Second Miss


 二度と繰り返したくないと思った。
 失われたのは、大事な人の大事なもの。
 悲しんだのは、想い半ばに折れたその人の心。
 悔やんだのは、それを止められなかった自分の非力。
 あの時そうしていれば、そう思った事は数え切れないほど沢山。
 後悔ばかりが募る、やり直しが効くならそうしたい過去。
 だから自分は思ったのだ。
 もう二度と同じ事は繰り返したくない、否、繰り返さない。
 あの失敗を、大事な人が損なわれるその結果を、自分は二度と起こさない。
 そう誓ったのだ。

     ●

 新庄が拠点に定めたのは、市街地の一角に建つマンションだった。
 乱立するビル群にあって一際高い建造物、その上層階の一室に新庄は足を踏み入れる。
 そこはかつて、フェイト・テスタロッサがPT事件の最中に住んでいた部屋である――などという事を知る筈も無く、新庄は全室を確認した後にバルコニーへと進み出た。
 落下防止の壁でストームレイダーを固定し、備え付けの望遠鏡で周辺を見回す。全てはあらゆる戦闘に介入し、殺し合いを未然に防ぐ為だ。だから、
「…………あれは……」
 見始めて数分後、2人の少年と1人の少女が構え合う状況を見つけた時、新庄は思わず息を飲んだ。
……もう、殺し合いが始まってるの……?
 この市街地に放逐されてまだ2時間弱、その短期間で3人もの人間が戦ってる。
「――――――っ」
 その事実に背筋が震えた。
『落ち着きなさい、新庄』
 それに感づいたのか、新庄が“先生”と尊称するインテリジェントデバイスが諭す。
『よく見なさい。攻撃しているのは女の子の方だけで、男の子達は殆どやり返さないでしょう? 少なくとも男の子達は戦いを望んでいないわ』
「……あ」
『この距離なら、変な介入を受けない限り武器を撃ち落とせる。もしあの内の誰かが死にかけたら私達で止めましょう。第三者に狙撃された、と知ればあの子達も戦いを止めるでしょう』
「はい」
 弱まりかけていた表情を引き締め、新庄はストームレイダーを握り直す。いざという時の抑止力、新庄が自らに課したスタンスを貫く為に。
『……そうよ、二度も同じ失敗をしないわ』
「先生?」
 続いた言葉は新庄に向けたものではなく、ストームレイダーが自身へ向けた言葉の様だった。
『――私が彼を傷付けてしまった失敗を、貴方にする訳にはいかないのよ』
 言い聞かせるような、思い詰めたようなストームレイダーの様子に新庄は心配する。
……大丈夫、かな……
 このマンションへ入る前に聞かされた、ストームレイダーの過去。本来の主を支え切れなかったという彼女の悔恨を新庄は思う。
……でも……
 その時ストームレイダーは続けて言った。“一緒にやっていこう、と言えたら良かった”と。だから自分はそれに応えたい。ストームレイダーが望みつつも出来なかった事を自分はしてあげたい、と。
「……うん」
 小さく呟き、意思を固める。その直後、
『――新庄!』
 緊迫を込めたストームレイダーの呼び声を聞いた。
 まさか、とも、遂に、とも思い、改めて覗いた望遠鏡の向こうで、遠地の三人が戦闘を開始した。


 胡散臭い男がまた増えた、というのがティアナ=ランスターの感想だった。
 自分を呼び止めた訳知り顔の白髪男、そいつとの交戦中に現れた双剣を持つ茶髪の男、その両方を見据えてティアナは銃を構え直す。
「落ち着いて下さい、僕は殺し合いに乗っていません!」
「ティアナ、やめろ!」
 男達が口喧しく制止を呼びかける。こいつらは、この状況にあって見ず知らずの人間がどれ程信用出来るのか、それについて考えた事は無いのだろうか。
「……馬鹿ばっかりね」
 嘆息を吐き、同時に発砲する。
「――っ!!」
 二人の男は飛び退いて回避。しかし白髪男の方は、先ほど与えた銃創のせいか動きが鈍い。
……狙うならこっちね……
 思うも早々ティアナは地を蹴った。吸血鬼化によって強化された身体能力が、一瞬で両者の距離を詰める。そうして至近距離から撃ち抜いてやろう、と銃を構え、
「やめろ!」
「!?」
 茶髪の男がこちらに追い付いた。男は左脚を回しつつ跳び、遠心力を利用して速度を高めたのだ。更に、加速した左脚がティアナへと飛来する。
「ぐ……っ」
 白髪男に向けていた銃を構え直し、その銃身で回転蹴りを受ける。そこで生じたのは予想外の強打、耐えきる準備の無かったティアナは後方へと退かされた。
……この男、並みの戦闘力じゃない!
 純正でないとはいえ、化物の身体能力を持つ今のティアナに押し勝つ事は容易ではない。今の攻防は、茶髪の男に対する認識を改めさせた。
「貴方は殺し合いに乗っているんですか!?」
 見据えた茶髪の男がこちらへ確認を叫ぶ。
「もしそうなら……鎮圧します!」
 持ちつつも今の一撃に使わなかった双剣、骨に似たそれを男は構える。もしも今の質問に是と答えれば、今後はそれも用いるという事だろうか。しかし、
……鎮圧、鎮圧ね……
 殺すとは言わないのね、とティアナは思う。それは茶髪の男が放つ気迫からも理解出来る。
 双剣を持つ茶髪の男、彼が有するのは“死なせない為”の戦意だ。多くの者がそれを掲げ、しかし矛盾と偽善によって何時かは手放す意思、それをこの男は強く滲ませている。
……矛盾に気付かない程の阿呆、という事でもないでしょうね……
 無知ならば、ここまで意思は据わらない。しかして頭が良ければ、それを続ける事の困難が理解出来ない筈がない。鑑みて思う、茶髪の男に対してのティアナの印象は、
「――馬鹿、ね」
 どれ程辛いのか、どれ程難いのか、それを理解した上で突き進む、真性の馬鹿だ。
……どうしたものかしら……
 ここまで馬鹿を極めるとただの馬鹿よりも厄介だ。その事は、あの青い髪をした相棒との付き合いで解っている。あれと同等以上に、この男は面倒だろう。
 とティアナは推測し、硬直した。だがどうもそこまで読んだのは、ティアナの方だけだった様だ。
「――おいお前、何言ってるんだ!?」
 茶髪の男に庇われていた白髪の男、彼が怒鳴りと共に茶髪の男の肩を掴む。
「俺の仲間に何する気だよ!!」
「仲間? でも今さっきまで襲われて……」
 肩を強く引かれ、また白髪男からの注意を聞いて、茶髪の男の目線がティアナから白髪男に移った。
……好機!
 図らずもこちらに胴を晒した状態で、男達はティアナから注意を逸らした。これを狙わぬ手はない。思うと同時の行動、腕を振り上げ、銃を構え、引き金に指をかける。
「「―――――!」」
 その動作に気付いて二人はティアナを見る。だがもう遅い。向こうが脚を動くよりも、こちらが指を引く方が早いのは自明の理だ。
「!!!」
 そして銃音は響いた。

     ●

 新庄とストームレイダーが監視する先で、少女が銃を構えた。対する少年2人はそれを回避出来るだけの準備がない。
……ここだ……!
 自らに定めた“介入”というスタンス、それを行うのは今だ。
 ストームレイダーから聞こえる細々とした駆動音、狙撃を外さない為の演算や調整を行っているのだろう。どうやら彼女もこちらと同じ判断の様だ。
……撃つ、んだよね……
 その事に怖さがある。もし彼女に当たったら、もし彼に当たったら、もし何の効果も無かったら。失敗を、そして行動が成功してもそれが本当に正解なのか、そういう事を新庄は恐れる。
「――でも」
 動くと決めた。
 かつて自分が犯した失敗、それをもう繰り返さないと。迷いや恐れのせいで、動く事すらなく失敗する事はもうしない、そう決めた。
……ボクは、もう……!!
 意思の確固は表情に表出、新庄が決意を滲ませると同時にストームレイダーが補正完了を叫んだ。
『いけるわ……新庄!』
「はいっ!!」
 指にかかるのは、ストームレイダーの引き金。その感触に指先が僅かに震え、しかし、新庄は撃った。
 弾丸の向かう先は――少女が今にも撃たんとする銃本体。

     ●

 結局の所、放たれた弾丸は2発だった。
 一つはティアナが、疑わしき二人の男に対して放ったもの。
 もう一つは新庄が、そんなティアナと二人の男の交戦を止める為に放ったもの。
 新庄やストームレイダーは緊張を内心に敷き、逆効果で失敗もしかかった。だが放たれた非殺傷設定の魔力弾そのものは何の失敗も無い、確かにティアナの銃を撃ち落とす軌道をとっていた。
 そう、このままいけばティアナは撃つ前に銃を失い、そして3人は第三者の介入に警戒し去っただろう。
 だがしかし、現実は、一寸先の未来は、そうならなかったのだ。
「――だめえぇっっ!!!」
 茶髪と白髪の男、スザクとキリヤ。そして銃を構えたティアナ。その三人の間へ、悲鳴をあげて割り込もうとする者があった。
 紫の髪を左右で結わえた小柄な少女、柊かがみである。
 スザクが向かって尚続く交戦の音に心配し、彼の後を追って来たのだろう。そして、そのスザクが銃撃されようとする現場にかち合った。
 仲間の危機にかがみは叫び、そして身を呈して庇おうとした。
 今時それが出来るものはそう多くない。実に見上げた心持ちと行動だった、そう言えるだろう。
 だがこの場合、それは全くを持って逆効果だった。
 何故ならかがみが走り込む軌道は、新庄が放った魔力弾の射線と交差していたから。
 身を呈した防御、第三者の放つ弾丸、幸を狙って不幸にもぶつかった2つの善意は、最悪の結果を作る。
「―――――――――――――――――――」
 新庄・運切の魔力弾が、柊かがみに直撃した。奇しくもそれは、左目。
「――――あ」
 突然の衝撃、付随する痛みにかがみが。
「――あ」
 大事な女性が撃たれるという現実にスザクが。
『あ』
 かつて誤射した本来の主の実妹、それを彷彿とさせる現実にストームレイダーが。
「「『あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっッ!!!?』」」
 叫びは同時に、重なった。

     ●

 何故だろう、何故こんな事になっているのだろう。
 スザクは目の前で起こっている現実を理解する事が出来なかった。
……どうしてかがみさんが、ここに……?
 恐らく、自分が出て尚続く戦闘に心配して追いかけて来てしまったのだろう。
……どうしてかがみさんが、あんな事に……?
 それは、目の前の女性が放った弾丸から自分を庇った為だろう。
……どうして僕は、かがみさんを護れなかった……?
 考えるまでもない。それは自分が、
……“俺”が、弱いから……っ!!
 自分が弱いから、枢木スザクという人間が薄弱だから、故に柊かがみは傷付いた。
 だから、あの時と同じ失敗を繰り返す。
 主として人間として、信頼と忠誠と愛情を誓った、あの王女を護れなかったあの時と。
……“俺”はまた、同じ事を……同じ失敗を……
 そうとも、あの時と同じだ。大事な女性を、“あの男”に撃ち殺された。

「ゼエエエエエエエエェェェェェェェェェェロオオオオオオオオオォォォォォォォォォォッ!!!」

 瞬間に生じるのは、跳躍と咆哮。スザクはかがみを撃ったその女に迫る。 
「……っ!?」
 かがみの乱入、そしてスザクの豹変に驚いたのか女が硬直した。それを見逃す程に今のスザクは尋常ではない。
「らアぁぁぁぁぁッ!!」
 先ほど女に喰らわせた回転蹴り。しかし殺意を込めた今、その威力と速度は桁が違う。銃を手中から引き剥がし、返す脚で女の頭部を打ち抜く。
「……ぐ」
 頭蓋を振るわせ、頸椎を捻る一撃に女の体が揺らぎ、倒れる。一点を見ない視線は意識の撹乱が故か。
……よくもかがみさんを……ッ!!
 報復と怒りと、その他諸々を込めてスザクは追撃する。だが、
「何してんだお前っ!!!」
 白髪の男が介入した。この女を庇おうというのか、手に持つツルハシを振りかぶって迫る。
 結果は、
「「「――――――――――――――ッ!!」」」
 スザクが辛くも上半身を起こす女の首に刀身を添え、しかし白髪の男がこちらの額にツルハシを密接させ、故にもう片方の剣を白髪の男に向けるという、一種の三すくみ。
「……何故邪魔をすんですか?」
 額にツルハシの先端部を感じつつ、スザクは白髪の男を睨む。
「この女は貴方を殺そうとし、僕を殺そうとし、そしてかがみさんを撃ったんですよ?」
「ティアナは俺の仲間だ……殺させない」
 ティアナ、とはこの女の名前だろうか。しかし、それと仲間だと言うならこの男も。
「じゃあお前もこの女と同類か……?」
「落ち着けよ」
 向けたこちらの表情に冷や汗を流し、白髪の男は空いた手で脇を指差す。スザクは白髪の男へ意識を向けつつ、指差された方を見る。そこにあったのは、
「……穴?」
 道路を成すアスファルト、その一辺に作られた小さな穴だった。
「解るか? それはティアナが撃った弾の跡だ。……ティアナは確かに撃ったが、そのかがみって子には当たってない」
 そもそも撃たれた場所はティアナの射線上じゃなかったろ? と白髪の男は補足。
「お前達全員、構えを解け。この状況を第三者が……“狙撃手”が見てる。何時までもここにいると、俺等も撃たれる」
「証拠は?」
 撤退を勧める白髪の男をスザクは問い詰める。
「証拠はあるのか? 構えを解いた瞬間に、“俺”もかがみさんも殺そうとしてるんじゃないのか?」
 第三者がいるという証拠は?
 その穴が銃によって作られたという証拠は?
 “俺”達を殺す為にお前とこの女が共謀しているのではないという証拠は?
「――貴様等を信じられるという証拠は………」
 言いきろうとしてそれは止まった。否、止められた。
 肩に感じた小さな牽引、かがみの小さな手が触れられた感触によって。
「……だいじょう、ぶ、わたしは、だいじょうだから……」
 銃撃を受けた左目を押さえ、しかし押さえ切れない涙に濡れつつ、かがみはスザクを見る。

「――だから、お願いだからそんな顔をしないで」

 震えるかがみの声、その内容にスザクは驚愕した。
……“俺”は……今どんな顔をしているっていうんだ!?
 人を護りたいと、貴方を護りたいと、そう願い誓った自分が、今はどんな顔をしているというのか。
「――あ」
 膝が震えるのを感じた。声が震えるのを感じた。意思が、震えるのを感じた。
……“僕”は……何を……?
 気付かぬうちに腕が落ち、双剣が双方から離れた。その事を承諾と受け取ったのか白髪の男は、
「早い内にここから離れよう。どこか、屋内に入れば狙えない筈だ」
 弾き飛ばされた銃を拾った後、ティアナなる女性に歩み寄り、その腕を肩に回して担いだ。
「……じゃあ、着いてくると良い。ここに来るまで僕達が隠れていた場所がある」
 そしてスザクは、彼の打ち出した方針に空虚な声で答えた。そのままゆらりと身を回し、向くのは自分やかがみが出てきた方向だ。
「…こっちだ」
 そのまま歩を進めて先導する。後ろから女性を担いだ白髪の男がついてくるのを聞きつつ歩む。
「――――スザク」
 途中、かがみの前を過った。こちらを心配そうに見る彼女に、
……自分の方が、もっと辛いのに……
 スザクは感想する。全く、先ほどかがみに言った事はその通りだった。“勇気があるのは自分ではない、かがみの方だ“と。
「……行こう、かがみさん」
 言葉と共にスザクは笑む。
 しかしそれを見返すかがみは、その表情を辛そうに歪めていた。




【一日目 現時刻AM1:50】
【E-6 市街地】

【チーム:ダブル・ボーイミーツガール】
[共通思考]
1.“狙撃手”に気をつけろ
2.少なくとも“狙撃手”を解決出来るまでは互助を維持
3.一先ずかがみを安静にする為、Devil May Cryを目指そう

【キリヤ=カイト@SHINING WIND CROSS LYRICAL】
[状態]健康・左腕に銃創
[装備]破壊神のつるはし@なのはのくせになまいきだ
[道具]支給品一式
[思考・状況]
基本 このゲームを止める
1.ティアナ、大丈夫か?
2.あの女の子(かがみ)は大丈夫だろうか……?
3.機会を見てシーナ探索を提案しよう
[備考]
※心剣は抜けます
参加者の記憶が改竄されていると思っています

【ティアナ=ランスター@NANOSING】
[状態]健康・多少疑い深くなっている・意識がもうろうとしている
[装備]アイボリー(予備マガジン数:4/5)@魔法少女リリカルなのはStylish
[道具]支給品一式、詳細名簿、ランダム支給品0~1個
[思考・状況]
基本 仲間達と合流し、今後の方針を練る
1.……首痛…頭がくらくらする……
2.何か妙な事になったわね……
3.“狙撃手”が解決したら独立して仲間を探しに行こう
4.捜索はまずマスターから。残りは二の次
[備考]
※詳細名簿には以下の情報が載っています
 参加者名(顔写真付き)
 参加者の能力(但し特殊能力の詳細は載っていない)

【枢木スザク@コードギアス 反目のスバル】
[状態]健康・焦燥
[装備]回式・芥骨@リリカルスクライド//G.U.
[道具]支給品一式、ランダム支給品0~2個
[思考・状況]
基本 誰にも人殺しをさせず、このゲームを終わらせたい
1.かがみさん……ごめん……
2.僕はまた…同じ事を……
3.“狙撃手”……許さない!

【柊かがみ@なの☆すた】
[状態]健康・左目に重傷
[装備]特になし
[道具]支給品一式(500mlペットボトル等)、カイザギア一式(カイザフォン除く)@マスカレード
[思考・状況]
基本 誰も殺したくない。家に帰りたい
1.スザク…誰も殺さないで……
2.……目が…痛いよぉ………っ




 3人から4人に増え、自分達の捕捉範囲から離れていく少年少女を新庄は見ていた。
 誰1人として死なせず戦いを終わらせた、当初の願いを果たしつつ、しかし新庄の表情は晴れない。
……撃っちゃった……あんな、小さな子を……
 乱入者たる4人目の少女、それを自分は撃ってしまった。突然割り込んで来た少女が悪い、と考える事は出来なかった。
……よりにもよって、目を……
 精密な望遠機能は、少女が左目でこちらの弾丸を受けた事を見せた。放った魔力弾は非殺傷設定、間違っても死ぬ事は無いだろうが、しかし目に当たれば失明の可能性もあるらしい。
 と、そこで新庄は思い至った。何故ストームレイダーが、それを断言出来たのかを。
……昔、そういう事実を起こしたから……
 その瞬間にわき上がる感情は、焦り。まさか、という予想を抱き、見やったストームレイダーは、
『……ぁ………ああ……ぁ、ぁ……』
 意味の無い呻き、意思表示を示すコンソールの無作為な点滅、それがストームレイダーの挙動だった。
「――先生」
『……や、やぁ……違うの…待って待ってまってよ……違うんだってば………違うのよぉ……っ』
 もし彼女の体が人だったならば、きっと頭を振って涙を流していただろう。
 そう思わせる、声。
『………わたしは、わたしは、もう、おんなじしっぱいはしないんだからぁ……っ!』
 泣き崩れる彼女を、言葉も無く新庄は抱き締めた。




【新庄・運切@なのは×終わクロ】
【一日目 現時刻AM01:50】
【現在地:D-6 マンションのバルコニー】
[参戦時間軸]第七章・対王城派戦後の撤収途中
[状態]健康・女性体
[装備]ストームレイダー(残り最大残弾:14/15)@なのはStrikerS
[道具]支給品一式・CDプレイヤーinロッキーっぽい曲@銀魂
[思考・状況]
基本 無血解決を目指す
1.先生…傷付かないで………
2.撃っちゃった……子供を、撃っちゃった……
3.あの子、大丈夫かな……
[備考]
※性転換体質があります。PM6:00からは女性体(運)、AM6:00からは男性体(切)となります。
※ストームレイダーの弾数は、カートリッジ1発につき最大5発。数発分を消耗して強力な弾を放つ事も可能。

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最終更新:2008年03月10日 18:37