遠くで打撃音と爆音が響いている。
「いや~・・・・・・さすがだねエヴァンジェルくんは。 とんでもないスパルタっぷりだよ」
「ケケケ、ゴ主人ニシテミリャマダマダ序ノ口ダケドナ」
「・・・勘弁してよ、ゼロくん」
冷や汗を流しながら苦笑いを浮かべるカモ。
対するチャチャゼロは、普段より多少残酷さが増したような笑みのまま、ネギ子の修行の様子を見つめている。
いつもならゼロも茶々丸と一緒に修行に参加するのだが、今日は茶々丸がドロップアウトしたためにエヴァから『休んでていいぞ』と言われ、こうしてカモと酒を飲みながら気楽なギャラリーになっているわけである。
・・・カモからすれば『気楽』というより『気が気でない』だが。
ちなみになぜ茶々丸がドロップアウトしたのかと言うと、その原因は思いっきりエヴァにある。
修行が終わるたびにネギ子から吸血しているエヴァだが、その度にネギ子のあられもない声を聞かされる茶々丸にとっては生き地獄というか耳に毒というか。
とにかくいたたまれない思いで顔を真っ赤にしている茶々丸の様子を、よせばいいのにエヴァがめざとく見つけ、
対するチャチャゼロは、普段より多少残酷さが増したような笑みのまま、ネギ子の修行の様子を見つめている。
いつもならゼロも茶々丸と一緒に修行に参加するのだが、今日は茶々丸がドロップアウトしたためにエヴァから『休んでていいぞ』と言われ、こうしてカモと酒を飲みながら気楽なギャラリーになっているわけである。
・・・カモからすれば『気楽』というより『気が気でない』だが。
ちなみになぜ茶々丸がドロップアウトしたのかと言うと、その原因は思いっきりエヴァにある。
修行が終わるたびにネギ子から吸血しているエヴァだが、その度にネギ子のあられもない声を聞かされる茶々丸にとっては生き地獄というか耳に毒というか。
とにかくいたたまれない思いで顔を真っ赤にしている茶々丸の様子を、よせばいいのにエヴァがめざとく見つけ、
「なんだ? お前もお嬢ちゃんに気があるのか、まったくこのろ」
とまで言ったところで、エヴァは理性回路の吹っ飛んだ茶々丸にぶっ飛ばされた。
まぁ、自業自得だな、うん。
だが茶々丸はそれくらいでは止まらず、「チチチチガ違ウンデス――――――――ッ!!!」と叫びながらさらに大暴れ。
それを吸血されてふらふらになったネギがなんとか取り押さえたのだ。
で、それでも感情プログラムが少々暴走気味な茶々丸は、葉加瀬と超のところでアフターケアを受けている。
まぁ、自業自得だな、うん。
だが茶々丸はそれくらいでは止まらず、「チチチチガ違ウンデス――――――――ッ!!!」と叫びながらさらに大暴れ。
それを吸血されてふらふらになったネギがなんとか取り押さえたのだ。
で、それでも感情プログラムが少々暴走気味な茶々丸は、葉加瀬と超のところでアフターケアを受けている。
「いや~、それにしてもまさか茶々丸君があそこまで暴れるとは・・・お姉さんビックリだよ」
「ケケケ、アイツモオ年頃ッテ奴ナンダロ」
「アハハ、上手いこと言うねゼロくん! いやぁ~若いっていいわ」
てなことを言いながらくーっと酒を呑むふたり。
それにしても言ってる事がいちいち親父臭い。
そしてふたりが酒を飲み干すと同時、鳴り響いていた爆音が止んだ。
それにしても言ってる事がいちいち親父臭い。
そしてふたりが酒を飲み干すと同時、鳴り響いていた爆音が止んだ。
「お、終わったかな?」
「ミテェダナ」
見ればエヴァがへたりこんだネギ子になにやら説教している。
ネギ子はと見てみれば、立ち上がる元気もないほどボロボロではあるが、必死でエヴァの言うことを聞き漏らすまいとしているようだ。
その様子を、遠くから苦笑いと共に眺めるカモ。
ネギ子はと見てみれば、立ち上がる元気もないほどボロボロではあるが、必死でエヴァの言うことを聞き漏らすまいとしているようだ。
その様子を、遠くから苦笑いと共に眺めるカモ。
「やれやれ、姉御も大変ねぇ・・・」
「マ、アイツガ言イ出シタコトダシナ。 ソレニゴ主人モ思イッキリ暴レラレテイイ気晴ラシダトカ言ッテタゼ」
「あはは・・・」
と、カモは乾いた笑いでごまかすしかない。
ぶっちゃけ、家族みたいな存在である人間を目の前であんだけタコ殴りにされては、いくら修行とわかっていても落ち着けるはずがない。
だが、そんなことをわずかでもエヴァの前で口に出せば間違いなく食われる。
いろんな意味で。
ぶっちゃけ、家族みたいな存在である人間を目の前であんだけタコ殴りにされては、いくら修行とわかっていても落ち着けるはずがない。
だが、そんなことをわずかでもエヴァの前で口に出せば間違いなく食われる。
いろんな意味で。
「ナァ、今妙ナコト考エナカッタカ?」
「ハイ?! ななななんのことかなぁゼロくん、おねーさんわかんないやーハハハ」
「・・・マ、イインダケドヨ」
自分の不埒な考えを見抜かれたか、とびくつくあまりどう見ても不自然な応対をずるカモ。
しかしゼロは特に気に留めるでもなく、独酌で杯を重ねる。
カモのほうも、すぐにまるで何もなかったのように次の酒を口に含み、ほろ酔い加減で誰にともなくつぶやく。
しかしゼロは特に気に留めるでもなく、独酌で杯を重ねる。
カモのほうも、すぐにまるで何もなかったのように次の酒を口に含み、ほろ酔い加減で誰にともなくつぶやく。
「あーあー、姉御がもうちょっとしっかりしてくれたらなぁー」
「ケケケ、アノゴ主人ガ師匠ナンダゾ? 当分無理ニ決マッテンダロ」
「・・・やっぱり? ったはー、お姉さん困っちゃうなー」
「オ互イ様ダナ」
何気にゼロがエヴァを思いっきり小馬鹿にしているが、カモはまったく意に介していない。
このふたりの間に、気がねという言葉は存在しない。
ふたりとも似たような立場だから。
このふたりの間に、気がねという言葉は存在しない。
ふたりとも似たような立場だから。
――――たとえるなら、『手間のかかる子供を抱えた親』といったところの立場か。
ネギ子は大人びて見えてもまだまだ子供で、何でもかんでも自分で抱え込もうとしたり、突発的なアクシデントでとっさの対応ができずにアワアワしてたりするし。
エヴァンジェルはエヴァンジェルで、本当に数百年生きてる吸血鬼かアンタはと言いたくなるようなわがままやら大ボケやらをかましまくってくれるし。
いやはや、フォローに回る側からしてみれば、ホント気の休まることがない。
エヴァンジェルはエヴァンジェルで、本当に数百年生きてる吸血鬼かアンタはと言いたくなるようなわがままやら大ボケやらをかましまくってくれるし。
いやはや、フォローに回る側からしてみれば、ホント気の休まることがない。
「えー? でもゼロくんは茶々丸君がいるからまだ気楽でいいんじゃない?」
「何言ッテヤガル、チョットカラカワレタダケデ大暴レスルヨウナ奴ダゾ? ソウアテニデキヤシネェヨ」
「あー、なるほどね・・・確かにそうかも」
君も大変だねぇ、と言いつつゼロに酒を注ぐカモ。
アリガトヨ、と答えて酒が注がれるのを見ているゼロ。
そしてカモが自分の杯に酒を注ぎ終えたのにあわせ、一気に酒をあおる。
カモがぷはーっ、と虹色の息を吐き。
ゼロがマァマァダナ、つぶやいたところで。
アリガトヨ、と答えて酒が注がれるのを見ているゼロ。
そしてカモが自分の杯に酒を注ぎ終えたのにあわせ、一気に酒をあおる。
カモがぷはーっ、と虹色の息を吐き。
ゼロがマァマァダナ、つぶやいたところで。
「カモちゃ~~~ん、そろそろ帰るよー」
「ゼロ、いつまで飲んだくれてるつもりだ? とっとと戻るぞ!」
・・・『親の心子知らず』を地で行ってくれる二人からのお呼びが。
「はいはい、今行くよー」
「ヤレヤレ、面倒ダナ」
コラコラ、そういわないの、といいつつゼロを抱え上げ、カモはふたりのほうへと向かう。
そして、ふたりの間では、ネギ子とエヴァに聞こえないぎりぎりの距離で、声を潜めてこんな会話が交わされた。
そして、ふたりの間では、ネギ子とエヴァに聞こえないぎりぎりの距離で、声を潜めてこんな会話が交わされた。
「マ、ガキノ尻拭イクライハヤッテヤルカ」
「・・・そうそう、それが大人の役目ってもんよ」
――――どうやら、ふたりの苦労はまだまだ続くようだった。