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肉体派苦学生アスた! 6

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匿名ユーザー

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16話 ”本当に刺激しちゃいけないところは鼻の粘膜の奥にある”

”前略、天国のおふくろ様。
しょうもねぇヤツではあるんだが、一応教会の人間ではあるんだよな……
ここはサギだとしても頼っちまった方がいいんじゃ……でも、食券はなぁ”

16話 ”本当に刺激しちゃいけないところは鼻の粘膜の奥にある その1”
前話まで:茶々丸に伸びた鼻を折られたかと思えば、山奥でなんでか悟ったみたいなネギ先生。明日太の手に負えるんでしょうか……

「ハァ、ハァ、ハァ……何とか……間に合ったァァァァァ!!」

週も明けて気持ちも明ける月曜の朝、HRの始まりも近い教室に明日太が勢いよく駆け込んでまいりました。

(危なかったわねー兄くん、2度寝から起きたら木乃香姉さんも姉貴もいないんだもんねー)
(んだとぉ!? お前が俺の”水鏡先生・劉璋季玉パンツ”、略して水玉パンツをパクったから遅れたんだろうが! っつうか何で俺の肩に乗ってんのお前!?)
(あったまらせておいてなんデスけど、あんな変なパンツどこで買ったんデスか兄チャマ……)

明日太の肩に乗っかってカモさんも同行してまして、すっかり相棒状態で茶化すことを言ってきます。

「わ、私はエヴァンジェルさんの様子を見てきますので、今日の英語は自習でおねがいしますっ! それじゃ!!」
「のわっ……って突然どうしたネギ! どこ飛び出してく気だ!?」

その時教卓で思案していたらしいネギが、突如教室から駆け出していきまして明日太らクラスメイトは総ビックリですよ。

「あや、ネギちゃんやけに元気いっぱいになっても~て……昨日からあんな感じやったけど、何かあったんかな~」
「また変なこと思いついたんじゃねぇだろうな、あのバカ教師……そうだ、ネギのやつ、何か言ってなかったか?」
「言ってたってワケちゃうけどな、エヴァくんと茶々丸さんからカゼで休むって連絡来た、って教えたらああなってん」

今北産業って程でもないけど簡潔な説明を求める明日太に、亜貴が鬼の居ぬ間だということを喋りました。

「あいつらがカゼェ!? 何かのジョーダンじゃねぇのか、それって」
「ところがどっこい、吸血鬼に襲われたってウワサもあるらしいわよ! どっちも仮病するぐらいなら堂々とサボるし、病気になりそうなタチじゃなさそうだし……」
「バカ吐かせハルナ、あいつらがその吸血k……あぁイヤ何でもねぇ! 何でもねぇからな!」

連絡に疑ってかかる明日太にハルナがウワサを絡めてきまして……って何バラそうとしてんだこのバカチン!

「どーしたのよ突然パニクって……アヤしいわねー、明日太ったら何か知っt」
「おやおや吸血鬼とな! そいつぁ大変だぜハルノさんにアスカ、早く神父様直筆のこの護符で身を守らねーとな! ちなみに、食券を25枚以上寄進した方にしかお配りしませんのでお早めに!」
「明日太だっ! っつうか唐突に出てくんな空、それにその護符マジに効き目あんのか!?」
「いや、思いっきり旧教の免罪符のやり口だろです! 真に受けてんじゃねーよです!」

ハルナが興味をそそられたところに空が胡散臭い商売とともに殴りこんで来まして、明日太が食いつきますが夕にツッコまれるまでもなく気付けよ。

「失敬だなアヤドくん、救世主直伝の手早い救いの所業をサギ呼ばわりとは! そんなこと言ってると早めに天罰が落ちちゃうぞ♪」
「黙っていれば空さん! ネギ先生がいらっしゃらないからといって、そんな如何わしい商売を許すわけには参りませんわ!」
「いいんちょまでひでーこと言うじゃねーの、大体宗教なんて往々に胡散臭くなっちまうんだから、早く見逃しch……」
「……さっきからうるさいぞオマエらァ!! そんな非科学的な話題でごった返しやがって、微笑むでんじろう先生の実験台にさせるぞ!!」

いいんちょに注意されてもインチキを続けようと粘る空修道士……を霞ませるぐらいの怒号で教室を静めたのは葉加瀬聡くんでした。

「アイヤー、ハカセが叫ぶなんて初めて見たアル! そんなグタリしてどうしたアルか?」
「だから、うるさくしないで欲しいんですって……昨日は、茶々丸のオーバーホールで働き詰めでして……ああ、因果地平の彼方に行きたい……」
「……ほら皆さん、席に着いてください! ネギ先生が仰ったとおり、今日の英語は自習でしてよ!」

先ほどの叫びはどこへやら、急に机に突っ伏してブツブツ呟く葉加瀬に場はリセットされまして、いいんちょの主導でのんべんだらりな自習の時間が始まってしまうのでした。


「……結局、あのバカ教師は帰ってきてねぇワケだが。エヴァンジェルんトコに見舞いだっつっても、昼までかかるもんかねぇ……」
「土日に何も動いてこなかったんだし、今更姉貴を誘い出して襲う、ってことはないだろうけどね……」
「おや、ここにいたでござるか明日太殿。探したでござるよ」

ネギが帰らないまま昼休みとなりまして、人気の無い屋上で寝転がって危機感0で待ちわびる明日太とカモの元に、突如現れたのは長瀬楓さんでいらっしゃいます。

「ん……長瀬じゃねぇか、どうした」
「いや、この前の土曜のことでござるが、拙者の修業場所でネギ子を預かっていたのでござる。ネギ子も元気付きすぎた様でござるし、明日太殿には告げていないと思ってな……」
「修業場所って何!? ……まぁとにかく、長瀬んトコに上がり込んでたんだな。ウジウジ悩んだことしゃべってて迷惑だったろ」
「そのようなこともあったでござるが、一晩休んで吹っ切れたみたいでござる。今は心配無用でござろう」

楓から当日のネギの所在を聞かされ、山奥でも頼りになる相手といたことが羨ましくもある明日太でありました。

「心配無用……かねぇ。変にテンション上がったみたいで、エヴァの野郎に殴りこみかけてないかが心配だな」
「エヴァ殿とな……うむ、人間を外れた存在とは聞いていたでござるが、ネギ子と因縁があったとは初耳でござる」
「えっ、エヴァンジェルのことを知ってたの、糸目の姉さん!?」

どうやらエヴァに思うところのあるらしい楓の発言を聞き逃さず、カモってば勢いよく尋ね返しましたが喋って良いの!?
「ほぉー、人間の言葉が喋れるとは、流石魔法使いのペットでござるな……そうでござった、エヴァ殿の件は学園長殿に聞いているでござるよ。学園長殿は、学内の実力者を取り仕切っているでござるからな」
「あのバカ、魔法使いってことまでバラしてんの!? つくづく手に負えねぇマネばっかり……」
「やっぱりねー。近衛のおばちゃまったら、桜通りのことも手際が良かったし、姉貴のお爺様の知り合いなだけはあるわね……そうだ、そんな強い人たちがいるなら、私たちに力を貸してもらうっていうのは……」
「済まぬが、今の拙者たちは重大な任務を負っている故、ネギ子に手を貸せる状況ではないでござる。エヴァ殿も学内で役割を受けた同士である以上
、学園からの命無しに動いては反逆でござるしな……」

思わぬ楓さんの事情通っぷりにカモさんも期待を掛けますが、色よい返答は貰えませんでしたねぇ。

「まぁ、それなら俺らでどうにかするしかねぇか……でもなぁ。前戦ったときの茶々丸さんって、全然苦戦してるように見えなかったんだよな……俺が止められなきゃピンチだってのに」
「ほう、茶々丸殿と一戦交えたでござるか」
「まぁな……ネギみたく魔法が使えるってワケでもねぇし、次も足手まといになりゃしねぇかと……」
「ははは、どうやらネギ子の悩み癖がうつってしまったようでござるな、明日太殿」

孤軍奮闘だと意気込もうにも金曜の失態を思い出して、明日太も不安になってきたようです。かと思えば、楓はそこを笑い飛ばしまして。

「オイオイ長瀬さんよぉ、今は笑うトコじゃねぇだろが」
「何……壁を目前にして何かと思案するより、まず全力でぶつかるのが明日太殿だと思っていたでござるよ」
「はぁ……言われてみりゃそうだよな。ぐちゃぐちゃ考え込むのはネギとかのが似合ってるもんなぁ……」
「それに、相手が強いと分かっただけでも大した進歩でござる。次はひょっとしたら、ダ○大のチ○ぐらいに活躍できるかもしれないでござるよ」
「いや、あのネズミってほとんど自力で勝ってねぇし! 根性はすごかったけどもさ!」

例えはともかくとして、楓の二言三言で自信を取り戻したあたり、明日太の頭のシンプルっぷりが現れてるのでしょう。

「これは失敬。しかし、拙者もネギ子の健闘を祈っているでござるし、そのネギ子が明日太殿を頼っているのならば、助言をするぐらいお安い御用でござるよ……それでは、拙者はそろそろドロンするでござる」
「あぁ……ネギ共々世話になっちまったな、ありがとう」

やんわり話をまとめた上で、忍者全開な別れの言葉を残して楓さんが去っていきました。

「不思議な姉さんだったわねー。パートナーとまでは言わなくても、姉貴のお供について欲しい人材だわ」
「一応バカレンで一緒だったが、こういう話をしたこと無かったしな……ん?」

再び寝っ転がろうとした明日太が、目線の先の空に見覚えのある姿を見つけて言葉を詰まらせてます。

「……あ、明日太さーんっ!! そこ、誰もいませんよねー!?」
「ば、バカかネギ! 昼間っから堂々と空飛んでんじゃねぇ! 誰かいたらどうすんだこの野郎!!」
「まーまー兄くん、カタギには見つからないようにしてるからダイジョブだって……それよりどーしたのよ姉貴、そんな血相変えちゃって」

恐怖に取り付かれてるっぽいネギが猛スピードで屋上に降り立ちまして、杖をとっとと持ち替えて明日太にしがみついてきましたよ。

「そ、それがねカモちゃん……とりあえず、茶々丸さんは来てない、よね……」
「茶々丸さん? まさか、エヴァの見舞いに行ったら襲われたのか!?」
「いえ、それは間違ってなくもないんですけどっ……そうだ、ラス・テル・マ・スキル……」

ネギが落ち着かないままで説明しようとしますが、何か閃いたらしく呪文を唱え始めました。

「あれ、認識阻害の魔法? 何よー、そんな聞かれちゃマズいことなの、姉貴?」
「違うよ、説明するより見てもらった方が早いから……カモちゃん、魔法陣書いてくれる?」
「待てコラ、話が全然見えねぇんだけど! バンバン魔法使ってっけどマジで大丈夫だろうな!?」

タダでさえ3人きりで音の乏しい屋上がさらに静まったかと思えば、妙に元気付いてきたネギがアレコレ準備を始めております。

「ハイハイー、魔法陣完成よん♪ でもどーするのよ、コレ?」
「ありがとーカモちゃん。それじゃ明日太さん、魔法陣の中に入って、私と向かい合うように座ってくださいっ」
「俺の話聞いてっか!? ……まぁやるけどもさ。こうか?」

淡く光る魔法陣にネギが膝で立ちまして、事情のつかめない明日太を促します。

「じゃあ、カモちゃんは明日太さんの肩に乗っててね。ほら明日太さんは手を合わせて、ちょっとオデコつけますよー」
「ぬっ……オイネギ、いい加減何する気なのか教えろや」

額をくっつけ合わされて少したじろいだ明日太でしたが、諦めきれずにネギに尋ね続けておりますと。

「いえー、言葉じゃ表せないくらい面白いコトがあったものでして、明日太さんとカモちゃんにもおすそ分けしようかなーなんて……」
「何だよ、んなしょうもねぇことで魔法まで……って待て、お前それで逃げて来たんじゃねぇのかよ!? ようするに俺ら巻き込みたいだけ!?」
「……ムーサ達の母・ムネーモシュネーよ(マーテル・ムーサールム・ムネーモシュネー)、己が元へと我らを誘え(アド・セー・ノース・アリキアット)……」
「テメェ聞けy……うっ、意識が……」

明らかに危ないニオイを感知して問い詰める明日太ですが、土俵に引き入れたネギに敵うハズもありませんで、呪文の効力で深く眠ったかのように黙りこくってしまいました……って、ネギもカモも同じ症状になっておりますが。

『……ん? 俺、確かネギの魔法で……あれ、このログハウスってどこかで……って待て、何か体浮いてねぇか!?』
『あれまぁ、姉貴ったら意識シンクロの魔法を使ったみたいねー』

気を取り直した明日太とカモの面前には、木々に囲まれた木造ハウスがありまして、対象が俯瞰なもんで体が宙に吊られてるとしか思えない状況です。

「学園都市内の桜ヶ丘4丁目……ここですか。吸血鬼の真祖って割にはシケた家ですねっ、墓石ぐらい飾ってれば良いのに」
『あ、ネギテメェ! こりゃ一体どういうこった、説明しろコラァ!!』
『どっちに喋ってるんですか明日太さんっ、私はこっちですよー』

そこに地図片手のネギが現れまして、毒づく言葉も無視して明日太が問い詰めに掛かりますが、返事はお空の方向から妙にエフェクトが強まって返って来ましたよ。

『は……はい!? どういうこったよコレ!? っつうか何で俺ハダカなんだぁ!?』
『簡単に説明しますと、今日の私の記憶を見せているんですっ。そこでエヴァさんの家に入ろうとしているのが今朝の私でして、ときおり今の私がこーやって解説を入れますんで楽しんでくださいねっ♪』
『よく分かんねぇが、とにかくエヴァの見舞いに行ったトコなのか……じゃなくて、何でハダカにされてんだよ!』
『すみません、うちのグラボ旧式でして……あんまりデータ増やすと処理落ちしちゃうんですよっ』
『ドコのパソコンだテメェは!!』

要するに記憶の追体験みたいなことになっておりまして、容量の都合で輝くマッパな明日太とカモを引き連れて、今朝のネギがエヴァ宅に侵入して行きますと。

「お邪魔してまーすっ……誰かいますよねー……わわっ!? 何コレ?」
『ぬ……こ、こいつはすげぇ!!』

今朝ネギが行き着いた先は、ガ○プラのジオラマがガラスケースに包まれ、所狭しと並べられた異様なお部屋でした。

『びっくりしましたよー。確かにエヴァさんってオタ臭い発言もしてましたけど、まさかここまでだったとは……』
『ファー○トにゼー○にSE○D……だけじゃねぇ、コ○落ちやムン○ラ、ガイア○アのジオラマまでありやがるぞ……少し尊敬しちまったよ』
『尊敬してどーすんのよお兄ちゃん、相手が残虐非道の吸血鬼だってこと忘れてなーい?』
「……どなたですか?」

この道に少し縁のある明日太が感心しきっている後ろで、電子音っぽいお声が今朝ネギを呼び止めました。

「ちゃ、茶々丸さんっ!? すみません、勝手に入ってしまって! それにこの前戦ったときも、すみませんでしたっ」
「ネギ先生でしたか……こんにちは。マスターに何か御用でしょうか?」
『び、びっくりさせやがって……気付かれちまったのかと思ったぜ』
『いや、私の記憶見せてるだけですから……明日太さんたちが気付かれる訳ないですって』

慌てて今朝の茶々丸にヘコヘコ頭を下げる今朝ネギをよそに、未だに状況を理解しきってない明日太にネギが警告です。

「あーそうでしたっ、エヴァンジェルさんはどうしてるんですか?」
「マスターはカゼです」
「え……ちょっと待ってくださいよっ、不老不死の吸血鬼がそんなチャチい病気にかかるなんて……」
「そこな嬢ちゃん……俺様のコレクションルーム8号室に、勝手に入り込んでいるとは、どういうことだ……」

今朝茶々丸に説かれてもエヴァの病状を信じられない今朝ネギの横から、今朝のエヴァが睨みを効かせて登場……ですが、マジに体調悪そうな息の上がりっぷりですねぇ。

『おい、エヴァンジェルの奴辛そうにしてっけど、実はフリしてただけだったとか……』
「マスター、ベッドを出ては……」
「エヴァンジェルさんっ! こ、これを……」

ボロボロな今朝エヴァの姿に今朝茶々丸も今朝ネギも驚きますが、そんな中で今朝ネギが手袋と手紙を今朝エヴァに投げ渡しました。

「ヌ、何だコレは……”エヴァンジェル・A・K・マクダウェル 本日中に貴様を倒す 私の幽波絞で! ネギ・スプリングフィールド”……手の込んだ真似をする奴だ」
『いや、果たし状なら普通に書けよ! ご丁寧に字の間違いまで再現してどうすんだ!?』
「今度こそ私が勝って、ちゃんと授業にも出てもらいますっ!! つーか卒業してもらわないとー、私の経歴にキズつくからサボんなってカンジー!」
「ほざけ、単位落とさなければ呪い無視して卒業できるなら、とっくに試しておるわ……まあいい、獲物が自ら手に掛けられに来たのだからな。表に出ろ嬢ちゃん、その血をゆっくり味わって……や、る……」

やる気のない果たし状を受け取った今朝エヴァが戦う構えを見せまして、今朝ネギがそれに倣いましたら……今朝エヴァの辛そうなのが悪化してってぶっ倒れた!?

「ちょっと、何で倒れて……うわっ、スゴい熱!? ホントにカゼだったんですかっ!?」
「ネギ先生、マスターを抱えて下さい……2階のベッドに寝かせましょう。マスターは花粉症も患っていますから、後で服のホコリを払ってもらいますので……」
「ちょ、花粉症ってどういうことですか!? よりにもよってそんな庶民的なビョーキかかってるって、一体どんな吸血鬼なんですかっ!?」
『あ……マジだったのかよ』
『なまじ強大な魔力に頼っていたから、それが封じられると10歳児の肉体しか残らないってことね……ってあら、周り暗くなってるけど大丈夫?』

今朝ネギと今朝茶々丸の2人がかりで今朝エヴァを抱え、吸血鬼さんの病歴が明かされながら階段を上っていきまして……ってところで、明日太とカモの周りが暗転し始めて次へ続く!

長瀬楓 曰く、
”や、やっと拙者にも日の目が当たったでござるか……長い道のりだったでござるよ。
しかし、明日太殿が頭が足りな……いやいや、実に素直で話を進め易かったでござる。
これがネギ子だと、いつの間にかバストアップ体操が効かない、というグチに話が反れるでござるからなぁ”

”前略、天国のおふくろ様。
久々だからって、よりにもよって誤解招くような展開にするのはどうかと思うよお兄さんは!
クッソォォォォッ! これもレッド・パインツリーに魔法ネタを提供しちまうからだ、責任者出て来い!!”
16話 ”本当に刺激しちゃいけないところは鼻の粘膜の奥にある その2”
前回まで:悩む節も無く、茶々丸との再戦を意気込む明日太。それはさておきネギの記憶を見せ付けられる羽目に!

『……ん、今度は何だぁ? ベッドで寝てるエヴァンジェルと、部屋うろついてるネギ……あれ、茶々丸さんはどうした?』
『あら、フスマにイロリなんて、意外と和風な内装してんのねー』

ネギの記憶を巡らされている2人の周りに続いて現れた風景は、エヴァの部屋と思しき一室で寝込む今朝エヴァと、キョロキョロとあたりを探る今朝ネギでした。

「何か、サウザンドマスターの手がかりは……できれば写真とか……」
『あーこれはですね、茶々丸さんが私に看病押し付けてどっか行っちゃったんですよ。それで、屈辱的にも着替えさせたり指の血を吸わせたりしまして、せめてサウザンドマスターの情報だけでも握ろうかと……』
『んな理由で病人の部屋をあさんじゃねぇ、バカ教師!』
「……が良い……サウザンドマスター、貴様の……」

都合の悪い部分をカットしての続きに明日太からお叱りが飛びますが、そこに今朝エヴァの意味深な寝言が聞こえてきました。

「へ……も、もしかしてっ、サウザンドマスターの夢を見てるとか!?」
『夢……ま、まさか姉貴……』

それを聞き逃すことなくベッドに飛びついた今朝ネギが、杖を握り締めたことにカモが不安を募らせていますと。

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル……夢の妖精・女王メイヴよ(ニュンファ・ソムニー・レーギー・メイヴ)、扉を開き夢へといざなえ(ポルターム・アペリエンス・アド・セー・メー・アリキアット)……」
『やっぱりー! 躊躇0で夢をノゾキ見る魔法使うってどういうことよ、もしバレたら瞬殺よ!?』
『いやー、母さんの秘密が分かるかもとか、好奇心が倫理に勝っちゃって……』
『オイ待てよ、夢がどうしたって……あっ、また暗くなったぞ! 今度はどうなるんだぁ!?』

今朝ネギが魔法を発動させたのか、淡いオーラを発散させたと同時に、またまた明日太とカモの周りが暗転することに……

(あ……ここは、砂浜? と……誰、この外人の男の人?)
『……お、戻ったか……ってネギ!? なんでテメェも俺らみたいになってんだよ?』
『あー明日太さんっ、それはエヴァさんの夢をノゾいてる今朝の私ですよ。つーか私が裸だからってジロジロ見ないで下さいよ、人権侵害ですよっ!』
『いや、人の夢勝手に見てるお前がシンガイとか言うなよ!』

移り来た場所は人気の無い砂浜でして、輝くマッパな今朝ネギの視線の先には、黒皮ジャンの映える見慣れない金髪の男が立っています。そして、男の目の前には見覚えのある杖を携えた、ローブ姿の人物が降り立ちました。

「やはり俺様は運が良い。”千の呪文の女(サウザンドマスター)”と呼ばれた貴様を、このニホンで見つけ、追い詰めることが出来たとはな……」
(こ……この人ってエヴァンジェルさん!? ってことは、相手の人って……)
「”人形使い(ドールマスター)”、”闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)”、”不死の魔法使い(マガ・ノスフェラトゥ)”……何百もの人間の血で染まった異名を持つ貴方が、何を企んでいようと……私には勝てないわ。今のうちに退きなさい」
(や、やっぱりサウザンドマスター! 15年前のお母さんだー、なんかセリフが3流ラノベみたいだけどカッコいい!!)
『それってホメ言葉かテメェ!?』

ネギが常時持っているような杖を手にしたローブの女性を、今朝ネギがサウザンドマスターと呼ばれた母親だと断定しますが、評し方はどうなんだろ。

「下らん連れから切り離されても、まだ減らず口を叩けるとはな……来い、チャチャゼロ!」
「アイサー、御主人」

チャチャゼロと呼ばれた少女の人形が、操り糸を切り離されると小刀を構え、主人であるエヴァと共にサウザンドマスターへと襲い掛かっていきました!

(え、マジ!? 避けて母さーん!)
『お、オイ! お前の母さん何もしてねぇぞ、大丈夫かよ!?』
「えーと、この辺だっけ……」
「呆けている間などやらぬわ! URRYYYYYYY!!」

今朝ネギの心配も届かぬまま、ブツブツ呟くローブ姿に雄たけびを上げてエヴァが挑みかかります。その吸血鬼の魔手が、喉元へ伸びようかというその時!

「なっ、GGYAAAAAAHHHH!!」
「オイオイ落トシ穴ジャネーカ、気付ケヨ御主人!」
(へ……な、何この展開!?)

エヴァが足をつけた地面が崩れ落ち、お供も巻き添えで落とし穴にハマってしまいましたよ……おい、実力ある吸血鬼じゃねーのか!?

「ほらほらー、お姉さんから野菜のプレゼントだよー」
「なっ貴様、よりにもよってニンニクとネギを放り込むか!? 吸血鬼の弱点突くにしてももっと箔のつくものを選b……RRYYYYY!!」
「アアッ、御主人ノ幻術解ケタ! 情ケネー!!」

落とし穴にはタップリ張られた水と大量のニンニクネギって状態でして、更にサウザンドマスターからニンニクネギの応酬を受けて、エヴァの肉体が見慣れた10歳児の姿に戻っちゃいましたよ。

「あーあ、元のチビガキ吸血鬼に戻っちゃったわねー。もっと保たせなさいよ」
(な、なんだかイメージと全然違う……地雷ゲー掴まされたカンジ~?)
『いや、それすっげぇ今更なツッコミだから……気持ちは分かっけどさ』
「き、貴様という奴は……”千の呪文の女”等と名を受けながら魔法の勝負も出来んのか! 唯でさえ胸がまっ平らで女性としての魅力の無い貴様に他に何が残っtフガガガガ」
「あーゴメン、手が滑ってネギを鼻に突っ込んじゃった。手・が・す・べっ・て!」

おおよそ魔法使いらしからぬ方法でエヴァをイジめる無乳の魔法使い様が、制裁の手を緩めてフードを脱ぎますれば。

「だってさぁ、私って魔法学校の成績悪かったしー。その上通りすがりでケンカ売ってきた女をノしたらレディースの族長で、私に次の族長やれって頼まれてやったら楽しくて、いよいよ単位取れなくて学校中退しちゃったしー。覚えてる魔法っつったら5,6コねー、ウン」
『……!』
(え、マジ!? 母さんって珍走やってたのー、超ショックなんですけどー!!)
「な……フン、今更低学歴なんぞで貴様を見損なったりはせん! これが最後通告だ、俺様の下僕になれ!」
「いや、今の立場弁えて言いなさいよ……それにヤだって言ったでしょー、ガキのお守りはヤダもん」

サウザンドマスター改めナギさん、とんでもないDQNエピソードを話し始めまして、合間に入ったエヴァのアプローチを瞬断までしちゃってます。

「誰を指してガキと言うか! 俺様はだな、何世紀も悪名を轟かせた吸血鬼の真祖であり……」
「あー悪いけど、老人介護ってこの世で一番やりたくない仕事なのよねー。そもそも私、やるならトップ張らないとダメなタチだしー、レディースも族長でなきゃやりたくなかったしー」
「コラ待て! 言うに事欠いて介護だと、介護って言いやがったな!! それに何だそのガキ大将みたいな性分!!」
「オチツケヨ御主人、ソイツニ口デ勝テッコネーッテ」

ああ言えばこう言うって感じのナギにエヴァがツッコミを絡めて食い下がりまして、呆れた顔でナギがため息をつきまして。

「だって、散々アンタに追い回されてウンザリしてるんだもの。お願いだから悪事もやめて隠居しちゃいなよ、老人ホームの入居手続きなら手伝うからさぁ」
「いつまで年寄り扱いする気だ! どうあれ俺様が貴様を諦めると……」
「あー、そういうこと言っちゃうか……だったらストーカー防止法、はまだ無いからトンチンカンな呪いで実力行使といってみよー♪」

返事を分かりきってたらしいナギさん、笑顔を絶やさぬまま懐から魔法書を取り出し、その場に魔力を解き放っていますよ。

「ヌ、この膨大な魔力は……オイ貴様、呪いをここまでの力で扱うとはどういうつもりだ!」
「爺さんを任せるとしたら婆さんに尽きるから、マホラの学園長にでも預けよっか……えーと、マンマンテロテロ……」
「聞けバカ者!! いや今日予定あって来たんだぞ、ヒロヒコ君とデーモン閣下とガックンとで飲みに行く約束が……知らないだろうがヒロヒコ君は健康オタクだから誘うのに苦労して……待て、魔力強過ぎだろ!?」
「……登校地獄(インフェルヌス・スコラスティクス)!」
「NUGAAAAAAAHHHH!!!」

弱りきったエヴァの体を呪いの魔術が取り巻きまして、発動の光とともにエヴァの悪夢が終わりを告げてしまい、明日太とカモはまた暗きに戻されてしまいました。

「……ん、戻って、来れた?」

少し間をおいて明日太が目を開けますと、先ほどネギに魔法をかけられた屋上に戻ってきておりました。

「よーするに、姉貴がエヴァの古傷触って追っかけまわされてるってことね……」
「あはははは、起きたらエヴァさんににカマかけられてバレちゃったんだよね。それで慌てて逃げてきたんだけど……あれっ、明日太さんどうしました?」
「あぁ? お前のお袋さんが、ちょっと……いや、何でもねぇ!」

先に目覚めていたカモとネギが話していると、途中から様子のおかしくなっていた明日太に注意が向きましたが、明日太の返事は意味深なところで誤魔化されてしまいます。

「あー、そうですかっ。それにしても、母さんってあんなだったんだなー。遺伝子はザンコクだったけど……」
「……見つけました、ネギ先生」

ネギが再び見た母の記憶に思いを馳せる後ろに、あまり聞きたくないメカ的なお声が呼び止めてきましたよ。

「ちゃ、茶々丸さんっ!? な、なななな何か用ですか?」
「マスターより、”嬢ちゃんだけは本気で殺れ”と命令を受けました……先生、覚悟をしてください」
「あ、あの、茶々丸さん? その出っ張った肩とか、デコと腹にあるイデ○ンって読めなくも無いマークとかってどしたの?」
「……ハカセが開発した新型ボディーです」

ネギを〆に来た茶々丸さんが参上です……が、妙に薄着だったりいかり肩だったりギリシャ文字の組み合わせっぽいマークが付いてたり、なんだか物騒な感じじゃね?

「いきます……マスターの羞恥心の、仇!!」
「うきゅーー!!」「たわば!!」

言いたいことは言えたとばかりに茶々丸さんが腕を組みますと、体中に迫り出させた小孔からビームをハリネズミのように乱射しちゃいましたよ!
ネギと明日太も避けられるワケも無く、ビームが直撃してしまい……あっという間にお着物がボロボロに!? 中途半端な威力だなオイ!

「な、何じゃこりゃ!? 久々に脱がされたァ!?」
「ちょ、何で私までー!? 脱がされ属性付いたら別作品の私とカブっちゃうじゃん、超ピンチなんですけど~!」
「……あっ」

さかのぼれば2年生以来の脱がされに、残り少ない布に手を当てる明日太とネギが悲鳴を上げていますと、茶々丸さんが視線の先に何かを……

「あ、明日太……君?」
「ね、ネギ先生に茶々丸さん……昼間の屋上でなんちゅうマネしてんですかー!?」

偶然階段から登ってきた亜貴とアキラが、唖然とした様子でしっかり目撃しておりましたとさ。

「いや違うぞ、俺ら何もやましいことしてねぇから! ほら、その、あの……CGだCG!」
「そうですっ、他言したら乳かナニをもいで捨てますからねコンチクショー!!」
「待てェ! そこで脅すなやバカ野郎!」

あられもない姿や巨神な茶々丸を見られて動転しているんでしょうか、ネギも明日太もロクな言い訳できてませんよ。

「……マスター、和泉さんと大河内さんに見つかりました……了解しました、マスター」
「うわっ! ちゃ、茶々丸さーん! 一体どこ飛んでくつもりなんやー!?」

エヴァと何か遠隔なやり取りをしたらしい茶々丸さん、あっさりお空を飛んで退場しちゃってます。

「明日太君、やっぱりネギ先生と……そ、それとも茶々丸さんが……」
「あーアキラ、茹だったらアカン茹だったらー! つーか明日太最低や、女運アンラッキークローバーの一員やったのはウソやったんか!?」
「フフフフフ……記憶消す記憶消す記憶消す……」
(あ゛……お、オラは恐ろしいものを見ちまっただー!!)
「いや、そういう関係だとかねぇからな! っつうかこんなモン、どう説明しろっつんだァァァァ!!」

取り残された一団が戸惑う中で、明日太はオチとばかりに叫びますがどーしようもねーやな。
かくして、また一つエヴァの弱みを握ることが出来たネギ一行、再戦の時は近い……気がするので次回を待ちましょう!

『まあ、アキラ……気ぃ落とすことないで、あのアホはMNOの敵やったんや!』
『……やっぱり、明日太君となんて、つり合う訳がなかったのかな……』
『せやからちゃうて! ネギちゃんも歳以外はカンペキやゆーのに、茶々丸さんまでたらしこむあのタボォがイカンっちゅーねん! 怒るでしかし!』
『亜貴、慰めてくれるのは嬉しいけど、後半嫉妬になっちゃってるよ……え、次回予告? 何だか良く分からないけど、大浴場や橋のイメージ映像があるだけなんだけど……』
『次回、”寛平兄さんが一番上手く血ぃすうたろかができんねん、金髪の小僧やからって銀河の英雄になるみたく習得でけへんねんぞ!”にタイガーバズーカや!』
『……やっぱりいいよ亜貴、私が笑わせられないからって無理にボケなくたって……』

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