第五話「Battle start」

スコールが真実を知って三日が経った。いつもと変わらぬ日常がそこにあった。ティアナたちの訓練に付き合って、任務に行って…・
たまに、スバルたちもモンスターの排除に行くようだ。しかも、大抵の敵は片付けられるようになっていた。
ルブルムドラゴンが出てきたときはさすがにスコールに任せたが。
ところで最近マリエルと言う女性に出会った。なんでも、G.F.に興味がわいたんだとか。研究させてほしいと言われたのだ。
別にいいが…、と答えかけて止めた。オダイン博士を思い出したからである。オダインは、作者たちの世界で言う「おじ〇る丸」の劣化版のような人で、
その人が擬似魔法とかG.F.とかのジャンクションを見つけたのだが、彼はリノアを閉じ込め彼女を研究していた。
魔女になってしまい仕方なかったとはいえ、やはり許したくない。
ということで彼女からの申し出は断ったが、簡易転送装置と無線をもらった。簡易転送装置を使えばリボルバーをどこからでも取り出すことが出来るので、便利だ。
そして、スコールは満足して転送装置の転送先と転送するものを設定した。
そんなこんなで彼らの幕開けの朝は過ぎていった。


今日も訓練があるのかどうか知らなかったのでリボルバーを持ってロングアーチに来た。ふと、前方に人が見える。
ピンクの髪をポニーテールにまとめた美しい人であった。その人がこちらに気づくと、歩いてよってきた。
「お前が主の言っていた次元漂流者か?」
「そうだが、アンタは誰だ?」
あくまでもクールにたずねる。
「失礼した。私は、シグナム。ライトニング分隊副隊長で、主はやての守護騎士、とでも言っておくか…」
「それで、用件は何だ。」
「主やテスタロッサが言っていた実力が見たくてな。手合わせ願いたい。」
そういってシグナムはバリアジャケットに着替え、刀の形をしたデバイス、レヴァンティンを抜いた。
会話の中にわからない単語が混ざっていたがここではスルーする。
スコールは少し心躍った。最近は雑魚とスバルたちの相手でうんざりしていたところだ。
そこに、シグナム、という見るからに強者が俺の前に立っている。気をひき締めるにはちょうどいいだろう。
「……いいだろう。だが、ボロボロになっても知らんぞ。」
「フッ。私は負けるつもりなどない。」
そうして二人は剣を構える。魔法はなしで行くつもりだ。剣術と技術だけで勝負するようである。


少しの間、にらみ合いが続く。そしてどこからかガサッ、と言う音が聞こえた。それが合図になったようだ。

キィィィィィィン

レヴァンティンとリボルバーが交錯する。二人はそのまますれ違い、もう一度突進しようと身構えたそのときだった。

「スコール!応答して!!」
と言う声が聞こえ、勝負をとめる。
「こちらスコール。何だ?」
「こちらはやて。またモンスターが現れたんやけど、今回は一味ちがうんや。とにかく、モニタールームに来て!!」
そうして無線は切れた。何かが起こったらしい。
「すまないが任務が入った。」
「それなら仕方がないな。勝負はお預けにしてやる。」
軽く説明をしてモニタールームに向かう。シグナムは自分の手を見た。痺れている。自分は機動六課の中で一番剣術に自信があった。
その彼女の手を絶った一回の衝突で痺れさせるとは。
「……恐ろしい男だ。」
シグナムは一人そうつぶやいた。


「何があったんだ?」
モニタールームに入りながらたずねる。
「スコール!今回はこいつ一人みたいでなウチの魔道士もことごとくやられてるんよ。」
そういってはやては「そいつ」をモニターに移す。あの龍のような姿には見覚えがあった。
(バハムート、にしては体が黒い………まさか!!)
スコールはバハムートより厄介なドラゴンをおもいだした。

ティアマト。

スコールたちが戦ったダークフレアを使うかなり強かったドラゴンである。コイツは何故ここにいるのだろうか?
だが今は考えても仕方がない。今は、こいつを速く倒さなければ居住区に被害が及ぶ。それだけは避けなければ。
スコールはティアマトのいる旧居住区へと向かった。


そこにティアマトはいた。翼を大きく広げながら。
「来たか。愚かな青年よ。」
「何故だ。何故、お前がここにいる!?」
「それが愚かだと言うのだ。自分では何も知ろうとしない。他人に答えを求めてはその答えの意味を考えようとしない。そんな愚か者には裁きを下してやる。」
そういってティアマトは飛び上がり、魔力をため始めた。




ダークフレアのカウントダウンが始まった。何としてもよけるかとめなければ。





そこに、スバルとティアナがやってきた。
「スコールさーん!!」
「大丈夫ですか!?」




「くるな!!逃げろ!!!」
スコールはそう叫ぶが届かない。



ティアマトの魔力が非常に大きくなっている。これは本当にまずい。



「スコールさん、大丈夫ですか!?」
「敵はどこに!?」
この状況を理解していないのか。
「チッ。間に合え!!」
俊足で二人に近づき、浮遊魔法「レビデト」をかけて二人を空へ投げ飛ばした。重力はかなり軽くなっているので投げ飛ばすのは容易かった。


そして、黒い炎の塊がスコールに当たったように見えた。そして辺り一帯は黒い炎に包まれる。そこで二人はやっと状況を把握した。
つまり、自分たちがスコールを窮地に追い込んだのだと。誰もが絶望したときだった。
煙の中で青いオーラが見えた。煙が少しづつ晴れてゆく。そこにはスコールが立っていた。彼はエデンをジャンクションし、自分にシェルをかけて
ダークフレアを凌いでいた。ただ、シェルごときで無傷でいられるはずはない、が彼は無傷だった。その理由は他にあった。
彼が握っているガンブレードはリボルバーではない。
「ライオンハート」が握られていた。柄の部分にライオンの彫刻、刀身は美しい蒼だった。スコールはライオンハートとリボルバーを
簡易転送装置を使って入れ替えたのだ。そしてダークフレアをエデンの力とライオンハートとシェルの力で無力にした。
「これで終わりか?」
「強がってはいても、ここまで攻撃が届くまい。」
そういった瞬間、スコールはにやりと笑った。スバルとティアナには見えないように。
「あのときはコイツをつかってなかったからな。」
そういってスコールはライオンハートをおもむろに天と掲げた。そして、
「ブラスティングゾーン!!」
と叫んだ刹那、ライオンハートの刀身からオレンジ色のエネルギー波が天を貫く。そしてライオンハートを振り下ろす。さすがにこの攻撃は予想しなかったのか、
直撃して地面にたたきつけられる。だが、ティアマトもヤワではない。また、飛び上がろうとしたときスコールはあるものをティアマトに投げた。
ティアマトはそれを確認する前に天へと屹立する光の柱に貫かれた。スコールが投げつけたのはホーリーストーンだった。
ティアマトはその場に倒れ伏す。
「さて。吐いて貰うぞ。お前はどこから来た?」
「お前たちのいた世界だ…。私はお前たちに敗れ、闇の中をさまよっていたところをあの方が助けてくださった。…そしてお前を殺すよう命じられた。」
そこまでいって、スバルとティアナが降りてきてスコールの元へ駆け寄る。
そのとき、ティアマトが少しずつ消え去っていった。ティアマトは最期にスコールへ言葉を残した。
「あの方をなめるな。お前はあの方の…「アルティミシア様」の手のひらの上で踊っているだけに過ぎないのだ……。」
そういい残してティアマトは跡形もなく消え去った。


「本当にすみませんでした…。」
スコールがティアマトの言っていた意味を考えているときにスバルが話しかけてきた。しょんぼりした顔をしながら。
「私たちのせいでライオンハートを使わざるを得ない状況になってしまって…すみません。」
とティアナも謝ってきた。スコールはそんな二人に激励をのべた。
「それがわかっているんだったら、いいさ。戦場ではそういった冷静な判断が出来れば上出来だ。むしろ、生きていられるだけ、いいと思おう。」
そんな言葉を掛けられるとは思っていなかったのか、きょとんとして二人はお互いの顔を見た後、
「「はいっ!!ありがとうございました!!」」
と敬礼しながら言ってきた。それを見てスコールはほんの少し微笑みながらフェイトやなのは達のいるところへ帰っていった。



………そのあと、はやてとフェイトがスコールが帰ってきたことを知って迎えにいき、はやてが勢いのあまりスコールに抱きついてしまい、
フェイトがちょっと羨ましそうにこっちをみていた。実はスコールの戦いを見ていた二人はとても心配そうな顔で(フェイトは泣きそうな顔で)
ずっとモニターを見ていて、ダークフレアが来たときに映像が途切れたのだから、二人はず~~っと心配でいてもたってもいられなかったのは
スコールは知らなかったし、知ろうとも思わなかった。


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最終更新:2010年06月30日 21:56