『マクロスなのは』第3話「設立、機動六課」


あの襲撃事件は重傷者3名、軽傷者18名を出すに止まった。幸いなことに負傷したのは全て管理局局員と学校の警備員で、子供達に被害はなかった。
そして襲撃してきた魔導兵器は、クラナガンに張り巡らされたレーダー網によると突如上空に出現したものらしいが、それ以上詳しいことはわかっていない。
しかしマスコミは結果的に死者が出ていないせいかその報道は控えめになった。代わりに死者2名に抑えたテロ事件での地上部隊の必死の働きをクローズアップし、公務員である地上部隊が労働三権を行使するという違法な労働争議を打ち消していた。
また、首相は地上部隊の予算を増やすと公言した日から2日目に遂に英断。緊急措置として企業団からの出資を受け入れることとした。しかし企業団側に主導権を握られないよう契約は10年以上に渡る長期で、原則としてそれまで脱退、出資渋りは認められず、額も会社の規模によって一律に決まる。
そして仮に契約終了後更新しない時はGDP(国内総生産)を削ってでも必要予算を増やす法案を通すと公言。直後の世論調査も大勢が「管理局に使うのなら自分達の生活に還元される」とこれを援護する。こうしてこの先、更新を渋って管理局を脅そうとする企業を牽制した。
これら条件は企業側にとても厳しい内容ではあったが、それでも時空管理局は今回のテロ事件のこともあってさらに魅力的なイメージアップの商品に見え、その長い歴史は彼らに十分な信頼感を与えた。
こうして4日目にはGDPにして2%にも上る莫大な出資金が地上部隊に注ぎ込まれ、組まれていた予算と出資との合計でこれまでの予算の3倍強(概算要求の1.5倍)となったことに、今まで苦渋をなめてきた地上部隊財務課は狂喜したという。
余談だが予算の使途はできうる限り公開することになっていて、担当者はまず、

  • 給与水準の向上
  • 老朽化のひどい駐屯地などの施設の改修費
  • 装備のアップグレード版の開発費
  • ミッドチルダ全体をカバーする探知用魔力レーダーの設置費

などに中心的に充ててミッドチルダの防衛体制強化を図ると説明した。

(*)


 アルト達がこの世界に来てから7日目

海上を埋め立てて作られた敷地。そこには新しく建てられた立派な隊舎があった。しかし隊舎の正門にある表札にはまだ何も掛けられていない。
そしてその反対側にある広場では、今まさに産声を上げようとしている部隊の設立式が行われていた。
4月という季節柄風は温かく、太陽の下行われている設立式は順調に進んでいた。
そこに彼らの、まだ若い部隊長が壇上に上がった。

「本部隊の総部隊長、八神はやてです。・・・・・・平和と、法の守護者『時空管理局』として事件に立ち向かい、人々を守っていくことが、私達の使命であり、なすべき事です」

一言一言かみしめるように続ける。

「この部隊は管理局の、対応が遅く、練度の低い地上部隊を支援するために設立されるテスト部隊です。そのためこの部隊は1年でその役目を終えますが、現状の管理局システムの修正など残す物は多いでしょう。また、テストといっても―――――」

彼女の視線が舞台を前に整列している部隊員達に注がれる。

「実績と実力に溢れた指揮官陣。若く可能性に溢れたフォワード陣。それぞれ優れた専門技術の持ち主のメカニックやバックヤードスタッフ。全員が一丸となって事件に立ち向かっていけると、信じています」

その口調、瞳に迷いはなく、彼女の寄せる信頼の大きさを物語っていた。

「私はこの部隊での1年を、実りのある1年にする所存です。ですから報道機関、管理局の庇護の下に生活する市民の皆さんの、温かいご理解と、ご協力をよろしくお願いします」

報道関係者がときたま焚くフラッシュを無いもののようにスルーし、地上部隊の制服(茶色を基調とした正装。新人から佐官まで幅広く使われる)を着た少女、八神はやて二等陸佐はそう締めくくり、仮設の舞台を降りた。
その後彼女は、部隊隊長の席に腰を降ろすと、次の予定のために部下達を準備に走らせる。その間報道関係者達の質問に応じる事となった。

「部隊長であるあなたや、分隊を指揮する隊長が若すぎるとの批判がありますが、これについて・・・・・・」

「これからの管理局を背負っていくのは若者です。また本部隊設立の目的の1つが管理局システムの刷新にあります。そのためには若者の、柔軟な発想に基づく部隊運用が求められるからだと、私は考えます」

「あなたを含めて隊長陣が全員オーバーSランク魔導士。副隊長でニアSランクですが、管理局の規定にある『1部隊の持ちうる魔導士ランクの限界』についてはどうなっているんですか?」

「私を含め、隊長格位には能力限定用のリミッターが設定されております。例えば高町なのは一等空尉の通常のリンカーコア出力はクラスS+ですが、リミッターにより2、5ランクダウンのクラスAAにまで出力を落としてAランク魔導士として登録・運用します。しかし、どうしても必要な時のみ解除する権限を与えられています」

その後も質疑と回答は続き、時間の関係で次を最後としたところ、こんな質問が出た。

「では、新設された部隊の名称を」

その質問に、はやては我が意を得たりとにっこり微笑むと―――――

「本部隊の名称は・・・・・・あちらをご覧ください!」

一斉にはやての指し示す方向に数十台のカメラか振り向く。その瞬間彼らの目前十数メートルを航空機が察過していった。

「あれはバルキリー!」

報道関係者の1人が興奮気味に言う。
そう、そこを飛ぶは、純白に赤黒ラインを施したVF-25。バルキリーの名は報道された際に広まった通称だ。
バルキリーが雲一つない晴天の青空の下を一筋の白いスモークを残して飛行する中、地上より発進した桜色と黄金色の2色の光の筋がそれを猛追、編隊飛行に入る。そして大きく旋回して会場上を通過したと思った瞬間、先頭を飛んでいたバルキリーが突然ガウォークに可変。減速とロール回転をしながら高度を落としていく。2色の光もそれに続く。
そしてバルキリーは海上に到達すると、その上をまるでアイススケーターのように2色の光と共に滑っていく。その軌跡は渦を巻くように形成され、中心まで描ききったバルキリーはファイターへの可変によって瞬時に機首を上に向けて、2色の軌跡と共に急上昇。
そこでバルキリーは突如パイロンに搭載した増槽のような円筒形の箱から小さなミサイルらしきものを乱射した。
その行為は、

「質量兵器!?」

と驚き、反射的に頭を抑える者。またはミサイル達の青白い軌跡が織り成す美しさに魅せられ、見惚れてしまう者とを生み出した。
ミサイルは回避機動という名の乱舞をしつつ上昇していく。そしてある高度で桜色の光線が下から照射されてミサイル達を薙ぎ、それらを一斉に爆発させた。
そこには花火のように文字が浮かび上がっている。


〝機動六課〟と。


「これが管理局の新部隊『機動六課』や」

はやての不敵な声が、辺りに響き渡った。

(*)


 15分後

はやてが『時空管理局 本局 機動六課』と書かれた表札を正門に掛けたりするなど式らしいものを終わらせると、隊舎に併設して突貫工事で作った500メートルの海上滑走路で待機していたバルキリーが離陸して会場へとガウォーク形態で降りてきた。
カメラマン達は何事かと、片付け始めていたカメラを再び引っ張り出す。
そこに追い討ちをかけるようにアナウンスが流れる。

『これより、機動六課のイメージソング「アイモO.C.~機動六課バージョン~」の視聴会を行います。歌うは時空管理局期待の歌手、ミス、ランカ・リー!』

その瞬間報道関係者達は色めきだった。
ランカは暴徒鎮圧ライブ以来姿を見せたことはなく、名前は報道されたが、1週間で半ば伝説となっていたからだ。
そこで、ガウォークで着地したバルキリーの前にホロディスプレイで大きなテロップが流れる。

『魔法を行使している方はただちに使用をやめてください。ご協力お願いします。byランカ・リー』

とある。
なぜそうしなければならないかを彼らは知らなかったが、彼女の頼みとあっては聞かないわけにもいかない。彼らは飛行魔法の解除などしっかり従った。
全ての魔法行為が止まったことを確認したのか曲が流れ出す。そしてそれに合わせるようにキャノピーが開いてゆく・・・・・・

<ここはアイモOCをBGMにするとより楽しめます。(多分・・・・・・)>

〝アイモ アイモ ネーデル ルーシェ!―――――〟

果たしてそこには地上部隊の制服を着たランカが歌っていた。しかし、フラッシュどころかシャッターすら全く炊かれない。誰もがそれに聞き惚れ、茫然自失となっているのだ。その中を彼女の力強く澄んだ歌声が沁みわたる。


〝進め! 機動六課 誇り高き名を抱いて
飛べ! 機動六課 眠れる力呼び覚ませ〟


その歌はライトニング(いかづち)を携え、スターズ(りゅうせい)が舞う。そんな幻想的な光景を聞く者に抱かさせたという。

(*)


 2時間後

マスコミがいなくなり、六課の隊舎ではささやかな設立記念パーティーが行われていた。

「今日はみんなのおかげでマスコミの人たちに目にもの見せてやれた。ありがとうな。今日はよく食べて英気をやしなってや!」

八神はやて二等陸佐はいつもの柔らかい関西弁を操る〝はやて〟にもどり、楽しそうに飲み食いする部下達を見守っている。自分が入ると階級のせいで気まずくなることがわかっているからだろう。まったく強い少女だ。
その頃彼女から

「みんなに挨拶しておきな。これからは同じ釜の飯を食べる戦友になるんやから」

と言われていたアルトとランカは、今最も人の集まっている食堂に来ていた。

(*)

 食堂

そこは広く、平時には食券を買うのであろう自動券売機が並んでいた。
今日は特別にバイキング形式であるため、皿を手に

「どれもおいしそうだね・・・・・・」

と困ったように笑うランカと共に食べ物を探していると、肩に誰かが運んでいたらしい皿が軽くぶつかった。

「あ、ごめんなさい」

「大丈夫だ。なんてことはない」

そう言いながら振り返ると、そこにいたのはフェイトだった。

「ああ、アルト君か。ランカちゃんは久しぶり」

フェイトがいつもの調子で挨拶してきた。
しかし俺の(おそらくランカも)視線は両手に乗せられた大量の食べ物に固定させてしまっていた。

(おいおいこりゃ、とても1人じゃ食べられないぞ・・・・・・コイツ、こう見えてこんなに食うのか・・・・・・)

と思う視線に気付いたのだろう。彼女は頬を赤らめると、

「あ、いや、これは・・・・・・エリオ、キャロ」

「「はーい!」」

遠くで2人分の返事が聞こえる。どうやら、あの2人のためらしい。育ち盛りの子供がこちらに、やってくる。
フェイトは2人に

「気をつけてね」

などと注意しつつ、両手の皿を分けて渡した。
そこで何かを我慢できなくなったのかランカが問う。

「あ、あのぅ、フェイトさん」

「ん?」

「・・・・・・お子さんですか?」

その問いにフェイトは一瞬キョトンとした顔を見せると、笑みを浮かべて応えた。

「ふふ、そうとも言うのかな。この2人は私の保護している子でね。今度ライトニング分隊の3と4を務めるエリオ君とキャロです」

ライトニング分隊とは、先ほどイメージソングで歌われたが、もう1つのスターズ分隊とともに前線を務める分隊の事だ。ちなみに、六課にはもう2つ分隊があり、その名をフロンティア分隊とロングアーチ分隊という。
フロンティア分隊は当初の予定になかったアルトとランカが属する分隊だ。フロンティア1にはアルトが、2にはランカが相当する。任務はVF(ヴァリアブル・ファイター)という汎用性の高い特殊な機体とランカがいるため超広域に渡り、必要なら宇宙や海中おも守備範囲としていた。
そしてロングアーチ分隊ははやてなどが属し、その名の示す通り縁の下の力持ちとしてこの隊舎にある指揮管制所で現場指揮の補助などを行う。
話は戻るが、エリオと呼ばれた方は、赤い髪をした利発そうで中性的な顔立ちをした男の子。キャロと呼ばれた方は、少し気の弱そうなピンクの髪をした女の子だった。
2人はそろって

「「こんにちは」」

と、可愛く頭を下げた。
その後席へと向かっていったフェイト達だが、そこからこんな会話が聞こえてくる。

「でもフェイトさん、いくらなんでもこんなに持ってこなくても・・・・・・」

「ダメよ。育ち盛りなんだから好き嫌いなくたくさん食べないと大きくなれません」

振り返ってみると、切々(せつせつ)とたくさん食べることの重要性を語るフェイトの姿があった。

「それにしたって―――――」

「多すぎだよね」

そう繋いできたランカに

「ああ、まったくだ」

と苦笑して答えた。フェイトの過保護(?)という新たな一面を見た2人は再び食探しの旅を続行した。

(*)

「あ、アルト君、ランカちゃんは久しぶりだね~」

フェイト達と別れてすぐ会ったのはなのはだ。彼女の手にも皿がのっており、こちらは慎ましい和食中心だ。
なのはやフェイト達とはこの1週間、先ほどのアクロバットの打ち合わせなどで毎日のように会っていたが、ランカは時空管理局本部でいろんな検査などをやっていたようで、俺ですら通信以外で彼女と話したのはようやく今日で、分かれてから6日ぶりであった。
彼女に挨拶を返すと、なのはとランカは話に夢中になっていった。

「さっきの歌良かったよぉ~」

「ありがとうございます!」

「六課バージョンらしいけど、元はどうだったの?」

「元は、〝機動六課〟の所に、私のいた船団の名前だった〝フロンティア〟ってのが入るんです」

「フロンティアかぁ・・・・・・昔見てたドラマに『宇宙、それは最後のフロンティア』ってナレーションで始まるのがあったなぁ」

「あれ?それってまさか『宇宙戦艦エンタープライズ号が―――――』って続きませんでしたか?」

「え!?うん、そうだよ。やっぱり『ス〇ートレック ネクストジェネレーション』って名前?」

「はい!やっぱり劇場版のエンタープライズEのデザインが感動ものです!」

「うんうん、わかるわかる!スラッとしたフォルムがなんとも言えないかっこよさだよね!・・・・・・でも私はどちらかというとヴォイジャー派かな・・・・・・」

と、そんなこんなでどんどん話が進む。
マニアの会話は、得てしてノコノコと知らない者が入っていける空間ではない。
この時も同様であり、いわゆる〝スタトレファン〟や〝トレッキー〟と呼ばれる人種ではないアルトには何の話かさっぱりなので、やんわりと戦線を離脱した。
すると、少し離れた所で呼び止められた。

「おまえが早乙女アルトか?」

「ああ、そうだが・・・・・・」

聞こえてきた誰何(すいか)に肯定しつつ振り向くと、そこには特徴的なピンクの髪をポニーテールにした20歳ぐらいの女性がいた。
しかし彼女にはその歳ぐらいならば少しはあるはずの頼りなさが全く感じられない。逆に何かを守るという意志の光が強く灯っている。そして全身からにじみ出るオーラはまごう事なき武人のものだった。

「主はやてから話は聞いている。先日の襲撃の時は、対応の遅くなった管理局の代わりに初等学校を守ってくれ、感謝している」

彼女はコクリと頭を下げた。しかし、その動作のどこにも隙がない。例え今この会場の全員が、彼女を倒そうと襲いかかっても失敗するだろう。そんな雰囲気を醸し出していた。

「いや、あの時俺は偶然あそこにいて、偶然それに対応できるだけの装備があっただけだ」

「では、その巡り合わせにも感謝せねばな」

そう言うと彼女は不敵に微笑んだ。

「自己紹介がまだだったな。私はシグナムだ。この部隊ではライトニング分隊の副隊長を務めさせてもらう。だが同時に特別機動隊(地上部隊上層部直轄の対テロ特殊作戦部隊)空戦部隊の隊長だからあまり六課には顔を出せないだろう」

残念だ。と肩を落とす。

「なんで残念なんだ?」

問うと彼女は不思議そうな顔をした。

「なんだ?お前は〝こちら側〟の人間ではないのか?」

彼女は待機状態のデバイスを仮起動させる。すらりと伸びたそれは剣の形をしていた。
どうやら彼女はこちらを同業者と思っていたようだ。確かにアルトは

「役者は演じる全ての事に精通していなければならない」

という父の教えから剣技だろうが料理だろうが並みの稽古はしてこなかった。どうやらそれはプロの目から見てもその道の者に見えるようだ。

「確かにそうだが・・・・・・」

「ではまたいつか手合わせ願おう」

烈火の将シグナムはそう言い残すと食堂から出ていった。

(*)

その後、医務室で医師を務めるシャマルやスターズ分隊のヴィータと笑撃的(?)な出会いをするがここでは割愛させていただこう。

(*)


「よぅ、アルト。今日のアクロバット、なかなか決まってたぞ」

そうビール片手に陽気に声を掛けてきたのは、人が単独で飛べるこの世界にあって同じく〝パイロット〟という役職を持つ人物、ヴァイス・グランセニック陸曹だった。

「あ、ああ・・・・・・」

アクロバットでの〝あること〟が原因でその返事がおざなりになってしまうが、そこでヴァイスの後ろをついてきた少女の姿が映る。
すると視線に気づいたのか、彼女がこちらに向き直った。

「こんにちは。機動六課ロングアーチ分隊の索敵とレーダーを担当するアルト・クラエッタ二等陸士です。よろしくお願いしますね」

ペコリとお辞儀するクラエッタと名乗る少女。しかしヴァイスは突然彼女の頭をひっつかむと髪を掻き回し始めた。

「このやろ、な~にしおらしくしてんだよ」

そうやって彼はひとしきり

「やめてくださいよヴァイス先輩~!髪がぼさぼさになっちゃいますよぉ~!!」

といやがる彼女で遊ぶと、こちらに向き直って言う。

「コイツな、7歳ぐらいまで自分が男だって思ってたんだぜ」

「あー!ヴァイス先輩それは『秘密に』って―――――!」

「すぐに化けの皮剥がれるだろ?ほらこの前の書店で痴漢に遭った時だって―――――」

「あー!それ以上言わないでぇーーーーー!!」

「―――――コイツ「この痴漢野郎!」って叫びながらそいつに〝大外刈り〟かけたんだぜ。しかもスカートのままで」

「キャーッ、もうお嫁に行けなーい!!」

「お、お前もか!?」

「「え?」」

〝楽しそうに〟漫才をやっていた2人だが、こちらのセリフに声を揃えて向き直る2人。

「実は俺もガキの頃は自分を女だと思っててだな―――――」

アルトは歌舞伎の〝真女形(まおんながた)〟という日常生活までを女として過ごすものだったから、完全に自らを女と誤認していた。
彼が初めて自らが男だと知ったのは小学校の保健の授業が初めてだと言うからもう始末におえなかった。
一方クラエッタの方は兄2人と弟1人という男所帯であったため、ずっと自らを男だと思い込んでいたという。また、兄弟喧嘩で鍛え上げられた彼女の体術は否が応でも昇華され、柔道の女子どころか男子同クラスでは負けなし。数十Kgのハンデを付けてやっと互角になるというワイルドな少女だった。
そんなこんなで意気投合し、お互いのあるある話に夢中になっていく。

「んーハブられちゃったな・・・・・・」

ヴァイスが寂しそうに呟くとクラエッタは、〝べー〟と舌を出して見せた。




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最終更新:2010年09月23日 21:26