ロストロギアとして回収された可愛いコックさん人形入りの小瓶はすぐさま管理局内の
ロストロギア封引用特殊倉庫に収められるわけだが、その特殊倉庫に侵入する者がいた。
「管理局の連中も結構ずさんなんだな~。清掃会社の格好するだけであっさり信用しやがったぜ。」
それは管理局内に収められるロストロギアを盗み出して金儲けしようと企む
名も無きコソドロ達であった。管理局潜入の為に清掃会社の人間に成りすました彼等は
ロストロギア封引用特殊倉庫にまで潜入していたのである。
「よし! とりあえずコレにしようぜ。」
「え? こんなショボそうなのが良いのか!?」
「分かって無いな~。こういう一見ショボそうなのが実は凄かったりするもんなんだよ。」
名も無きコソドロが盗み出そうとしたロストロギアこそ、なのはとユーノが先程回収したばかりの
可愛いコックさん人形入りの小瓶だった。そして気付かれないようにこっそりと
特殊倉庫から脱出する名も無きコソドロ達であったが、そこでたまたま近くを通りかかった
なのはに発見されてしまった。
「そこ! 何をやってるの!?」
「やべ! 見付かった!」
「しかもあれ白い悪魔じゃねーか!」
名も無きコソドロ達は大慌てで逃げ出そうとするが、その時の弾みで小瓶のフタが開いてしまった。
「!?」
それがいけなかった…。小瓶のフタが開いた瞬間…その小瓶の中に封印されていたデビルが
解き放たれてしまったのである。そしてデビルは何という事かなのはに憑依していた。
「わぁぁ! このロストロギアから飛び出した変なのが白い悪魔に乗り移った!」
『白い悪魔…か…この女は元々そう言われていたのか…。』
「!?」
名も無きコソドロ達は青ざめた。デビルに憑依された直後から、なのはの声が
本来の物では無い地の底から響いてきそうな低い物に変わっていたのである。
それだけではない。なのはの背中からは悪魔を思わせるの漆黒の翼が生え、
頭からは鬼の様な角が…口には野獣の様な鋭い牙が…両手には鋭い爪が伸びると言う
おぞましき姿に変質したのである。
『フハハハ! 白い悪魔とは良い得て妙だな! 確かにこの女の体は素晴らしい!
力が…力が溢れる…フハハハハハ!!』
「うわぁぁぁぁ!! 白い悪魔が本物の悪魔になったぁぁ!!」
恐怖の余り腰が抜けてしまったコソロドであったが、デビルに憑かれたなのは…
いや、デビルなのはは右手を軽く上げ、正面を指差した。
その直後である、デビルなのはの指先から極太の魔砲が放たれ、正面の分厚い壁を
容易く貫き、さらにその向こう側まで完全に吹き飛ばされていた。
『フハハハ! 素晴らしい! 素晴らしい力だ! これならば…奴に復讐する事が出来るぞ!』
「アワワワワワ…。」
恐怖が限界に達して完全に失禁していたコソドロを尻目にデビルなのはは壁に空いた
風穴を通って何処へ飛び去ってしまった。

一方、管理局内では大パニックになっていた。
「一体何が起こったんだ!?」
「ロストロギアを盗み出そうとした不法侵入者を高町隊員が取り押さえようと
した所、そのロストロギアに封印されていたアストラル生命体が解放されてしまい、
高町隊員の身体を乗っ取ってしまった物だと思われます!」
「なんだって!?」
「本日高町隊員が回収して来たロストロギアに封印されていたアストラル生命体は
乗っ取った生命体を怪物へ変貌させ操る事が出来る様子です!」
「何とかして取り押さえろ!」
「既にやっていますが…押されています!」
「何!?」

「構うな! 撃てぇ!」
管理局の武装隊が一斉にデビルなのはに向けて魔砲を発射した。しかし…全く通用していない。
『フフフ…無駄だ…。次はこちらの番だな…。デビルレイジングハート!』
デビルなのはがデビルの力によってグロテスクに変質したレイジングハート
「デビルレイジングハート」を振り上げた。
『デビルディバインバスター!』
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
デビルレイジングハートから放たれる漆黒の魔砲はあっと言う間に
武装隊を飲み込み、全滅させた。本来のなのはの魔砲はピンク色だが、
今は違う。デビルの力によって魔砲の色もどす黒く変質していたのである。
そしてデビルなのはが向かう先にはアースラがあった。
『なるほど…この艦は次元を飛び越えて様々な世界を行き来する事が出来るのか…
面白いな…では…この艦も使わせてもらう事にしよう…。』
デビルなのはがアースラに手を当てた直後、アースラにもデビルの力が送り込まれ
グロテスクに変質。デビルアースラとなってしまったのである。
『さあ行け! これで元の世界に戻るのだ! そして…この力で奴に…クロに復讐する!』

ユーノとフェイトが駆け付けた頃には既に管理局はデビルなのはによって破壊され、
アースラも奪われてしまった後だった。
「な…なんて事…。」
「ひ…酷い…。なのは…何故こんな事を…。」
「いや違う…なのは本人に非は無い。なのははロストロギア内に封印されていた
アストラル生命体に身体を乗っ取られているだけなんだ。」
「え?」
管理局の惨状に呆然とするユーノとフェイトの前にクロノが現れ、そしてさり気なく
あの騒ぎの中でも生き延びていたが、結局逮捕された名も無きコソドロが突き出される。
「悪いのはこいつ等だ。こいつ等がロストロギアを盗み出そうとした為に
あのロストロギアに封印されていたアストラル生命体が解き放たれてしまった。」
「え!? アストラル生命体!?」
「ああ。しかもあのアストラル生命体の力は想像以上の物だった…。
生物無生物に関係無く、物質世界のあらゆる存在を乗っ取る事が出来る様だ。
現になのは本人だけじゃない、彼女のレイジングハートや挙句の果てにはアースラさえも
奴の力によって乗っ取られ、おぞましい姿に変質させられてしまった…。」
「レイジングハートやアースラまで!?」
「それで…なのはを乗っ取ったアストラル生命体は…。」
「アースラを乗っ取った後…あのロストロギアのあった元の世界へ行ってしまった。
今動ける他の次元航行艦を探しているが、一刻も早く奴をなんとかしないと大変な事になる。」
「なのは…。」
ユーノもフェイトもなのはの身を案じていた…。

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最終更新:2007年08月14日 17:12