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第二十五話「悪の大王の進む道」


ワガハイは、見覚えのないどこかの森を歩いていた。
その手に支給品一式が詰められたザックと、一本の剣を持って。
剣を眺める。間違いなく本物だった。この剣で、殺しあえ――そういうことか。
あのポーキーとかいう小僧は、最後の一人になればどんな願いも叶えると言った。
だが、最後まで生き残るということは、我が愛しのピーチ姫も殺せということだ。
冗談ではない。あんな小僧の言いなりになって、そんな真似ができるものか。

脳裏に、あの残酷な光景が蘇る。
ワガハイのピーチ姫のオトモダチを、あのように惨たらしく殺すとは。
あのオトモダチの死で、ピーチはどれほどの悲しみを抱いただろう。
だから――許すわけには、いかぬ。
そして、ワガハイの悪としてのプライドが、奴らの行為を否定する。
あんな悪の美学の欠片も感じられぬ姑息な手で、この悪の大王たるワガハイを束縛しようとはな。
断じて、許さん――
このような陳腐な殺し合いなど、ワガハイが叩き潰してくれるわ。

とはいえ、この嵌められた首輪がある以上、今はうかつに抵抗できないのもまた事実。
悔しいが、ワガハイ一人でどうにかなる状況ではあるまい。
ならば、どうするか。
ふと、一人の男の顔が浮かぶ。
赤の帽子と服に、青いオーバーオール。鬱陶しいほどでかい鼻に、不愉快なヒゲ。
そう、我が宿敵――マリオ。
気に食わんが、ワガハイを幾度となく負かした奴の実力は認めるしかない。
不本意だが、ここは奴と手を組むほかあるまい……いや、ワガハイの子分にしてやろう。
それに、ワリオやドンキー、大食い恐竜に、マロやジーノといった連中もいる。
奴らも、引き込むことができれば戦力になる。そして、新たなるクッパ軍団を編成するのだ。
その戦力を持って、あの不愉快な主催者どもに目に物見せてくれる。
……あ、ついでにあの緑のヒゲも我が子分に加えてやるとするか。

ワガハイの行動は決まっている。
あの愚か者に思い知らせてやろう。本物の悪の、悪の頂点に立つべき大王の恐ろしさを。
そう、このクッパ大王の真の恐ろしさを、だ――

では、まずはこれからどうするか。
こんな状況に放り込まれて、ピーチ姫はさぞかし不安に暮れているだろう。
となれば、まずピーチを探し出して、殺し合いに乗るような輩から守ってやらねばなるまい。
それと、今後のことを考えるなら、マリオとも一刻も早く合流したいところだ。
ピーチとマリオを探し出し――二人と合流する。当面の目的はそうなるな。

そこまで考えて――
ワガハイはふと、一つの考えに思い当たる。

ワガハイと、ピーチと、マリオの関係。
そこから導き出される、一つの方法。
そう、それは現状でもっとも早く、効率よく、二人と合流するための……

たった一つの冴えたやり方――!



ピーチ姫をさらう
  ↓
マリオが助けに来る
  ↓
マリオをやっつけて子分に!!



これだ――――――――!!!!!!!!!


ピーチの安全を確保できて、マリオと合流もできる!!!まさしく一石二鳥!!!
ガハハハハ!!!我ながらなんという天才的で革命的な思いつき!!!自分の知能が恐ろしくなるわ!!!
やはり真の悪というものは、考えることが違うというものよ!!!
さあ、そうとなればまずはピーチを探し出して、さらうのだ!!!

おっ!!言ってる傍から、向こうにドレスに身を包んだ女を発見だ!!
むぅ、後ろ向きで顔が見えんが、あの高貴な佇まい、ワガハイのピーチ姫に間違いあるまい!!
なんと運がいい!!やはり日ごろの行いの良さが、幸運を呼び込むようだな!!!
ならば、さっそくいつものようにピーチ姫をさらおうではないか!!
ワガハイは駆け出した!!ピーチ姫に向かって!!!

「ピーチちゃぁ―――――ん!!!!!!!!!!」

その勢いのままに、彼女を後ろから抱き捕まえようとした瞬間――
彼女の姿が、煙のように消えてしまった。
「あ、あれ?ピーチよ、一体どこにっ!?」
周りを見回すも、その姿は見当たらない。
どうしたというのだ。このワガハイが、ピーチ姫をさらい損ねるなどとは。
それとも、ワガハイは幻でも見ていたのか?ううむ、おかしい。
ん?
おかしいといえば、どうも足元に違和感を感じる。
ワガハイは違和感の正体を確かめるべく、視線を足元へと移した。
……あれ?

地面がない。

どういうことだ?
今度は、今しがた自分が走ってきた道を振り返ってみる。

ん?途中で道がなくなっているぞ?

道の途切れたその場所は…………崖?

おや?とすると、ワガハイの今いる場所は?

気づくと、身体が、落下し始めていた。

どんどん崖が、空が、遠ざかる。落ちる、落ちる。

って。

「そんなバカなぁぁぁ――――――――――!!!!!!!!!」


    ※    ※    ※    ※    ※


クッパが崖下へと転落していったと同時に――
先程まで姫の姿があった場所に、青い影が降り立った。
(今のは一体……)
それは姫――ゼルダのもう一つの姿、シーク。
ちょうど魔法で変身したと同時に、背後からクッパに襲い掛かられたのだ。
(あの亀の怪物……このフィギュアの……?)
シークは手に持った支給品のフィギュアへと目を移す。
亀の怪物を象ったフィギュア。そこからは、酷く禍々しい気が感じられた。
……本物よりも、遥かに禍々しい気が。シークの脳裏に、嫌な予感が過ぎった。
(このフィギュアと何か関係が?どちらにしても、警戒しなくては……。
 しかし、あの怪物が持っていた剣……)
クッパの持っていた剣を、彼女は知っている。
それはハイラルに伝わる、伝説の退魔の剣・マスターソード。
どうしてあの剣がここに?疑問が過ぎる。
しかし、あれが本物のマスターソードなら……リンクに届けなくては。
そうすることで、蘇ったガノンドロフの打倒はもちろん……
この絶望の世界から脱出するための道が開けるかもしれない。

クッパを追うべく、シークは走り出す。
僅かな、しかし確かな希望の光を、信じながら。

エリア(E-9)/山中・崖/一日目―朝(7時~)】

【クッパ@スーパーマリオシリーズ】
[状態]:崖から転落中
[装備]:マスターソード@ゼルダの伝説
[道具]:支給品一式
[思考]そんなバカなぁぁぁ―――!!!
第一行動方針:まずはピーチ姫をさらうのだ!!!
第二行動方針:その後、助けに来るであろうマリオを子分にしてやろう!!!
第三行動方針:他の知り合いも我が子分に入れてやらんでもないぞ、ガハハハハ!!!
最終行動方針:クッパ軍団を編成し、主催者を倒してゲームを潰すのだ!!!】

【ゼルダ@ゼルダの伝説】
[状態]:シークに変身中。クッパ、ガノンドロフを警戒
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ギガクッパのフィギュア@スマブラDX
[思考]
第一行動方針:崖下に落ちたクッパを追う
第二行動方針:リンクと合流。マスターソードをリンクに届ける
最終行動方針:ゲームの阻止】

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最終更新:2007年03月01日 18:13