※キャラ崩壊が多いため、苦手な方は閲覧しないことをおすすめします。

 …此処は第97管理外世界に存在する海鳴町沿岸の海水浴場、海水浴客が犇めく其処に一台のワゴン車が辿り着く。


 …そしてワゴン車の扉が開き、其処から一人の男が姿を現す、ジェイル・スカリエッティその人である。



                      リリカルプロファイル外伝
                           夏休み



 「う~んいい天気だ!絶好の海日和だと思わないかね?」

 そう言って振り向くと其処にはレザードが眼鏡に手を当て呆れた表情を隠すこと無く面に現していた。
 何故彼らが此処に来たのかというと、先日スカリエッティが日ごろの感謝として二泊三日のバカンスを提案
 その提案にレザード以外が賛同しウーノの指示の下、手早く準備が始まり現在に至ったのである。

 「しかし…随分と変わった格好で……」
 「そうかい?」

 現在スカリエッティはハイビスカス柄のアロハシャツに短パン、ビーチサンダルを履き麦わら帽子にサングラスといった格好をしており
 一方でレザードはいつもの青を基調とした服に黒いマントを羽織っており、海水浴場には似つかわしくない姿は一目瞭然であった。

 「ドクター、私達は場所を確保してきます」
 「あぁ、頼むよウーノ」

 そういって振り返ると其処には紫のトライアングルビキニに腰にパレオを纏い、手にはノートパソコンを携えたウーノと
 際どいハイレグカットされた紫のワンピースに、ビーチパラソルを担いだクアットロ、
 そして紫に胸元にリボンをあしらったトライアングルビキニ姿のトーレ、更にトーレと同じ形のピンク色の水着姿のセッテが
 クーラーボックスを携えぞろぞろと砂浜へと向かっていく。

 すると今度はライニングボードを持ち上げる形で携えた濃いピンク色の競泳水着のような姿のウェンディと
 これまた同じく水色の競泳水着のような姿のセインが飛び出してきた。

 「行くッスよ、セイン姉!!」
 「合点承知!!」

 そしてレザードとスカリエッティに軽く挨拶すると矢のように海へと向かう二人、
 その二人をあきれた様子でレザードは見つめていると、
 腰にフリルが付いた白いワンピース姿のチンクとガジェットIII型を模したビーチボールを携えた
 赤いワイヤー型のビキニ姿のノーヴェがチンクの手を引いて姿を現す。

 「チンク姉!早くいこ!!」
 「少し待て……博士、ドクター、行って参ります」
 「あぁ、楽しんでくると良い…」

 スカリエッティの応えに一つ礼をすると足早に砂浜へ向かう、どうやらチンク自身も楽しみにしていたようだ。
 次に出てきたのは、上は青いタンクトップビキニにジーンズの生地で出来た短パンを履いたオットーと
 同じく青いタンクトップビキニに腰にはパレオを巻いたディートが姿を表す。

 「どこに行くんだい?」
 「………砂浜」

 スカリエッティの問い掛けに指を指してオットーは答えると、
 気をつけるようにと注意を促しディートは頷いて答えると駆け出す二人。

 今度はオレンジのワンピースにパレオを巻いた姿のディエチと
 薄紫の水玉模様に胸元にはリボン、腰にはフリルが付いた水着を着るルーテシア、
 そして付き添いとしてアギトが姿を表し、アギトの姿が初めて場の空気にあっていると感じるスカリエッティ。

 「何処へ行くのかい?」

 すると淡々に岩場を指すルーテシア、そしてスカリエッティは足場に気をつけるようにと注意を促すと、護衛がいるから大丈夫だと告げ、
 ワゴン車から最後の人物が姿を現す、それは赤フンを纏ったゼストであった。

 何故赤フン姿なのかというとゼスト自身が望んだ事なのである。
 それは前日の事である、スカリエッティは皆に水着の要望を聞き最後にゼストに聞くと褌と答えた。
 するとゼストの答えに悪乗りしたスカリエッティが赤フンを作り上げ渡すと、意気揚々に履き現在に至ったのである。

 「…では行ってくる」

 ゼストは一言告げるとルーテシアの後をついて行く、
 その光景に含み笑いを浮かべるスカリエッティと、頭を押さえ横に振るレザードであった。



 …ウーノが獲得した場所は海から程良く近く一望でき、更に人気も少なくまさに穴場といえる場所であった。
 そんな場所で黒いTシャツと青い短パンに着替えたレザードがパラソルの下で本を読んでいた。
 そして後ろではスカリエッティがウーノと一緒にトロピカルジュースを飲んでおり、
 二人から見える位置では荷物を運び終えたトーレとセッテ、更にチンクとノーヴェがビーチバレーで対戦をしていた。
 だが戦況はトーレ組が圧倒的であった……




                 ……反則的なまでに……




 何故ならば、チンクのアタックをライドインパルスで受け止め、セッテのトスに対し、飛行してスパイクを打ち込むのである。
 トーレの余りにもの行動にチンクは抗議を唱え始める。

 「トーレ姉さん!いくら何でも卑怯だと思います!!」
 「甘いな…戦い情けなど必要ない!」

 そう断言しチンクを指差すトーレ、だがトーレのそれは周りに人がいないから出来ることであって
 他人から見たら瞬間移動や飛行している事自体が卑怯であり、
 管理外世界でISを気軽に使うという事は、少なからずトーレも羽目を外している事を指し示していた。


 そして少し離れた砂浜ではオットーとディートが砂遊びをしている姿がある。
 だが二人が作っている砂の城はディテールに拘っており、細部は楊枝で削って造るほどの拘りようで辺りには人だかりが出来ていた。

 そして沖合いではライニングボードを滑走しているウェンディと、水上スキーを楽しんでいるセインの姿があった。

 「ヤッホー!次あの波に行くッスよ~!!」
 「オッケ~!!」

 ウェンディが指さした先にはジャンプするには丁度良い波がうねっており、その波目掛けて大ジャンプ
 続けて後方のセインも大ジャンプをして、二人は楽しさの余り笑い合っていた。
 ナンバーズの中で一番まともに楽しんでいるのは彼女達なのかもしれない……

 一方、岩場ではルーテシアとこっそり召喚したガリュー、更にディエチとアギトが塩だまりの中を探っていた。
 するとルーテシアが何かを見つけたらしくアギトに見せる。

 「…………カニ」

 ルーテシアは一言口にするとカニをアギトに渡す、するとカニはアギトの二の腕を挟みその痛みに思わず絶叫、ルーテシアの周りを飛び回る。
 その頃ディエチは小さなエビや小魚、そしてアメフラシなど見つけ一人楽しんでいた。

 ……そしてゼストは腕を組み仁王立ちで岩場の波打ち際のてっぺんでルーテシア達を観察しており、ゼストの後ろでは何度も波飛沫が舞い…




             ……その佇む姿は様になっていた……




 それから暫くして昼食の時間になり、ウーノは連絡を送り皆を集めると
 其処にはてんこ盛りの焼きそばが焼きあがっていた、何でもスカリエッティの言い分では浜辺で焼きそばは絶対らしい……

 それはさて置き、メンバーはそれぞれ食べる量の焼きそばを盛ると一斉に食べ始める。
 その中でオットーの目線が一カ所の方向を指していた、それは海の家である。
 その視線に気が付いたディードはウーノの頼み込み小銭をもらうと二人で海の家に向かう。

 そして帰ってくるとその手にはかき氷が握られており、
 オットーはメロン味、ディードは渋い宇治金時をチョイスしていた。
 するとそれを見た他のメンバーがズルいと騒ぎ出し一斉にウーノの下に集まり抗議し
 その結果、スカリエッティを含めたメンバー全員がかき氷を頼む事となったのであった。

 そして午後も日差しが強くパラソルが手放せない中でレザードは一人リラックスチェアーに座り本を読んでいると
 本に影が映り目線を上げると其処には髪が濡れて日差しを煌びやかに反射させているチンクの姿があった。

 「どうしたのです?チンク」
 「博士は楽しまないのですか?」
 「……これでも十分楽しんでいるのですがね」

 そう言って眼鏡に手を当て不敵な笑みを浮かべるレザード、元々自分はインドアなのでこれで十分に楽しんでいると告げると
 いきなり右腕を捕まれ椅子から立ち上げさせられると、持っていた本を落とす、
 レザードを引っ張り出した正体はスカリエッティで、ズイズイ引きずられ膝のあたりまで浸かると海に突き落とされる。

 「やはり、海に来たら海に入らないと意味がないだろう!」

 そう言って笑い声を上げるスカリエッティ、それに対しレザードはゆっくりと海から上がりその姿はずぶ濡れ状態で、
 スカリエッティは「水も滴る良い男」と言ってレザードを茶化すと
 レザードは無造作に右手で水をはじきスカリエッティの頭に直撃、その水圧は高くスカリエッティはそのまま沈むと
 髪を掻き揚げ眼鏡に手を当て不敵な笑みを浮かべるレザード。

 「これであなたも“良い男”ですね」

 すると勢い良く水中から姿を現すとお返しとばかりに水をかけ始める。
 しかしスカリエッティの攻撃は一切レザードには当たらずレザードは鼻で笑うと
 それにカチンと来たのスカリエッティはトーレを呼び出し、レザードもまた呼応するようにチンクを呼び出す。
 するとトーレはセッテを呼びチンクはノーヴェを、ノーヴェはディエチを呼ぶと
 セッテはオットーとディードを呼びディエチはルーテシアとアギトを呼びつけ水かけ合戦が開始される。

 …いやそれはもう合戦とは呼べない代物となっていた、スカリエッティの攻撃を難なく躱すレザードに対しトーレのライドインパルスでレザードの後ろをとる、
 しかし後ろにはチンクが既に存在し水しぶきをあげているとその隙をついてトーレをスープレックスで投げ飛ばすノーヴェ、
 だがそのノーヴェもまたセッテに投げ飛ばされるとディエチの正確な水撃に沈むセッテ、
 するとディエチの両腕を掴み沈めるオットーとディードに対し今度はルーテシアとアギトが足を掴み沈めるといった状況なのである。

 それを沖合いで見つめるウェンディとセイン、何だかんだでみんなも楽しんでいるのかと感じ
 岩場の上では未だに波飛沫をバックに仁王立ちで佇むゼストであった。


 そして夕食、今日はバーベキューのようでそれぞれが堪能する中
 ずぶ濡れになった服を脱ぎ新たなTシャツと短パンに着替えたレザードが椅子に座っていた。
 するとレザードの下にスカリエッティが姿を現し、手には二本のグラスと
 中に氷が敷き詰められ突き刺さるようにワインが冷やされたバケツが握られていた。

 「一杯どうかね?」
 「…まぁ、頂きましょう」

 そう言うとスカリエッティはバケツを置きグラスと渡すと、バケツからワインを取り出しレザードのグラスに注ぐ
 レザードもまたワインを受け取りスカリエッティの持つグラスに注ぎ込み、
 そして乾杯の音を鳴らすとゆっくりと確かめるようにワインを口にする二人。

 「…良いワインですね」
 「そうだろう?君といつか飲もうと取って置いたのだよ」

 そう言って更にワインを口にするとスカリエッティは上機嫌に話し出す。
 今回は皆の英気を養ってもらう為に開催した、そして自分とレザードにもそれは当てはまると饒舌に語る。

 「これからのこともあるからね、色々と手伝って欲しい……」
 「………まぁ、考えておきましょう」

 そう言ってレザードはスカリエッティのグラスにワインを注ぎ足すと、
 スカリエッティもまたレザードのグラスを注ぎ足し、二人の時間が続くのであった。

 次の日

 今日も朝から日差しが強く、朝食を食べ終わったナンバーズ達は準備運動を始め海に飛び込み始める。
 一方でスカリエッティは二日酔いでダウン、ウーノが甲斐甲斐しく面倒を見ており、レザードは朝から椅子に座り本を読んでいた。

 …レザードは前の世界でよくメルティーナに酒に付き添わされていた為、ワインの2~3本程度なら問題なかったのである。

 それから正午を周りウーノと手伝いとしてオットーとディードがカレーを作っている頃
 ノーヴェとディエチは海の家付近を通って皆の下へ向かっていた。
 すると二人の前に金髪で目つきの悪い男が三人、行く手を塞ぐように現れると二人に声をかける。

 「よぉ、姉ちゃん達暇?これから俺達と飯食わねぇ?」

 どうやらナンパのようである、だが二人は無視する形でその場を去ろうとすると
 一人の男がディエチの手を掴み睨みつけながら怒鳴り散らす。

 「てめぇら!無視してんじゃねぇ!!」

 男の横柄な態度にディエチは睨みつけると、掴まれた手をひねり返し折ると、続いてノーヴェがハイキックで男の脳を揺さぶる。
 自分達の仲間が一瞬にしてやられた事に、怒り心頭といった心境で他の男達が襲いかかるが、
 ノーヴェの素早い足払いで二人の男を同時に倒すと踵落としにて男の左足を折り、更にもう一人の顔面を踏み抜いたのである。

 「…少し、やりすぎた?」
 「大丈夫だって!手加減したしな」

 ノーヴェとディエチはまるで何事もなかったかのように先に進みだし、
 跡地では男達の阿鼻叫喚な光景の中で彼女達に対する復讐を企むのであった。



 そして夜も更け昼間とは異なり辺りに静けさが戻る頃、静寂を切り裂くような轟音がスカリエッティ達が眠るテントの周りで鳴り響く。
 その音に目を覚ました一同は次々にテントから出て来ると、
 辺りには改造されたバイクが囲うように並び、ライトが眩しく辺りを照らし、人数は50人ほどいる状況であった。

 「オラァ!仲間が世話になったようじゃねぇか!!」

 どうやら昼間相手をした男達は隣町の暴走族のようで、報復の為に仲間を引き連れて来たようである。
 確かに昼間相手をした男達が包帯に巻かれている姿で後部座席に座っている姿があり、辺りは騒然としていた。

 「覚悟は出来てんだろうな!!」

 バイクの轟音と共に長ともいえる男が息巻いている中、欠伸をしながら頭を掻きけだるそうな姿で出迎える一同。
 そのなめきった態度に怒りを露わにすると一斉に鉄パイプやバタフライナイフなどの凶器を持ち出し始める。

 するとスカリエッティは顎に手を当て考える、此処で彼らを抹殺するのは容易い…
 しかし此処は管理外世界、余り派手に動くのは快くない。
 取り敢えず…この哀れな子羊達に自分の実力のなさを思い知らせる程度で充分であろう…

 そう判断するとスカリエッティはナンバーズに命じる。

 「死なない程度に遊んであげたまえ」
 「了解しました、ドクター」

 そう言って一人そそくさとテントの中へ戻ると、外では暴走族達の悲痛な叫びが辺りに木霊し、
 それはまさに阿鼻叫喚、地獄絵図ともいえる惨状が展開されていたのであった。


 一夜開け、海水浴場付近の道路には破壊されたバイクと共に
 誰が誰なのか分からない程までに腫れ上がった顔をした男達が
 簀巻きにされ正座で並べられている姿が目撃される事となる。





 そして英気を養ったスカリエッティ一同はワゴン車に乗り込み、意気揚々とアジトへの帰路を取るのであった…






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最終更新:2009年08月31日 18:25