月村すずかは、幼い頃から猫が大好きだった。
物心つく前から、テレビや本の中の猫に憧れていて。
身につける衣装やアクセサリも、猫を象ったものばかり。
いつかは本物の猫を飼ってみたいと、幼少の頃からずっと思っていた。
「誕生日おめでとう、すずか」
「いい子にしてたすずかに、誕生日プレゼントがあるの」
あの日の両親の言葉を、すずかは今でもはっきりと覚えている。
何を貰えるのかとわくわくするすずかにプレゼントされたのは――一匹の仔猫。
すずかが初めて出会ったその猫は、まだ小さくて、生まれて間もなかった。
両親が猫を買ってくれたのは、すずかが猫を好きで好きで堪らないと、知って居たから。
だから、すずかならばこの子を大切に育てる事が出来るだろうと、そう判断したかららしい。
5歳の誕生日に買い与えられたその猫を、初めて抱いた時の事を、すずかは決して忘れない。
灰色の毛並みのブリティッシュショートヘアーを抱き締めるすずかに、父親は問うた。
「すずか、この子の名前は何にするんだ?」
「あのね、最初に飼う子の名前は、ずっと前から決めてあったの」
「へえ、流石すずかだ。何て名前なんだい?」
幼き日のすずかは、嬉々として答えた。
「この子の名前はね、ミックっていうの」
その瞬間から、その子は掛け替えの無い家族となった。
ブリティッシュショートヘアーの可愛い仔猫。名前はミック。
すずか自信が名付けた、すずかの初めてのペットにして、妹とも言える程の存在。
家に居ない事が多い両親の代わりにすずかと遊んでくれる、大切な大切なお友達。
内向的で、中々友達が出来ずに居たすずかにとって、ミックは唯一無二の存在だった。
それは親友と呼べる程の友達と出会った今でも変わること無く、ミックへの愛情は決して揺るがない。
幼き頃から思い出を共にしてきた家族だから。いつか別れの日が来るまで、愛し続けようと誓ったから。
EPISODE.23 侵食
海鳴市、月村邸―――07:17 p.m.
霊石の欠片と思しき物質が消失してから、既に二時間以上が経過していた。
なのは、フェイト、アリサ、すずか。四人で手分けして、屋敷中を探す。
だけど、何処を探しても、どんなに歩き回っても、欠片は出てはこなかった。
日の長い初夏とは言え、もうそろそろ太陽も完全に沈み、夜になる頃だ。
なのは達もまだ子供だ。遅くなる前に帰らなければ、親が心配する。
解散の為に一度広場に集まった彼女らは、すっかり疲れ切った様子だった。
「ごめんね、なのは……折角来て貰ったのに」
「大丈夫だよ、アリサちゃん。また明日も皆で探そう?」
意気消沈するアリサを元気づける様に、なのはが肩を叩く。
その言葉に安心したのか、笑顔を浮かべて、アリサが親指を立てる。
これだけ無駄に探し回らされたのに、友を元気づけようとするなのはへの感謝の気持ち。
アリサが出会った中で、誰よりも立派な大人に教わった方法で、それを伝える。
なのはもまた、笑顔を浮かべて親指を立て返した。
「それじゃあ皆、また明日。明日こそ見付けようね」
月村邸のエントランスホールまで脚を運んで、なのはが言った。
帰り支度を済ませた少女達が、自分の鞄を持ってすずかに向き直る。
今日は色々ありがとう、と。皆ですずかにお礼を言おうとした、その時。
最初に異変に気付いたのは、なのはだった。
「すずかちゃん……どうかしたの? 元気がないよ」
「えっ……あ、ご、ごめんね、何でもないよ」
言葉とは裏腹に、すずかの態度は解り易かった。
まるで図星を突かれた様に、正直者のすずかは慌てて答える。
アリサとフェイトも、すずかの動揺に気付いたのだろう。
心配した様子で、すずかの顔を覗き込んだ。
「まーたあんたはそうやって……一人で抱え込むんじゃないわよ」
「力になれるかは解らないけど、何かあったのなら、話くらいは聞くよ」
不安に表情を曇らせるすずかとは真逆、二人の笑顔は眩かった。
友達同士の間で隠し事はしない。友達なんだから、迷惑をかけたっていい。
自分の気持ちに嘘は吐かずに、正直に全てを打ち明けよう、と。
アリサとはやてとの一件で、彼女らはそう誓い合った筈だ。
それを思い出したすずかは、友の優しさに感謝しながら、口を開いた。
「あの、ね……心配し過ぎかもしれないけど、ミックが、何処にも居ないの」
「ミックが……? あー、そういえばさっきから見掛けないわね」
思い出した様にアリサが言った。
「いつもなら呼んだらすぐ来てくれるのに……あのね、私、結構呼び回ったの。けど、何処にも居なくて」
「……ねぇ、ちょっと待ってすずか。確かミック、あの時欠片と一緒に部屋に残らなかった?」
「うん、だから心配で……あれがもし、なのはちゃんが言う様な凄いものだったらって」
脅えた様な口調で、すずかが俯いた。
霊石は、五代雄介の身体をクウガへと作り変えた。
未確認の身体もクウガと同じ様なものだとするなら、つまり、欠片も、そういうものだ。
なのは達は知らないが、かつて同じ欠片が、一人の未確認生命体の身体を大幅に作り変えた事がある。
それによって、元々は取るに足らない存在だった未確認が、圧倒的なまでの強さを手にしたのだ。
それほどまでに強力な力を内包した霊石が、もしも何かの間違いでミックに取り込まれたなら。
「なら、尚更見付けなきゃいけないね」
言いながら、なのはが鞄を足元に置いた。
それに続いて、フェイトとアリサも、鞄を置いた。
遅くなる前に帰らなければ親が心配する。そう言っていた筈なのに。
彼女らは、まだ欠片を、ひいてはミックを探し回るつもりだった。
「ありがとう……みんな!」
すずかは、心からの感謝を伝える。
対するなのは達は、眩しいくらいの笑顔と共に、サムズアップを送って居た。
大丈夫、心配するな、と。彼女らはそうすずかに伝えようとしているのだ。
諦めず、皆で探すなら、今度こそ見つかるかも知れない。
そう思える程、すずかの心は勇気づけられた。
◆
警察庁、未確認生命体対策本部―――07:29 p.m.
人もまばらな一室で、氷川誠は黙々とデスクに向かい合う。
ペンを片手に、目の前に広げたのは、小学生の名簿と、小さなメモ帳。
名簿の中には既にチェックを付けられた八神はやての名前も見受けられる。
脇に置かれたメモ帳には、これまでに聞き出した情報がびっしりと記されていた。
未確認生命体第2号の特徴。第2号の目撃情報から、その発言、行動まで。
所せましと書き込まれたメモ帳を片手に、氷川は嘆息した。
「今日は午後からずっと聞き込み捜査ですか……精が出ますね」
「ええ、ここ暫く第2号が出現していないとは言え、安心は出来ませんから」
隣から氷川のメモ帳を覗き込む刑事に、氷川は向き直る。
北条透。氷川と同じ未確認生命体対策本部に配属されたエリート刑事だ。
時たま棘のある発言をする事もあるが、彼もまた正義感の強い刑事の一人。
味方としては誰よりも心強い、氷川も認める立派で尊敬出来る刑事であった。
そんな北条が、こと、と音を立てて、氷川のデスクに冷たい缶コーヒーを置く。
「少しは息抜きも必要ですよ。根を詰め過ぎて、重要な時に動けないでは話になりませんからね」
「ありがとうございます、北条さん」
一言礼を告げて、貰った缶コーヒーを開ける。
午後からろくに食事を取らずに聞き込みを続けていた氷川にとっては、ありがたい恵みであった。
口に含んだ冷たいコーヒーの美味しさは、気の所為か、いつもの倍くらいに感じられる。
暑さも相俟って、自分の身体が想像以上に疲れて居た事を思い知らされた。
一気にコーヒーを飲みほした氷川は、口元を拭って続ける。
「ですが北条さん……第2号に脅えて、未だに学校に来れない小学生も少なくないんです。
市民を安心させるのも我々警察の義務ですから、少しでも早くこの件を解決して、子供達を安心させないと」
「貴方ならそう言うと思っていましたよ、氷川さん」
氷川誠は、誰よりも正義感が強い。
真っ当に生きるに人間が、ましてや小学生が、理不尽に命を奪われるなど、絶対に許せなかった。
故に氷川は、第2号が現れてからというもの、寝る間も惜しんで第2号の捜査を続けていたのだ。
このまま現れないのなら、それでもいい。だが、それならば絶対に現れないという確証が欲しい。
例えば、第2号の死体が発見される、とか。それだけでも、子供たちはどれ程安心するだろうか。
その為に、何とかして第2号の情報を得る為に、この日も終始聞き込み捜査を続けていたのだ。
と言っても、今日も特に収穫は無かったのだが。
ふと、思い出した様に、氷川が口を開いた。
「……そうだ、少しお尋ねしたいんですが、北条さんは“クウガ”という単語に聞き覚えはありませんか?」
「クウガ、ですか。……いや、聞いた事のない単語だ。それが未確認生命体と何か関係でも?」
「いえ、ただの思い過ごしだとは思うんですが、少し気になる事があって」
それから氷川は、今日の出来事を語った。
今日の聞き込み捜査で、八神はやてという少女の家に行った事。
大した情報は何も得られなかったが、そこに住む少女が、“第2号はクウガに倒された”と言った事。
少女はすぐにただのゲームの話だと続けたし、その時は氷川もそれ以上の詮索はしなかった。
だけれど、ここまで捜査に行き詰ると、少しでも何らかの情報と関連付けたくもなるものだ。
時に捜査は、他愛もない噂や都市伝説から解決の糸口を発見する事だってある。
「成程……少し待ってて下さい」
北条が、自前のノートパソコンを開いた。
起動までやや待って、それからキーボードを叩く。
開かれている画面は、インターネットの検索エンジン。
検索キーワードは「クウガ 第2号」や「クウガ 2号」など。
しかし。
「見ての通りです。クウガなどという単語は、検索しても掛かりませんね」
北条の答えに、氷川は驚愕する。
確かに、一般的に発売されているゲームなら、ネットで検索すれば出る筈だ。
普通に考えれば、そのゲームの単語を入れるだけで十分ヒットし得る筈の情報。
だのに、クウガという単語では何一つ引っかからない。それに関する驚愕と――
ついでに言うと、北条程の刑事が、こんな憶測に付き合ってくれた事が驚きだった。
「そんな……でも、あの少女は確かにゲームの話だと」
「現場に居合わせていないので何とも言い難いですが、少なくとも、一般的に発売されているゲームでは無いでしょう。
あまり出回らない同人ゲームなどの可能性もあるにはある。ですが、小学生がそんなゲームをやるとはとても思えない」
「となると……ただの創作話か、もしかしたら、本当に“クウガなる者”が第2号を倒したか……?」
「仮にもしも“クウガなる者”が第2号を倒したとするなら、とんだ英雄話だ。我々警察の努力が馬鹿馬鹿しく思えて来る」
面白くなさそうな表情で、北条は乾いた笑いを漏らした。
クウガなる者の存在がまるで気に入らない、とでも言いたげに嘲笑う。
確かに北条の言う通りだ。クウガなる者が我々警察に隠れて未確認を退治しているなら、それでもいい。
だが、その反面対策本部まで設置し、現場を駆けずり回っている警察の努力はまるで意味の無いものとなる。
どうせ倒すなら、市民を安心させる所まできちんと英雄を貫き通して欲しい、とは氷川も思う。
しかし、今はそんな事を言って居ても仕方がないと言う事は解るし、自分に出来る事だって限られている。
「今後の聞き込みで、一応子供たちにも“クウガなる者”の存在について窺ってみようと思います」
「我々未確認生命体対策本部も、今では公の存在です。我々の顔に泥を塗る様な事の無い様、期待していますよ」
氷川の肩に手を置き、不敵に笑った。
いつも体裁を気にしている北条らしい言葉であった。
聞き込みは好きにしてもいいが、やるならば成果を上げろ、と。そう言いたいのだろう。
北条の言い分は尤もだし、現在では各種メディアで未確認生命体対策本部の存在も公表されている。
態々未確認生命体に対処する為の武装まで支給されたのだ。何の成果も上げられないでは話にならない。
ともすれば、マスコミだって「成果の上がらない対策本部、税金の無駄遣い」などと揶揄する事だろう。
それくらいの想像は氷川にだって出来るし、だからこそもっと頑張ろうと思える。
「ええ、お互い頑張りましょう」
「ここに来たのはコネではないという事、証明出来るといいんですがね」
「はい、ありがとうございます、北条さん」
北条の言葉が嫌味だという事にすら気付かずに礼を告げる。
自分の実力が本物である事を証明する様に、と応援されている。
人の良い氷川は、北条の言葉をそう前向きに捉えたのだ。
では、一体何のコネクションがあって、氷川が今ここに居るのか。
一体何のコネクションがあって、氷川が今の地位を手に入れたと北条は思っているのか。
氷川はかつて、とあるフェリーボートの海難事故に遭遇し、大勢の要救助者をたった一人で救出した。
それは上層部からも表彰されるだけの偉業で、一時は「嵐の中、たった一人で要救助者を救った英雄」とまで呼ばれた。
その一件もあって、氷川は香川県警から警視庁捜査一課へと配属され、今現在の地位まで上り詰めた様なもの。
北条や
その他の刑事からすれば、コネで昇級した氷川が気に入らないというのも、少なからずあるのだろう。
だけど幸か不幸か、どんなに嫌味を言われようが氷川はそれを嫌味だとは受け取らない。
と言っても、それは氷川の精神衛生上、かえって有益な事なのだろうが。
◆
海鳴市、月村邸、庭園―――07:58 p.m.
その辺のちょっとした豪邸などとは、一線を画する巨大な庭園。
常に美しく手入れされた芝生に、外見上計画的に配置された数々の植物。
作った者のセンスの良さが際立つ、立派な庭園であった。
「出ておいで、ミックー!」
そんな中、庭園のあちこちで声が響く。
なのはやアリサ達が、こんな時間までずっとミックを探してくれているのだ。
金の欠片を持ち出したのはミックで間違いないだろうから、それは合理的な事ではあるのだが。
それでも、その事実にすずかは胸が締め付けられるような思いを感じると共に、多大な感謝を抱く。
彼女らと友達で居て良かった、と。心からそう思いながらも、光もまばらな庭園を歩。
「ミック、晩御飯の時間だよー」
いくつかの外灯に照らされては居るが、それでも夜の庭園は暗い。
すずかが歩けば、それに釣られる様にすずかの家に住む猫達が集まって来る。
三毛猫。虎猫。白い猫や、黒い猫。あちこちで拾って来た元野良猫達が、すずかの足元にすり寄る。
だけど、その中にブリティッシュショートヘアーであるミックの姿は見受けられない。
意気消沈しながらも、寄って来た猫達の頭や顎を優しく撫でる。
「ねぇカザリ、ミックを見掛けなかった?」
「にゃあ」
鳴き声で返すが、当然その声に意味などは無い。
カザリと呼ばれたその虎猫も、元々はすずかに拾われた野良猫だ。
すずかの事は命の恩人だと思っているだろうし、だからこそこれ程までに懐いている。
だけど悲しいかな、ミックの様に幼い頃からずっと一緒に居た訳では無い為、そこまで賢くはない。
故にそれ以上すずかの役に立つ事も無いし、それが解って居るから、すずかもそっと立ち上がった。
「ごめんね、知らないよね」
苦笑しながら、その場にいる猫達を解散させる。
カザリを筆頭に、元野良猫達が庭園の茂みの中へと消えて行く。
これだけ探しているのに、ミックは一向に姿を現さない。
本当にミックの身に何かあったのではなかろうか。
焦燥が、すずかの心を蝕んでゆく。
一方で、そんなすずかの声に応えようとしている者が一匹。
庭園の茂みの中で、蹲るブリティッシュショートヘアー――ミックであった。
自分が家族と認めた少女と、その友達が、こんなにも自分を探してくれている。
出来る事なら今すぐにでも飛び出していきたいと思うが――
「 !!!」
声にならない嗚咽が漏れる。
動こうとすれば、言い様のない痛みに襲われる。
人間の様に言葉を発する事が出来たなら、どんなに楽だっただろう。
自分は猫であるが故に、人間の様にすずかの言葉に応える事は出来ない。
だから、せめて飼い猫としてすずかと遊んであげられるなら、それだけで良かった。
だのに、今のミックにはそれすら叶わない。
「にゃあ……」
自分を心配した猫達が、ミックに寄り添う。
皆すずかが拾って来た家族。ミックと共に暮らしてきた猫達だ。
その声に応えようとするが、それすら叶わず……次第にミックを襲う痛みが強くなっていく。
痛みの源は、腹部。腹部で金色の何かが怪しく輝いて、全身へとその痛みが拡がって行く。
そもそも何故こんな事になってしまったのか。
全ての原因は、先程何の気なしに持ち出した金色の何かの欠片だ。
欠片を転がして遊んでいたミックは、偶然脚を滑らせて、転んでしまった。
これまた偶然欠片の上に倒れてしまったミックの身体に、欠片の角が減り込み――
それからというもの、生まれて初めて経験する痛みが、ミックの身体を蝕むようになった。
ともすれば、まるで力が溢れて来るような。
そんな錯覚さえ覚える痛みを味わい続け……やがてその痛みはピークに達した。
「グゥゥ……――」
ミックの体毛が、変色していく。
灰色の毛は、神々しい黄金色の毛色へと。
小さな身体は、身の丈2メートル程の大きさへと膨れ上がり。
腕が、脚が、全身が。強靭な筋肉に作り変えられ、肥大化してゆく。
一撃で獲物を仕留める為に進化した、鋭利な爪。口元から生えるは、まるで血の様に赤い二本の牙。
最強たるグロンギの王の力を取り込んでしまったその姿は、最早猫と呼ぶには無理があった。
「グゥゥァァァァァッ!!」
何を思ってか、月下に咆哮する。
全身の毛穴が逆立って、醸し出されるは強烈なまでの威圧感。
当然周囲の猫たちは一匹残らず散り散りとなって逃げ、ミックだけが取り残される。
グロンギの怪人と遜色ない獰猛な瞳で周囲を見渡し、次いで自分の両手を、身体を確認。
最早この身体はただの猫の身体では無い。近い生物を挙げるなら、既に絶滅した肉食動物。
ミックは知る由も無いが……この体躯は、スミロドンと呼ばれるサーベルタイガーに似通っていた。
強靭なスミロドンの肉体で大地を踏み締め、剥き出された牙の隙間から、吐息を吐き出す。
そんな中、化け物となってしまったミックが見据えるは、眼前に佇む一人の少女。
「え……――」
両手を胸に合わせて、一歩後じさる。
紫色の髪を揺らして、大きな瞳で此方を見詰める。
彼女の名は――月村すずか。
最終更新:2011年02月04日 14:19