エックスが機動六課での生活を始めてから早々数週間が経過した頃の先日、
機動六課の初出動のアラートが鳴り響いた。漂流者の身であるエックスは
詳細を知らされてないが、ある古代遺産「ロストロギア」を積んでいたリニアレ
ールが輸送中、機械兵器「ガジェットドローン」の襲撃に遭い、コントロール不能に
陥ったのだ。

この事態に対処する為に、新人を含む六課の「フォワード」部隊が出動する。
目標は貨物列車に取り付いたガジェット郡の全機排除とロストロギアの回収。

六課フォワード陣はガジェットを全て撃破。ロストギアも無事確保に成功。
新人達も初陣としてまずまずの出だしだったと言う。

それからまた、ほんの数日が経過した朝。片手に箒、もう片手に塵取りを持ち、
六課の寮の玄関掃除に努めていたエックスがいた。これは完璧な位に彼の習慣
となっていた。そんなエックスに朝の挨拶の声を掛けてきたのは、六課の新人
メンバーであるスバル・ナカジマ、ティアナ・ランスター、エリオ・モンディアル、
キャロ・ル・ルシエの4人であった。

「エックスー!おはよーっ!」
「おはようございます。いつもお掃除ご苦労様ですエックスさん」
「あぁ、みんなおはよう。今から朝練かい?」
「はい。前日から訓練が個人スキルアップの段階に入って…」
「前よりハードになるから、より引き締めていかなきゃならないからね」
「そ、そうなのか……朝練、頑張ってくれ!」
「それじゃあ、また後でね!」

そう言うと新人達は今日も、訓練場へと向かっていった。それを見送るエックスは…

「まだ、あんな歳なのに……みんな戦っているのか……」

フォワード陣の新人達はとても若い。外見年齢だけで言うならば
スバルとティアナはエックスとはあまり変わりが無い。
(エックスの外見年齢は人間で例えると14~15歳に相当する)
エリオとキャロに関しては、まだ10歳である。本来ならまだ学生であっても
おかしくない歳だ。しかし、あの子達は戦っている。六課が初出動した時も
あの新人達は戦ったのだ。

「俺はただ見ているだけ…なのか……」

そんな4人と見ているだけの自分に対して、エックスの心境は複雑な物があった。


第03話『イレギュラーハンターX』



海上に浮かぶ訓練場の空間シミュレーターで構成された廃棄都市においてエックスは「ロングアーチ」
スタッフのシャリオ・フィニーノと共フォワード陣の朝練の様子を見学をしていた。

ちなみに、六課のメンバーでエックスに一番最初に興味を抱いたのはシャーリーだった。
メカニックマイスターの資格を持つ彼女にとって、異世界の技術で造られたロボット…
レプリロイドであり、ロボットにあるまじきの「考える」「人間くさい」等の動作を取る
エックスはまさに興味を持つには十分すぎる存在だったらしい。

「しかし…何度見ても凄い本格的なシミュレーターですね…ビルもその感触も本物と全く同じだなんて」
「うん。私が基礎設計、なのはさんが完全監修した空間シミュレーター。どんな状況も制限可能なの」
「廃墟の街だけじゃなく、森林地帯といったシチュエーションも構成可能、ほとんど本物に近い実体感
 までも再現可能…これなら限りなく実戦に近い訓練ができますね」
「あなたの世界にはこういったシミュレーターは無かったの?」
「確かに俺の世界でも似たようなヤツはありましたけど、これ程まで再現度が凄い物なんてありません」

そこでエックスは攻撃用の的として構成されたターゲットに注目した。自分がこの世界に飛ばされた時、
最初に遭遇した戦闘機械のアンノウンと同一の物だったからである。

「あ、あれは…あの時の機械…?!」
「あなたはまだ知らなかったね。あれはガジェットドローン…ある特定のロストロギアを狙って
 現れる戦闘機械なの。あまり詳細な事は言えないけどね。あれもシミュレーターで再現された物なんだ」
「ガジェット…ん? それが目的なら何故あの時俺は、攻撃を受けたんだですか?」
「ガジェットで稀に群れから離れた"はぐれガジェット"が出てくるの。恐らくは…」
「…俺はその"はぐれ者"に偶々襲われた…と言う訳ですね」

次にエックスが注目したのは、なのはの事だった。スターズ分隊隊長で戦技教導官でもある
なのはの指導はかなりの物だ。同じ隊長であるエックスにとっても、なのはの指導は目を
見る物があった。特に模擬戦に関してはイレギュラーハンターでもこれ程に本格的な事を
するのは「忍び部隊」と言われている第0特殊部隊位であろう。

「それにしても、なのはさん…中々と容赦ないですね…」
「そう。なのはさんの指導は優秀。上司には信頼されて、後輩達からは慕われる人なの。管理局でも
 "エース・オブ・エース"の称号を持つ優秀な魔導師なんだよ」
「"エース・オブ・エース"か…それ程凄い人なんですね…そんな人に俺は助けられたのか…」

その時、緊急事態を意味するアラート音が、六課のメンバー達に流れた。

『こちらロングアーチ!緊急事態です!』
「ロングアーチ、一体何が?」
『廃棄都市区画にガジェットが出現!数はII型が18機、I型が15機、III型が5機です!』
「了解、みんな…出動準備を急いで!」

なのはは状況を確認すると、すぐさま新人達と共にに出動の準備を急がせた。出動である。
ロングアーチスタッフであるシャーリーも六課の司令室へ急いで戻っていく。

「みんな…また行くんだね……」

待機しているヘリに乗り込み、出動するフォワード陣の事を、エックスはただただ見送った…。


機動六課の司令室では、ロングアーチからフォワードへ現状の報告、現場においての指示を行っていた。
その時、部隊長であるはやてと、その守護騎士である副隊長達が別の件で外に出ていた為、はやての
副官を努めているグリフィス・ロウランが、今回の指揮を執っていた。
その司令室には、エックスの姿もあった。本来なら部外者は立ち入る事は望ましくないのだが、エッ
クスの希望があって、意外にもすんなりと入室が許可されている。

その時の現場の状況は比較的順調であった。隊長陣のなのはとフェイトは、上空のガジェットII型を
次々へと撃墜。新人達も日頃の訓練の成果もあり、ガジェットを確実に撃破しつつある。

「みんな…頑張ってくれ……」

この時のエックスに出来る事と言えば、六課メンバー達の事を見守るだけであった。異世界の部外者
である自分があまり関連性の無い事件に対して、無理に関わるべきではない事は解っている。しかし、
それでもエックスは、見ているだけの自分に歯がゆさを感じていた。

だがこの直後、エックスの現状を一気にひっくり返す事態が発生する。確実にガジェットの数が減って
いく中、通信士のアルト・クラエッタから、一つの伝達が流された。

「ロングアーチからフォワード各員へ! 新たな反応を多数キャッチ! 数は…30機! そちらへ接近中、
注意してください!」
「何だって! 識別は!?」
「識別不明…アンノウンです!」
「モニターに移します!」

グリフィスが指示を出す中、モニターに映し出されたアンノウンを見た瞬間、エックスは絶句した。

「なっ……!!?」

「それ」を見た瞬間、エックスは自分が錯覚を起こしている…または幻を見ていると疑った。
だが、モニターに映っている「それ」は錯覚でもなければ幻でもなかった。

「そんな……馬鹿な……あれは――」

モニターに映し出されたアンノウンは、ガジェットと同じ機械兵器と思われるが、外見は現状に
おいて確認されているガジェットとは根本的に違う全く別系統の物であった。しかし、その機械兵器は
エックスの世界では、ごく普通に存在する物だったのだ。

モニターで確認できたのは、車輪にトゲガ付いたような「スパイキー」。ローターが装備されて
下部にトゲ付きのプレスが装備された「クラッシャー」。同じくローターで飛行して顔が付いた
かのような「ジャミンガー」。球体の頭部に細かく動く二本足がついたような「ボール・ド・ボー」
等であった。
「――間違いない…メカニロイドだ…何故この世界に…!?」
「君はあのアンノウンの事を知ってるのか!?」
「あのロボット…メカニロイドは、俺の世界の物なんです! しかし何故あれ程の数が?!」

この時、エックスの置かれている状況は変化。自分の成さなければならない事が出来たのだ。
成すべき事…それは――――

「グリフィスさん、このエリアの座標を教えて下さい。俺も行きます!」
「無茶だエックス君! 君を危険に晒す訳にはいかない!」
「それに、あなたが行っただけで、どうにかなる事じゃ…」

静止するグリフィスとシャーリーに対して、エックスはこう強く語った。

「大丈夫です。俺は……"イレギュラーハンター"です」

エックスの成さねばならない事…それは、イレギュラーをのさばらせる訳にはいかない事…
イレギュラーの撃破である。イレギュラーハンターが存在しないこの世界では、これは
イレギュラーハンターとしての義務ではない。あくまでもエックス自身の意思によるであった。

グリフィスに座標ポイントを教えてもらい、エックスは自分のエアバイク・チェバルが置いてある
格納庫へと急いだ。まずはチェバルの動作チェックを行う。最初に来た時に一時押収されたが、どうやら
どこも弄られてはいなかったようだ。

「座標は此処…廃棄都市区画か…さほど遠くない…時間は掛からない筈だ」

登録された地表データと目的地を照らし合わせ、確認した後にチェバルのエンジンを始動させる。
分析された最短ルートを使ってエックスが搭乗するチェバルは、ターボを利かせて現場へ
とにかく直行、疾走する。

「頼む…間に合ってくれ!」


機動六課フォワード部隊はガジェットと突然現れたアンノウンと戦闘していた。アンノウンの方は
AMF等は発生していないらしく撃破自体は簡単である。しかし、いかせんながら数が多い。

「このアンノウン…明らかにガジェットとは違う…」
「この敵、戦闘能力自体は大した事無い様だけど…キリが無い!」
「一刻も早く、新人達の援護に向かいたいけど…!」
「そう簡単に通してはくれないようだね…!」

なのはとフェイトは上空のアンノウンと戦っていた。なのははレイジングハート・エクセリオンから
放たれるショートバスターによる高速発射攻撃で、フェイトはバルディッシュ・アサルトから放つ
ハーケンセイバーによる攻撃魔法でアンノウンを撃墜するが、残ったガジェットとアンノウンのなかなかの
数に手を焼いていた。明らかに二人の進路妨害をしていた。

一方、ハイウェイで戦っているフォワードの新人達も新たに出現したアンノウンを迎え撃っていた。
ティアナのクロスミラージュが敵を撃ち落とす、スバルのリボルバーナックルが敵を粉砕する、
エリオのストラーダが敵を切り裂く、キャロの使役龍であるフリードリヒが放つブラストレイが
敵をなぎ払う。

「こいつ等、一つ一つの戦力は大した事は無いけど…!」
「後から後からキリがないよ…!」

しかし、新たに現れたアンノウンの群。一斉に押し寄せて来るのではなく、一定の数が倒されると、再び
一定の数が攻めてくると言う物であった。それが逆に不気味であった。それはまるで、何者か…本命が来る
のを来るのを待っているかのようであった。

「!? スバル!右!!」
「え!? うわぁっ?!!」

油断した!?一つの爆風がスバルを襲った。バリアジャケットのお陰で大したダメージは負わなかったが、
決して全く負傷した訳でもない。スバルを襲ったのは人間のような下半身の上にハンマーの打撃の部分が
付いたかのようなメカから放たれたミサイルだった。転倒し、崩れた体勢を立て直そうとするスバルに
アンノウンは、次の攻撃を放とうとしていた。

「ッく!!」

―――危ない!?スバルが反射的にシールドを発動させようとしたその時


「もうそこまでだッ!!」

「え―――?!」



聞き覚えの有る声と共に、スバルの目の前にいたアンノウンは、黄色に光るエネルギー弾を喰らい、爆発
を引き起こし沈黙した。

「!? あ、あなたは……?!」
「そんな…もしかして!?」
「エ…エックスさん…?!!

スバルを含む、フォワード達は突然のサプライズに驚きを隠しきれなかった。スバルの目先には蒼いボディ
に身を包んだ見覚えの有る人物の姿がそこにあった…エックスだ。
しかし、その姿は自分達が知っている「お手伝い」としてのエックスではなく「戦士」イレギュラーハンター
としてのエックスであった。その眼差しも普段の温厚な目付きではなく、敵へと立ち向かう勇敢なる戦士
の目付きだった。

「ふぅ…なんとか間に合ったようだ…大丈夫か?」
「エ、エックス…!? き、危険だよ! こんな所にいちゃあ!」
「俺の事は大丈夫だ…今はあのガジェットとイレギュラーの対処が先決だ!」
「イ、イレギュラー…あのガジェットもどきの事!?」
「細かい事は後で話すよ…次が来るぞ!」
「…うん…そうだね…!!」

突然の出来事に一瞬ながら戸惑いを隠せなかったスバルだが、今はエックスの登場を受け入れて、敵の
撃破に再び専念する事を決めた。

(抵抗する者は…敵とみなして応戦…破壊する!)

エックスの出現に反応したかのように、一部のガジェットとメカニロイドがエックスに狙いを定めた。
その敵達を前に、エックスは真っ向からぶつかる。スバルを攻撃した同類のメカニロイド「ガンボルト」は
エックスめがけて電撃弾を放つが。

「もう少しよく狙いなよ!」

エックスはダッシュを使った高速移動でガンボルトから発射された電撃弾を回避すると、すぐさま自分の
右腕を備えられた「銃」となる武器にへと変えて、ガンボルトを迎え撃つ。

「エックスバスターッ!」

「エックスバスター」別名「ロックバスターMk-17」。その銃口から連続で撃ち出された太陽エネル
ギー弾は確実にガンボルトを直撃。それを受けたメカの一部が爆発を起こし、ガンボルトは機能停止する。

次に大型のガジェットIII型を迎撃に向かう。ガジェットはそうはさせんとばかりに、ベルト状の大きな腕
でエックスをなぎ払おうとするが、エックスは「スライディング」でこれを回避、その体勢のままでIII型の
懐へ滑り込み、お返しとしてバスターの連射を食らわす。至近距離から受けたIII型は物の見事に撃沈した。

「うわっとっ!? 上に伏兵がいたのか!」

迎撃を続けるエックスを上部からレーザー攻撃が襲った。ガジェットI型がビルの屋上に潜み、狙い撃ち
していたのである。エックスのいる場所からでは、攻撃が当たりにくい所にいた。

「こっちからじゃ狙いにくいか…なら、そっちへ赴くまでだ!」

エックスはガジェットI型がいるビルとは反対側の壁に向かってジャンプすると自分のお得意とも言える
「壁蹴り」で上っていき、ガジェットが射程内に入った所を一気にバスターを撃ち込む。それを喰らった
I型は成す術も無く破壊された。

「うそ…あんな事が…?!」

この様子を見ていたスバルは驚きを隠せなかった。ティアナもクロスミラージュで似た
ような事は可能ではあるが、エックスの場合は文字通り壁を蹴って上がったのである。

エックスの加勢とフォワード達の反撃により敵の数は確実に減少していた。更に迫り来るメカニロイドと
ガジェットの混合郡をエックスは次々へと撃破する。だが突如、巨大な影がエックスを覆った。

「ッく! ビーブレイダーまでいるのか!? コイツが地上のメカニロイドを運んでいたんだな…!」

その巨大な影の正体は、まるで蜜蜂を思わせるかのような姿をした大型ヘリ「ビーブレイダー」であった。
森林地帯や市街地における対ゲリラ戦向けに開発された攻撃型ヘリで、有る程度の運搬能力も兼ね備えられ
ており、汎用性も高かった。かつてイレギュラーハンターで運用されていたが、前に起きた反乱以降に製造が
中止、残機も皆スクラップになったのである。だが、それが何故?

「これ以上、戦闘を長引かせる訳にはいかない!」

ビーブレイダーの頭部に装備されている機関銃による銃撃を回避するエックスに、それを考えている
時間は無かった。

「バスターのエネルギーをフルチャージして……一気にカタを付けるッ!!」

エックスのバスターから強力なエネルギーがチャージされる。そしてエックスバスターのエネルギー
を収束したフルチャージショット「ハイパーXブラスター」が炸裂した。
その蒼く光る強力なエネルギー弾を受けたビーブレイダーは前部と後部が半分千切れた状態となる。

ビーブレイダーは負け惜しみと言わんばかりに装備されているミサイルをエックスを狙って乱射するが、
ミサイル攻撃を機敏にかわすエックスにはもはや全く当たらない。

「そんなヒォロヒョロ弾に当たるかよ……もう一撃だッ!」

周囲巻き添えの心配は無い事を確認したエックスのバスターから最後の一撃がお見舞いした。
直撃を受けたビーブレイダーはその衝撃でローター部分が吹き飛び、そのままハイウェイに激突、
その重みに耐え切れなかったハイウェイごと地表へ墜落。大きな爆発を引き起こした。


「よし…第二はもう来ない無いようだな……」

やかましい爆音も聴こえなくなり、敵機が全滅して状況が一旦収まったのを感じ、バスターを普通の右腕
に戻して安堵のため息をつけた後エックスは、スバル、ティアナ、エリオ、キャロの下へと掛けていく。

「みんな…大丈夫か?」
「あ…ありがとう…あたしは大丈夫だよ…?」
「それにしても…あの臨機応変は…凄い…」
「エックスさん…あそこまで戦えたなんて」
「正直言って、本当に驚きました……」

新人メンバー達は驚きを隠せなかった。隊長達の話でエックスが異世界のロボットだと言う事は
聞いていた。しかし、隊長達の配慮なのか、戦闘用だと言う事は聞かされていなかったのである。
知る限りでのエックスの普段の素振りを見たら尚更であった。

一方、なのはとフェイトの方も上空を飛んでいたガジェットII型とメカニロイドとの戦闘に
カタが付いていた。突然飛び入りしたエックスの戦いぶりを見ていたなのはも驚いていたようである。

「スバル達も無事みたいだね…よかった…でもエックスは…?」
「確かに彼…自分は戦闘用だとは言ってたけど、これ程なんてね……」

戦いが終わって次にエックスが気にかけたのは、自分の世界の品物であるメカニロイドについてだった。
何故、こんな大多数のメカニロイドがミッドチルダに現れたのか?何らかの原因で自分と同様にこの世界
に飛ばされたのか?そう考えるエックス。しかし、そうだとするのならば、幾らなんでもこれ程の数は
大規模すぎである。

「一体何故…誰かが、呼び寄せたと言うのか……!?」

六課のメンバーが一旦の安心をする中…エックスは何かしらの影を感じずにはいられなかった……


その頃、ミッドチルダ東部…ある洞窟を利用したアジトで機動六課…そして異世界のロボットである
エックスの戦いを観察している白衣を着た一人の男がいた。

その男の名前は「ジェイル・スカリエッティ」広域で指名手配されている次元犯罪者である。

「お試しでは戦ってはくれなかったが…成る程……確かにそれなりの素質は秘めている様だが…
 "ゲスト"は何そこまで、このレプリロイドを高く評価しているのか…?」
「――――やはり"エサ"を見せた途端に奴は引っかかりおったか…」
「……ちょっと噂をすれば君か…ゲスト?」

モニターを眺めるスカリエッティへ円盤型のプラットホームに乗ったレプリロイドが割ってはいる。
スカリエッティが"ゲスト"と指した人物である。見た目としては、黒いマントを覆っており、外見
年齢は60代前半辺りの老人。頭部にはコサック帽にも見る帽子をかぶっている。

「やはりあのイレギュラーハンターは来おったか………」
「彼かね? 君が危険視している異界の戦士というのは?そこそこ面白い程度にしか見えないが?」
「奴の真なる力はこんな物では無い。ワシの永遠の敵……」
「ふむ……君は彼に相当な恨みが有るようだね?」

この男の過大評価ではないのか?エックスに対して、現状では大して興味が湧かないスカリエッティ
とは対照的に、モニターに映し出されるエックスを見て恨みを持つかのような念を見せるこのゲスト
に対して、スカリエッティはいささかの疑問があった。

「ふむ……幾度もワシの理想を打ち砕いてきた"ヤツ"の忘れ形見故にな……」
「その為の極上の"特効薬"かね?」
「そうじゃ……あんたには感謝しておるよ。おかげで"アレ"を無事回収できた」
「そのお礼として、自分の世界のメカの設計データを提供、と言う訳か…君の言う"アレ"……あの
 レプリロイドの修理は現在、どこまで進んでいるのかね? 君がわざわざ異世界から赴き、協定
 を結んでまで欲しがった物だろ?」

スカリエッティが偶然にも発見したあるレプリロイドの残骸…ある拍子でミッドチルダに流れ込んだ
物である。そしてこれが、ゲストがスカリエッティに接触して、協定を申し出す程の重要な物だった。

「ボディ本体の修理、強化は大体の辺り完成しておる。後は制御回路と武装を残すのみじゃが…
 …まだ少々の時間が掛かるのじゃ…しばらくの間、エックスの相手はワシの部下達に任せると
 するかのう」
「そうか…まぁいい、私は私の目的を…君は君の目的を果たせばいい…頑張ってくれたまえ――
 ―――ドクター"サーゲス"?」
「うむ……サイエンティスト同士、互いの健闘を称えようではないか? フハハハハハハ……」

「サーゲス」と呼ばれたレプリロイドの哄笑がその場に響き渡った。


おまけ……のようなもの

「エックス! どうして!?」
「ス、スバル!? いきなりどうしたんだ?!」

どう言う訳なのか、エックスは涙ぐんだスバルに問い詰められていた。一体何で責められているのか?
エックスはまだ理解できなかった。

「何であんな事したの!? あたし…信じられないよっ!!」
(そうだよな…俺がいきなり乱入して戦ったんだ…信じられないのも…)

エックスはスバルが突然と戦った自分に幻滅した物だと悟った。エックスに助けられる結果になったが、
いきなり破壊行為的な行動を取ったエックスに悲しんでいた―――と言うのがエックスの憶測であった。
今の自分に出来る事と言えば、とにかく彼女に謝る事だけであろう。

「ゴメン、スバル………あの時は―――」



「"スライディング"するのは本家シリーズだけなんだよ!! エックスはXシリーズなんだよ!?」



「―――へ? ……信じられない部分はそこなの?!」

ディスプレイ画面の皆様は、こんなツッコミするなよ!?絶対だぞ!?
と言うか何故スバルがそんな事を知っているのか?有る意味大いなる最大の謎であった……
(おまけのお話は本編と完全にリンクしている訳ではありません…たぶん)



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最終更新:2009年04月05日 16:38