことにした。


シンヤは不愉快そうに森を歩いていた。
殺し合い……それ自体は別に構わない、むしろ相手を殺せない戦い続きだった彼にとっては憂さ晴らしになる。
問題なのは彼の状況だ。

「テッククリスタルもない、兄さんも同じか……?」

特に不機嫌になる理由は二つ、
一つは自分がテッカマンになるための道具、テッククリスタルを奪われているということ。
そしてもう一つは、彼の兄であるタカヤもこの殺し合いに参加させられていることだ。

「誰かに殺されたりしないでくれよ、兄さん」

……この言葉は別にタカヤの身を案じて出た言葉ではない。
彼はタカヤの死を望んでいる、だが、それはこんな力を奪われ、どこの誰とも知らない人間ごときに殺される展開などではない。
テッカマンとしての力を使い、全力でぶつかり、自分のこの手で殺す。それがシンヤの望みなのだ。

「ん……? ふぅん、丁度よさそうだね」

少し離れたところに、一人の男を見つける。
西部劇気取りなのか、カウボーイハットを付けた男は辺りを見回しながら歩いていた。
まだ開始からほとんど時間は立っていない――はずだ、参加者全員が一斉に送られたと決まったわけではないので断定できないが。
仮にそうだとした場合、あの男がタカヤの居場所を知っている可能性はかなり低いはず。
ならば、何を持って「丁度いい」のか?

「そこの男!」
「っ!?」
「実験に付き合ってもらうよ!」

あえて声をかけてから支給品の剣で斬りかかる。
その斬撃を男――ジムは咄嗟に後ろへ飛び退り回避する。

「へぇ、素人かと思ったけど、思ったよりもいい動きだね」
「Hey boy! こんな殺し合いなんかに乗る気なのか!?」

ジムの叫びを聞き流しながら、シンヤは自分の体の感覚を確かめる。
いつもよりも若干動きが悪い、恐らくだが、万が一にも反攻されることを怖れて何らかの制限を加えているのだろう。
更にシンヤの機嫌が損なわれるが、それは置いておきジムへと声をかける。

「ねえ、カードを持ってないかい?」
「カード、だと?」

突然襲い掛かってきた男にそんなことを尋ねられれば誰だって戸惑うだろう、
だが、その直後シンヤがデイパックから取り出した物を見てジムは目を見開く。

「デュエルディスク!?」
「へぇ、知ってるのかい? これ単体では役に立たないらしくてね、どうしようかって思ってたんだ」

そこまで言って、何か思いついたように笑みを浮かべて再びジムへ語りかける。

「その様子だとカードは持ってないみたいだね、そうなると、用済みかな」
「っ……!」
「だけど、この機械についてはよく知ってるみたいだ……詳しく教えてくれたら、見逃してもいい」
「取引きってことか……OK、いいだろう」
「賢明だね」

ジムも身のこなしには自信があるが、目の前の男は自分では到底太刀打ちできないだろう。
ならば多少の情報を与えてでもこの場を切り抜けることが重要だ、
シンヤはゆったりとした動きでジムに近づいていき――二人の間の空間をエネルギー弾が貫く。

「止まれ! それ以上その人に近づくな!」

二人が振り向いたその先――
ミライがシンヤにガンナックルを向け、叫んでいた。

【一日目 AM0:53】
【I-7 森林】
【ヒビノ=ミライ@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは】
[装備]ガンナックル@ 魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]支給品一式、ウルトラアイ@ ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは レイトウ本マグロ@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER
[思考・状況]
基本 殺し合いを止める
1.剣を持った男を止める(傷つけたくはない)
2.セブン(ダン)やなのは達と合流する
3.メビウスブレスを取り戻す

※レイトウ本マグロを武器だと思っていません。

【相羽シンヤ@宇宙の騎士リリカルBLADE】
[装備]ディアスの剣@スターオーシャン・リリカルストーリー
[道具]支給品一式、デュエルディスク@リリカル遊戯王GX 不明支給品0~1個
[思考・状況]
基本 自分と兄さんのテッククリスタルを手に入れ、殺し合う
1.何だ、この男?
2.ジムからデュエルモンスターズカードについて聞く
3.テッククリスタルを手に入れる
4.タカヤ兄さんを探す(できれば3の後)

【ジム=クロコダイル@リリカル遊戯王GX】
[装備]なし
[道具]支給品一式、不明支給品1~3個
[思考・状況]
基本 殺し合いを止め、十代を正気に戻す。
1.な、何だ?
2.剣を持った男から逃れる
3.十代、いったいどうしちまったんだ!?
4.トゥモローガール……!

026 本編投下順 028

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年02月20日 22:10