「――――――――美空11秒7、明日太11秒8!」
「よっしゃ、またまた私の勝ちぃ!」
「マジかよっ、ちくしょーっ!」
叫びながら派手にぶっ倒れる明日太。
これで私の3連勝、そりゃー悔しいっしょ。
まぁ、これが陸上部エースの余裕って奴っすよ。
・・・イヤまぁ、結構っつーかかなり本気でしたけどね?
これで私の3連勝、そりゃー悔しいっしょ。
まぁ、これが陸上部エースの余裕って奴っすよ。
・・・イヤまぁ、結構っつーかかなり本気でしたけどね?
「ふふふ、私に勝とうなんて百年どころか21世紀早いんだよ、明日太」
「どんだけ差つけてんだよ! たかが0,1秒だろ、次こそ勝ってやる!」
明日太はそういって、またスタート地点に戻っていく。
やれやれ、何度やっても同じなのに。
熱いねー、まったく。
しゃーない、もう一度コテンパンにしてあげましょうか、ふっふっふ。
やれやれ、何度やっても同じなのに。
熱いねー、まったく。
しゃーない、もう一度コテンパンにしてあげましょうか、ふっふっふ。
「まだやる気~? 私はかまわないけど、恥の上塗りはやめたほうがいいんじゃな~い?」
「何を! 次に吠え面かくのはそっちだぜ!」
うわぁ、自信満々だよこの子・・・どっからその自信が来るんだか。
まぁ、もう一度勝ってその自信を木っ端微塵にしてあげようかね!
まぁ、もう一度勝ってその自信を木っ端微塵にしてあげようかね!
「言ったね~、実力の差ってモンを教えてあげましょう・・・・・・きゃあっ?!」
「美空?!」
あったたた・・・私としたことが・・・
こんなとこに石が落ちてるなんて、ついてないなぁ、もう。
こんなとこに石が落ちてるなんて、ついてないなぁ、もう。
「アハハ、ちょっとドジっちゃった・・・あ痛っ!」
痛たたた、こりゃくじいちゃってるわ。
ってことは私、不戦敗?
うわぁ、最悪・・・、まぁしょーがないんだけどさぁ。
ってことは私、不戦敗?
うわぁ、最悪・・・、まぁしょーがないんだけどさぁ。
「ゴメン明日太、ちょっと足くじいちゃったみたいだからさ、勝負はまた今度でお願いね」
「え? 大丈夫かよ」
「だいじょぶだいじょぶ、心配ないって! じゃ、ちょっと保健室行ってくるわ」
いや、ホントはあんまし大丈夫じゃないんだけどさ。
明日太、ものすごい心配そうな顔してるんだもん。
あんな顔されちゃー、大丈夫じゃないなんていえなくなっちゃうよ。
明日太、ものすごい心配そうな顔してるんだもん。
あんな顔されちゃー、大丈夫じゃないなんていえなくなっちゃうよ。
「待てって! 足、くじいてんだろ? ――――俺がけしかけたようなもんだしな、おぶってってやるよ」
「へっ?」
ちょ、おんぶするって本気ですか明日太サン。
このクラスのみんなが注目している状況で、おんぶするって正気の沙汰じゃないっすよ明日太さん?!
駄目駄目、絶対駄目だって!
そんなことされるくらいならこのくじいた足で全力疾走させていただきますから勘弁してくださいよ明日太!
このクラスのみんなが注目している状況で、おんぶするって正気の沙汰じゃないっすよ明日太さん?!
駄目駄目、絶対駄目だって!
そんなことされるくらいならこのくじいた足で全力疾走させていただきますから勘弁してくださいよ明日太!
「いっ、いいよいいよそんなの! 私ならもうピンピンしてるからそんな気ぃ使ってくれなくても・・・」
「何遠慮してんだよ、らしくねぇなぁ・・・。 ほら、よっと」
「――――きゃっ?! ちょちょちょ明日太、おおお降ろしてってばぁ!」
「足くじいてる奴が何言ってんだよ、ほら行くぞ」
・・・完璧スルーですか、アンタ。
ああ、視線が痛いよ・・・戻ってきたらきっと双子やらチア三人娘やらにからかわれるんだろうなぁ。
明日太っていい奴なんだけど、こういうとこで無神経っつーかなんつーか・・・
もうちょっとその、乙女心って奴を考えてほしいもんだよねぇ、いや私がいうとギャグにしか聞こえないけどさ。
ああ、視線が痛いよ・・・戻ってきたらきっと双子やらチア三人娘やらにからかわれるんだろうなぁ。
明日太っていい奴なんだけど、こういうとこで無神経っつーかなんつーか・・・
もうちょっとその、乙女心って奴を考えてほしいもんだよねぇ、いや私がいうとギャグにしか聞こえないけどさ。
「あのさ明日太」
「なんだよ?」
「どーして君はこう無神経なんですかね?」
「はぁ? 何がだよ、わけわかんねー」
「いや、だからあんなふうにクラスの大半が注目してる状況で何のてらいもなくこうやって私をおぶるってのはマズイ、とか一瞬でも思わなかったの?」
「だから何がマズイんだよ、何も問題ねぇじゃん」
駄目だ、この人駄目だよ。
言ってることは正しいけど世間体とか全力でぶっちぎっちゃうタイプだね。
ま、頼りがいはあるけどさ。
言ってることは正しいけど世間体とか全力でぶっちぎっちゃうタイプだね。
ま、頼りがいはあるけどさ。
「・・・美空、ごめんな」
「へっ? いきなりどしたのさ明日太」
なんか変な声出ちゃったけど、仕方ないよね?
だって、たった今私をおぶったことは何も問題ないって断言しちゃったようなもんなのに、何を謝るのさ、ってワケで。
しかも何かむつかしい顔しちゃってるし。
私、明日太に何かされたっけ・・・・?
だって、たった今私をおぶったことは何も問題ないって断言しちゃったようなもんなのに、何を謝るのさ、ってワケで。
しかも何かむつかしい顔しちゃってるし。
私、明日太に何かされたっけ・・・・?
「いや、俺がけしかけたせいで足くじいちまってさ。 お前陸上部なのに、無茶させて悪かったな、って思って」
・・・・・・え?
まさか、そんなこと気にしてたの?
あれって、私が足元の石に蹴躓いたのが原因で、明日太何も悪くないんですけど。
もしかして私をおんぶするなんて言い出したのもそのせい?
まさか、そんなこと気にしてたの?
あれって、私が足元の石に蹴躓いたのが原因で、明日太何も悪くないんですけど。
もしかして私をおんぶするなんて言い出したのもそのせい?
「・・・・・ぷっ」
「な、なんだよ! なんで笑うんだよお前!」
「だ、だって! 明日太がそんなこと気にしてるなんて思わなかったんだもん! あは、アハハハハ!!!」
「わ、笑うなよ馬鹿! 落とすぞ!」
「アハハ、か、勘弁! 勘弁して!」
アッハハハ、明日太ってば顔真っ赤だよ!
ったくもう、かわいいなぁ明日太は。
ぶっきらぼうな振りしてるのに、どっか抜けてるっていうか、律儀っていうか。
ま、おんぶの件は、これでチャラにしといてあげるよ明日太。
私がからかわれたときのスケープゴートにできるからね。
ったくもう、かわいいなぁ明日太は。
ぶっきらぼうな振りしてるのに、どっか抜けてるっていうか、律儀っていうか。
ま、おんぶの件は、これでチャラにしといてあげるよ明日太。
私がからかわれたときのスケープゴートにできるからね。
「はぁ~あ・・・可愛いね~明日太は」
「な、何言ってんだよ! ったく・・・」
あーあ、そっぽ向いちゃった。
ま、からかうのはこれくらいにしといてあげますか。
そんなことを考えながらもたれかかった明日太の背中は、とっても大きくて、暖かかった――――――――
ま、からかうのはこれくらいにしといてあげますか。
そんなことを考えながらもたれかかった明日太の背中は、とっても大きくて、暖かかった――――――――