聖闘士(セイント)とは、女神を守るために集った少年達を指す言葉。
 彼らはその超絶した技をもって、女神と平和に仇をなす者達から地上を守っていたという。 
 されど、彼らも人の子、ゆえに自らの力に溺れ、私利私欲に走る者がでてきた。
 それが暗黒聖闘士(ブラックセイント)、ゆえに女神は彼らをある一つの島に封じたのであった。

 暗黒聖闘士……それは、余りの非道さに女神から見捨てられた暗黒の闘士。

 時は過ぎ、至高の聖衣である黄金聖衣(ゴールドクロス)を争う戦いにおいて、青銅の闘士達に倒された暗黒の闘士は5人。
 だがその戦いの最中、その戦いを私欲によって行う戦いと断じた聖域の刺客によって青銅の闘士の身代わりと
なりことごとくその命を絶たれたが、死んだ暗黒聖闘士の数は4人……ならば残りの一人は何処に消えたのだろうか。
 これは語られる事のなかった、人の心に目覚めた暗黒聖闘士の物語。

情に目覚めし黒き龍プロローグ

 ずっと昔から、リインはとても気になる事がありました。
 クラナガンの家の片隅に置かれた大きな黒い箱、リインはそれを見るたびにとても恐くなりました。
 その箱には龍の顔が彫刻されていて、何だか睨まれているように感じたのです。
 だけど、はやてちゃん達はリインがその箱を恐がる度に悲しそうな表情になるのがとても辛かったのです。
 だからリインは一度、勇気を振り絞って箱の事を聞いてみました。

「はやてちゃん、あの黒い箱はどうして置いてあるんですか?」

 リインが質問をしたら、はやてちゃんはリインの頭を撫でながら答えてくれました。

「これはなリイン、今はもういない私たちの大切な家族の形見なんや」

 その答えにリインはとても驚きました、はやてちゃんが教えてくれた先代の祝福の風以外にもう一人家族がいたことに
そして、なぜリインに教えてくれなかったのかを。
 だからリインは、はやてちゃんに教えてくれなかった悔しさをぶつけてしまったのです。
 涙を滲ませながら詰め寄るリインに、はやてちゃんは悲しそうに微笑むと箱に手をかけながらポツポツと語りかけてくれたのです。
 はやてちゃんがシグナムやヴィータちゃん達と出会った日、同じように現れた漆黒の少年の事を。
 ほんの僅かな暮らしのなかで育んだ家族としての絆、最後にみんなを守る為に命を最後の一片まで燃やし尽くし消えていった事を。
 その話を聞いた時、リインはなんでそこまで出来るのか判りませんでした。
 だって騎士でも魔道師でもない只の人が誰よりも強かったなんて信じられません。
 はやてちゃんは教えてくれました、人間が誰しも秘めているという力、小宇宙(コスモ)。
 その人は、その小宇宙の力を持って自分が信じた人の絆に殉じ拳を振るったと。
 話を聞いた今でも、その全てを信じる事はできないです。

 それから数ヵ月後、はやてちゃんの夢の第一歩である機動六課が設立され箱もクラナガンの家から隊舎に移されました。
 仕事の時にふと顔を上げると、箱の龍の彫刻に見つめられてる気がするです。
 でも今は恐くありません、私達を見守っていてくれていると教えてもらえたから。
 だから、リインは語ります。
 はやてちゃんに教えてもらったこのお話を、魔道師適正なんて無くても人は何処までも強くなれるものなのだと。
 フォワードの4人に、本当に大切な物の為に戦う心の大切さをリインは語るです。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年02月22日 19:43