カリムとシャッハは、キャンドルで薄明るく照らされるロマネスク様式に似た装飾の施された廊下を、
身長1メートル弱の小人の修道士の案内で進んでいた。
「ここは…奥の院?」
シャッハが周囲を見回しながら不安そうに言う。
「この場所は法王聖下以外立ち入り禁止では?」
カリムが尋ねると、修道士は頷きながら答えた。
「聖下のご意向です、それ以外はわたくしにも分かりません」
それを最後に黙ったまましばらく歩くと、鎧を思わせる教会騎士団の制服を着た、弓形のデバイスを持つ
上半身女性・下半身蛇の生物と、剣型のデバイスを持つ六つ腕の生物が門番を努める真紅のカーテンの
壁の前で立っている部屋にたどり着く。
「わたくしの案内はここまでです、ここから先は奥の院の使いの者が参ります」
修道士が二人に頭を下げて部屋を出ると、人蛇型生物の門番が空間モニターを開いて何か操作をする。
するとカーテンが開いた後、重々しい駆動音と共に壁が割れる。
その先にあるのは、ダクトやケーブルが無数に張り巡らされた、同じ教会内とは思えないハイテクな設備
の数々。
あまりにも異質な光景にカリムとシャッハが息を呑んでいると、通路の奥からセクター7エージェントを
示す黒いスーツを着込んだ、彼女らと同じくらいの身長のバッタを思わせる大きな目をした、茶褐色の
肌色の生物がやって来た。
「カリム・グラシア様とシャッハ・ヌエラ様でございますね」
二人が頷くと、エージェントは付いてくるようジェスチャーで示す。
「では、こちらへどうぞ」
本局ビルNMCCの一角に作られた会議用の広い部屋で、シモンズはJS事件関係者の呼び出しの状況について
報告を受けていた。
「こちらはスプールス、エリオ・モンディアル、キャロ・ル・ルシエ両者から承諾はいただきました」
曇りガラスの間仕切りの向こうでなのは達が食事しているのを横目に、シモンズは報告に頷いて自分の側の
状況をシルに伝えた。
「こっちもOKだ。後は長官及び局長の到着と、第97管理外世界からの報告を待つ」
シモンズがそう言ってモニターを切ると、今度は別の空間モニターが開く。
「こちら第97管理外世界」
そう言ってモニター上に現れたのは、黒いサングラスに黒スーツの五十代後半の白人男性。
「どうした?」
「実は、“聖王の器”の件で困った事になりまして…」
白人エージェントは無表情のまま、“困った事”について報告を始めた。
「何の前触れもなくいきなり現れてヴィヴィオを連れて行くって、一体どういう事なんですか!?」
高町士郎が厳しい表情で言うと、桃子も同調して抗議する。
「そうですよ、なのはの大切な娘を一人だけにするなんてとんでもない!」
二人に詰め寄られた黒スーツにサングラスの髭を生やした黒人男性は、両手を上に挙げながら説明する。
「申し訳ございませんが、これはミッドチルダの国家機密に触れる問題であり、関係者でないあなた方を同席
させる訳にはいかないんですよ」
黒人エージェントの説明に対して士郎がピシャリと反論する。
「ここは管理外世界で我々は日本人だ、あなた方の法を守る義務はこちらにはありませんな」
士郎に続いて桃子も追い打ちをかけてくる。
「どうしてもヴィヴィオを連れて行くと言うのであれば、なのはをこちらに呼んで下さい!」
二人の剣幕に黒人エージェントがたじろきかけた時、シモンズと連絡を取っていた白人エージェントが現れた。
「今、責任者と通信が繋がりましたので、そちらでお話頂けますでしょうか」
エージェントがそう言うと、携帯電話に擬装された次元世界間信端末を士郎に手渡す。
「もしもし?」
士郎が声をかけると、シモンズの官僚的な声が端末から聞こえてきた。
「初めまして、こちらは元老院議長及び聖王教会法王直属の政府組織、セクター7エージェントのシーモア・
シモンズです」
「初めまして、高町なのはの父の高町士郎です」
互いに形式的な挨拶を済ませると、シモンズは早速本題に入る。
「当方のエージェントからお聞きしましたが、“聖王の器”の身柄を―――」
「あの子は“聖王の器”ではなく、“高町ヴィヴィオ”です」
士郎の指摘に対し、シモンズはヴィヴィオの名前を言い直して話を続ける。
「失礼いたしました。“高町ヴィヴィオ嬢”の身柄をこちらへ引き渡す事を拒否されているとか?」
シモンズの質問に対して、士郎も負けじと反論する。
「当然でしょう、いきなりやって来てヴィヴィオを連れて行くと言い、説明を求めたら機密事項のため
教えられないと言われて、普通納得できますか!?」
士郎の糾弾に対して、シモンズは突き放すように冷然と回答した。
「申し訳ございませんが、これはミッドチルダの国益、つまり、―――極単位に及ぶ次元世界の人々の安全に
関わる問題―――であり、そちら様の事情は関係ありません」
シモンズはそこで言葉を切ると、警告の意味を込めてより低い声で言う。
「どうしても拒否するというのであれば、それ相応の手段を取らざるを得ませんが…」
シモンズがそう言うと同時に、二人のエージェントはスーツを開いて拳銃型のデバイスを示す。
それに対して士郎の目がすっと細められ、シモンズ同様低い声かつゆっくりした口調で答えた。
「そう言うのであれば、こちらも対抗手段を取るまでです。そちらも、相応の覚悟を決めて頂きましょうか?」
そう言いながら、裾に収めている寸鉄をそっと手の上に乗せる。
両親の代わりに開店準備をしながら様子を見ていた恭也と美由希も、状況の急変を見てそれぞれ苦内と
棒手裏剣に手をかける。
両者の間で殺気が飛び交い、今にも激突しそうになったその時。
「やめて!」
一触即発の不穏な空気は、少女の突然の叫びにたちまち吹き飛ばされた。
全員が声のした方を振り向くと、ヴィヴィオが息せき切りながら士郎たちのところへ駆けて来るところであった。
ヴィヴィオはそのまま士郎の前へ庇うように飛び込むと、エージェントに訴える。
「お願い、一緒に行くから誰も傷付けないで!」
「ヴィヴィオ!?」
「駄目よヴィヴィオ!」
突然の事に士郎は狼狽え、桃子はヴィヴィオの肩に手を掛けてエージェントからヴィヴィオを守ろうとする。
「士郎おじさん、桃子おばさんありがとう。でも、私のせいでみんなが争う事になるのだけは嫌なの」
ヴィヴィオは桃子の手に優しく握り返し、淋しげに微笑みながら言葉を続ける。
「なのはママと戦った時みたいな事はもう絶対に嫌! だからお願い、行かせて!」
ヴィヴィオの切実な叫びに高町家の面々は言葉を失い、エージェントたちもどうしたものかと考えあぐねていると、
凛とした雰囲気の、落ち着いた女性の声がその場を救った。
「…私が同行しましょう」
「リンディさん?」
美由希がそう言いながら振り向いた先には、買物篭を下げたリンディが入口に立っていた。
「あなたは?」
白人エージェントが尋ねると、リンディは空間モニターを開いて自分の身分証明証を表示させる。
「時空管理局次元部局執務統括官を務めますリンディ・ハラオウンです。
高町ヴィヴィオの後見人でフェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官と、第56機動部隊司令官クロノ・ハラオウン
提督の母でもあります。
わたくしも関係者と考えて頂いて問題はないと思いますが、いかがですか?」
白人エージェントは少し考え込んだ後、口を開いた。
「上と相談しますので、少々お待ち下さい」
報告を受けたシモンズは、こちらに向かっているバナチェクとゲラー長官へ直ちに連絡を入れる。
長官とバナチェクは少しの間話し合った後、リンディがヴィヴィオの同行者となる事を了承した。
翠屋手前の通りに停車している黒の1987年式フォード・クラウン・ビクトリアに、ヴィヴィオとリンディは
乗り込もうとしていた。
「リンディさん。ヴィヴィオの事、くれぐれもよろしくお願いします」
見送りに出た士郎が深々と頭を下げると、リンディは頷いて答える。
「分かりました、お孫さんは私が責任を持ってお守りします」
ドアが閉められると、パワーウィンドウが下ろされてヴィヴィオが顔を出す。
「桃子おばさん、また来るからね」
「いつでもいらっしゃい、美味しいお菓子を沢山用意してあげるから」
桃子が答えた後、運転席から白人エージェントがヴィヴィオに声をかけた。
「では、出発します。危険ですので窓を閉めてシートベルトを付けてください」
その言葉に、ヴィヴィオは手を振りながらパワーウィンドウを閉める。
派手なスキール音を立てながら急発進した車が見えなくなると、桃子は不安げな表情で士郎の方を振り向いて言う。
「本当に大丈夫でしょうか…?」
それに対して、士郎は励ますように笑顔で答えた
「なのはは強く育ってくれた、その娘なんだから心配ないさ」
食事を終え、これからの話についての不安を話し合っていると、シモンズとバナチェクにゲラー長官、そしてゲンヤ
少将にはやて達が入室する。
長官が来た途端、なのは達は一斉に起立して敬礼する、長官はそれに返礼しながら言った。
「ご苦労、楽にしてくれ」
なのは達が席に座ると、ゲラー長官達も空いている席に座る。
「相性がいいのかね?、君たちとは何かと縁があるが…」
苦笑気味にゲラー長官は呟いた後、シモンズが列席の面々に宣言する。
「それでは、JS事件関係者の方々にが揃って頂きます」
それと同時に空席の上に次々と空間モニターが名前及び役職名付きで表示される。
聖王教会からカリム達二人。
本局ビルで出動待機状態のティアナとスバル。
クラウディアからはクロノ。
そして、リンディにヴィヴィオ…。
「ママ…」
不安そうなヴィヴィオがモニター映っているのを見た瞬間、なのはは血相を変えて席を立ち、シモンズに詰め寄る。
「あ、あなた方はヴィヴィオまで巻き込むつもりですか!?」
なのはの抗議に対し、シモンズはそれまで通り何ら臆する事なく答えた。
「“JS事件関係者”に聞いて頂かねばならない事柄…と、申し上げた筈です。
特にあの子は“聖王の器”という事件の中核部分ですから、尚の事こちらの話を聞いて頂かねばなりません」
言葉に詰まったなのはは怒りも露わにシモンズの顔を睨み付ける、シモンズの方はまったく意にも介さぬ冷厳な
表情で、なのはを見返していた。
「高町一佐、まずは彼らの話を聞こう」
ゲラー長官が諭すように言い、心配したヴィータが腕を掴むと、なのはは席に戻る、
だが、怒りに燃える目はずっとシモンズを睨み付けていた。
「ご説明に入る前に、まずはシャリオ・フィニーノ二等陸曹から今回盗まれたファイルの件について話して頂け
ますでしょうか?」
バナチェクがそう言うと、シャーリーは急いで立ち上がった。
「は、はい」
シャーリーは
「私とマリエル技官が発見したクラッキング信号は、わずか十秒足らずで局内のネットワークに侵入し、物理的
に切断されるまでの数分足らずのうちに最重要データベースから情報を盗みました」
シャーリーは一度言葉を切ると、横に座るグレンに振り向く。
グレンは管理局の最高幹部やエース級の魔導師たち囲まれてに相当緊張していた。
「グレン、ファイルの内容を出して」
「え!?…わ、わかった」
突然話を振られたグレンは慌てて頷くと、空間モニターを開いて分析したデータを表示する。
「信号そのものは手がかりとなる物がまったくない為に現時点では解析不可能ですが、その中に埋め込まれている
データがミッドチルダのものであるなら、内容を調べる事は出来るはず…と考えました。
その分析結果がこれです」
“次期次元航行部隊配置計画 警告:統合幕僚会議幹部以下の局員の閲覧を禁ず”
“JS事件 極秘報告書 警告:元老院大法官、管理局長官、最高法院々長以外の閲覧を禁ず”
表示されるデータの数々に、長官は驚愕と怒りの入り混じった表情で言った。
「局内部どころか、最高法院や元老院の極秘情報も含まれているのか!?」
静かだが怒気のこもった呟きに、シャーリーは内心の動揺を必死で隠しながら答えた。
「はい。ですが“敵”がもっとも関心を持っているのは、それらのデータではありません」
そこで、シャーリーはバナチェクとシモンズの方を振り向く。
「あなた方セクター7の管轄下にある“銀の魔神”でした」
「ありがとうございました、フィニーノ陸曹」
バナチェクが席に座るよう身振りで示すと、シャーリーはそれに従って腰を下ろした。
「“銀の魔神”について説明するには、まずミッドチルダと“古(いにしえ)より代々続きし偉大なるベルカ王
の国”略称“古代ベルカ”の歴史について説明する必要があります」
バナチェクは背後に控えるシモンズに頷くと後ろに下がる、後を引き継いで前に出たシモンズは説明を始めた。
「失われし先史時代、ミッド・ベルカ両国は驚異的に発達した科学技術でもって次元世界を制するニ大国として
次元世界の覇権を争った事は、普通校初年科の生徒でも知っている事です。
それを可能としたのは、次元世界間を航行できるまでに至った、科学及び魔導技術の驚異的な発達であります」
シモンズの背後で空間モニターが開くと、普通校の歴史教科書に出てくる聖王の即位式を描いた油彩画と、元老院
の討議の様子を撮影した写真が表示される。
「学校では、聖王家による政教一致の王制国家である古代ベルカと、その迫害から逃れてきた土着の民族で作られた、
政教分離の共和制国家であるミッドチルダの宿命的対立が、皮肉にも両国の飛躍的発展をもたらした…と、教えられて
います。
実はそれとは別に、もう一つ発展の原因となったものがあります」
「もう一つの原因…ですか?」
四人乗りの水素動力式カートの後部座席に座るカリムが、モニター越しにシモンズへ質問する。
「そうです。確かに両国の対立は技術の発達の理由ではありますが、その原資となるものが別に存在するという事です。
現在でも次元世界間の航行は実用化するには、技術的に極めて難しいと言われています。
それを、今から数千年も前に、古代ベルカただ一国だけが成功させました。
現在、数百の次元世界が次元航行船を保有するぐらい技術が普及しておりますが、それはミッド建国の父祖たち
の中に、技術の開発に関わった技術者が相当数いたからです。
これは余談ですが、ミッドが次元世界の中心国的地位になったのも、ベルカ滅亡後唯一の次元航行技術保有国
として普及に努めてきた事実があるからこそです」
シモンズが言い終えると同時に、高さ3メートル・幅6メートル程の合金製の頑丈な自動隔壁の前で、カリム達の
乗ったカートが停車する。
「古代ベルカの驚異的な発展を可能にし、そして恐らく滅亡の本当の原因ともなった秘宝中の秘宝が、この奥に
眠っています。
これをご覧になるのは、歴代の聖王教会法王と元老院大法官以外では皆様が最初です」
バナチェクがモニターを開き、カリム達と一緒に居るエージェントに指示を出す。
「いいぞ、開けてくれ」
エージェントが空間モニターを操作すると、隔壁の電磁ロックが次々と外れ、ゆっくりと開いていく。
隔壁の奥に拡がる光景に、全員が息を呑んだ。
そこは高さ50メートル、幅100メートル程の四方形の広大な格納庫。
天井から床まで無数のダクトや電源ケーブルが走り、何十人もの技師たちが庫内を歩き回り、空間モニターを操作
したり同僚と様々な問題について話し合ったりしている。
その中にあって一際目を引く異質な存在が、格納庫中央部の台座に鎮座していた。
高さ25メートルの、無影灯の強烈な光に照らされる白銀の巨人である。
全身分厚い氷に覆われていてすぐに動く事はない様に見えるが、それでも名状しがたい威圧感が全身から放たれている。
その禍々しさに、列席の面々全員は悪寒を感じた。
「これが…“銀の魔神”…」
シャーリーが呆然としたまま呟くと、シモンズは頷いて話を再開する。
「そうです。これこそ、聖王家が代々守り、聖王教会と元老院が我々セクター7を作ってまで隠してきた古代ベルカ
最大の秘宝にしてタブー。暗号名“銀の魔神”であります」
モニターの映像が全身から顔にクローズアップされる。目に光はないが、凶悪を絵に描いたような面相により、
只でさえ禍々しい雰囲気がより濃厚になっていた。
「体に付いていた氷のサンプルの分析結果から、魔神が古代ベルカに飛来したのは、今から約2000万年前と見られています」
「2000万年前って、えーと…」
スバルが指を折って何か数え始めると、ティアナが諭すように言った。
「先史時代より遥か昔、私達のご先祖もこのくらいの大きさしかなかった時代よ」
そう言いながら、拳を作って大きさを教えたティアナに、スバルは照れ笑いをしながら頭を下げた。
そんな二人のやり取りを横目に、バナチェクが話を続ける。
「古代ベルカ戦争から聖王戦争に至るまでの間に開発された質量兵器や魔導兵器は、この魔神から得られた
テクノロジーを基にしていたと、我々セクター7は分析しています」
「我々ヴォルケンリッターもそうだと?」
シグナムの質問にシモンズが黙って頷く。
「勘弁してくれよ、こんなおっかないシロモノからあたしらが生まれたなんて、考えるだけでもゾッとする」
「まぁまぁヴィータちゃん」
ヴィータが苦み走った表情で言うと、シャマルが苦笑気味に宥める。
「何故です、何故隠さねばいけなかったんですか?」
カリムがバナチェクとシモンズに詰問した時、入口の方から、賢者らしい落ち着いた老人の声が、それを制した。
「カリムや、トムばかりを責めんでおくれ」
二人の教会騎士を伴って現れたのは、身長70センチぐらいの質素なローブを纏った、緑色の肌をした耳の尖った老人。
「聖下!」
聖王教会法王“ヨルダ・ベラ・トゥトゥナイゼム”に、カリムとシャッハは急いでひざまづく。
「よいよい、楽にしなさい」
二人が立ち上がると、法王は両手で杖を付き、魔神を見上げながら言う。
「責めを受けるという点では、この老いぼれも同じ事。しかし、この事はそうまでしてでも隠さねばならなかったのだよ。
これが、ジェイル・スカリエッティのような狂人に渡ってみたまえ」
カリムとシャッハはハッと息を呑むと、法王は頷いて話を再開する。
「そう、JS事件とは比にならない…事態、“戦争”になるであろう」
法王の言葉に、列席した者は皆表情が強張り、場の空気が冷えて行くのを感じた。
フレンジーは倉庫の天井から、魔神を見下ろしていた。
眼下には大勢の人間が居るにも関わらず、ラジカセにはトランスフォームしていない。
天井を走るケーブルやダクトに露出した機械類がカムフラージュの役割を果たしていて、その姿に気付く者は
居ないからだ。
フレンジーは手近のケーブルに手を差し込むと、それを通じて外へ信号を送った。
傍目には只のノイズにしか見えないし、時間にして一秒以下なので施設及び教会全体に張り巡らされたセンサー
類にも引っかからない。
送信された内容は以下の通りだった。
“フレンジーよりスタースクリームへ、<メガトロン様>を確認、この信号を目印に
最終更新:2010年01月17日 19:31