仮面ライダーリリカル電王sts第九話
「ドラゴンズ・ダンス」
二匹の龍がオウルイマジンRに迫るなか、倒れているティアナに迫る影。名はオウルイマジンL、つまり同型の二号実験体である。
「見てろよ、電王。」
そしてオウルイマジンLは突如、ティアナを無理矢理掴むと大声で叫んだ。
「こいつがどうなってもいいのか!」
「ティア!」
「電王、これで手を出せまい?」
余裕の笑みを浮かべながら喋るオウルイマジンL。しかし二人共まるで何かに気付くと微笑んだ。
「何がおかしい?」
「あなたは、何処を見てるの?勝ち誇るなんて馬鹿げてる…」
「ふ、フザケンナァ!」
『sonic move』
「な、しまった!」
そう言って右手のガトリングガンを向けるオウルイマジンL。しかしその時、蒼き閃光がその場を駆けティアナを助け出した。
その閃光の正体は赤き髪に青のメッシュを入れ、眼鏡を掛けた少年。
「全く、何で僕が…。ま、楽だったけど」
名はエリオ。いや、今は、Uエリオと言うべきだろう。
「仕方ないなぁ。なのはちゃん達はそっちを片付けてよ。僕がこっちをやるから」
「分かった…」
Uエリオは勝手に宣言するとオウルイマジンLの前に立ち塞がった。
そしてクルリと一回転して一言。
「お前、僕に釣られてみる?」
「ざけんなぁ!」
こうして、二つの戦いの火蓋が切って落とされた。
《UエリオVSオウルイマジンL》
UエリオはオウルイマジンLを持ち前のスピードで撹乱していたが今一つ攻めきれない。
何故か?それは簡単だ。エリオは元々スピード型の為、防御力はそこまで高くない。その為相手が連射型の武器を使っている場合、接近が困難となるのだ。
つまり相手がガトリングという点と防御力さえあればいいのだ。
「やはり、今使える防御じゃ足りない…。エリオ、アレ使うよ」
『でもアレはまだ搭載されたばかりでテストも…』
「でも、やるしかないでしょ?それに上手くやればテストの代わりになるし」
『そうですね、やりましょう!』
エリオと話をしたあとUエリオは立ち止まり、魔力を集中させた。
「ハァァァッ、ストラーダ!」
『aurasystem set up』
その音声と共に放たれるは蒼きフリーエネルギー。それはアーマーへと変換、装着される。
オーラシステム、それはすなわち、電王のフォームチェンジの魔導師版フリーエネルギーを肉体の強化及びアーマーとして使用するというものである。
「さあ、いくよ!一度釣り上げかけた獲物は逃がしたくないんでね」
その声と共に腰につけられた四つのパーツを組み立て、長いロッドにする。それはデンガッシャーに酷似していた。名はオーラロッド。
Uエリオはロッドとストラーダを巧みに使い、相手にガトリングを撃たせない。
それは槍とロッドの蒼き二重奏。
右のロッドを避ければ左のストラーダが裂き、左のストラーダを避ければ右のロッドが突く。
一方的に攻めたてるコンビネーションであった。
一気加勢に攻めたて距離を少し取ると腰からパスの様な物を取り出す。すると腰にベルトの様な物がセットされる。
ベルトにパスをセタッチさせると電子音が響いた。
『fullcharge』
音声と共にロッドにチャージされるフリーエネルギー。
「ハァァァッ!」
Uエリオはフリーエネルギーがチャージされたロッドを振りかぶると気合いと共に投げた。
ロッドはオウルイマジンLを貫くと亀甲の網で動きを封じる。
そして、Uエリオはストラーダを構え、自身最速の魔法ソニックムーブを使用しオウルイマジンLへと突撃、そのまま激突する寸前で地面にストラーダを突き刺した。
超高速からの急激な減速。それにより発生する暴力的なまでのエネルギー。
それを全て自らの身体にのせ、UエリオはオウルイマジンLへと回し蹴りを放つ。
解放されたエネルギーはオウルイマジンLを爆散させた。
「フゥッ、終わった。さて、後はティアナちゃんを届けるだけか」
そう言ってティアナを抱き抱え医務室へと運ぶUエリオであった。
《なのは&電王GUNformVSオウルイマジンR》
さて、白き魔王と紫の狂人の戦いは一方的に戦いであった。
オウルイマジンRは右手をライフルからマシンガンに切り替え、乱射する。
しかし、掠めさえもしない。
電王は、ダンスのステップを踏むように飛んでくる弾丸を全弾かわしていく。
それは、まるで楽しむように…。
それでいながらさながら暴れ狂う龍のごとく無数のエネルギー弾を叩き込んでいた。
一方のなのははというと空中にて乱射された弾丸を天使が舞うかのようにかわしていく。
しかし、ひとたび攻撃に転じればたちまち悪魔の様な砲撃を放つ。
それは天地を支配する魔王のようで天を翔ける龍のごとく。
二匹の龍はもはや暴龍の如く暴れ狂い、オウルイマジンRを破壊しようとしていた。
「クソッ、クソッ、クソォォ!お前らはなんなんだ?」
「あなたは許されない。だから質問する権利はないから…」
「お前は僕達を怒らせた…。だからここで倒す!」
「だから何…ウグッ、ウググッ」
「うるさい…」
オウルイマジンRが喋ろうとした瞬間、桜色のバインドで口が塞がり喋ることが出来なくなった。
そのバインドはなのはが睨み付けながら発動させていた物。
そして、ここからが、怒り狂う暴龍のステージ。
「限定解除…」
『exceed mode』
全力のなのはの魔力のオーラはまさに白き魔王。
「許さないよ。絶対に」
怒り狂う電王の放つオーラはまさしく狂人。
二人はユラリとオウルイマジンRに近づく。
そして、なのはは幾重にもバインドを張り巡らす。
「いくよ、なのはお姉ちゃん…」
「うん、分かってる…。レイジングハート、カートリッジ全弾ロード…」
『cartridge load』
鳴り響くコッキング音。増大する膨大な魔力。そして精製されるは50発以上の魔力弾!
そして、その魔法は放たれる。
『クロス…ファイヤァァーシュゥゥトォォ』
50発以上の魔力弾は全てオウルイマジンRへと一直線に向かっていた。
何とか避けようと動きまわる姿はまるで踊り狂う人形。
レイジングハートにマガジンをセットしたなのはとパスを取り出した電王は二人同時に己の得物をつきつけた。
「これで終わり…」
「決めるから…」
「ウンッウグッ!」
『最後いくよ、いい?』
「ウググ、や、め…」
『答えは聞いてない…』
「レイジングハート…」
『cartridge load』
「ディバィン…」
『fullcharge』
収束される魔力。セタッチされるパス。激しくうねる怒りのオーラ。それは即ち死刑宣告!
「バスタァァァッ!」
「いっけぇぇぇ!」
放たれる桜色の奔流と紫の光弾は一つとなり破壊の奔流とかす。
「ウアァァァッ!」
そして叫びをあげながら、オウルイマジンRを灰塵ときした。
「終わったね…」
「うん…」
「ティアナのことも気になるし、帰ろっか!」
「うん、分かったよ。なのはお姉ちゃん!」
戦い終わり、BJを解除したなのはと変身を解除したR良太郎は帰路へとついた。
夕日をバックに歩くその姿はまるで本当の姉弟のようであった。
「へぇ、私が倒れてる間にそんなことが…」
「うん、大変だったんだからね」
ここは医務室。ティアナはここで眠っていた。
傷が思ったより浅かったことと早めに治療したことが重なり大事にはいたらなかった。
そしてティアナはたった今、目を覚ましたのだ。
「でも、ティアナさん傷が浅くてよかったですね」
「ホント。ティアが倒れた時はどうしようって思ったんだよ」
スバルは本当に心配してたらしく、倒れた後、運んだ後もずっとついていた。
「もう、大丈夫だから」
「でもぉ」
「でもじゃない」
「本当二人は仲がいいね!」
二人が話していると、Uエリオが二人の様子を見て呟いた。
「でも凄かったなぁ、なのはちゃん」
「へぇ~、どんな風に凄かったの?」
「うん、なんていうのかなぁ。怖い?」
「怖い?」
「おい、亀公!珍しく気があうな」
ティアナとUエリオが話しているとMスバルが話しに入って来た。
「あれは、怖いよ。もしかしたら怒ったハナちゃんより怖いかも」
「あ、あぁ…、確かにな…」
「聞いた話何だけど、なのはちゃん、『白い悪魔』とか『魔王』とか呼ばれてるらしいよ」
「マジかよ…」
「でもよ、あれ魔王なんてもんか?そうだな『破壊神』とかどうだ!」
「先輩にしては格好いいね」
「だろ!」
『二人共、いい加減にして下さい』
『そうだよ!なのはさんは天使みたいな人何だから!』
「いや、それもどうかと思うぜ…」
「二人共、まったく…」
二人の話を聞き、ため息をつく、ティアナ。
ここで仮定しよう。
もし、この話をしなかったら…
もし、もう少し時間をずらしていたら…
この後、二人に振りかかる地獄はなかっただろう…。
しかし、不幸なことに偶然は重なり、二人の後ろには地獄が迫っていた…。
二人が話している途中、ティアナはふと二人の後ろを見た。
そして、目があった。恐怖の根源と…。
「あ、あああ…」
「どうしたの?ティアナちゃん」
「どうした、傷が痛いのか?」
「ふ、二人共。う、後ろ…」
「後ろ?」
「何がある…、あ、ああ…」
「先輩!?何が…、嘘、な、なのはちゃん!?」
二人の後ろ、そこには膨大な魔力と怒気を剥き出しにしながら、満面の笑みを向けている高町なのはの姿があった…。
「魔王?悪魔?あげくのはてには破壊神?」
「やべぇ!」
「もしかして、僕達危険なんじゃあ…」
「ティアナ。少し、こっちに来て…」
「は、はい!」
「お、おい、見捨てんのかよ!?」
「自業自得…」
ティアナはなのはの後ろへと行って、呟く。
それを確認し、いつの間にかセットアップしたレイジングハートをMスバルとUエリオに向けた。
「二人共、覚悟はいい?」
「ま、待てよ」
「答えは聞いてない。少し、頭冷やそうか…」
『ギャアァァァッ!』
その日、機動6課に二人の悲鳴と爆音が轟いた。
さて、これにて二匹の龍の闘争は終わり、機動6課に再び平穏が訪れる。
次回はそんな休日ともう一人の仮面の戦士の物語。
次回予告
ハナ「度重なるイマジンの襲撃。疲弊していく機動6課」
なのは「でも、そんな日々に訪れた一日限りの休日」
ハナ「そして、暗躍するイマジンの影と一人の少女」
なのは「二つは新たな出会いを呼ぶ」
ハナ&なのは『次回仮面ライダーリリカル電王sts第十話「機動6課のある休日《前編》」お楽しみに』
Mスバル&Uエリオ『二大魔王揃い踏み…』
なのは&ハナ『何か言った?』
Mスバル&Uエリオ『ヒッ!』
なのは&ハナ『少し、頭冷やそうか…』
Mスバル&Uエリオ『ギャアァァ!』
最終更新:2008年03月02日 21:31