とりあえず万太郎とミートは元の世界に帰る目処が立つまで機動六課でお世話になる事になった。
しかしタダでお世話になるのは申し訳ないと言う事で、万太郎は荷物運び等をやらされていた。
「ミ~ト~、何で僕がこんな事しなきゃならないんだよ~。」
「Ⅱ世、僕達はしばらくここでお世話になるんですから…その分何かしら働いて
恩を返すのは当然でしょう? それにこうやって荷物運びをすれば筋力トレーニングにもなります。
まさに一石二鳥じゃありませんか。」
「そんな事言われてもこれは無茶すぎるよ~。」
何しろ万太郎は常人の何倍もの重量の荷物を運ばされているのである。
普通なら輸送機械を使っているはずの量なのだから万太郎もほとほと困り果てていたが…
「うわ…すげぇ力だな~あの豚男…。」
「一度に何トン分運んでるんだよ…。確かに筋肉とか見るからにすげぇけど異常だろ?」
「トンを運ぶ豚…なんてな。」
「お! 上手いねぇ。」
と、さりげなく感心する名無し局員もいたりいなかったり…

「全部終わった~…ハァ…ハァ…。」
全ての荷物を運び終わった後、万太郎はすっかりバテてその場に倒れ込んでしまっていたが、
その後でミートが万太郎の直ぐ近くまでやって来て言った。
「これからここの人達の訓練が始まるそうですよⅡ世。ちょっと訓練を見学しましょうよ。
Ⅱ世の今後のトレーニングとしても何か良いヒントが得られるかもしれませんよ。」
「え~? もう嫌だよ~。疲れたよ~。休ませてよ~。」
前述の通り万太郎は根性が無いのだから、休憩する事で頭が一杯で機動六課の訓練の
見学なとやってられなかったが、そこでミートの機転が働くのである。
「あれあれ~? 良いんですか~Ⅱ世? Ⅱ世好みの美人達の訓練ですよ~。
見逃しちゃったらⅡ世としても損なんじゃありませんか~? でもⅡ世がそんなに
疲れてるんなら仕方ありませんね~。しょうがないから僕が代わりに見て来ま~す。」
「待ていミート!! 僕も行くぞ!!」
突然万太郎は元気になって走り出した。
「待っててよ~! 可愛い子ちゃ~ん!!」
「ハァ…この元気をもっとトレーニングに使ってくれれば…。」
息を荒くさせながら物凄い勢いで訓練場に走る万太郎の姿にミートもほとほと呆れていた。

訓練場までやって来た万太郎とミートの二人は機動六課の訓練を見学させて頂いていたが…
「うひゃ~! 光線が出てるよ! あの娘達って人間なんでしょ? 超人じゃないんでしょ!?」
「なんでもここの世界の人は魔法が使えるらしいんですよⅡ世。」
「ええ!? 魔法!? 人間なのに!? 凄いな~!」
なのは達が行っている魔法による訓練に万太郎は驚きを隠せなかった。確かに今までだって
色んな能力を持った超人はいたし、中には魔法の類を使う超人だっていた。
だが…それもあくまでも「超人」の中での話。まさか人間が空を飛んで魔砲を放つなど
万太郎には信じられない事だった。
「けど僕だって負けないぞー! 僕にも父上直伝のキン肉式飛行法とキン肉フラッシュがある!」
「あっ! やめて下さいⅡ世!」
何故か何時に無く負けん気を出してしまった万太郎はその場から飛び上がった。
だが…キン肉式飛行法とは…万太郎の父親であるキン肉スグルがかつて地球で
キン肉マンとして活躍していた時そうだった様に…早い話が放屁で空を飛ぶ技だったりするのである。
そしてキン肉フラッシュとは同じく初代キン肉マンが怪獣を退治する際に使用していた
手を×の字にする事で発射する光線技である。この技は対超人戦には効き目は薄かったが、
怪獣には非常に効き目があり、キン肉マンが48の殺人技を会得した後も
怪獣に対しては主にこのキン肉フラッシュが多用されていた。だが、そんな説明をしている間に
万太郎のキン肉式飛行法のせいで大変な事になっていた。何故なら万太郎の放屁がかなり臭く、
忽ち訓練場は黄色い霧で覆われてしまい、訓練中のなのは達機動六課のメンバー達も鼻を
押さえて次々にぶったおれ、その場でのた打ち回る阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されていた。
「うわ! 臭い!」
「臭い臭い!」
「臭いぃぃぃぃ!!」
「うわぁぁぁ!! みんな大丈夫!?」
万太郎の放屁の臭さのせいで訓練どころではなくなってしまった為、訓練は中止となった。

その後…万太郎はなのはからバインドを仕掛けられ、身動き取れない状況にされていた。
「な…動けないよ! 何するんだよ! 離してよ!」
「おかしいな…どうしちゃったのかな…負けん気を起こしたのは分かるけど…元々見学に来たんでしょ?
なのに私達の訓練の邪魔をするなら…見学の意味無いじゃない…ねぇ…私の言ってる事…
私の考え方…そんなに間違ってる? 少し…頭冷やそうか…。」
「おわー! な…何するのー!?」
「ディバインバスター…。」
「ええ!? なのはちゃんそんな細い身体でキン肉バスター出来るのー!?」
「違う…ディバインバスター…シュート…。」
「おわ―――――――!!」
万太郎はなのはのディバインバスターをキン肉バスターの一種かと勘違いして、
一瞬なのはが自分に対しキン肉バスターを豪快に仕掛ける図を思い浮かべていたのだが、
格闘技系であるキン肉バスターと魔砲であるディバインバスターは違う。
そして次の瞬間にはディバインバスターが万太郎を飲み込んでいた。この後も
万太郎は機動六課の他のメンバーから袋叩きを受けるのだが…それも仕方あるまい。

とまあこんな感じで、万太郎が機動六課の女性陣にセクハラじみた事をしては
その度に袋叩きにされると言う微笑ましい展開が繰り返されながら数日の時が流れるのだが、
丁度その頃には機動六課はミッドチルダ全体を騒がせていたジェイル=スカリエッティの軍団との
戦いに突入しており、しかもスカリエッティが「聖王のゆりかご」と言う名の
古代超兵器を蘇らせたりなど大変な事が起こっていた。

さて…そんな非常事態に我等がスーパーヒーロー、キン肉万太郎はと言うと…
「あ~くわばらくわばら…。」
どこからか取り出したフロシキに荷物をまとめて逃げ出していたりする…。
直ぐにミートに止められてしまったが…
「Ⅱ世!! 何逃げ出してるんですか!? こういう状況こそ正義超人の出番じゃありませんか!」
「だって~怖いんだも~ん!」
万太郎は根性が無い上に怖がりだ。過去にも様々な強力な悪行超人を打倒し、既に全宇宙の
正義超人達の中でも屈指の実力を持つ超人として成長していた万太郎であるが、怖がりな所は
どうしても治らず、新たな敵を目の当たりにするたびにこの様に逃げ出したりしていたのである。
「Ⅱ世!! 戦うんですよ!! 地球に帰れなくても良いんですか!?」
「死んじゃうよりはマシだよー! こういう所でも生きていけるよー!」
逃げようとする万太郎を必死にミートは引っ張って止めていたのだが…そんな時だった。

「あれあれ? 何かあそこに変な豚男がいるよ!」
「ん!?」
突如万太郎とミートの前に姿を現したのはスカリエッティの尖兵たる戦闘機人達だった。
しかもこれがどいつもこいつも美人揃いな為、万太郎が一瞬にして興奮するのは当然だった。
「うわぁ! 可愛い子ちゃんが沢山!」
万太郎はフロシキに包んだ荷物をその場に捨てると共に戦闘機人達へ突撃した。
「お嬢さん達…僕とカルビ丼でも一杯どうかな?」
歯をキラリと輝かせながらカルビ丼片手にナンパを仕掛ける万太郎。忽ちスッ転ぶミート。
だが…戦闘機人達の返事は右ストレートの一発だった。
「ギャヒィ!」
忽ちすっ転んで倒れる万太郎に戦闘機人達は気まずい顔で見ていた。
「何だこの豚男は…。」
「とりあえず…殺っとくか?」
「うん…殺っとこう。」
「ああああ! Ⅱ世!!」
こうして万太郎は戦闘機人達からも袋叩きを受けてしまいましたとさ。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2007年08月26日 10:03