第三話「A new life」

JS事件から2ヵ月後。被害状況も調査終了し、復興活動をしている。機動六課も順調に任務をこなしている毎日。
平和とはいえないが、しばらくは普遍の毎日。その普遍の毎日を変えたのは、一人の次元漂流者、
スコール・レオンハート。


第三話「A new life」


「と、いうわけでここに配属されることになったスコール・レオンハートさんです。よろしく。」
高町なのはがティアナらに説明する。
こちらもなのはの事や、スバルたちのことはフェイトからすでに聞いている。
管理局のエース・オブ・エース、高町なのは。デバイスはレイジングハート。
「スコール・レオンハートだ。スコールでいい。」
あくまで簡潔に説明する。
「じゃあ、こっちからも自己紹介ね。それじゃ、スバルから!」
みんなテンションが高い…とスコールは思う。
そんなクールな思考とは裏腹に、スバルが元気よく自己紹介をする。
「はい!私はスバル・ナカジマっていいます!えっと、スバルって呼んでください!!」
「私は、ティアナ・ランスターです。私のデバイスはクロスミラージュって言います。」
「エリオ・モンディアルです。スピードには自信があります!」
「キャロル・ル・ルシエです。えっと…こっちは、私のパートナーの、フリードです。」
なんだか、転校生の紹介みたいである。
まあ、それはさておくことにしよう。
「じゃ、今日も練習始めるよー。」
「「「「よろしくお願いします!!」」」」
気合のこもった挨拶が「ロングアーチ」に響く。
「今日は、スコールも一緒にやってくれるから、スバル、ティアナはスコールと模擬戦。キャロとエリオはフェイト教官についていって。」
「「「「ハイ!!!!」」」」
「それじゃあ、三人ともこっちについてきて。」
スコールはそのまま、なのはについていった。



「模擬戦、といっても何をすればいいのか俺はよくわからないんだが。」
今まで黙っていたスコールがたずねる。
「簡単だよ。今からこの二人を相手に戦ってもらうの。死なない程度にね。勝負がついたと判断した時点で終了。いい?」
なのはが簡潔に説明する。
死なない程度に、という言いかたが少し引っかかったが…
「今日は、スコール対ティアナとスバル!レディ……スタート!!」
始まった瞬間、スバルが殴りかかってくる。
それを紙一重で交わした瞬間、10mほど離れたところからのティアナの援護射撃がきた。
(なるほど。チームワークがいい。…が)
魔力で出来た弾が当たる瞬間、スコールはスバルの体を引っ張り、ティアナの援護射撃に当てた。
「ぐあっ!!」
弾は命中。ギリギリを狙ったのが仇になったようだ。
「スバルごめん!一旦、距離をとって!」
すぐにスバルがティアナの元へ飛んでいく。
そして、身を隠したようだ。この一連の動きになのはは感嘆する。
(やるね。ちゃんと頭を使った戦い方をしてる。その上、実力も相当なものだから、はやてちゃんが気に入るわけだ…)
心の中でそう呟く。はやてが気に入ってるのは事実だが、そういう理由ではないとは思う。
そのころ、スバルとティアナはプランを練っていた。
「スバル、あの人はおそらく、接近戦のスペシャリストよ。なるべく、遠距離で相手を狙うようにして!」
「OK!あと、ティアはクロスファイアーシュートを使って、敵をスコールさんに確実に当てて!!」
「よし!いくわよ!」

一分ほど経っただろうか、背後からスバルが奇襲を仕掛けてきた。
「リボルバーシューーーート!!!!」
スバルの右腕から高密度の魔力が放出される。
だが、スコールはそれを軽くかわす。
その瞬間、後ろから弾が飛んできた。ティアナのクロスファイアーシュートである。
つまり、スバルは全面的におとりだったのだ。
仕留めた!と確信する二人だったが、次の瞬間、スコールはガンブレードを突き出して一回転した。
ガンブレードから赤い泡のようなものがでてきて、スコールを囲む。
そして、スコールはガンブレードのトリガーを引きながら、叫んだ。
「フェイテッドサークル!!」
トリガーを引いた瞬間、泡が爆発しリボルバーシュートとクロスファイアーシュートを打ち消した。
これには、なのはもスバルとティアナも驚いた。次の瞬間、青いオーラをまとってスコールが突っ込んできた。
ラフディバイドを使ってスバルとに距離を一気につめる。スバルは防御をしようとしたが、スコールが早すぎる。
「ぐああっっ!!」
結果、スバルはラフディバイドに直撃、壁に全身を打ちつけ戦闘不能。
そして、スコールはクロスファイアーシュートの来た方向を元に魔法を放つ。
「ファイガ!」
そう言った瞬間、ティアナのいるところが爆発する。
「くっ!!」
とっさにローリングするが、そこにはガンブレードを構えたスコールがいた。そして、ティアナに峰打ちを叩き込んだ。
「ぐはっっ!」
ティアナも、戦闘不能。結果、スコールの圧勝である。
「そこまで!」
なのはが模擬戦終了を告げる。そして、スバルの回収に向かう。その間、スコールはティアナの元へ向かった。
「大丈夫か?」
とりあえずたずねる。外傷も特に目立ったものはない。いたって無事だ。
「はい、ありがとうございます。」
峰打ちとはいえ、大ダメージに変わりはない。とりあえず、スコールはティアナにケアルラをかけた。
「あれ?痛みが引いて…それに傷も…」
驚いてるようだ。そのまま手をつかんで立つ手助けをする。
「クロスファイアーシュートとかいったか?あれは直線的過ぎる。もう少し機動を変則的な物にしてから撃ったほうがいい。
それに、撃ち終わった後もボーっとしていないで、他の遮蔽物に身を隠せ。」
スコールは的確な指示と改善する方法を提示する。ここまで見抜いていたとは、と驚くティアナ。それから、いつものティアナに戻って、
「はい!ありがとうございました!!」
と、礼を述べる。こういうところは、彼女は律儀なのだ。
「じゃあ、スバルのところに行こう。なのはが行ったから大丈夫だとは思うが。」
こうして、彼にとっての最初の模擬戦は彼の圧勝で幕を閉じた。



「それにしても、驚いたなー。スコールの技。だってギリギリまで使わないんだもん。」
練習が終了して、なのはとフェイトは並んで廊下を歩いていた。
「私も見たかったな、スコールの戦いぶり。」
ちょっと残念そうにフェイトが呟く。
「じゃあ、見せてあげよっか?録画しといたから。」
……いつどこで録っていたのだろうか。
「じゃあ、また今度見せてね。」
興味がありそうな目でフェイトが言ってきた。
「へ~。そんなにスコールのことが好きなの?」
そうからかうなのはにフェイトは、
「そっ…そうじゃなくって!!」
思いっきり赤面して否定する。それが思いっきり肯定を示していると知らずに。
「アハハハハッ。ジョークだよ。」
…………こうして新たな日常のハードな朝は過ぎていった。





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最終更新:2010年06月26日 23:53