最強のイレギュラー…シグマとの死闘から、半年が過ぎた頃
前の反乱で戦力を約八割以上も失ったイレギュラーハンターでは
各イレギュラーハンター部隊の再編成が進められていた。
エックスは前の戦いの功績により、かつてシグマが指揮を執っていた
イレギュラーハンター第17精鋭部隊隊長に昇格、その自分のオフィスで
数ある書類の「処理」に追われていた。書類との「戦闘」を一応ながらも終えると
エックスは自分の机に置いてある写真が入った一つのパネルを眺めた。
「………今思うと、まるで夢の様だったな…いや」
一度自分の発言を否定すると寂しさと同時に安らぎを得たような顔を浮かべ
自分と一緒にある人々が写っている写真に向かってこう言った。
「…あれは……俺にとって紛れも無い真実だ…そうだよな……みんな?」
これは、本人の口からは決して語られる事の無い物語
イレギュラーハンター…否…『ロックマンエックス』の物語である
ロックマンX StrikeMission
―The day of "X"―
*
第01話『異界に一人』
それは、シグマの反乱から3ヶ月余りが過ぎた頃から始まった。
「……何が起こったんだ?ここは何処なんだ…?」
突然の事態にエックスは、ただただ戸惑うしかなかった。
自分の搭乗しているライドチェイサー「チェバル」を停止させ降りると
最初に自分に関する現状の整理を行った。
エックスは夜間の巡回パトロールを終えて、自分の所属するイレギュラーハンター本部に帰還し
まだ終わっていない書類を「始末」する筈だった。
しかし、突然強烈な光に照らされたかと思ったら自分が今までいた場所とは異なる場所にいたのである。
時間帯は夜だったはずが突然昼に変わっており、街並みもハンターベースの設立された街とは
雰囲気も異なっており、感じとしては21世紀初頭あたりであろう。
しかし、その街並みは人影は一切見当たらず、ビルの大半は破棄されたのが殆どである。
エックスは現状打開の為にと、チェバルに搭載されている無線機に手をかけ
ハンターベースに連絡を試みた。
「こちらエックス。ハンターベース応答願います……………ハンターベース?」
しかし、エックスの期待とは裏腹に、無線機はただただ無音を貫き通すのみであった。
本部以外にも、各イレギュラーハンター支部に連絡をしてみたが結果は変わらなかった。
次にエックスは、これは無線機の故障だと信じながら、次にナビゲーターで自分の現在地の
サーチを行うが、これも現状打開はしてはくれず―――
「現在位置……不明?一体どうなっているだ………」
*
突然孤独になったエックスは、イレギュラーとの戦闘中とは全く異質な緊張感と不安感に
さらされる………あまり意味の無い緊張と不安にも思えるが。
自分の右手で自分の頭――正確にはヘルメットをポンポンポンで叩き少し落ち着くと廃墟同然の街を眺め始める。
ここでエックスは、青空に複数の星が出ている事にも気づき、まさかここは地球ではないのでは?
と言う思考が走り、孤独感と不安は加減を知らずどんどん加速していく。
「それにしても…この街は人気がまるで無い……廃棄都市なんだろうか―――」
廃棄された街中で人はいないのかと探そうと、エックスが行動を開始しようしたその時
「――――!!」
突然背後から、レーザー攻撃がエックスを襲った。エックスは反射的に攻撃をかわし、すぐに自分の
崩れた体勢を立て直すと、自分を攻撃した敵の正体を確かめた。
イレギュラーか!?警戒するエックスを狙ったのは円形状で構成された浮遊する複数の物体であった。
アンノウン。メカニロイドの一種にも見えるその物体は、さらに形振り構わずエックスを攻撃する。
「やめろ!攻撃を止めなければこちらも撃つ!」
メカニロイドもどきのアンノウンに対して、とりあえずながらもエックスは警告するが
敵は相手の言葉を聴く耳持たずの如く攻撃を続ける。
アンノウンの数は15体。ひとつひとつの攻撃は大した事はないが、数で攻められたら危険である。
倒そうと思えばこの程度の敵ならば倒すことは容易だろう。
しかし、エックスは反撃する事にためらいがあった。
相手がイレギュラーと判断できず引き金を引く事に躊躇していた。
「ッく!お咎めもやぶさかも無し……やるしかないのか――――」
しかし、だからと言って避け続けているだけでは、いずれはやられるだろう
エックスが自分の武器であるバスターの引き金を引く事もやむを得ないのかと判断したその時
*
「下がって下さい!」
「―――!?」
何処からか女性の声を聴いたエックスは、とにかく言われたままにそのまま後方へと下がった。
エックスが下がったその直後、エックスを攻撃するアンノウンを狙うかのように桃色に光る球が
複数飛来、その直撃を受けた数体のアンノウンが爆発を起こした。
「な、なんと……?!」
また突然の事に驚くエックスをよそにするかのように、次は桃色の光線が上から降り注ぎ
残りのアンノウンを直撃、これを受けた敵は一斉に爆散する。これによってエックスを
攻撃していたメカニロイドもどきは、アッサリが付くかのように全滅したのである。
「凄い…あれだけの敵を意図も簡単に…一体誰なんだ……?」
無茶苦茶とも言える事態に戸惑うエックスに、再び女性の声がかけられた。
「こちら時空管理局。大丈夫ですか?あなたを保護します」
「………?!!?」
声が聞こえた上方向を見たエックスは、またしても驚く事になった。
その声の主である女性は栗色の長い髪にツインテールの髪型、胸部の大きな
赤いリボンが印象的な白を基調とし、青いラインが入った衣を身にまとっている。
左手には、円形で赤い水晶のような宝石が備えられた杖が握られていた。
その姿はまるで、とある美少女戦士のような印象を受けるが、年齢は
だいたい年齢は18~19辺りだろうか。しかし、エックスが何よりも
驚いたのはそこではなかった。
*
「ひ…人が………浮いて……いる…???」
人が何も無い空中に浮いている。今のエックスが驚くにはもう十分だった。
レプリロイドに関しては、空を飛ぶ事は決して珍しい事ではない。
第7空挺部隊や、その隊長であった「ストーム・イーグリード」のように空を
飛行できるレプリロイドは少なくは無い。しかし、今目の前にいる女性は
紛れも無く人間である。ロケットベルトを身に着けているのならまだしも
そんな物は見当たらなかった。考えられるとしたら、両足から発生している
桃色の翼などである。そもそも先程のアンノウンを倒したのは、間違いなく
この女性であろう。
自分の知っている科学ではありえない光景である―――
―――そう、「自分の知っている科学」ならば……。
「あの…大丈夫ですか?」
「……!は、はい!すいません。助かりました……ありがとうございます」
気が付いたらその女性は降り立っており、唖然とするエックスの前に立っていた。
エックスは慌てて自分を助けてくれた未知なる女性に、感謝を意を表した…
いささかいい加減ではあるが。
「一旦わたし達の隊舎に来てください。そこであなたの状況を詳しくお話します」
「わ…わかりました」
もう飛ぶとかの伝々はどうであれ、まずはこの場で人と会えた事に少し安心しながら
エックスは先の攻撃の中、奇跡的に転倒しただけ済んだチェバルを立て直すと
女性に一つの質問をした。
「すいません」
「はい。何でしょうか?」
「この場で聞くのも難なんですが……お名前は何と仰るのでしょうか…?」
「はい。わたしの名前は……高町なのはと申します」
高町なのは………エックスが未知の世界で最初に出会った人の名前である。
おまけ……のような物
エックスは、あるゲーム機を引っ張り出してゲームを始めようとしていた。
しかし、スイッチをいれてもなかなか起動してくれない。一旦カセットを抜くと
「フ―――ッ!」
と、カセットの接続部分に息を吹きかけ、再び本体に接続して今度こそ始めようとするが
またしても起動してくれない。そしてまた外して息を吹きかけ同じ事を繰り返すが
やっぱり起動しない。
「…何で動いてくれないんだぁー!」
このような経験をした方は多いはず………。
最終更新:2009年03月08日 19:10