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第五十六話?『Did you die really? 』


 ウルフは歯噛みした。
 何故スリッピーらがいきなり現れたのだろうか?
 ただ見かけた程度なら気付かれない内にだっただろう。しかし――
 予測など出来るわけもなく(まさか、あんなものまで支給されていたとは!)、いや、どちらにしても、もう遅かった。
 しかもすでに距離は三メートルにまで縮められており、今、素直に逃げてもいずれ追いつかれることだろう。
 二対一。否、三対一。――仮に現状で戦闘に突入したとして、まず一人を倒すのが限界。
 第一、このハンドガンでは殺傷するに至らない。文字通り”倒す”だけ。

 このクソゲームにおいて、消耗するのはなるべく避けたい。
 また、少なくとも仲間の二人以外の参加者馴れ合うのはごめんだった。よって――口論や戦闘に発展して無駄な時間をとらない内に速やかにこの場から離れなければならない。
 そこでこの男と蛙とのやり取りをさっさと終わらせるためにウルフは一歩を押し進めた。
「いいか? そっちゲームには乗らないでただ馴れ合っているつもりだろうが、オレ様はオレ様だけでやらせてもらう」
 男も、蛙も、それを黙って聞いている様だった。
 蛙は元より男も自分とは相入れないと理解した、ウルフはそう判断した。
「分かったか? それじゃ」
 ウルフは踵を返して立ち去ろうとして、
「待てよ」
 ――やめた。

 ウルフの視界に入っていた巨大な”それ”に、緑の帽子、緑の服が目立つ男がウルフに向けて少しの間、指差していたのを。
 もちろん”それ”は今にも命令に待ち、構えている。
 仮に炎でも吐かれもしたら――ウルフだろうとひとたまりもない。
 有り得なくはないだろう。此処まで有り得ないことが幾つもあったので。
 スリッピーは「リンク!」と言いながらリンクを止めるような仕草はしたのだけれど「いいんだ、スリッピー」と、逆にリンクに諭され、黙り込んでしまった。
「任せてくれ」
 その男、リンクは、少し不安が混じった、しかしはっきりした感じで言った。
 聞いた。「何のマネだ?」
 ウルフは肩をすくめながら、取り澄ました口調で言った。
 それにリンクは、「協力してくれないか?」と返し、更に続けた。
「頼む」
 ……まるでオモチャをねだる子供みたいじゃないか? いやだいいやだい! ほしいったらほしいんだ! ――なるほど?
 しかし、一種、重要なターニングポイントになったそのやり取りにも、ウルフは舌打ちしていた。
 こうしている間にもゲームが進んでいるのだ。こんなところで無駄に時間を使うわけには――

 だが、同時に思った。
 そう――このままでは自分が不利なことには変わりない。
 自分の手元には銃、相手には未知の生物兵器(仮)。
 そして、相手はなるべく自分が優位に立とうとしている。
 つまり――ウルフを見逃がすつもりなど無いのだろう。

 ウルフの頭の中、その結論が瞬間的に全身に命令を送った。
 次の瞬間にはハンドガンの銃口がリザードンに向かって吠えていた。
 が、それを待っていたかのように、いや、危険を感じたのか、スリッピーがリザードンに何かを命令していた。
 しかし、それを確認するくらいウルフには余裕がなかった。
 直後に突然火球(しかもかなり大きい)が現れたので、回避するのに全神経を総動員するハメになったのだ。
 ウルフは目を見開いた。

 結果として何かの文字を象った炎がウルフの横をそれ、ちょうど後ろの木を消し飛ばしただけだったが構っている暇は無い。
 リザードンはハンドガンによる衝撃で麻痺しているようだった。
 ウルフはばっと体を翻すと、全速力で走り出していた。
 ――ほとんど敗走。かなり苦々しかったが、戦力を考えたら勝とうなんて思うのは無謀だ。

 ――クソ。


 結局D-4かE-4――とにかく、エリア2の民家の中にウルフは身を潜めた。

 それから午後零時ジャストに放送が流された。
 やはりポーキー以外にも仲間が居たようで、『カジオー』とか言う姿も分からぬ誰かの声がそれを読み上げていた。
 ――もしかしたらまだ他に仲間が居るのかも知れない。
 告げられた情報の一つ、禁止エリアが当座自分の位置には関係無いことは分かったのだが、
 しかし、それ以上に、『死亡者』のリストの中でウルフが目を見開かざるをえない名前が何人も告げられていた。
 ――パンサー。
 簡単にやられるとは思っていなかったし、まず信じられなかった(しかし、この時ウルフはパンサーは女にたぶらかされたのではないかと直感していた)。
 だが、ウルフにとんでもないディスクを渡す余裕があった以上、カジオーらが嘘をつくとも思えない。
 そして――『スターフォックス』のメンバーの内、あの狐を含めた三人が死んでいた。
 これで『スターフォックス』はスリッピーとクリスタルを残して全員退場したことになる。
 また、二十一人の犠牲者、これが意味するのは確実にゲームに乗った参加者が居るということだ(ポーキー達の『サクラ』でなければ、だ)。

 そう、ウルフの近くにもそれが居るのかも知れない。
 やはり――早々に決着をつける必要があった。


【一日目/日中】
【名前:ウルフ・オドネル@スターフォックス
健康状態:健康
  武装:ハンドガン@メトロイドシリーズ
 所持品:支給品一式 、クランクのコンピューターハッキング用CD-R@エフゼロシリーズ、双眼鏡@現実
現在位置:D-4
第一行動方針:ディスクを機動できるパソコンを探す(ディスクのことは当面隠しておく)
第二行動方針:レオンと合流する
第三行動方針:他の参加者と必要以上に馴れ合わない(特にスリッピー達とは手を組む気はない)
最終行動方針:ゲームを潰し、主催者を倒す

【一日目/午後】
【名前:リンク@ゼルダの伝説
健康状態:精神的に疲労 
  武装:モンスターボール×3@ポケットモンスター (リザードン放置中/残り10分)
 所持品:支給品一式
現在位置:E-3
第一行動方針:ナビィとゼルダ、若しくはシークとの合流
第二行動方針:装備を取り戻す
第三行動方針:ガノンドロフの殺害
最終行動方針:ゲームを潰す
備考:二人ともエリア2に向かって移動開始 】

【名前:スリッピー・トード@スターフォックス】
健康状態:身体能力の上昇、困惑
  武装:ソロ(セット状態)@黄金の太陽
 所持品:支給品一式
現在位置:E-3
第一行動方針:街に行って工具を獲得し、首輪の解除
第二行動方針:ウルフに警戒
最終行動方針:ゲームから脱出
備考:ソロをセットした事により身体能力が上がってます
備考:二人ともエリア2に向かって移動開始 】


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最終更新:2008年11月28日 21:43