第13話 嘆きと戒めのロザリオ



 リインが倒れて1日が経つ。リインは一向に目を覚まさない。
 皆がリインを心配しているとルキノがふとあることに気付く。

「ところでヴェロッサさんは?」
「そう言えば皆が帰ってきてから見てないわ」
「どうしたんだろ…?」

 リインを一番心配しているはずのヴェロッサがグランナイツの面々が帰到したのと同時に姿が見えなくなったのだ。

(ヴェロッサ……)

 そのいなくなったヴェロッサの身をクロノが案じる。
 いなくなったヴェロッサはと言うとバイクの雷鋼馬に乗って聖王教会の庭を無尽に走っていた。
 この日は雨。しかも雨脚が強くバイクに乗って走る日にしてはとても向いていない。
 それでもヴェロッサはバイクを駆り出して走り続ける。嫌な気分を何とか紛らわそうとするために……。
 しかしこの強い雨の中、ついにヴェロッサはバイクから落ちて地面へと倒れこむ。それと同時にバイクも横に倒れた。

「………」

 ヴェロッサは仰向けになったまま自分の顔を隠すかのように腕を自分の顔の前にして笑う。

「ふふふふ、はははははははは」

 その笑いはリインが倒れた時となんら変わらない不気味な笑いだった。


 スバル、ティアナ、なのは、フェイトがリインの見舞いをし終えた皆はリインの事を心配していた。

「リイン、よくなるよね」

 重苦しい雰囲気の中、スバルが最初に口を開けた。

「クロノの話によればリインはゼラバイアの記憶が大量に入り込んだことによる一時的なものだって言ってたけど……」
「ヴェロッサさんにクロノさん、何かあたし達に隠してるわよね」

 ティアナの言う事はもっともだ。ヴェロッサやクロノが隠し事をしているのは皆前々から勘付いていたが、今回の件でそれはより明確になった。

「そう言えばドゥーエさんは?」

 スバルがこの場に居ないドゥーエの事を聞こうとしたとき、シグナムが手に何かを持ってスバル達の下に来た。

「シグナムさん、どうしたんですか?」
「今ドゥーエの部屋に行ったらこんなものがあった」

 それはドゥーエの置手紙であった。ドゥーエもまた教会に戻ってすぐに姿をくらましていたのだが、その理由は手紙に書かれていた。

『皆さんお世話になりましたわね。実は私はレジアスやドクター(スカリエッティ)の指示でこの聖王教会に忍び込んだ戦闘機人よ。
目的はグラヴィオンの機密データを盗み出す事。調べ終えた今私がここにいる理由はないわ。短い間だったけど楽しかったわ。多分もう二度と会うことはないだろうから言うわ。さようなら。ドゥーエ

         P.S.  ヴェロッサの事を知りたかったら西館に行ってみるといいわ 後、ギンガをよろしく』

 この置手紙にティアナは怒る。

「あの人、そういう人だったのね!」
「ティア、落ち着いて……」

 スバルは怒るティアナをなだめようとするがティアナは静まらない。

「落ち着けですって! スバル、あの人はあたし達を裏切ったのよ! リインの事なんか気にしないで自分の任務を遂行して任務を終えたら帰る。
さすがスカリエッティの作った戦闘機人だわ。これに怒らないでなんて……」

 ティアナがすべてを言い終わらない内にスバルはティアナの左頬を平手打ちした!

「スバル……」
「確かにドゥーエさんは裏切ったのかもしれない…。でも本当に裏切ったのなら手紙なんて書かないし、最後の言葉なんて書かないよ!」

 確かにそうだ。考えてみたら何でわざわざこんな置手紙を残すのか。それは少し疑問に思うことである。

「あの人はあたしと同じ戦闘機人だよ。戦闘機人だからとかそういうの関係ないって言ったのはティアでしょ!」

 その言葉にティアナはふと思い出す。スバル達が戦闘機人だと言うのを明かした時ティアナは全然気にしないと言った。
 今のティアナの言葉はそれを覆すかの様な言葉なのにスバルは怒ったのだ。

「それともティアがあたしに言ったのは嘘だったの!?」
「違う!」

 ティアナが強く否定した。

「あたしはあんた達が戦闘機人なんて本当に関係ない。今でもその考えは変えてないわ」
「ティア……」
「ごめんなさい、あたし興奮しててどうかしてたわ」
「いいよ、ティア」

 スバルは涙が出掛かっていた目をこすって涙を拭う。

(それにチンクさんは「信じてくれ」って頼んだんだ。きっとドゥーエさんは戻ってくる。あたしは信じてるよ)
「まあこれでよしかな…」
「それはそうと最後に書かれていることが気になるね」

 フェイトがドゥーエの置手紙の最後の部分を見直す。

「知りたかったら西館に行ってみるか……」
「ドゥーエにばれたとなるとお前達には話しておく必要があるようだな」

 今まで黙っていたシグナムが突然口を開く。

「シグナム?」
「そうね」

 今までの話を聞いていたのか、病室のドアを開け、シャマルが部屋から出てくる。

「シャマル先生」
「リインの容態は?」

 シャマルが病室から出てきたのでスバルがリインの状態を聞く。

「大丈夫よ。後は目を覚ますのを待つだけ。それと今シグナムが言った事なんだけど…」

 どうやらシャマルも何か知っているかのような素振りを見せる。

「とりあえず、お前達を西館に案内しよう」

 シグナムがそう言い、シャマルと共にスバル達を禁断の西館へと連れて行く。
 西館の入り口について、シャマルは封じらていた西館のドアを開ける。
 スバル達は目の前に何らかの装置が置いてある事に気付く。この装置はヴェロッサが初めて超重剣を呼び出した装置だが、この装置には他の使い方があるのだ。

「それじゃあ、今から真実を見せるわ」
「覚悟しておけ」

 シャマルが装置のキーボードに何かを入力させ、装置は起動を始め、その装置を中心に光が広がり、その光を部屋全体を包み込む。
 あまりの光のまぶしさにスバル達は思わず目を瞑る。そしてスバル達が次に目を開けた時、スバル達の周りには海中が見えた。

「これって……」
「立体映像よ」

 シャマルが丁寧に教えてくれた。

「でも海にいる感覚がする」
「特殊な立体映像だ。だが息も出来れば話も出来る安心しろ」

 シグナムも冷静にこの映像の説明をした。

「それじゃあ本題に入るわ」

 シャマルがまたキーボードに入力をする。そしていきなり海の映像からまったく違う映像へと切り替わった。
 その映像はどこかの世界または別の星の上空映像だった。その上にはゼラバイアがその下にある町を焼き払う場面だった。

「ひどい……」

 スバルはその映像に哀しみを覚える。

「これってどこ?」
「旧ベルカの領地世界、ランビアスとセリアスのだ」

 シグナムが説明し、すぐに別の映像へと切り替わる。
 次に出たのはなにやら会議場での会議場面だった。

「もはやランビアスの海域汚染は限界に達した。退避せねば我らは全滅だ!」
「我がセリアスも現状維持で精一杯だ。これ以上移民は受け入れられない…」

 それはそのランビアスとセリアスと呼ばれる世界の代表達が重大な会議の真っ際中のものだった。

「これどういう事ですか?」
「ランビアスはミッドチルダとの戦争後、ベルカが滅ぶ前にミッドチルダ側と協力関係にあった為に現状を維持してたんだけど、技術が進みすぎてその世界全体が汚染していったの」
「そして同じくミッドチルダ側に協力していたセリアスに協力を仰ぎ、ランビアスからの移民を最初は受け入れたのだが、次第にセリアスもランビアスのようになってしまったのだ」

 シャマルとシグナムの告げる言葉に皆黙り込む。そして会議の続きが流れる。

「待ってください!」

 会議場の中心にいた一人の青年が老員達に「待った!」と呼び止める。ヴェロッサである。
 次にヴェロッサは老員達にある映像を見せた。

『おお!?』
「僕達が現在開発中の創世機、『グランΣ(シグマ)』を使えばセリアスを救うだけでなく、ランビアスの汚染を食い止める!」

 ヴェロッサが熱弁する。しかし老人達はそれを受け入れようとしない。

「ふふ、そんな理想論は結構だよ」
「パイロットもろくに決まってないそうではないか」
「グラシア君、君の義弟は現実が見えていないようだね」

 老人達の頭は固かった。

「ヴェロッサさんがミッドチルダとは違う別の世界の人間だってのはわかったけど…」
「でもそれって普通だよね」

 確かにスバルの言うとおりである。ミッドチルダには様々な世界から来てミッドチルダに住んでいる人間が数多くいる。
 事実なのはもミッドチルダではなく、地球出身の人間なのだだからなんとも不思議ではない。

「気になるのはリインが何で自分の事を『リインフォースⅡ』って言ったことだけど……」
「僕の姪だよ」

 声の方を振り返るとそこにはいつもの服を着ている今のヴェロッサの姿があった。

『ヴェロッサ(さん)!』
「正確には僕が妹分として可愛がってた女性があるデバイス元に作り出したデバイス。2代目の『リインフォース』だよ」


 映像がまた切り替わり、今度はヴェロッサが「グランΣ」と呼ばれた機体をある男の人と一緒に整備をしている映像だった。

「残念だったな、ロッサ。もう戦争は止められないかもしれないな……」
「僕達の創世機、グランΣの…、世界をも作る力を目にすれば皆の考えも変わるはずだ! そうだろ! クロノ君」

 クロノはヴェロッサの答えに微笑みで返した。

「え? あれクロノ君!?」

 なのはが思わず反応した。反応するのも無理は無い。今のクロノと違い映像に出ているクロノは仮面を被っていないのだから……。
 今のヴェロッサがとりあえずクロノの事は置いといて話を進めた。

「僕達の居た世界は死にかけていた。生きるには殺すしかない。そんな昔と同じ事は嫌だった。だから僕は……」

 また映像が変わり今度はヴェロッサとさっきの会議場でヴェロッサの隣に居た女性との会話場面であった。

「完全な自立行動システムで、目標全てを殺戮するジェノサイドロンシステム。あんなものを使うなんて本気で思ってるんですかカリム義姉さん!!」

 ヴェロッサがカリムに猛反発する。

「ランビアス数億の命が助かるのよ。自然分解して汚染も残らない」
「そのためにセリアスの数万人を犠牲にするなんて…、僕には出来ない!」
「流れる血は少しでも少ない方がいいのよ。そうは思わない? ヴェロッサ」

 その答えにさらにヴェロッサが加熱した。

「自ら手を汚さず、倒した相手を見ることが無い。そんなのは機械の生き方だよ! 前の戦争もそうだったけど、これはそれよりも酷いじゃないか! これは2度と人がやってはいけないことだ!」

 カリムがヴェロッサに背を向けて答える。

「私達は生き延びなきゃいけないのよ。矢は既に放たれたのよ」
「力づくでも止めます」

 カリムが振り向き、告げる。

「一人の命を救えなかったあなたに何が出来るの?」
「!」
「私達が妹のように可愛がってたはやての死期を早めたのはあなたよ。理想だけ言っても結果がともなわきゃ何も意味は無いわ」
「! グランシグマーーーーーーーー!!」

 ヴェロッサは怒りは頂点に達し、グランΣの名を呼び、グランΣはヴェロッサの元へとやって来た。

「創世機! いけない! コントロールが……。ヴェロッサ、あなた何をしたのかわかってるの!?」

 グランΣはヴェロッサとカリムのいた部屋を破壊したが、それは「ゼラバイアジェノサイドロンシステム」の制御装置を破壊したのに等しかった。

「コントロールを失ったジェノサイドロンシステムは暴走するわ! セリアスは愚か、このランビアスにいる人の命も根絶やしにするのよ!」

 その暴走は早かった。上空にいたゼラバイアの大群はすぐにヴェロッサ達のいる場所を攻撃。その他の場所も同様の被害を受けた。

「うおおおおおおおお!!」

 ヴェロッサはグランΣに搭乗し、ゼラバイアの大群と戦う。
 しかしグランΣはプロトタイプ。その上まだ完成しているわけではないし、ヴェロッサもパイロットとしては未熟。そして多勢に無勢。グランΣは押されていき、ビルの方に叩き付けられる。

「やはり、プロトタイプのグラヴィオンでは……」

 ヴェロッサがグランΣの地面に付いた手を上げようとし、手の方を見ると手の下からは赤い血が流れていた。
 そうグランΣの手が人を潰し、殺してしまったのだ。その生暖かい感触がグランΣのトレースシステムを介してヴェロッサに伝わる。

「あ、ああああ、ああああああ。人が…、人が潰れた……感触が……」

 その嫌な気持ちにヴェロッサはコックピット内で吐く。
 しかしゼラバイアはそんなヴェロッサの行動を待ってはくれず攻撃を再開する。

「痛い、痛いよ。はやて、こんな僕を許して…。こんなはずじゃ……」

 コックピット内で両手を地面につけ、涙を流す。そして何もかも忘れたかのように叫ぶ。

「うおおおおおおおおおおおおおお!!」

 グランΣが十字架のようなポーズを取り、グランシグマは輝きを見せ、それと同時に世界が消えた。

「僕達と会ってすぐにはやてが死に、僕を憎んでいた義姉のカリム・グラシアは瓦礫に埋もれて死んだ。そしてランビアスやセリアスの人も死んで僕だけがこの世界に生きていた。
『ゼラバイア』と言うのは旧聖王の名前で、ジェノサイドロンシステムに『ゼラバイア』とつけたのはその聖王の名前を込めたものなんだ」
「そうだったんだ……」
「あの質問ですけど…、『はやて』って誰ですか?」

 スバルの質問はもっともだ。ヴェロッサやカリムの会話に何度も出てきた「はやて」と呼ばれる女性の正体がわからないのだ。

「彼女は……」
「我らの主だったお方だ」

 シグナムとシャマルが答えた。

「八神はやて、元々なのはちゃんと同じ地球出身だったんだけど、古代ベルカの遺産、『夜天の魔導書』に選ばれた子」
「そして我らはその『夜天の魔導書』に選ばれた夜天の主を守る守護騎士『ヴォルケンリッター』。プログラムだ。しかし主はやての死に我らは何も出来なかった」
「それどころかはやてちゃんは自分が死んでも私達が残れるように最後の命を振り絞って、夜天の魔導書システム、そして自分とのリンクから私達を完全に切り離したの……」

 シグナムとシャマルが涙を流しながら喋り、その涙はまだ止まらない。それほどまでに八神はやてと言う女性を慕っていたのだ。

「で、リインとはどう言う……」
「それを今から話そう」

 ヴェロッサが話を続ける。ヴェロッサがミッドチルダに来てかなりの時が流れ、ある時に聖王教会の近くにある小さな飛行艇が流れ着いた。

「時を越えた?」
「脱出船の航路は自動追跡してきたようですが……、途中で事故でもあったのか彼女達の時間がまだ数ヶ月くらいしか経っていない」

 その脱出船にいたのがシグナムとシャマルとザフィーラ、そしてはやてが死ぬ少し前に自分のリンカーコアを分け与え、
 かつての戦争で死んだ夜天の魔導書の管制人格初代リインフォースの意志を継ぐ、ユニゾンデバイスの2代目「祝福の風」リインフォースⅡであった。

「リインフォースⅡ、あの子自身が忘れていた。あの子の本当の名前だ」
「記憶をなくしたのはそのためだったんだね。そんなつらい記憶なんて……」

 スバルが思わず涙ぐむ。

「それでリインは知ってるの?」
「いや、カリム義姉さんは僕の事を教えてないだろう。僕もシグナム達に聞くまで知らなかったからね…」
「主はやてはヴェロッサにリインを姪のように可愛がってくれと最期にそう告げられた」
「リインは一人じゃなかったんだね」
「はやくよくなるといいね」
「ゼラバイアとの接触で記憶が甦ってきている。不安定の状態だから静かに見守って欲しい。これまで全てを話さなかったのは僕の弱さだ。本当にごめん」

 ヴェロッサが皆に向かって頭を下げた。これはとても珍しいことだった。

「今後とも一緒に戦って欲しい。身勝手な願いだがお願いします」

 確かに身勝手と言えば身勝手である。この戦いの発端はヴェロッサ。そしてスバル達のやってる事はヴェロッサの尻拭い。
 本来ならスバル達が一緒に戦う義理はないのだが……。

「あなたがあたし達に頼み込むなんて、似合わないわ」

 ティアナが思わず鼻で笑う。

「それにもうヴェロッサさんだけの問題じゃないしね。皆で解決しないと……」
「ということで……」
「皆協力するよ」

 スバル、フェイト、なのはも協力の意志を見せる。

「ありがとう」


 外に出ると雨は上がり夜であった。皆それぞれ一人になって様々な事を思っている中、なのはの所に目を覚ましたリインがやって来た。

「リイン、目を覚ましたんだ」
「ごめんなさい。お邪魔でしたか?」

 リインがなのはに気を配るがなのはは気にしてないと笑顔を見せる。

「大丈夫だよ。それより外に出ていいの?」
「部屋にいると怖い夢ばかり見るんです…」
「皆心配してるよ」
「私も早く元に戻りたいです。胸がざわざわして何か思い出しそうで……、思い出せないです」

 リインは自分の手を胸にやり、なのはがリインを気遣おうとする。

「苦しいの?」
「不安なんです。私は過去に何をおいてきたのだろうと…」

 なのははリインの苦しみをとろうと考え、あることを考え付いてしまった。
 そうそれはまだリインには早すぎることだった。


 数十分後、なのはの親切を終えたリインがフラフラ歩く。

「嘘です……」

 何があったのか、それはなのはの親切心が起こしたこと。なのははこともあろうにリインに真実を見せてしまったのだ!

(ヴェロッサさんはリインの伯父さんみたいな人なんだよ。それにシグナムさんやシャマルさんもいる。リインには待ってくれてる人がいる)

 なのはの言ってた事が信じられないリインは叫ぶ。

「嘘ですーーーーー!」

 その声を聞いて近くにスバルが何事かと思い、リインを捜しすぐに発見。リインのところに向かおうとしていたなのはと合流した。

「なのはさん、何かあったのですか?」
「私は喜ぶと思って……」

 スバルはなのはが何をしたのかすぐにはわからなかったが、数秒後すぐにわかった。
 なのはが西館の映像見せ、真実を話したのだと……。

「まさか、あれを見せたんですか!?」

 スバルがなのはの胸倉を掴もうとした時、教会の中に流れる川から何かが落ちた音が聞こえた。

「リイン!? リイン!!」

 スバルがすぐに飛び込み、沈んでいくリインを発見し、リインを抱いてすぐに陸に上がった。

「脈が弱まってる」
「すぐに医療室に!」
「はい!」

 シャマルが先導して、リインをつれて医療室に向かう。
 なのははただその様子を見て立ち尽くすだけだった。

「私は……、私は……」
「あなたには人の気持ちがわからないんですか!? 今のリインがあの映像を見たらどうなるかわからなかったんですか!?」

 スバルの怒りはかつてヴィヴィオを殺しかけた時のなのはを怒った時以上の怒りを見せる。

「私だったら喜ぶと思ったから……」

 それはあくまでなのは個人の考え。他の人間がなのはと同じとは限らない。プログラムであるリインであろうともそれは同じ。

「この悪魔!!」
「!!!」

 なのははスバルの言葉に塞ぎ込みたいと考えた。
 そしてシャマル達に運ばれるリインの目からは涙が流れていた。


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最終更新:2008年10月04日 18:50