それから、言われなくてもスタコラサッサだぜーとばかりに逃げ出した二人は
ミッドチルダの片隅のとある公園の遊具内に隠れていた。
「ここなら簡単には見付からないと信じたいね…。」
「流石の将軍も良い歳した大人が公園の遊具内に隠れるとは思わないだろうしね。」
根拠もクソも無い理由を付けて安心していた二人であったが…そんな時にユーノが言った。
「あのさ…いきなりこんな事言うのも何だけどさ…。」
「何? ユーノ君?」
「悪魔将軍の身体は悪魔将軍に取り込まれたフェイトやはやて達で構成されてるワケなんだけど…
つまり…僕達はフェイト達をパチンコ玉で転ばせたり火薬で吹き飛ばしたり墨汁をぶっ掛けたり…。」
「あ…………。」
これにはなのはも気まずくなってしまった。
「そ…そこはあまり細かく考えないようにしよっか…。」
「そ…そうだね…。」
何か二人で勝手にそう納得付けていたのだが…それも束の間…
『も~い~かい?』
「!!」
二人は忽ち青ざめた。何しろ悪魔将軍の声が聞こえて来たのだから…
そして恐る恐る遊具内から顔を出して周囲を見てみると…なんと悪魔将軍が
ブランコに座って扱いでいたでは無いか。おまけにご丁寧に墨汁を全部落としている。
『も~い~かい?』
「…………。」
『も~い~かい?』
ブランコを扱ぎながら悪魔将軍は何度もそう言っていた。一見ふざけている様に見えるが…
これはまさに余裕の表れと見て良いだろう。なのはとユーノが隠れている場所も
分かっていながら、あえてああする事で二人の精神的動揺を誘っていると思われる。
「どうしようユーノ君…。」
「どうしようって言われても…。」
『バゴアバゴア! この悪魔将軍がまさかブランコを扱ぐとは誰も思うまい。』
「……………。」
悪魔将軍は未だブランコを扱ぎ続けていたが、これは明らかに二人の居場所が
分かって言っていると見て間違いない。
「も…もうこうなったら素直に出てくるしかないよ…。」
「うん…このまま隠れてたらどうせ遊具ごと破壊されかねないからね。
それならまだ外に出た方が逃げやすい…。」
大人しくなのはとユーノは外に出る事にした。するとその時だ。
悪魔将軍はブランコから降りるなり二人がいる場所とは別の方角に走り出したでは無いか。
そしてその方向には何故か空き缶が置かれており、悪魔将軍はその空き缶を踏んでいた。
『二人とも見っけ!』
「かっ缶蹴りしてたんですか!?」
『これが将軍の余裕と言う物だ。貴様らが遊んでいると言うのなら私も遊ぶのみ。』
「…………!!」
二人は言葉が出なかった。確かに将軍の頭にタライを落としたり、マッハキャリバーの
ローラーを瞬間接着剤で固めたり、パチンコ玉やバナナの皮で滑らせたりなどは
一見すればふざけている様にも見える事だが、実際の二人は真剣そのものであり、
二人が出来る精一杯のゲリラ戦(?)だったのである。しかし…将軍にとっては
これらもお遊びに過ぎない様子だった。
『さて…それなら私の方が少しだけ真面目にやらせてもらうとするか…。』
悪魔将軍の手にはやてが使っていたシュベルトクロイツが握られた。
『行くぞ…響け終焉の笛ラグナロク!!』
「これははやてちゃんの…。」
「やばい!」
二人は咄嗟に防御魔法を展開しながら高速後退した。
悪魔将軍は自身に取り込んだ物の能力を得る事が出来る。これによって
はやての得意魔法の一つであったラグナロクを使い、それによって発生した
三つの光玉は忽ち公園を吹き飛ばしていた。
「な…なんて威力…。」
「きっと悪魔将軍そのものの強大な力によって本来のラグナロクよりパワーアップされてるんだ。」
だが、それだけで済めばまだ苦労はしないわけで、悪魔将軍は自身に取り込んだ者達の
能力を次々に使い分けながらなのはとユーノの二人を追撃して来た。
フェイトのバルディッシュで斬り付けて来たり、ヴィータのグラーフアイゼンで殴りかかって来たり…
スバルのリボルバーナックルで殴って来たりetcetc…
しかも悪魔将軍そのものの力によって本来の物より遥かにパワーアップされていたのである。
ここから悪魔将軍のテーマ(今回の話に合わせて若干替え歌)が何処からとも無く流れて来て
悪魔将軍がフェイトやはやてをはじめとする自身に取り込んだ者達の能力をフルに使って
なのはとユーノをとにかくフルボッコし始めた↓
『悪魔達よ。いつでもお前達の安住の地にもどるがいい この私、悪魔将軍の中にな。
私の体内でお前達のパワーが結集し、神をも破壊する私の偉大なダイヤモンドパワーとなるのだ』
サタンに刃向かう 愚かな奴よ 私と戦う 栄誉をやろう 九所封じで はいつくばって 断頭台で死ぬがよい
ゴーストタウンに 風が吹く 時空に浮かぶデスマスク アイサイサー ショーグン 悪魔軍団 従え
アイサイサー ショーグン 地獄の底からやって来た 私の野望邪魔する者は たとえ神でも許さない
キング オブ デビル 悪魔将軍
『高町なのはだと ふん! 悪魔将軍である私が時空管理局というものを認めたことはない
私の認めぬ者達 それはあらゆる世界に存在することさえあってはならんのだ』
正義を掲げる 愚か者共よ やがて私に ひれ伏すだろう ダイヤのパワーが 愛を切り裂く 地獄のメリーゴーランド
ゴーストタウンに 風が吹く 次元に聞こえる 断末魔 アイアイサー ショーグン すべての悪を あやつり
アイアイサー ショーグン 世界を闇に 塗り変える 私の行く手 邪魔する者は 魔王の裁き 受けるだろう
キング オブ デビル 悪魔将軍 キング オブ デビル 悪魔将軍 (フフフ…ハハハ)
キング オブ デビル 悪魔将軍 (フフフ…ハハハ)
最終更新:2007年08月19日 10:31